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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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つかめない藁(34)
 ある日の早朝に自宅で眠りについていた私の携帯がなった。
「もしもし、nakanoですが...。」「先生、すいませんお休みの
ところ....。○○さんが呼吸が止まりそうで....。血圧も
さがってきています。」「わかりました。すぐ行きます...。」
 電話を切ったあと妻が声をかけてきた。「あなた。呼ばれ
たの?」私は答えた。「一人、具合が悪い人がいてね...。
すぐ出るから....。」 まだ明けきっておらず薄暗い中、
身支度を整えて、自転車で病院に急いだ。
 白衣に着替え病棟に向かう。病棟につくとご両親とその
家族で病室は一杯になっていた。呼吸は殆ど停止しており、
私がついてほどなく彼女の心臓は停止した。心音の停止と
呼吸の停止、瞳孔の散大を確認し私は言った。
「よくがんばられましたが、午前○時△分死亡確認とさせて
いただきます...。」一瞬の沈黙のあと、病室はむせび泣き
の声に満たされた。彼女の父親は言った。「色々、先生方
には迷惑かけてしまって...。色々有難うございました。」

 遺体の処置を看護師にお願いしている間に、面談室で
この間の経過と治療に関して簡単にお話した。彼女の父親
は説明を一通り聞いた後に言った。「娘も経過を治療に関し
ては納得していたようです。私もあの子の母親も本当に大
切な時間を過ごさせていただきました。娘がね....。まだ
意識があるときなんですが...。私、父さんと母さんの娘
で本当によかった....。誇りに思ってるっていってくれたん
ですよ....。いっしょにいられた時間は少なかったけど
本当に楽しかったってね....。こんな親失格な私らを
ですよ..。色々やってやれたのは高々、1年やそこらなのに
.....。うれしい反面、悔しかったですね...。もっと色々
やってあげられなかったのかってね.....。」

 彼女は最後、愛された彼女の家族に見送られて旅立って
いった。化学療法をつづけていたとき彼女が私に話した事
を私は思い出していた。「先生、誰の詩かしらないけど
この詩が私好きなんです。」彼女に手渡されたメモには
こう書かれていた。

 ある船は東へ向かい、ある船は西へと向かう
 同じ風に乗っているにもかかわらず
 帆の張り方なのだ
 風向きではなく
 船の針路をきめるのは
 運命の流れも海の風に似ている
 人生を進路を進む中
 精神のあり方なのだ
 われわれの行く末を決めるのは
 運命の平穏や苦難ではないのである

 私は言った。「いい詩ですね。」「そうでしょう。色々考えた
ら病気になってかえって私幸せになった気がするんです..。
 色々な人との関係とかゆっくり考えたら自分にとって
本当に大切なことが前より分かってきた気がします....。
 仕事の事ばかり考えていたのをちょっと考え方を変えただけ
なんですよ.....。変な話ですよね......。なんだかこの詩が
すっぽりはまる感じがしてね....。」

 40数年であったが彼女なりに精一杯過ごした一生であったのだ
と思う。彼女は最後の1年間、周りの人々に大きな影響を残して
この世を去っていった。彼女はつかめない藁ではない何かしっか
りしたものをつかむことが出来たのだろうか...。

(つかめない藁 終わり)
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【2005/07/19 22:39】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(7) |
つかめない藁(33)
 彼女に対しての内科的な治療は継続していたが、病状は悪く
なることはあっても改善することはなかった。なるべく苦痛
の無いように、点滴からモルヒネの量を調節したりして経過
をみていた。彼女の意識は比較的しっかりしていて話をしよう
とすると咳き込んでしまい長い会話はできなかったが意思の
疎通はできていた。ただ呼吸状態があまりよくなく、重症感
もあり、高齢である彼女の母親と父親も、その家族にも協力
してもらいながら毎日、交代でつきそうようになった。
 彼女自身も経過に関しては自分で納得していたのかもしれ
ない。私が回診して「○○さん。いかがですか?」と尋ねても
「変わったことはないです。大丈夫ですよ。」と返事をし、自分
の病状を問いただしたり、私に不満を漏らすことはなかった。
 付き添いの人々にも特にとりみだすこともなく、少し苦痛の
表情をうかべながらも穏やかに対応していた。
 だが次第に呼吸状態は病状の進行に伴い増悪していく。肺
が充分に酸素と二酸化炭素の交換ができずに血液中の二酸化
炭素濃度が上昇するとナルコーシスといって意識が混濁して
くる。彼女はこのナルコーシスの状態となり、次第にこちらの
呼びかけにも反応しなくなってきていた。
 呼吸は次第にあえぎ様となり、いつ呼吸が突然とまるかも
しれないような状況になりつつあった。すでに彼女は苦痛を
感じてはいないとは思われたが、あえぎ様の呼吸をしている
状態の患者さんにつきそうというのは非常につらいものである。
 見た目は非常に呼吸がくるしそうにみえるのだから.....。
 ご両親にとってはかなりつらい状況であったろう。かつては
ばらばらとなった家族ではあったが、皮肉なことに彼女の病気
によってお互い再開し、新たな有意義な関係が築かれてきていた
ところであったのだ。その病気が再度、最愛の娘が両親から引き
離そうとしていた....。母親は漏らした。「なんであの子に....。
まだ若いのに.....。できるなら私が替わってあげたい....。」
 母親のつぶやきに私は身を切られる思いであったが、彼女の
病状を改善させる手立ては残されてはいなかった。
(次回へつづく)
【2005/07/18 17:48】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(0) |
つかめない藁(32)
 当直につづいて仕事がたて込んで昨日も帰りがおそくなり更新
ができなくなってしまいすいませんでした。

 彼女の病状は急迫しているのははっきりしていた。ご両親を呼んで
説明をさせていただくことにした。入院したその日の夜に時間を
とった。「今日は突然およびだてしてしまい申し訳ありません。実
は娘さんの病状のことについてなんですが..。かなり厳しい状態で
す。こちらの胸のレントゲン写真を見ていただけますか?」私は
入院時のレントゲンを出して説明をつづけた。「左右両方の肺が
白くなっているのがお分かりになりますでしょうか?癌が両方の
肺のリンパ管に広範に浸潤している状態で癌性リンパ管症と言わ
れる状態です。呼吸機能が命に関わるくらいに低下しています。
現在、酸素投与やステロイド剤などを使用して状況の改善に努めて
はいますが.....。」彼女の母親は言った。「もうぜいぜいいって
本人とても苦しそうですけど...。あれはもうどうしようもないん
ですか?」私は言った。「モルヒネを使ったりして呼吸苦の軽減も
はかっていますが...。充分に呼吸苦はとることができていない状況
です....。」「もう抗癌剤も使える状況ではないのですよね...。
病状を改善させる手立てはなさそうに思われますが,今後はどうな
るのですか....。」「今の状況がつづき改善しなければ数日のうちに
急変するかもしれません....。」「数日...。ですか。」母親は絶句
した。「なんてこと....。かわいそうに...。」「ともかく今は
内科的にできる治療をやっています。ですがやはり治療としては
限界に近づいてきているといわざろうえないでしょう。それで
このような時にお話するのは気が引けるのですが...。呼吸状態が
今後このまま増悪していった時に人工呼吸器や蘇生処置を行うか
なのですが....。一般的にはこのような癌の終末期には患者さんの
苦痛を増すだけだということで蘇生処置は行わないのですが...。」
彼女の父親は言った。「先生、もう娘は充分がんばったよな....。」
「ええ、そう思います。」「もう苦しむ必要はないと思うんだ..。
苦痛を伴うだけの延命処置ならいいと思う。苦しくないようにして
くれれば充分だと思う。お前もそう思うだろう。」彼は元の妻に
尋ねた。「ええ..。それでいいと思います...。」母親の眼には
大粒の涙があふれていた.

(次回につづく)

【2005/07/17 22:48】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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