Hit数5000超えました。皆様に感謝の気持ちをこめて記念にフラッシュ作成してみました。 →
こちら
Hit数10000超えました。皆様に感謝の気持ちをこめて記念にフラッシュ作成してみました。 →こちら
開設2年目になりました。これを機会に今の産科の危機に関してのフラッシュ作成しました。 →こちら

誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |
雪中花(84)
 彼は半ば呆然としていた。妻の死亡宣告を聞いて、葬儀屋
に連絡して、妻の遺品となった荷物を整理した。ストレッチ
ャーに乗せられた彼女に付き添い彼女を業者の迎えの車に
乗せた。まるで何か夢をみているようであった。病院の出口
で見送りに来た医師と看護師に「どうもお世話になりました。」
と礼を述べた。医師は「どうもお疲れ様でした。気をつけて
お帰り下さい。」と一礼した。業者が彼に声をかけた。「車の
同乗は2人できますけど。」「じゃあ、私が乗っていきます。
あと一人はいいか……。」彼の息子が声をかけた。「親父、
俺もおふくろと一緒に乗っていくから……。」「でも車は
どうする。」「家内に運転していってもらうから大丈夫だよ。」
「そうか……。」彼は呟くように言うと車に乗り込んだ。
 彼女と二人を乗せて車は病院を出た。医師と看護師がそれ
を見送っていた。彼は彼女の顔を見つめていた。浮腫と黄疸
で元気なころの顔貌からは変わってしまったが安らかな表情
だった。「よく頑張ったよ。本当に。つらかったよな。苦し
かったよな。俺が馬鹿やったばっかりに無理させてしまって。
俺の身代わりになったようなもんだよ…….。本当にお前も
大馬鹿なんだから…….。」彼は呟くように彼女に話しかけた。
「親父。」長男が彼に話しかけた。「なんだ。」彼は答えた。
「お袋がまだ元気だったときに預かっている手紙があるんだ。
自分が死んだら親父に渡してくれって。」彼はあっけに取ら
れていた。「どうしてお前に?」「多分、事前に親父に渡した
ら親父が動揺すると思ったんじゃないかな……。とりあえず
渡しとくよ。お袋との約束だったから。」彼は息子から手紙を
受け取った。封をあけて手紙をみるとそこには見慣れた彼女
の筆跡があった。「この手紙を見ている時にはあなたとの永遠
の別れになっていることだと思います。残念ながら先生方の
治療にもかかわらず病気が日、一日進行していくのが自分で
も自覚していかざろうえない状態です。多分、もうすぐ私の
人生は幕をおろすのでしょう。でも決して今までの人生に
後悔はありません。貴方の側に40年付き添えて本当に幸せ
だったと思います。年末の福井への旅行は無理を行ってつれ
ていってもらって本当に有難うございました。あの水仙は見事
でした。あなたと最後にいっしょにいけて本当に良かったで
す。いつも貴方は私の病気の事を自分の責任のように自分を
責めていたけど、決してそんなことはありません。これは
私の寿命なんですから。人はいつか何らかの病気で亡くなる
ものです。たまたま私はそれが癌だっただけ。自分の人生の
大変な時期にたまたまぶち当たってしまっただけなのです
から…..。あなたといっしょに仕事も子育てもできた。息子
も独立したし、会社の方も危機を脱してこれからも発展し
ていくことでしょう。心残りはなにもありません。あなたと
いっしょにいたからこそ出来た事なのですから。私はあなた
と出会えて本当に幸せだった。今でも感謝しています。あなた
より先に先立たなくてはいけないこと、本当にごめんなさい。
でもあなたなら会社の事も含めて、きっとこれからも大丈夫
だと信じています……。」手紙を読むうちに彼の目からは
涙が溢れ、止めることが出来なかった。「本当に大馬鹿だよ。
お前は。」彼は震える声で彼女の顔に手をやり呟くように彼
女に話しかけた。

(雪中花 おわり)
スポンサーサイト
【2006/02/21 23:16】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(3) |
雪中花(83)
 私が部屋を訪れて10分ほどしたところで彼女
の呼吸が停止し、モニタの波形が平坦となり彼女
の心拍が停止したことを示した。私は「失礼しま
す。」と静かに一言言った後、彼女の胸に聴診器を
当て、心音の停止を確認し、ペンライトで瞳孔の
散大を確認した。すすり泣くような咽び声が部屋
のあちこちで起こった。一通りの診察を終えると
私はご主人の方に顔を向けた。彼はじっと私を見
据えていた。彼の気持ちを考えると言葉を発する
ことがはばかられた。「よく頑張られましたが…
….。2月○日、午後1時××分、死亡確認
とさせていただきます。ご家族の方も本当にお疲
れ様でした。」私はそう言うと、深々と頭を下げ
た。彼はすこし黙ってから徐に、「色々本当にど
うもありがとうございました。」と震える声で言い、
首をたれた。黄疸や浮腫はあったが、長期間の闘病
と苦悩の果てにようやく安らぎの場についた彼女の
表情は安らかであった。
 「それではお別れの時間も欲しいでしょうから我
々は一旦退出しますので、よろしかったらまた看護
師に声をかけてください。ご遺体の処置を行います
ので。」「わかりました。」彼はそう答えるとポケット
から取り出したハンカチで涙を拭った。私は改めて
一礼すると病室から出た。60代の早すぎる死であ
った。だが彼女なりに精一杯やってきて周りに
愛されていたのだということは最後に囲んだ人々の
表情からはつかむことができた。部屋には彼女の会社
の社員からの寄せ書きと水仙の花が飾られていた。
ふと外をみると窓の外は彼女の死と悼むように粉
雪が舞っていた。

(次回につづく)

 次回雪中花最終回の予定です。
【2006/02/20 23:56】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(82)
 その日の昼頃、外来がもうすぐ終わりそうな時
だった。「そうですねCTの結果では大きな異常は
ありませんでした。概ねここまではいい経過だと思
います。」外来の患者さんに検査の結果を話してい
るときに病棟から私の院内PHSに電話がかかって
きた。私は患者さんに「すいません。」といって
PHSのスイッチを入れた。「もしもし、忙しいところ
すいません。外科病棟のNです。Yさんなんですけ
ど血圧が測れなくなっていて、心拍数も40台まで
下がってきています。こちらにこれますか?」私は
外来の患者さんの表情を伺いながら答えた。「わか
りました。手があいたらすぐ上に上がるから。」
「よろしくお願いします。」私はPHSのスイッチを
切った後、「すいません。それでは続きですが…。」
と説明をつづけた。この患者さんの診察を終えたの
ち、私は外来を一旦止めて病棟に向かった。病室に
つくと私は病室のドアをノックして部屋に入った。
 彼女の病室には、ご家族、親戚の方を含めて10人
前後の人々が彼女の様子をうかがっていた。
 「失礼いたします。」私はそういうと彼女のベット
の脇に向かい、診察を行った。呼吸はすでに停止し
そうな状態であり、脈拍は頚動脈でもふれなくなって
いた。モニタの波形が今にも止まりそうなかすかな
心臓の電気信号をかろうじてとらえている状態で
あった。彼女の夫が言った。「どうですか、先生。」
私は彼の目を見て静かに言った。「すでに脈拍もふれ
ない状態になってきています。呼吸もあやしい状態
ですね…….。」「そうですか…….。」彼は呟く様に
答えた。誰の目にもその時が間近に迫っていることは
明白な状態であった。

(次回につづく)
【2006/02/19 18:33】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
next→
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


CALENDER
07 | 2017/08 | 09
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
掲示板(気軽に書き込みお願いします)
RECENT ENTRIES
  • 芝桜の咲く丘(23)(05/25)
  • 芝桜の咲く丘(22)(05/20)
  • 芝桜の咲く丘(21)(05/18)
  • 芝桜の咲く丘(20)(05/15)
  • 芝桜の咲く丘(19)(05/11)
  • RECENT COMMENTS
  • nakano(05/03)
  • (04/30)
  • nakano(04/13)
  • (04/13)
  • KITA(02/01)
  • nakano(05/31)
  • タマ(05/28)
  • RECENT TRACKBACKS
  • 健康、病気なし、医者いらず:医師の秘密漏示(05/03)
  • 健康食品の栄養事典:プロタミンとは(02/22)
  • 医薬品のマメ知識:フルオロウラシルのマメ知識(02/20)
  • 体が元気になるならない物質:プロタミン-体が元気になるならない物質(02/17)
  • オヤジの世界:雪中花(01/04)
  • ARCHIVES
  • 2009年05月 (10)
  • 2009年04月 (13)
  • 2008年11月 (1)
  • 2008年09月 (1)
  • 2008年08月 (1)
  • 2007年07月 (6)
  • 2007年06月 (14)
  • 2007年05月 (18)
  • 2007年04月 (20)
  • 2007年03月 (19)
  • 2007年02月 (17)
  • 2007年01月 (22)
  • 2006年12月 (18)
  • 2006年11月 (14)
  • 2006年10月 (16)
  • 2006年09月 (15)
  • 2006年08月 (16)
  • 2006年07月 (13)
  • 2006年06月 (18)
  • 2006年05月 (19)
  • 2006年04月 (19)
  • 2006年03月 (21)
  • 2006年02月 (19)
  • 2006年01月 (22)
  • 2005年12月 (22)
  • 2005年11月 (24)
  • 2005年10月 (23)
  • 2005年09月 (22)
  • 2005年08月 (17)
  • 2005年07月 (22)
  • 2005年06月 (22)
  • 2005年05月 (24)
  • 2005年04月 (25)
  • 2005年03月 (26)
  • 2005年02月 (9)
  • CATEGORY
  • 春風 (152)
  • 誤報 (135)
  • 管理人雑感 (11)
  • 帰れない老人達 (3)
  • 医者という仕事 (2)
  • 不条理な結末 (7)
  • ブランド病院を求めて (6)
  • 澄んだ青空 (5)
  • 3月の木漏れ日の中で (6)
  • 雨上がりの虹 (10)
  • 桜 (6)
  • 嘘 (14)
  • 花菖蒲 (25)
  • つかめない藁 (34)
  • 百合の花 (15)
  • 約束 (52)
  • 雪中花 (84)
  • 未分類 (1)
  • 芝桜の咲く丘 (20)
  • LINKS
  • ホームページ情報配信メールマガジン「INTERNET SEEK」
  • プログ リンク&人気ランキング
  • 人気blogランキング
  • SEARCH

    PROFILE
    nakano
  • Author:nakano
  • FC2ブログへようこそ!
  • RSS
  • 上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。