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芝桜の咲く丘(23)
 なかなか忙しくて更新まで手がまわらなくてすいません。休み休みすすめていくのでよろしくお願いします。


 仕事場で端末に向かっていた雅哉に同じ開発部の堀内が声をかけた。「木下さん。外線から電話です。なんでも大学の同窓会の件で光村さんて女の人からですよ。」雅哉は端末から顔を上げると「わかった。こっちに電話回してもらっていいかな。」と答えた。「わかりました。」そういうと堀内は電話を木下の内線に転送した。「もしもし。木下ですが。」「もしもし、光村です。」「光村さんか。久し振りだね。サークルのOBの同窓会の幹事をやらされているのかい?御苦労様。」「木下君。それは電話を回してもらうための方便よ。実は木下君に伝えなきゃいけないことがあって.......。」詩織の言葉を聞いて雅哉は「ちょっとまって....。」といってまわりを見渡した。堀内は別のセクターでの仕事に集中しているようだった。富岡は外に出ている。雅哉は頭を低くして受話器を手でおおって少し声を抑えて言った。「おい、いきなりなんだい。個人的なことなら職場は困るんだけど。」「周りの目があるので困るのはわかるんだけど、あなたにとって大事なことなのでそのまま聞いて欲しいの。実は、里美のことなんだけど.........。」「里美の事?」「あなたは里美のお父さんの事は知っていたかしら。」「いや、くわしいことはわからないけど........。」「山内吉男といえばわかるわよね。」「えっ?ちょっとまてよ。」「そうなの。山内ディーゼルの社長よ。」「そうなんだ。それは少しびっくりしたな。」「問題はここからなの。社長は里美がけ落ちした相手があなただと思っている。それで娘が死んだのはあなたのせいだと考えているわ。そのことについてどうしても詳しい話をしておきたいの。」「突然いわれてもびっくりだよ。光村さんと久し振りに話ができたと思ったら.......。わかった。とりあえずまた電話をもらえるかな。ここでは話はしずらいからね。」「ええ。」「ぼくの携帯番号は090-×××▽-□○▼■だから。」「わかった。何時くらいだったら電話していいかしら。」「じゃあ昼休みに外にでれると思うから12時半くらいに携帯に電話もらえるかな。」「わかった。じゃあまた連絡するわ。」「それじゃ。」そういうと雅哉は静かに受話器をおいた。
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芝桜の咲く丘(22)
 「川越さん。いきなり従業員を解雇にできないのはわかっている。貴方は別に何もしなくてもいい。ただ、あなたは僕の方から御社にシステム管理の者を一人採用してもらえばいいんだ。音無という男だが、SE(システムエンジニア)としてもそれなりに優秀な男だ。彼を雇ってくれればあとは彼がすべてうまくやってくれるようにしておく。君は何も考えないでいてくれればいいんだ。」吉男の言葉に章は顔を上げ言った。「それはいったいどういうことですか。」「方法としては君の会社にも少し迷惑をかけることのなるかもしれないので一応大まかなことは話しておく。要は木下という男が君の会社の情報漏洩をするかもしれないということだ。」吉男の言葉に章の顔色が変わった。「それはつまり、SEをつかってサーバーのログを操作して木下君のIDをつかって情報漏洩をでっちあげるということですか?それは半ば犯罪では?私は経営者として山内社長のことは尊敬していました。そのあなたの口からこのような事がでてくるとは思っていませんでした。正直、私は自分の耳を疑っています。」章の言葉に吉男は表情を変えず答えた。「川越さん。あなたは何か勘違いしているようだ。私は君の会社の職員が情報漏洩をするかもしれないという注意喚起と、当方からのSEの受け入れを了解していただきたいとお願いしているだけです。別に断る理由はないでしょう?おたくとは長い付き合いだし、これからだってそのつもりなんだ。余計なことは考えないでこちらのお願いを聞いていただけませんかね?」章は吉男の顔をじっと見つめて言った。「わかりました。山内社長の直々のお願いならそれはいいでしょう。しかしながらうちの木下が何かしたんでしょうか?すくなくとも社内での評判も悪くないですし、仕事もよくこなしています。山内社長がそれほど彼にこだわる理由が想像がつかないのですが。」吉男は章の言葉に少しふーっとため息をついて言った。「川越さん。あなたには関係ないことだ。余計な詮索はしない方がいい。」吉男の言葉に章はすこし諦め顔になった。「わかりました。また社にもどって人事の方に伝えておきましょう。その音無という方の履歴書をうちの人事の方に送ってもらえるようにしていただけますか?面談の日取りも決めなくてはならないでしょうしね。」章の言葉に吉男は静かに言った。「川越君.........。私の個人的な理由で迷惑をかけてすまない。この穴埋めはいずれまた考えるから.........。」「社長のお話の趣旨は理解しました。とりあえず今日はこれで......。」そういって章は席を立った。

芝桜の咲く丘(20)
 「今度の日曜日はどうするんだい。」章は朝食のパンをたべながら京子に聞いた。「雅哉さんと幸美ちゃんとショッピングモールに買い物にいくつもりよ。」「そうか。木下君とはうまくいっているようだね。父さんとしては嬉しくもあり、寂しくもあるな。」章の言葉に京子は言った。「お父さん......。でも雅哉さんといっしょになることは賛成してくれているんだよね。」京子の言葉に章はふーっと息をついて言った。「ああ、母さんも先に逝ってしまったからさみしくないといったらウソになるけどね。でも京子が幸せになるんならそれが一番さ。木下君は職場でも評判いいしね。京子が好きになった人なら反対はしないよ。それに新しい家族が増えるんだ。いきなり義理とはいえ孫までできるんだから、その幸美ちゃんだっけか。その子もお前になついているというしな。」京子は章に微笑んでから言った。「そうなの.....。でも父さんにそういってもらって私もうれしいわ.......。」「そうか........。それで、いつか家に挨拶につれてくるのかい。」「うん、正式にお付き合いするのだから、はやくご挨拶には伺いたいとは雅哉さんも言っていたわ........。」「そうか.........。母さんが生きていたら喜んでいただろうにな。」「大丈夫よ。母さんだってきっと喜んでいてくれるわ。また雅哉さんと話してみて日にちの予定を立てたら相談するわ。父さんも忙しいしね。」「わかった。その日を楽しみにしているよ。」章はそう言ってほほ笑んだ。

 会社の経営会議が終わったあと、開発部部長の富岡は章に声をかけた。「社長、それで例の工具の発注は予定どおりかけさせていただきますので。」「ああ、富岡君、よろしく頼むよ。工程に遅れがないようにして欲しいのでね。」「わかりました。それで、また全然別のことなんですが......。」「ああ、どうかしたかい?」「うちの木下の事ですが、なんでも京子さんとつきあっているということなんですが。」「ああ、そうらしいな。」「社長の身内になるかもしれないんですね。」「ああ、たぶんね。」「その、職場での木下の扱いはどうしたらよいでしょうか?」富岡のやや困惑した表情をみて章は思わず笑ってから言った。「余計な気遣いはいらないよ。いままで通りでいいさ。むしろ身内になるかもしれないからこそ今まで以上に厳しく評価してもらったほうがいいさ。そうしないと木下君だってやりづらいだろう?」富岡は章の言葉に少し安堵の表情を浮かべた。「そうですね。これは全く失礼なことを......。すいません。社長、余計なことを言ってしまって.......。」「ああ、いいよ。富岡君は少し気をまわしすぎだな。」章は笑いながら言った。
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