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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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嘘(14)
 多分、彼女は病気がなんであれ先はあまりないことに気づいて
いたのだと思う。病状は客観的にみて日々悪くなってきている。
 取り留めの無い不安に苛まれても、問いかけに返ってくる言葉
は全く真実味のない気休めに過ぎない。彼女は多分もう何を聞い
ても無駄だと悟ったのか二度と自分の病状について聞いてくる
ことはなかった。私は毎日、朝と夕と2回彼女の病室に回診に
いったが、話しかけても型どおりの返事をするだけになった。
 次第に彼女の衰弱はすすんできた。利尿剤を使用しても腹水
が引くことはなかったし、次第に反応も鈍くなってきていた。
次第に尿量も減少し、あと数日かなという感じになっている時
に家族を呼び、病気が進んできたことにより衰弱が進行しここ
数日が山であることをお話した。今まで、声をかければ眼を開
けていた彼女が次第に問いかけにも答えなくなってきたことで
家族も病状の進行に関しては納得できていたようだった。
 今後、点滴からの薬剤の投与などの治療は引き続き継続する
が呼吸状態が悪化したりした際に、人工呼吸器を装着したり、
心臓マッサージなどの蘇生措置は行わないことを再度確認
し(DNAR:Do Not Attempt Resuscitate:延命治療は行わない)
承諾を得た。日を追うごとに血圧の低下が認められ、昇圧剤
を使用しても反応しなくなっていった。呼吸状態も次第に
悪化していき酸素投与しても充分な血中酸素飽和度を保て
なくなっていく。そしてその時がやってくる。午後からの手術
を終えて摘出した標本の整理をしている時に病棟から電話が
かかってきた。「先生、○○さんの心拍数が落ちてきていま
す。呼吸も止まりそうです。」標本整理の手を止め、病棟に
向かう。ずっと付き添っていた娘さんが側にいて「お母さん、
お母さん。」と泣きじゃくっていた。「他のご家族は?」
「弟があと10分くらいでくると思います。お母さん△△
もうすぐ来るからもうちょっと頑張ってよ...。」血圧は
すでに測定できなくなっていた。心拍数は20~30台、すでに
心電図のQRS波も延びてきており心停止も時間の問題だった。
 幸いにも息子さんは間に合った。息子さんが到着して数分
後に心停止する。「よく頑張られましたが、○月×日午後10
時○○分死亡確認とさせていただきます。ご家族の方もお疲
れ様でした。」「有難うございました。」娘さんは涙ながら
に答えた。抗癌剤での治療での症状改善の可能性を試すこと
も手術をして幸運にも家に帰れるチャンスもあったのにそれ
を生かすことも出来なかった。そして何よりも患者さん本人
の不安や苦悩に答えることができなかった。彼女を乗せた車
を見送った時、彼女の「先生私はもう助からんのだろう。」
という必死の問いかけに逃げる様に病室を出てこなくては
ならなかったことが思い出され、なんともやるせない思いが
胸を締め付けた。
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【2005/05/03 21:49】 | トラックバック(0) | コメント(6) |
嘘(13)
 みなさんゴールデンウィークいかがお過ごしですか。
 明日5月2日は当直のためブログをお休みします。5月3日に
つづきをアップする予定ですので引き続き宜しくお願いいた
します。


 それはある春の日の朝のことであった。いつもどおり朝の
回診で自分の受け持ちの入院患者さんを診て回っているとき
であった。いつもどおり彼女の病室に入り彼女に声をかけた。
「おはようございます○○さん。調子はどうですか。」
「....。」彼女は目を開けたが無言で答えた。「お腹の
所見をみさせていただきますね。」私は腹部の聴診と触診を
行った。腹部は膨満し、何箇所かにしこりをふれた。腹水も
溜まってきており、下肢のむくみも出てきていた。私は身体
所見をとった後、彼女に話しかけた。「特に辛いことなどあ
りませんか?」「.....。」彼女は黙ってうなずいた。尿量
と経鼻胃管の排出量を確認して、「それでは失礼します。」
と言って部屋を出て行こうとした時だった。彼女は言った。
「先生。なんかえらい迷惑かけてすまなかったな。」一瞬な
にをいわれたのか解らなかった。私は慌てて答えた。「何を
いっているんですか迷惑なんてこと何もないですよ。」
 彼女は少し置いて言った。「なあ先生....。私はもう助か
らんのだろう......。もう解っているんだよ...。実際の
ところどうなんだい.....。」
 私は戸惑った。彼女の言っていることは正しい。一瞬彼女の
必死の問いかけに腰をおろして時間をかけて話し込みたい衝動
に駆られた。だが今の状況でそれは許されないことであった。
 私は静かに答えた。「今状態はあまりよくありませんが、
何とかいい状態にしようと手をつくしているところですから。」
 彼女の質問に対しての答えにはなっていなかった。
 彼女は静かに目をとじてつぶやいた。「そうか.....。」
 彼女はそのまま黙り込んでしまった。私は彼女なりの必死の
問いかけに、とってつけた気休めで答えなくてはならない
気まずさに自己嫌悪をいだきながら部屋をでた。しっかりと
閉ざされた彼女の眼からは一筋の涙が流れていた。
(次回につづく)

【2005/05/01 18:24】 | トラックバック(0) | コメント(0) |
嘘(12)
 彼女は普段はうとうと眠っているが、声をかければ目をあけ
話しかければ話が出来る状態に保たれた。周りの者にすれば
今まで不機嫌そうにして、不満をぶつけたりあからさまに無視
していた以前と比べれば扱いは楽になったのは確かであった。
 娘さんは彼女が(見た目には)安らかに見える状態になった
ことに安堵した。話しかければ取り合えず会話も成立する。
 目をさましてでてくる彼女の要求は口がかわいたからガーゼ
で湿らせてくれ、まぶしいからカーテン閉めて欲しいなど具体
的要求に限られていたので、病状について問い詰められていた
以前と比べれば娘さんの精神的なプレッシャーはかなり軽減し
たと思われた。娘さんとしては今回の処置に関しては満足して
いて、もっと早くから薬を使って楽にさせてあげればよかった
かもしれませんねと漏らすほどであった。だがそう言われる
私自身は複雑な心境であった。他にも方法はあったのではな
いかという思いは強かった。この入院期間、患者さんの思い
を確認することも、患者さんと真剣に話し合える機会もない
ままなし崩し的にこのような状態になってしまったことが
なんとも苦痛であった。だがこうなってしまってはこのまま
の治療(緩和ケア?)を継続するしかなかった。ここでセデ
ーション(患者さんの苦痛をとるため鎮静剤を使用すること)
を中止しましょうと娘さんに提案しても承諾は到底得られな
いであろうし、強行に説得してそうしたところでまた患者さ
んが騒ぎ出して一騒動となれば娘さんはそれみたことかと言
い出すであろうことは火を見るより明らかであった。(本人
の思いを抜きにすれば)今の状態が保たれることが周りにと
っては一番好ましい状態となってしまっていた。スタッフの
間でも大腸がんのターミナル患者でこのまま緩和ケアを継続
してみていくことが確認された。あとは静かに経過を観察し
衰弱していくのを診ていくことになる。彼女の思い、私の
苦悩、ご長女の思いこれらに関係なく癌は彼女の体の中で
成長をつづけ彼女を衰弱させていった。
(次回につづく)
【2005/04/30 22:07】 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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