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ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。

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百合の花(11)
 血液検査を行い、問題がないことを確認し治療を開始した。
 投薬を開始してしばらく軽度のけだるさと食欲の低下は
あったが、耐え難いものではなく退院するのに問題がない
ことを確認し投薬を始めて1週間程度で退院とした。この間
彼女は毎日見舞いにきていた。大切な時期での困難に対して
彼らは前向きに立ち向かっているように見えた。大きなトラ
ブルもなく予定通りの退院となった時、彼らは、百合の花を
看護婦詰所にもってきた。「どうも先生有難うございました。
これ彼女が好きな花なんです。お世話になったので病棟に
飾ってください。おかげでなんとか無事に退院となりまし
た。今後もいろいろ宜しくお願いします。」「どうもご苦
労さまでした。お花、素敵ですね。今後も大変だと思いま
すがこちらも出来る限りやらせていただきますので...。」
 退院の挨拶の後、彼は彼のご両親と彼女に付き添われて
家へ帰っていった。

 2週間後に彼は定期の予約受診日にやってきた。受診の
前に投薬の継続が可能か確認するために採血で血球の減少
がないかどうかと確認する。彼の採血の結果は特に問題
なく血球の減少は認められなかった。これなら問題なく
治療を継続できるなと私は考えながら彼を病室に呼び入
れた。
「どうも今日は。ご苦労さまです。この間で変わった
ことはないですか?」彼は言った。「特にかわったこと
はないです。手術後も順調ですね。食事も食べられてま
すし、排便も排ガスも順調です。痛いところもないですね。」
「わかりました。それでは腹部を診察したいのでベットの上
で横になっていただけますか?」「わかりました。」
 腹部所見を確認する。腸音も問題なく圧痛も認めない。
「大丈夫そうですね。」私は言った。彼に椅子に戻って
もらった後、私は言った。「採血のデータ上、血球の減少
は認められないので投薬の継続には問題はなさそうです。」
「よかったです。」「引き続き薬を処方させていただきます
ので...。次回受診は休薬後の3週間後でいいですよ。」
「わかりました。」「どうですかその後、仕事の方は?」
「専門性のある部署なので首にはならないで済んでます
けど、まだ完全に復調というわけにはいかないですね。
でもぼちぼちやっています。」「そうですか....。その後
結婚の方は話は進みそうなんですか?」私は特に悪気も
なく自然に彼に聞いたつもりだった。だが彼の返事はそ
の質問をした事を私に後悔させた。彼は静かに答えた。
「彼女とは別れました....。」

(次回につづく)

 昨日は手術後に別の癌の終末期の患者さんが亡くなったり
でバタバタして家に帰ったときには日付が変わってしまい
更新できませんでした。明日も日当直でブログお休みになり
ます。月曜日も大きな手述があるのでかなりきついとは思い
ますが、12時に間に合えば更新しようと思っています。
 ここのところ仕事が立て込んでいてなかなか自宅のパソコン
の前に座る時間がとれなくなってきていますが、なんとか
このブログは続けたいと思っていますので、更新が一時的に
途絶えても引き続き暖かく見守っていただければ幸いです。
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