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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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不条理な結末(7)
 昨日は緊急手術で帰れなくなってアップできません
でした。突発的な更新停止は当直か夜間呼び出しで
今後もあるかもしれません。細めに見てくださって
いる方にはすみませんがご勘弁ください。

 それから3ヶ月後、わざわざ奥様が挨拶にやってきた。
 49日もすぎ、第二子も無事に誕生したとのことであった。
 大変な中ご丁寧にと思ってご挨拶をさせていただいた。
 「実は主人が亡くなる前に手紙を残してくれて私に内緒で
会社の上司に預けたらしく、一応先生にもお見せした方が
よいと思って..。」
 「でも大事なものでしょう。私が見させていただいて宜しい
のですか。」「その方がいいと思うんです。」
 渡された手紙にはしっかりした几帳面な字で彼の思いが
したためられていた。多分、良くならない病状に覚悟を決めた
のかもしれない。意識が無くなる前に残したものだろうと
思われた。その中で彼は生きたかったがどうやらそれは難しい
ようだと感じ、残される家族に本当に申し訳ない旨が書かれて
あった。「多分、俺はもう駄目なんだと思う。色々先生も
頑張ってくれてはいるが一向に病状は良くならない。意識
が無くなる前に伝えておかなくてはならない。必死に付添
ってくれるお前にもう俺は駄目だろうなんて言えない。言
える訳がない。だから文で残す。今まで本当に一緒にいて
くれて有難う。そしてお前達を残して先に行かなくては
ならないことが申し訳なくて仕方がない。本当にすまない
と思う。新たに生まれてくる子供の顔も見れないかもしれ
ない。親としては失格だ。本当に無念だ....。人は意思と
関係なく死んでいく。死とは本当に不条理な結末だと思う。
 だが自分が死ぬと感じたとき、本当にお前達がいとおしく
感じられる。だから今自分ができるかぎりの事をしたい
と思う。」
彼は気丈にも残された家族のために彼が死んだ後の様々
な手続きの指示をしたためていた。奥様にも内緒で会社の
上司と相談し、(奥さんにも内緒で上司に多分もう駄目
なので自分が死んだ後の退職金の扱いなどを相談していた
らしい。)彼の死亡後問題の無いようにしてある旨綴って
あった。自分の葬式の指示までされていた。
 そしてその後の一文にはこうかかれてあった。「生まれて
くる子供には○○(それは私の名前だった)と名付けて欲
しい。」一瞬目を疑った。「これって..。」「そうなんです。
事後報告ですけど。」彼女は微笑んだ。「多分、主人なり
に感謝してたんだと思います。」私が何をできたというの
だろうか。私は一度たりとも彼らにいい知らせを伝えたこと
はなかった。何度これで病気が治りますよと言ってあげたい
と思ってきたことか。話さなくてはならないことはいつも
近くに不気味な影が迫ってきつつあることだった。
 そして死亡宣告である。一番彼女にとって辛い場面に
私の一言が永遠に刻み込まれたはずなのに。
 「いいですよね。もう出生届は受理されてるし、先生が
だめだっていっても手遅れですから。」
 彼も強い人だったが、この人も強い人だと思った。小さい
子供を二人抱えて大変だと思う。でも彼女はきっと乗り越えて
いくのだろうと思った。「大変ですけど、彼は大切な宝物
を2つも残していってくれましたから。子供達がいることが
彼がいたことの証なんです。主人を誇りに思っています。
だから私がしっかりしないと主人に恥をかかせることになり
ますから。」彼女は丁寧にお礼を言い残し帰っていった。
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【2005/03/07 22:56】 不条理な結末 | トラックバック(0) | コメント(2) |
不条理な結末(6)
 それはある春の日のであった。彼の意識はすでに混濁して
おり尿量も極端に減っている状態であった。血圧も次第に低
下してきており朝の時点でいつその時がきても不思議ではな
い状態となっていた。その日も私は予定手術が入っていた。
「術中に連絡がくるかもしれないな。」と思い、外回りの先生
に急変時の対応とお願いして手術に望む。この人も胃癌であ
ったが比較的早期で手術で根治が望める。彼とは対照的な患者
さんだった。手術もトラブルなく終了し、ご家族にその旨お話
して安心されたことを確認する。一通りの術後の観察を行って
いる時に病棟から連絡が入る。「先生、心拍数が低下し呼吸も
止まりそうです..。」慌てて病棟の彼の元に駆けつけた。
 彼はすでにあえぎ様の呼吸となっており心拍数は30台となっ
ていた。間もなく心肺停止。脈がなくなり、心音が消失し、瞳
孔の散大を確認し私は告げた。「よく頑張られましたが、本日
午後3時43分死亡確認とさせていただきます。ご家族の方も本当
にお疲れ様でした。」身重の体で付き添っていた奥様は覚悟し
ていたとは言え身を切られる思いであったろう。
 だが彼女は感情を押しとどめて気丈にも静かに答えた。
「こちらこそいろいろお世話になりました。本当に有難うござ
いました。」
一体、私は彼らに何が出来たのだろうか。
(次回に続く)
 
【2005/03/05 21:06】 不条理な結末 | トラックバック(0) | コメント(0) |
不条理な結末(5)
 次の受診日に彼に採血の結果を報告し、状況の評価を行う
ためにCT検査を行った。
 腹部CTでみると少量の腹水と一部腸管の拡張像が認められ
肝臓にも影がみとめられた。
 癌性腹膜炎と肝転移である。薬を加えて2剤併用の治療を
行うがあまりはかばかしい効果は認められなかった。
 いよいよ食事が食べれなくなり、お腹に腹水が溜まった
状態で彼は再入院となった。序々に体調を崩していく彼に
何度が私は入院を勧めていたが、彼の中で次に入院したら
帰れるか分からないと思っていたのだろう。彼はいつも「入院
はしません。まだ家で頑張れます」と言っていた。今回は本当
に辛かったのだと思う。彼は自ら入院したいといってやって
来たのである。食事を止め、点滴を行い痛み止めの薬剤を
使用しようやく彼は人心地ついたのだろう。彼は私に笑いな
がら言った。「ざまあないや。情けないね。」

 もはや私に打つ手は残されていなかった。ただ彼が衰弱して
いくのを見守るしかなかった。彼も覚悟が決まっていたのか
もしれない。特に誰を責めることもなく辛くあたることも
取り乱すこともなかった。時だけが静かに流れ、彼の病状は
悪化の一途をたどっていった。意識が混濁し、その時がせまり
つつあることは誰の目にも明らかになっていく。
(次回につづく)
 
【2005/03/04 21:01】 不条理な結末 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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