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百合の花(8)
 手術翌日の朝、HCU(集中治療室)の彼の元を訪れた。彼は
比較的元気そうであった。腹部の創の処置を行い、胃チューブを
抜去した。私は彼に話しかけた。「Sさん。お疲れ様でした。まだ
傷痛みますよね。」胃のチューブを抜去して一息ついた彼は言った。
 「どうも先生。それほどでもないです。手術はうまくいったみ
たいですね..。」「手術は問題なくおわりましたよ。予定どおり
の手術になりました。特に問題なさそうなので予定どおり外科の
病棟に今日もどってもらうことになりますから。」「わかりました。」

 術後の経過はおおきな合併症を起こすことなく概ね順調に経過
した。術後数日で彼は病棟内を動けるようになり、排ガスもあり、
5日目には食事を再開することができた。彼女も仕事が終わった
帰りに病棟によるようで夜回診に訪れると見舞いにきているの姿
をみかけた。ある日、回診に回ったときに彼に言った。「食事も
食べられているし、排便もあるし、術後の経過も順調ですね。彼
女ともうまくいっているようですね。毎日見舞いに来られている
ようですし.....。」彼は少し沈んだ声で答えた。「そうなら
いいんですけどね。今後の病気や仕事のこともあるし...。なか
なかこの状況だと仕事もバリバリというわけにもいかないでし
ょう。収入や将来のことを考えると不安ですね...。向こうの
ご両親のお考えもあるので僕と彼女の気持ちだけで事を進める
ということもできないですから....。でも一々、気に病んでても
仕方がないですから...。」「そうですか.....。でもまず早く良く
なってもらわないと始まらないですから....。落ち着いたところ
で今後の治療方針についても相談したいとは考えておりますので。」
彼は言った。「分かりました。有難う先生。まあ宜しくお願い
します.....。」

(次回につづく)
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