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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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3月の木漏れ日の中で(6)
 結局、彼は家に自分で帰ってしまったのだ。息子夫婦もびっ
くりしていた。私は息子夫婦と話し合い、無理に病院につれ
戻してもまた帰ってしまう可能性が高いことから、在宅で
経過をみることとした。そして週1回都合をつけて往診をする
ことにした。だが2回目の往診の時には起き上がることも
できなくなり、黄疸が再び出現してきた。彼の最後は近い
のはなんとなく感じとれた。私が彼に「痛くないですか?」
と問いかけると彼は「座薬が効いているから大丈夫。」と答
えた。私は息子夫婦と話をした。「多分、食事も水も取れなく
なってきて、黄疸もでてきて衰弱もはっきりしてきました。
多分、ここ数日の感じがします。」「そうですか..。」
「いずれにしてもこのまま家で見ていくことでいいのですね。」
「父の気持ちを考えれば出来るだけそうしたいと思います。
もうそんなに長くないのは分かっているので兄弟にも声を
かけて何とか見ていますし、ヘルパーや訪問看護婦さんも
きてくれてますから...。」私は改めてご家族と彼が急変した
ときにどうするかの対応を打ち合わせをした。

それから2日後の午前10時頃であった。外来中の私のところに
連絡が入った。「先生、今○○さんがご自宅で呼吸が止まった
そうです...。」「分かりました。外来が終わり次第、往診に
いきますとお伝えください。」外来を12時半に終え、午後に
入る予定だった手術を他の先生にお願いし1時前に私は彼の
自宅に到着した。到着したときに彼はすでに訪問看護婦に
手伝ってもらい家族に手によってきれいにされていた。
「12時58分死亡確認といたします。ご家族の方もお疲れ様
でした。」「どうも有難うございました。昨日から少し呼吸
があえぎ様になってきて、10時位に静かに呼吸が止まりまし
た。本人はあれだけ自宅に帰りたがっていましたから良か
ったのではないかと思います。」ある3月の暖かい日であった。
 彼は3月の木漏れ日の中で、あれだけ帰りたかった自宅で
静かに息を引き取った。あれだけ嫌がった何の管につながれ
ることもなく..。家族は最後の数週間、本当に大変だった
と思う。だが家族の頑張りは彼にとって最高の贈り物になった
と思う。今日、自宅で亡くなることのできる人は本当にまれで
ある。多くの人があの個室に移されると死ぬんだよと病棟の
患者が噂をする個室にうつされて、病室の天井のしみを見な
がら、様々な点滴の管、尿の管などにつながれて息を引き取る。
74歳。彼なりの大往生であった。
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【2005/03/26 22:53】 3月の木漏れ日の中で | トラックバック(0) | コメント(2) |
3月の木漏れ日の中で(5)
 3月の初めにきた外来で彼のお腹は腹水が溜まってきており
息切れがするようになってきた。通院も大変そうだった。
 家族は心配しており入院させたがっていた。「そろそろ
通院も限界かもしれません。入院しませんか?」私は彼に
話しかけた。「入院してどうなるんだい。」彼はいった。
「どうせ寝かされたまま点滴につながれて弱るのを待つだけ
だろう?」「お父さん。とりあえずこちらも側にいて気が気
じゃないんです。先生もこういってるんだ。入院しましょう
よ。」「お前は黙ってろ!」彼は付き添っている息子を怒鳴
りつけた。私は静かに彼に言った。「息子さんも心配してい
るし、今の状態では苦しいでしょう。薬をつかえばもう少し
楽になるかもしれません。1回入院にしませんか?」
 かなり苦しいはずであるが彼は入院を拒んだ。嫌がる彼を
なんとか説得し私は彼を入院させた。溜まった腹水を穿刺排
液し利尿剤を使い、薬を飲むのは大変そうになってきたので
痛み止めあは座薬に変更した。人心地ついて彼は言った。
「先生、楽にはなった。先生には感謝しているけど俺はこの
入院は嫌なんだ。」私は言った。「それはどうしてですか?」
「病気を治すためなら治療もうけるし手術もうける。入院だ
ってするさ。だが今の状態は病気の治療をしているわけじゃ
ないよな。先生は昔のことは知らないだろうが、昔はみんな
家で死んでいったんだ。あそこの爺さん食事食べれなくなった
からそろそろかねって近所にうわさが立って葬式があがる。
皆、家で看取られていった。食事が食べれなくなったんだか
らもう寿命だよねってな。今は調子悪けりゃ、食事食べられ
なければすぐ入院、すぐ点滴さ。管につながれて自分でも
わけわからないままに体をいじくり回される。それで病気が
治るならいいさ。だけどそうじゃない。それなのに回りの
都合で俺の預かりしらないところで体をいじくり回される
のは嫌なんだ。人間、食べられなくなればそれが寿命なん
だよ。俺は70年以上好き勝手なことして生きてきた。息子たち
もしっかりやってる。思い残すことはないんだ。自分がずっと
住んだ家で過ごしたいということがそんなに悪いことなの
かね。」私は返答に困った。「お気持ちは分かりました。
一回ご家族もおよびしてお話しましょう。」

 その晩、彼は点滴を自分で抜き去り、病院を無断で離院した。
(次回に続く)
【2005/03/25 23:21】 3月の木漏れ日の中で | トラックバック(0) | コメント(0) |
3月の木漏れ日の中で(4)
 特に大きな問題もなく彼は正月を家ですごすことが出来た。
 年明け、彼は外来にやってきて言った。「やっぱり家で過
ごせるのはいいね先生。特にこれといった症状もないし、絶
好調さ。だがこれが家ですごせる最後の正月なんだろうね。
それなりに楽しかったよ...。」
 彼の言葉は正しかった。私は言った。「正月を家で過ごせて
よかったです。どれ位落ち着いている期間があるか分かりま
せんが貴重な時間です。大切にしてください...。」

 1月の末、彼は背中の痛みを訴え外来にやってきた。「先生
ここのところ急に背中が痛くなってきてたまらないんだ..。」
 腫瘍の広がりによる痛みであった。私は鎮痛に麻薬製剤を
処方した。痛みはすぐにコントロールできるようになり彼は
次の外来受診時には大分楽になったと感謝した。しかしながら
すこしずつ食欲が落ちてきた。次第にやせ衰えていくのが
目に見えてはっきりしてきた。経過と共に彼の息子夫婦は
次第に入院を彼に勧めるようになった。「お父さん。もうだ
んだん力もなくなってきて食事も食べられなくなってきたで
しょう。近くでみてて心配なんだ。入院させてもらおうよ。」
「いいや大丈夫だ。今は痛みも薬のおかげでないし、家にいて
寝てるだけでいいんだから。」「何かあったら家じゃどうし
ようもないでしょう。」「いや入院はしない。」彼の態度は
頑なで入院はしたくないようだった。外来に来るたびに息子
夫婦と彼との攻防が繰り返された。
(次回につづく)
【2005/03/24 23:30】 3月の木漏れ日の中で | トラックバック(0) | コメント(0) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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