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百合の花(12)
 私は一瞬、しまったと思った。 「これは余計なことを...。
どうもすみません。」 だが、彼は穏やかに言った。「いいん
です。自分の中でも病気になってから考えていたことでは
あるんで....。私から言ったんです。彼女は怒ってました
けど...。正直、今の自分の状況を考えると彼女を幸せに
できる自信もないし、彼女の情に頼って一緒にいてもかえって
辛いような気もしましてね....。いずれにしても2年は結婚
待ったほうがいいだろうし、その間彼女を縛り付けるのも
気が引けますしね....。彼女は一緒に苦難を乗り越えればいい
といってくれましたけど、病気のことは先はわからないし
本当に彼女の事が大切だから、彼女の悲しむ顔をみるのが
辛いから今は別れたいと告げたんです.....。」彼は特に
感情的になることもなく淡々と話した。「とりあえず、化学
療法2年が無事に終わるまで一旦別れよう。その間、君が
いい人に出会えるのならそれでいい。2年経って、もし
まだいい相手がいなくて、自分の事を愛してくれることが
できるということならまた一緒になろうって言ったんです。」
「そうですか....。」「馬鹿!大事なことを勝手に自分で決め
ないで!一体、私のことをなんだと思っているの!って
散々言われました.....。自分の気持ちをなんとか説明しよう
としたんですが最後は喧嘩になってしまって...。勝手に
すればいいわ!貴方のことなんてしらないからっ!て言わ
れて、それっきりになってしまって....。ちょっと円満な
形ではなかったけど彼女にとってはこれでよかったんじゃ
ないかって自分では納得しています。まあ、もう少し彼女
を傷つけないできちっと話し合えればよかったんですけど
.....。」しばらくの間、沈黙が流れた。
 私は言った。「色々大変でしょうが、病気に対しての治療
は続けていきましょう.....。余計なことかもしれないと
は思いますが、なにも別れなくてもよかったのではないで
すか?そんなに頑なに考えなくても....。これから病気と
付き合っていくのは長丁場ですから....。彼女と一緒に
いて悪いことはないと思いますよ....。一度は夫婦になる
ことを決めた仲なのですし、結婚は待つとしても結論を
急ぐ理由はないと思うんですが......。」彼は言った。
「先生、お気遣い有難うございます。でももう過ぎたこと
ですから.....。」彼はあくまでも冷静に受け答えをした。
 彼なりの彼女に対する精一杯の愛の形であったのだろう
が少し寂しい感じを覚えた。

(次回につづく)

 昨日は日当直でお休みいただきました。今日の手術も
まずまず問題なく終了して少し安堵しています。今日は
国会が大変なことになっているようですね....。
 今後とも宜しくお願いいたします。
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