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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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雪中花(48)
 彼女は体力的にも大分快復してきた。本人が想像してい
たより副作用もひどいものはなかったことから少しずつ
仕事に復帰して会社にも顔をだすようになった。「いつまで
生きていられるか分からないし、あまりがっちりやりすぎる
と出来なくなったときに穴あけて周りに迷惑かけるので加減
してますけどね。ただ家でぶらぶらしていてもね。夫も一生
懸命やってくれてるし、少しは助けてやらないと。昔から
の取引先との仕事の交渉くらいにしてます。いつでも調子
悪くなっても他の人に任せられるように引継ぎできるよう
にしてね。そうしないと私のわがままになってしまうので
ね…..。」彼女は外来でそう言って調子が戻ってきたことを
素直に喜んでいた。だが落ち着いていたのは数ヶ月であ
った。

その後も私は彼女にFOLFIRIを継続しつづけた。腫瘍
マーカーの上昇は認められないまま経過したが、ときどき
お腹が張って苦しくなるようになってきた。手術して8ヶ
月経ったある日の定期の外来に彼女はやってきた。
 彼女はつらそうな表情を浮かべて言った。「先生、ここの
ところ本当に調子悪くって…..。お腹が張ってしまって
苦しくって仕方ないんです。ここ2、3日は食べられなく
って….。食べると吐いてしまう状態で…….。」普段は多少
の苦痛でも大丈夫と私にはいう彼女が診察室に入ってすぐ
に苦痛を訴えるというのは相当の事であった。彼女をベット
に横にして腹部の診察を行う。腹部は膨満していたが柔らか
かった。腸閉塞か、腹水の貯留か…..。「かなりお腹が張って
いますね、ガスと便は出ていますか?」私は彼女のお腹を診察
しながら彼女に尋ねた。「昨日からはおならも出ません。便も
2日前からでていません。」「腸閉塞かもしれません。採血と
お腹のレントゲン写真をとらせてください。いずれにしても
今の状況では食事も食べられないでしょうし、今日は入院
にさせていただいた方がいいと思います。」彼女は言った。
「そうですよね……。先生またすいませんけどよろしくお願い
します……。」

(次回につづく)

 いよいよ大晦日ですね。今年は独りで静かな年越しです。
コンビニで惣菜と酎ハイ買ってきました。少し一人では
広すぎる部屋でちびちびやりながら年越ししようと思って
います。独身時代は優先的に年末年始の当直やって病院で
年越しすることが多かったですし、結婚してからはなんとか
家族と年越ししていたのでなんとなく不思議な感じです。
幸いにも入院中の患者さんは落ち着いているので今日は
安心してのんびりしています。
こうしているときにも病院では新しい命が生まれ、別の
所では旅立っているかもしれないと思うと不思議な気がし
ます。振り返ってみると1年があっという間に経ってしま
いました。皆さんにとってどんな1年でしたか?皆様の
おかげでここまでこのブログをつづけることができました。
 来年もよろしくお願いします。皆様よいお年をお迎えくだ
さい。重ねて皆様、今年は本当に有難うございました。
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【2005/12/31 21:19】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(47)
 彼女は退院後に外来に来ながら採血を行い、2週間ごとに
点滴のために2泊3日間入院する形で治療をつづけた。(5FU
が48時間点滴持続投与のため入院での投与が必要のため。)
幸い彼女に治療に伴う大きな副作用は出現することはなく、
注射して数日は食欲不振と悪心があったが耐えられないほど
のものではなかったし、骨髄抑制に伴う血球減少も許容できる
範囲のものであったため中断することなく治療を継続すること
ができた。腫瘍マーカーの値も次第に低下してきていたこと
が治療の効果があることを証明していた。治療を開始して3ヶ月
経ち、第6クール目が終了したときにとったCTでも肝臓の
転移巣は大分縮小してきていた。外来に来た彼女に私は言った。
「Yさん。前回採血させていただいた結果ですが、腫瘍マーカー
は今までと同様に術後より低下してきていますし、今回とった
CTの所見でも肝臓の転移巣が小さくなってきています。今の
治療がうまくいっているといえると思います。効果は充分認め
られていますし、副作用もそんなにひどくない状態ですから、
このまま治療をつづけたいと思います。」彼女は言った。「そう
ですかそれは良かったです。なんとかもう少し生きられそうで
すか。」「決して楽観できる状態ではないですけどいい兆候だと
思います。どれくらいの期間、この治療で癌を押さえつけられ
るかはまだわかりませんが病気の進展を食い止められるうち
はまだ希望がもてますから。」「この治療はやはりずっと続ける
のですね。」「ええ、最初に申し上げたとおり、現在のところ
癌を完全に治癒させることのできる薬は存在しません。結局
ある程度寿命を延ばすことはできても完全に癌を体から消失
させることができる薬はないのです。もしそのような薬があ
れば手術などどいう危険な治療をしようという医者はいなく
なるでしょう。」「つまり半永久的にこの治療を続けるわけで
すね。」「残念ながらその通りです。」彼女は溜息をついて言
った。「まあ治療をやめるわけにもいかないですものね。さす
がにここまできて髪の毛が大分抜けるようになってきました。
そろそろかつらをつくらないといけませんね。でも治療がう
まくいっているのならよかった……..。」彼女は静かに微笑んで
つぶやいた。

(次回につづく)
 昨日は病院も仕事納めでした。残った仕事をかたづけて帰り
遅くなってしまいました。今日は妻と子供達を妻の実家に送
って帰ってきました。片道4時間の車の運転で数時間滞在して
とんぼ返りです。とりあえず事故なくもどってこれて安心して
います。いよいよ暮れになってきて皆さんもお忙しいことと
思います。当直のときにインフルエンザもパラパラでてきてい
ました。皆さんもお体大切にしてくださいね。
【2005/12/30 22:45】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(4) |
雪中花(46)
「今のところ幸いにもこれといった問題は生じていない
のでこのまま2週間おきに抗癌剤の治療を行っていただく
ためにに3日ほど入院していただき治療を繰り返して続け
たいと思います。治療の効果は定期的な腫瘍マーカーの
測定とCTでの転移巣の有無の検索にて行います。」彼女
は言った。「先生、それでこの治療はどれくらい行うこと
になりますか?」私は言った。「正直に申し上げて抗癌剤
でこの病気を完全になおすことはできません。進行を遅ら
せることにはなると思いますが…….。できるかぎり続ける
ということになると思います。」「私が死ぬか、副作用で
治療が続けられなくなるまでということかしら……。」
 彼女の夫が言った。「おまえ、何てこというんだ…..。」
 賢い人である。彼女の言葉は間違ってはいない。私は
少し黙ってから言った。「それは極端な言い方ですね。
まず病状に応じて検討することになると思います。
 今のところでは一番効果は期待できるとは思います。
(注:まだエルプラットが出る前の話)たしかにこの
治療が継続できないとなると状況は厳しくなると思います
が…..。」彼女は言った。「ごめんなさいね、先生。困らせる
ような言い方をしてしまったわ。」「それはいいですよ。
いずれにしても大きな副作用がなければ2週間で1クール
でこれを繰り返していきます。薬の投与の前には採血検査
を行い、骨髄抑制などがないのを確認してから薬の投与
を行います。薬がうまく効いてくれるといいのですが。」
「大丈夫よ先生。きっと治療はうまくいくわ。何も心配
してませんから。治療してもよくならないものはよくな
らないし、うまくいくときはうまくいくのですから。
いずれにしてもやるだけのことはやってもらって、あと
は自分の体が良くなるのを期待するしかないんですから。
 なんとか2回やって、治療はがんばれそうだし、もう
腰をすえてしっかり治療しますよ。」彼女は自分の運命を
受け止めているようであった。彼女の態度に私はすがすが
しいものを感じていた。

(次回につづく)

 明日は今年最後の当直でブログはお休みです。できれば大きな
ことがなければいいのですが…..。年末は奥さんは子供を連れて
実家に帰る予定で、元旦、2日は外科の拘束番(当直の先生が外科
適応患者さんの対応の際にヘルプとして呼ぶ担当)になっているの
で病院から遠くにはいけませんので今年の年越しは独りになりそ
うです…..。
【2005/12/27 22:26】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(45)
 彼女の化学療法が始まった。腹膜播種はあり、いつ腹水
が溜まり始めても腸閉塞状態になってもおかしくない状態
であった。抗癌剤でこれらの症状が発症するのが少しでも
遅らすことができればという願いのもとFOLFIRI(イリノ
テカン、5FU、アイソボリン 3剤併用療法)を開始した。
 最初の投与の時は事前に様々な副作用の可能性について
お話したこともあり彼女も不安そうに見えた。しかしながら
投与後、3~4日くらい食欲が低下することはあったがその
ほかは大きな副作用は認めずに経過した。食欲も日ごとに
回復し、不安そうな表情も消えていった。抗がん剤での治療
が思ったよりはしんどくなかったことが彼女を安心させた。
骨髄抑制による血球の減少が治療に差し支えないものであ
ることを採血検査で確認して第2クールの投与を最初の投与
から2週間おいて行った。第2クールの投与後に大きな問題
が起きないことを確認し、外来での治療継続が可能であると
判断して退院方向となった。退院前に私は御家族をお呼び
して今後の方針についてお話しすることにした。
 私は病状説明の日時を設定し、御家族をお呼びした。
 面談室に彼女とご家族を入れて私は話始めた。
「どうもお疲れさまです。奥様の病状について説明されて
いただきます。抗癌剤の治療を始める前にもお話させて
いただいたように手術所見では術前に指摘された肝臓の
転移だけでなくお腹全体に癌がばら撒かれた腹膜播種と
いう状態になっていました。これを放置しておくといずれ
これらの病巣から水が染み出して腹水が溜まったり、腸管
に浸潤したりすると腸閉塞の原因になったりします。
 そのようなことになるのを防ぐために今回の抗癌剤の
治療を開始したわけです………..。」
 彼女と彼女の夫は説明用紙に私が話しながら描く図に
見入って話しを聞いていた。

(次回につづく)
【2005/12/26 23:42】 雪中花 | トラックバック(1) | コメント(0) |
雪中花(44)
 帰りの車の中で彼はぼんやりと外を眺めていた。
 長男が彼に話しかける。「なあ親父、本当に話して
よかったんだろうか?」彼は少し黙ってから言った。
「うん。母さんだって自分の病気の事知りたかったと
思うんだ。母さんだって馬鹿じゃない。先生は言葉を
濁していたけど自分が助からないだろうってことは
うすうすはわかっていたんだと思うし…..。それに
やっぱり話してもらいたかったんだと思う。」「でも
もう自分が死ぬかもしれないなんていわれたらたま
らないと思うけど…….。」「平気なわけないさ。
 俺だって母さんが死んでしまうかもしれないなん
て考えたくもないし、信じたくないさ。何度
医者の誤診だったらいいと思ったことか…….。
母さんだってそんなこと考えたくないって思って
ると思う。」「だったらなんで?」「母さんはもう覚悟
ができているんだよ。強い人なんだ。ともかく今を
大事にしたいって考えているんだ。その彼女がどうし
ても知りたいって聞いてきたんだ。つらいことだけど
しっかりと現実を知りたい。限られた時間ならなお
さら知りたいってことなんだと思う。俺だって信じ
たくない事なのにどうして母さんに知らせたいと思う?
 俺だって嫌だった。つらかったさ。だけどずっと
連添ってきた母さんがこの俺に答えてくれると思って
聞いてくれたんだ。どんなにつらい現実でも答えなく
ちゃならなかったんだ。伝えたことは間違ってないと
俺は信じてる。母さんもこの厳しい現実を俺らと共有
したかったのかもしれない……。」「そうか……..。」
 そう答えて長男は黙った。

(次回につづく)
【2005/12/25 21:31】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(3) |
雪中花(43)
 彼はふっと溜息をついて言った。「正直いってかなり
厳しいってことだった。今回の手術で腹膜播種とかって
いってお腹中に癌細胞がばらまかれている状態で、それが
大きくなると腸が閉塞したり、おなかに水がたまるような
ことがおこるらしい。先生は手術のあと下手をすると食事
が食べられない状態でそのまま衰弱してしまう可能性も
あるかもっていってた。ともかくそれ位病気がすすんで
いったってことだった。だから手術後の経過としては
まずまずということらしい。それでお前が知りたがって
いる今後のことなんだけど……..。」彼女は夫をじっと
見つめていた。「肝臓への転移も結構すすんでいて、状況
としては数ヶ月。いやもっと早いかもしれないってこ
とだった。」3人はしばらく沈黙していた。重苦
しい空気が流れた。「そう。それは抗癌剤をつかっても
そんなには長生きはできないってことなのね。」彼は
言った。「それはなんとも言えないみたいなんだ。非常
によく薬がきく人もいるらしい。それで結構長くもつ
こともあるようなんだ。もちろん病気の進行を遅らせる
のが精一杯で完全に治すことはできないらしい。」彼女
は彼に静かに微笑んで言った。「わかったわ。あなた。
大体私が想像していたのに大分近い感じはするわ。
教えてくれて有難う。」彼は言った。「お前、大丈夫か?」
「大丈夫ではないけど仕方ないことだと思うわ。悲しん
だり落ち込んだりして病気がよくなるならいくらでも
そうするけど何も変わらないでしょう。どうせじたばた
したって限られた時間なら落ち込んですごすより楽しん
で過ごした方がいいにきまっているわ。怖くないって
いったら嘘にはなるけど…….。いまのところ動けるし
痛みもないし食事もとれていてあなたともこうして
話すことができるのよ。数ヶ月の間にそれができなく
なるなんてにわかには信じられないけど…..。」「それ
は俺だってそうだ。お前がいなくなるなんて想像も
つかないよ…..。おれがもっとしっかりしていれば
こんなことにはならなかったのに…..。」「もうそれは
いわないで頂戴。そういう時のめぐり合わせもあ
るわ。私も目の前のことをこなすので精一杯だった
の。自分のことなんかかまってられないってそのとき
は思ってた。でもそのときはそのときで一番と思う
ことを選択してきたんだから後悔したって仕方が
ないとおもうわ。あなたが生きてたってことがわ
かった時は本当に嬉しかった。会社が不渡り出し
かけたところをなんとか食い止めて軌道にのせら
れたときも嬉しかった。あなたとだからあれだけの
困難を乗り越えてこれたのよ。つらかったけど
楽しかった。またあそこにもどることができない
かもしれないのは残念だけど、一生懸命やってきた
ことを後悔はしていないわ。これからどれだけや
れるかはわからないけどもう少し頑張ってみるから
………。」夫は妻を黙ったまま見つめ、長男は少し
小刻みに肩をふるわせながら床に視点を落としていた。

(次回につづく)

 今晩はクリスマスイブですね。みなさんはいかが
お過ごしでしょうか。南関東以外ではどこも大雪で
大変そうですが.....。
【2005/12/24 23:26】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(42)
 話が終わったあと彼女達は病棟の面談室に向かった。長男が
飲み物を買ってきた。夫は椅子に座ると彼女に言った。
「大丈夫か。」彼女は答えた。「手術の前から厳しいことはわか
っていたし、覚悟はできていたけど。でも全く大丈夫ってわけ
はないわ。正直、少しショックね。」彼は言った。「すまない。
俺がもっとしっかりお前のことを気にしていればこんな病気が
すすむこともなかったのに…..。」「なにいってるのよ。調子が
わるかったのを隠していたのは私の方だし、済んだことを色々
考えたってしょうがないじゃない。やるだけのことはやらない
と……。」「ああ。」「ねえあなた。先生、私どれくらい生きられる
っていってた?」「えっ?」彼の表情がこわばった。「何をい
ってるんだ一体?」「先生も言葉を濁していたからあえて聞か
なかったけど、あなたには説明してるでしょう?一応の目安
は知っておきたいのよ。」彼は長男の方をみた。長男は言った。
「おふくろ、なに言ってるんだよ。先生だってしっかり治療
しようっていってたじゃないか。」彼女は言った。「いいかしら。
私の体には病気がほとんどそのまま残っている状態なのよ。
出血の原因になる部位を取り除いてもらっただけ。あとは
抗癌剤がどれ位効くかってことでしょう。素人が考えたって
癌が治るとは思えないわ。実際先生だって病気を治すこと
は困難だっていってたじゃない。病気の進行をどれだけ押さえ
られるかですって。私にとっても大事なことだと思うの。」
「おふくろいい加減にしろよ。親父だってそんな事いわれ
たって困るに決まっているじゃないか。」彼は妻を見つめて
考えていた。結婚して30数年。つらいときも悲しいときも
いっしょに歩んできた。自分の勝手な行動のために多大な
負担をかけ、困難を強いてしまったのに病気を隠してまで
問題を解決してくれた。彼を責めることもなく黙々と…..。
「あなた。水仙はね寒い雪の中で美しい花を咲かせるの。
つらくて困難な時期なのにそれに負けないでね。どんなに
つらい時もくじけちゃいけないと思うの。その困難を乗り
越えたときに得られるものは大きいと思うわ。それを思
い出させてくれるこの花が私とても好きなの。別名雪中
花っていうのよ…..。」彼女が手術室に入る前に病室で
飾られた花を見ながら彼に言った言葉が頭をよぎった。
彼女は自分の困難な状態を知っていてそれに立ち向か
おうとしているのだ。その彼女が彼に問いかけているの
である。彼女にとって非常に重要な情報を教えてくれと彼
に頼んでいるのだ。彼は思った。俺が彼女に伝えなくてど
うするのだ。彼女の真剣な願いに向かい合わなくてはなら
ない。それがこの情けない男が彼女にできるせめてもの
償いではないか…….。彼は長男に言った。「なあ、母さん
がどうしても知りたいっていうんだ。俺はちゃんと母さん
に話すべきだと思う。」「親父……。」長男は驚いた顔で父親
を見た。

(次回につづく)
【2005/12/23 22:24】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(41)
 「今回行おうという治療は大腸がんに比較的効果のある
5-FU、アイソボリンにイリノイテカンという薬をつかう
方法で考えています。注射の投与を3日間行い、2週間
ごとに薬の投与を行おうと考えています。(エルプラット
はまだ認可されていない時であった。所謂FOLFIRI
レジメン)今のところはこれが一番効果ありそうです
から…..。それでも完全に奥様の癌を消滅させるのは
困難だと思います。」彼女は言った。「私には何がいいの
かわからないですから…….。それが先生の考える一番の
方法だということならやってください。」私は答えた。
「そうですか……。わかりました。薬の投与は明日採血
をして問題なければあさってから開始したいと考えて
います。薬の副作用としてはまず、食指不振、吐き気
下痢などの自覚症状があります。薬の投与前に吐き気
を抑えるための薬を投与して吐き気や嘔吐は防御しま
す。あとは主な副作用としては骨髄抑制があります。
 我々の血液の中の血球は骨髄という骨の髄で作ら
れています。主には胸骨と腸骨という胸と腰の骨の
骨髄で作られていますが、ここの活動が抑えられて
血球が減少してしますのです。免疫をつかさどる
白血球が減少すると感染に対しての抵抗力が低下
して重症感染症を起こす場合があります。また赤血球
が減ると貧血になり、全身のだるさや息切れなど
が出現します。血をとめる血小板が減ると血が止まり
にくくなります。これらの血球の異常な減少があった
場合は治療を中止しなくてはいけない場合もあります。」
 私は化学療法の副作用につき一通り説明を行い、ご本人
とご家族の承諾を得て、抗癌剤と治療を行うこととした。
 私は言った。「なんとか治療がうまくいくことを心から
願っていますが…..。」彼女は言った。「先生。なるように
しかならないですから….。うまくいけばいいですし、駄目
ならそのときはそのときですよ。ともかくお任せしますか
ら,,,,,。宜しくお願いします。」彼女の夫も言った。
「先生よろしくお願いします。」

(次回につづく)
【2005/12/22 23:52】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(40)
「術後の経過はまずまずの経過でした。食事も摂取でき
るようになってきていますし、いい感じだと思います。
 問題は手術時の所見なのですが、S状結腸の癌はとって
きたのですが、腹膜播種といって癌細胞が腸の壁を食い
破ってお腹の中にばら撒かれている所見が認められまし
た。この状態では手術で癌をとりきることはできないの
です。肝臓の腫瘍に対して動注を行っても播種があるので
は治療としては不完全なものとなると考えられ、肝臓
の腫瘍もそのまま残しています。」私は紙に図を描きな
がら説明した。彼女は少し黙り込んでから言った。「先生。
それでは私のお腹の中にはまだ病気がそのまま残って
いるってことですよね…..。」私は言った。「そうです。」
「それでこれから私はどうなるのでしょうか?」私は
彼女の顔色を伺いながら答えた。「今後、抗癌剤の治療
を行っていくことになります。それでどれだけ病気が
おさえられるかということになると思います。わかって
いただきたいのは抗癌剤はあくまでも病気の進行を遅ら
せることはできますが完全に病気を治す薬ではありま
せん。抗癌剤では病気を治すことはできないのです。」
「どれだけ病気を抑えられるかということですか….。
それで病気がすすむとどんな症状がでてくる可能性
があるのですか?」「それはなんとも言えません。腹膜
播種がコントロールできなければ腹水が溜まったり
小腸が播種に食われて腸閉塞を起こす可能性があります。
 肝臓の腫瘍もあるので、肝不全から黄疸が出現する
可能性もあります。いずれにしてもそんなに楽観できる
状態ではないということです。」彼女はふーっと溜息を
ついて言った。「そうですか。わかりました。つくづく
ついてないって感じですね。とりあえず手術は乗り切
ったわけだし、やることやるしかないでしょうね…..。」
 彼女の夫は言った。「とりあえずお前にも病気頑張
って治してもらわないとな。治療はきちんとうけてな。」
 彼女は少し黙ってから言った。「あなた。治療うけ
ても私は治ることはないのよ……。」御長男は黙って
話をききながら頭をたれ床をじっと見つめていた。

(次回につづく)

 明日は当直につきブログ更新はお休みします。
【2005/12/20 23:19】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(39)
 昨日は夜間呼び出しがあってそのまま帰れなくなり
更新できませんでした。どうもすいませんでした。

 彼女の術後の経過は比較的順調なものであった。
 術後数日で排ガスもあり、腹部の所見やドレーンの
性状も問題なく食事も少しづつ始めて摂取できるよう
になった。彼女も、術後の経過が順調であることから
今後に期待をもてるのではないかと考えているようだ
った。彼女の夫とご長男も毎日のように彼女の元を
訪れ、彼女の状態が日々良くなっていることから安心
しているようだった。腹膜播種はあったものの、今の
ところまだ腹水の貯留もなく、恐れていた腸閉塞の
症状も出現もなかった。術後の状態がおちつけば癌
自体は体の中に残っているのであるから抗癌剤の治療
は行わなくてはならないと考えていた。実際に術後
の腫瘍マーカーの値は術前とほとんど変わらない状態
であった。そのことを話さなくてはならない。だが
その治療のことをお話するのであれば、当然今後
予想される厳しい現実について本人とご家族に納得
していただかなくてはならない。手術を乗り越えて
一安心し、将来につき希望を持ち始めている相手に
対し、そのことを話すのはなんとも気の重たいもの
である。中には頑なにそのことを理解しようとせず
話がかみ合わなくなってしまう人もいる。(理解した
くないという心理的な防御反応が働くのであろう。)
 私は多分彼女もご家族も状況の充分な理解力はあ
るだろうと思っていた。だがつらい手術を乗り越えて
きたのに先の見えない治療を続けなくてはならない
というのを宣告するのはやはりいやなものであった。
 手術を行って10日ほどが経過し、彼女の食事の摂
取量が安定してきたころ私は彼女とご家族をお呼びし
病状につきお話することにした。彼女の夫の仕事の
関係もあり、ある日の夜の時間に病状説明の時間を
設定した。私は彼女と彼女のご家族を面談室に通し
病状についての説明をはじめた。
「どうも今日はお忙しいところ時間を割いていただい
て有難うございます。さっそく奥様の病状について
なのですが…….。」

(次回につづく)
【2005/12/19 23:32】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(38)
 彼は仕事の合間をぬって、彼女のところに連日見舞いに
きていた。実際、自分が入院していたときも彼女が見舞い
にきていたし、自身やはりできるだけ妻に付き添いたか
った。それが彼女の病状の軽減につながるわけでないこと
はわかっていたがそうしなくてはならないという思いが
強かった。術後、3,4日後のある日、彼は彼女の病室に
見舞いにきた。さいわいにも大きな合併症もなく経過して
いた彼女はベットで休んでいた。彼は彼女に声をかけた。
「よお。どうだい、調子は。」彼女は彼を見ていった。
「なんとか大丈夫よ。痛みも落ち着いてきたし、今日は
少し看護婦さんに助けてもらって歩いてみたわ。」「そうか。」
「どう。会社の方は。皆に迷惑かけてしまったけど…..。」
 今更ながら会社のことを心配する妻に彼は言った。「会社
のことなんかどうでもよいよ。お前は早くよくなることだけ
考えていればいいんだから…..。まあでもなんとかうまく
やっているよ。Uさんの会社との提携も軌道に乗り始めた
し、細々とした仕事は入ってきているから。お前ががんばって
くれたからなんとかなったんだ。お前のためにも会社は皆
でなんとかするから余計な心配はしないでいいんだよ。」
 彼女は笑っていった。「そう。うまくいっているなら
良かった。私も早くもどることができればいいんだけど….。」
 彼は思った。多分それは無理だろう……。「そうだな
戻ってくれれば助かるけど、まずは体をなんとかしないと
いけないからな。まあ治療に専念してくれ。前の俺の入院
のお返しだと思ってな。」彼女は言った。「はいはいわかり
ました。とりあえずあなたにお任せするわ……。」彼はこう
して彼女と話ができる時間も限られた時間かもしれないと
思うと不思議な気持ちがした。とても信じられないし
信じたくもなかった。医者の誤診ならいいのに……..。
 そんなわけがないのは彼自身が一番わかっていた。
 あの手術後に見せられた切除された腫瘍が状況を如実
に物語っていた。わかってはいるんだが、信じたくない
なんとか病気がなおらないのか……..。
彼は言った。「なあ、早く元気になってくれよな……
….。皆待ってるから……。」彼女は言った。「もちろんよ。
私も頑張るから……。」

(次回につづく)
【2005/12/17 21:10】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(37)
 手術の翌日の朝、私は彼女のところに回診に行った。
 温度板と朝の採血のデータを確認する。特に大きな問題
はなさそうであった。
 ICUの彼女のベットに行き彼女に声をかける。「Yさん。
お早うございます。どうですか調子は。」彼女は答えた。
「なんとか大丈夫です。体をうごかすと痛いですけどじっと
している分には大丈夫です。」意識はしっかりしているし
血圧や脈拍なども問題なさそうであった。尿量も術後充分
にでている。大きな問題はなさそうだった。「そうですか。
それでは手術の創をみさせていただきますので….。」私は
彼女の腹帯をはずしドレーン創のガーゼを換えた。その
あと聴診器でお腹の音を聞いた。「まだ腸の音は弱いです
けど大丈夫そうですね。鼻の管もほとんど排出がないので
抜いてしまいますから。」私はそう言って彼女の胃チューブ
を抜去した。「これで少し楽になると思いますので。大きな
問題はなさそうなので今日は外科の病棟に移れると思い
ます。」彼女は答えた。「そうですか。よかった。」「痛みと
熱は数日はつづくと思いますが段々落ち着いてくると
思いますので。」「わかりました。それで、先生、手術は
どうだったんですか。」私は静かに答えた。「S状結腸の
腫瘍はとってきました。でも腫瘍の周りにのリンパ節
や腹膜にも病気が広がっていました。肝臓だけなら
ポートを置くこともかんがえたのですが….。病気に関して
はなんらかの追加の治療が必要になると思います…..。
 でもYさん。まずは手術から回復してもらわないと
いけません。落ち着いたところで説明させていただきます
ので…..。」彼女は静かに目を閉じて言った。「そうですか。
わかりました。先生有難う。」私は軽く会釈し、彼女の
ベットから離れた。

(次回につづく)
【2005/12/16 23:35】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(36)
 「どうも今日はお疲れ様でした。今、ご本人は麻酔を覚まし
から集中治療室に入る予定です。何事もなければ明日に外科の
病棟に移りますので。なにかありましたら連絡いたします。」
 「わかりました。どうもありがとうございました。」彼と
長男は頭を下げて面談室を退出した。

 「親父。大丈夫か?」帰りの車の中で長男が彼に声をかけた。
「ああ。」彼はぼんやりと窓の外を見ていた。「お袋、結構
大変そうだな。親父にもずっと病気のこと隠してたみたいだし
な……。」「ああ……。母さんも気を遣いすぎなんだよ。なん
でも背負い込んでしまってさ。俺も母さんに甘えすぎていたん
だと思う…..。それにしても予想外に病気が進んでいて……。
にわかにはどうしていいかわからないな…..。」「とりあえずは
会社の方は大丈夫なのかい。」「今の社員もがんばってくれて
いるから、なんとか仕事も回ってきているし….。社員達は
あいつが元気になって仕事に復帰したら今まで苦労させた分
安心させてやらないとっていってるよ。なるべく社長も専務
に付き添えとさ。まあ余剰人員をかかえられるほどうちも
余裕はないので俺も少しは仕事しないといけないんだがね。」
「そうか……。」「でも下手をすると食事摂取できなくて
家に帰れない可能性もあるっていわれると…..。なんだか信じ
られないよ……。ずっと側にいたはずなのに。仕事もしていた
はずなのに全然俺は気がつかなかったんだから……。」「話を
きくと親父が入院していたときも下血していたっていうん
だから…..。」「あいつそんなことおくびにも出さなかった。
人に気ばかり遣いやがって、本当に馬鹿。大馬鹿だよ。
それに気づかなかった俺はもっとどうしようもない馬鹿
だがな…….。」「まあ、親父も入院していたんだしそうそう
は相談できなかったと思うよ。会社の事もあってなかなか
病院にいくわけにもいかなかっただろうし。お袋がもしも
入院なんかしちゃったら会社はストップしてしまう状態
だったんだから。」「わかってるさ。だからこそ俺は自分が
情けないんだ。そんなことになったのは俺が馬鹿なことを
やってあいつを追い詰めてしまったからだ。これでもう手
遅れなんてことなら、あいつは俺が殺してしまったも同然
じゃないか…..。」「親父。それはちがうと思うぜ。少し
落ち着けよ。それにそんな事いってたってお袋の病気が
よくなるわけでもないだろう。とりあえずは今やれること
やるしかないんだから…..。」「ああ。そうだな…….。」
彼は少し感情を押し殺した声で答えて黙り込んだ。

(次回につづく)
【2005/12/14 23:54】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(35)
 とにかく手術は終わった。S状結腸の癌を切除したが
周囲のリンパ節、肝転移、腹膜播種に関しては今後の化学
療法に委ねるしかない。閉腹し手術を終え、私はご家族を
手術室の脇の面談室に呼んだ。彼女の夫とご長男がやや不
安げな面持ちで面談室に入ってきた。私は話を切り出した。
 「どうも今日はご苦労様でした。手術は無事に終了しま
した。それで状況なのですが、病気は思ったより進行して
いる状態だったんです。」私は面談室の白版に水性マジック
で図を描きながら説明を始めた。「まずS状結腸の腫瘍が
ありましてこの周りのリンパ節は累々と腫大していてリン
パ節転移がかなり広範に認められました。肝臓も術前の説
明どおり両葉にまたがって転移巣が認められています。
 そして一番問題なのが骨盤の後腹膜が主でおなかの中に
腹膜播種が認められたのです。」彼女の夫がつぶやいた。
「腹膜播種ですか?」「ええ、細かい粒のような腫瘍が
多数お腹の中に認められました。癌細胞が腸管の壁を破
ってお腹の中にばら撒かれた状態です。この状態に対して
手術で癌を全部取りきるというのは不可能なのです。
 ただS状結腸の癌は腸管内を閉塞してしまいそうな
状態ですし、ここから出血して貧血になったという経緯
がありますからS状結腸の腫瘍だけは切除してきまし
た。これが切除した標本です。」私は切除したS状結腸
の標本を入れた容器を机の上に置いた。切除後に腸管を
開き内腔を表側にして噴火口のようにごつごつした
汚い腫瘍を家族に見せた。「すごい……。」御長男はうなる
様につぶやいた。私は続けた。「切除したところの腸管
をつないでつないだ側にドレーンという管を入れて手術
を終えています。術中に大きなトラブルはありません
でした。まずは術後の状態から回復してもらうことが
一番肝心ですが、癌がお腹の中に残ってしまっている
状態ですから落ち着いたところで抗癌剤の治療を行う
必要があると思います。」彼女の夫は言った。「先生。
先生は予想より病気が悪い状態だといったけど、実際
のところどうなんですか……。手術前は半年から1年
くらいっていってましたけど……。」私は一瞬黙った。
ご家族の気持ちを考えると答えるのがはばかられた。
だが話さなくてはならない。「正直なところかなり厳しい
です。腹膜播種が広範に存在していましたからいつ腹水
がたまってきても腸閉塞になってもおかしくない状態
です。手術はしましたが食事が食べられない状態にな
ってしまう可能性もあります。肝臓の転移も相当です
からこちらで肝不全や閉塞性黄疸が出現してしまう
可能性もあります。抗癌剤が効いてもよくもって半年
でしょう。下手をすると手術後に退院できなくなる可
能性もあります……….。」彼女の夫は無言で両膝の上
でこぶしを握り締めてした。その手は軽く小刻みに震
えていた。

(次回につづく)

 昨日は帰りが遅くなり更新できませんでした。
 今後も諸事情で更新が途絶えることがあるかもしれ
ませんが今後ともよろしくお願いいたします。
【2005/12/13 23:06】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(34)
 彼女の手術の日が訪れた。朝、彼女の病室に向かうと
彼女の夫と長男が来ていた。私は彼女の病室に入ると彼女
に声をかけた。「お早うございます。昨日はよく眠れました
か?」彼女は言った。「ええ、大丈夫ですよ。変わったこと
はありません。」私は彼女を診察してから言った。「それでは
今日はよろしくお願いします。手術は眠っている間に終わり
ますから….。」「ええ、よろしくお願いします。」彼女の夫と
息子も言った。「先生、よろしくお願いします。」「わかりま
した。できるだけの事はいたしますので….。」私は頭を下げ
ると病室を後にした。

 彼女の手術が始まった。開腹してお腹の中の状態を確認
する。S状結腸の癌はしっかりと確認できた。肝の転移も
予想通りで両方にまたがり存在していた。私は骨盤内に
手をいれたときに後腹膜、ダグラス窩(直腸と子宮の間
の空間で臥位でも立位でも一番低い位置となる場所)に
ざらざらとしたものを触れた。「腹膜播種だ…..。」癌細胞
がお腹の中に撒き散らされた状態である。小腸の腸間膜
の間も検索すると細かい播種が散在していた。私の手が
少し止まった。彼女の夫の不安そうな表情が思い出され
た。「ともかく今後大腸イレウスを起こす可能性もある。
S状結腸の癌だけはとっておこう。肝臓への動注ポート
の留置は中止だ。」
 私はそう宣言すると大腸の切除にかかった。腸間膜の
リンパ節の転移性の腫大も相当であった。分厚くなった
腸間膜を切離しながらこれはかなり予後はきびしいなと
私は考えていた。

(次回につづく)
【2005/12/11 22:08】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(33)
手術の前日に彼女の病室を訪れた。私は彼女に尋ねた。
「どうですか、調子の方は。」「さすがに食事をとらずに下剤
飲むのはきついですね。おなかは空きますね….。でも腸を
きれいにしておかないと手術の時こまりますものね….。」
「ええ、できるだけ腸の中の便を流して腸をきれいにして
おかないとならないので…..。」「わかってますよ先生。」
 ふと横に目をやると床頭台に一輪の水仙が生けてあった。
(感染防止のため病院によっては生花は持込を遠慮しても
らう病院もあるが、ここは特には咎めはなかった。)なにげ
なくその時は気にかかったので私は彼女に言った。「お花き
れいですね。」彼女はにっこりと微笑んで言った。「ええ、
かわいらしいでしょう。私が好きな花なんです。」「そう
ですか。」「ええ、先生。水仙は別名雪中花っていうんで
すよ。」「そうなんですか。冬に咲く花というのは知ってい
ましたけど…..。」「ええ、ラッパ水仙とか花が大きいのは
3月から4月に咲く遅咲きなんですけど、これは日本水仙
で12月から1月くらいに咲くんです。寒い雪の中で凛と
してきれいな花を咲かせるんですよ。他の花たちの多くは
春先に一斉に咲くのにこの花は厳しい環境のなかで美しい
花をつけるんです。それがなんとなく好きなんです。」
「そうですか…….。でもそう聞くと素敵な花ですね。」
「ええ、先生もそう思いますか?」彼女は花の方をむいて
言った。特に手術前に大きな動揺もなく彼女は落ち着いて
いるようであった。「そうですね。おかげで少しいい知識
が増えましたね。今度奥さんに水仙の花をプレゼントして
みましょうかね…..。それでは明日の手術よろしくお願いし
ます。」「ええ、こちらこそ。先生。」彼女は軽く頭を下
げた。私は彼女の病室を出たとき、彼女はあの花に自分を
なぞらえているのかなとふと考えた。

(次回につづく)
【2005/12/10 23:32】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(32)
 彼は病院から車で家にむかっていた。彼の思いは
複雑であった。一応、会社はうまくまわり始めていた。
 Uの会社との新製品の共同開発もうまくHが引き継
いで軌道にのりはじめていたし、苦しいながらも事業
の継続の見通しがたってきている状態であった。それも
自分が入院していたときに妻が孤軍奮闘に近い状態で
がんばったおかげだった。自分が会社に復帰してから
も彼女はずっと彼に病気を隠してがんばり続けてくれ
たのである。医者は言った。「半年から1年くらい。」
にわかには信じられなかった。「俺は何をしていたんだ。
いったい、彼女の何を見ていたんだ……。ずっと側
にいたはずなのに……。ずっと下血していたことも
気づかないで……。勝手に自殺しようとして散々迷惑
かけて苦労させたあげく、病気だったのにも気がつか
ないで散々働かせてしまって…….。」色々な思いが頭
の中で交錯していた。彼が入院していたとき、彼女は
毎日のように忙しい中病院に顔を出していた。その間
の営業の大変さも、常務と経理の会社の資金の持ち逃
げのことも彼にはなにも言わなかった。彼の病状を気
遣ってではあったが、その間に自分の病気もあったは
ずなのに彼女は黙々と働き続けてきたのである。
 ただただ申し訳なかった。自分が知らぬ間に彼女を
追い詰め、病気も手遅れにさせてしまったも同然じゃ
ないか…….。頭の中がカッカしていた。どこをどう
通って家に帰ってきたか覚えていないほどに…..。
彼は家につくと風呂にもはいらずベットに倒れこ
んだ。このどうしようもない思いをどうすればいいの
か分からなかった。明日も取引先との打ち合わせが詰
まっている。なんとか冷静にならないと……。
 彼は一生懸命自分に言い聞かせていた。

(次回につづく)
明日は当直でブログはお休みさせていただきます。
ひきつづきよろしくお願いします。今日は更新だけ
で気力が萎えてしまったのでこのまま就寝しますね。
 トラックバックのお礼、掲示板のお返事などは
今日は勘弁させていただいて後日させていただく
ことにします。申し訳ありません
【2005/12/08 23:53】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(31)
 一通りお話をして手術の承諾書をもらった後、彼女達を
面談室から送り出した。看護詰め所でカルテの医師記録に
記載をしていると彼女の夫が廊下から声をかけてきた。
「先生、お忙しいところ申し訳ありません。どうしても
お聞きしておきたいことがありまして……。」私は彼の
聞きたいことがなんとなくわかった。とりあえず緊急に
手が離せない状態でなかった私は面談室に彼を招き
いれることにした。彼を面談室に招きいれると私は彼
に切り出した。「Yさん。奥さんには気づかれず
にこちらにこられたのかな?」彼は言った。「大丈夫で
す。どうしても家内には内緒でお聞きしたいことが
あって……。」私は彼の聞いてくることがなんとなく
予想できた。「それで……。先生。家内はどれ位生き
られるんですか?大腸がんのリンパ節転移と肝転移
といったら相当ですよね…..。」私は少し黙った後
静かに答えた。「Yさん。確かに奥さんの病気を完全
に治すことはできません。手術で取りきれないわけ
ですから……。はっきりしたことはお腹を開けてみな
いとなんともいえません。お腹の中に癌が撒き散らさ
れてしまっている腹膜播種などの状態であればかなり
厳しいと思います。でもリンパ節転移が手術でとり
あえず充分に取りきれて、残った癌が肝臓だけであれ
ば肝臓への動注療法はそれなりに効果が期待できる
かもしれません。でも予後的には半年から1年くらい
もてばいいかもしれないとかんがえていてください。
 患者さんによってはうまく抗がん剤が効いて数年
がんばる方もいらっしゃいます。できる限りのこと
はいたしますので…….。それにまだ手術もやってい
ないのですから……。まずは手術を乗り切ってもら
わなくては次の段階にはすすまないわけですし…..。
 また手術が終わって落ち着いたところでおなかの
中の所見ととったものの顕微鏡の結果でまた今後の
見込みをお話いたしますので……….。」長年連添った
伴侶を失うかもしれないという状況では彼の動揺も
わかる気がした。私なりにできるだけ気を遣って
話したつもりであった。彼はつぶやくように言った。
「半年から1年ですか………。」

(次回につづく)
 昨日は帰りが遅くなり更新できませんでした。
 今日は少し疲れが溜まってきているようなので
早めに帰ってきました。
【2005/12/07 22:29】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(30)
「あとは肝臓の方ですが、肝臓全体に転移が
広がっていてこれを切除するのは難しいと思
います。やるとすれば肝臓へいく動脈に抗癌
剤を直接流すための管とポートを挿入する事
ですが….。ただそれも転移が肝臓だけであれ
ば意味がありますが、リンパ節転移が残って
しまったり、腹膜播種など他に転移している
とあまり医学的な意味はなくなってしまうかも
しれません。その場合は術後の抗癌剤の治療
に頼ることになると思います。」彼女は言った。
「いずれにしてもこのままにしておくわけにも
いかないでしょうから手術は必要なんですよね。」
私は答えた。「S状結腸の癌はともかくとる
ことはできると思います。あとはお腹の状態を
みてどうするか考えたいと思います。ただどう
しても肝臓の状況からいって癌をすべてとりの
ぞくことはできないだろうと思います。ですから
なんらかの治療は手術後も必要になるだろうと
いうことです。」私はその後、手術により起こり
うる合併症や、術前に行う輸血のことなとにつき
お話をした。一通りお話をしたところで彼女は
言った。「とりあえず病状についてはわかりました
し手術が必要なこともわかりました。状況がかなり
厳しそうなこともなんとなくね。手術は先生に
任せます。でもどんな状況だっだかは手術の後に
きちんと伝えてくださいね。」私は言った。「わかり
ましたどんな結果であれきちっとお話させていた
だきます。」彼女の夫は言った。「ところで先生。
この癌はいつくらいからあったんだろうか?」
 私は少し考えてから言った。「正確にはわかり
ませんが…..。多分数年はたっていると思います。」
「もっと早く病院にきていればこんなには進んで
いなかったかもしれないんだろうか?」彼の質問
の意図は測りかねたが私は答えた。「ええ、できれば
肝転移がない時期であれば手術でとりきれたかも
しれませんが……。」「そうですか……..。」彼は
つぶやくように言った。

(次回につづく)
【2005/12/05 23:56】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(2) |
雪中花(29)
 彼女が外科病棟に移ってから、全身麻酔のための検査一式を
施行し手術の予定をたてた。手術の前に病状と手術の説明を
行うため私はご家族をお呼びしてお話することにした。CTで
見るかぎりは肝臓に多発の転移巣が認められ、腫瘍の周囲にも
リンパ節の転移が多数ありそうであった。手術をしたとしても
その後の経過はかなり厳しいことははっきりしていた。そのこと
もお話しなくてはならない。悪い情報を話さなくてはならないの
は気が重いものだ。話す日には夫と息子さんがやってきた。転科
前にT医師から大体の病状はきいているはずであったが旦那さん
は不安そうな表情であった。私は病状について本人も交えて話は
じめた。「どうも今日はご足労いただいて申し訳ありません。奥様
の病状についてご説明させていただきたいと思います。今回は重
度の貧血で奥様が倒れられたということで入院となっているわけ
ですが、その貧血の原因を調べさせていただいたところ大腸の
うちS状結腸と呼ばれる場所にこのような腫瘍が認められました。」
 私は一同に大腸内視鏡の写真をみせながら話をつづけた。
「この腫瘍から組織を取って調べた結果、悪性の細胞が認められ
ています。」彼女の夫は言った。「悪性といいますと…….。つまり
癌ということでしょうか。」私は答えた。「つまりそういうこと
です。いわゆる大腸癌ということになります。問題は病気がここに
留まっていればよいのですが、腫瘍のある部分の周囲のリンパ節
が腫れていてどうやらリンパ節転移はありそうです。また肝臓に
転移しているのです。ある程度、数が少なければ切除の対象に
なりますが奥様の場合は肝臓は大きく右と左に分かれるのですが
肝臓の右と左の両方にまたがって腫瘍が多発しているのです。」
 私は彼女のCT写真をシャーカステンに表示し、転移の場所を
指し示した。彼女はうなるように呟いた。「こんなにたくさん……。」
 「残念ながら今の状況でこれらの腫瘍をすべて取りきるという
のは不可能なんです。つまり完全に手術で治すということはでき
ません。しかしながらそのまま放置するとS状結腸の癌からは
また出血してきて再び貧血になってしまうでしょうし、腫瘍が大きく
なればそこが詰まって糞詰まりの状態になってしまいます。まず
S状結腸の癌はとってこなくてはならないだろうと考えています。」
私は説明をつづけた。

(次回につづく)
【2005/12/04 23:37】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(28)
 彼女は病室にいた。私は病室に入ると彼女に声を
かけた。「こんにちは。Yさん。私、外科のnakano
と申します。今度、外科の担当医になります。」彼女
は少しはっとして答えた。「これはどうもよろしくお願
いします。」「それでT先生からは病気の事については
どのように説明を受けられていますか?」彼女は少し
黙ってから答えた。「なんでも大腸の左の部分に腫瘍
があって、そこから出血して貧血になっているようだ
という話でした。お腹のCTの写真では肝臓にも影が
認められてこの腫瘍からの転移の可能性があるのでは
ないかということでした。いずれにしても大腸の腫瘍
はそのままではまた出血してしまうし、腫瘍が大きく
なってしまうと腸を塞いでしまうので手術は必要だろう
とおっしゃっていました。」大体の病状は彼女はつかん
でいる様だった。「そうですね。大体そのとおりです。
それではお腹を診察したいのですが…..。」彼女を横に
して腹部の診察を行う。左の下腹部に腫瘤らしきものが
ふれた。私は彼女に言った。「そうですね。大腸の腫瘍
はとる手術をしたほうがいいと思います。肝臓に関して
はどうするかですが……。いずれにしても近日中に外科
の病棟に移っていただくことになると思います。病状
と手術の説明に関しては、改めてご家族の方もお呼び
してご説明させていただければと考えています。貧血
は大分改善した様ですしね。」「ええ、輸血して大分
体調はよくなりました。だるい感じや立ちくらみも
とれましたし調子はよくなった感じなんですけどね。」
「わかりました。またお話する日にちと時間を決めて
お知らせします。」「わかりました。よろしくお願い
します。」彼女は軽く頭を下げた。私も軽く会釈をし
彼女の病室を退出した。比較的病状を冷静に受け止めて
いるようで少しほっとした。早めにご家族とお話して
方針をたてないとと私は考えていた。

(次回につづく)
【2005/12/03 22:21】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
雪中花(27)
 ある日の午後、私はT医師に声をかけられた。「nakano先生。
ちょっといいですか。」「ええどうされました。」「実は60代の女性
で重度の貧血で運ばれた方がいまして、上部と下部の内視鏡検査
を行ったのですが、下部の内視鏡検査で下行結腸に2型の大腸癌が
あって、肝転移もあるんです。しかも両葉にまたがってなんです
が…..。」T医師は大腸内視鏡の写真を私に見せて言った。「いずれ
にしてもS状結腸の腫瘍に関しては手術が必要だと思うのですが
どうでしょう。外科で診てもらえないでしょうか?」私は言った。
 「そうですね。下行結腸の癌は切除するとして肝臓をどうするか
ですね。これだけ多発していると切除できないので動注リザーバー
の挿入になりますかね…..。わかりました。転科でよいと思います。
 ご本人とご家族への説明はどうしましょうか?」「大腸内視鏡の
結果で下行結腸に腫瘍があることはお話してあります。とった
組織の結果をみないとはっきりしないがまず悪性であろうとお話
しました。いずれにしてもここから出血して貧血の原因になって
いるし、これが大きくなると詰まって大腸イレウスになってしま
うので手術は必要だとおもうので外科に移ってもらうことに
なるだろうと説明してあります。」「わかりました。外科の病棟が
空き次第、外科の病棟に移ってもらうようにしたいと思います。」
「すいません。よろしくお願いします。」T医師は会釈してその場
を去った。

 私は定期の手術を終えたあとT医師からの紹介の患者さんをのぞき
にいった。内科の病棟にいき患者さんのカルテを探す。ここまでの
経過を確認してCTのフィルムを取り出した。CTでもわかる結構
しっかりした下行結腸癌である。周囲のリンパ節も腫大しているよう
だった。肝臓の転移は右葉、左葉に多発性に存在していた。血液検査
をみると入院時はヘモグロビンが5.6g/dlと極度の貧血であったが輸血
を行い、9台まで回復していた。腫瘍マーカーのCEAは50台でか
なりの高値である。いずれにしてもかなりの進行癌である。予後と
してはかなり厳しいとかんがえられた。とりあえず患者さんに
あわないといけないと考えた私は看護師に声をかけた。「すいません。
Yさんの病室はどちらになります?」看護師にYさんの病室を教えて
もらった私は患者さんの病室に向かった。

(次回につづく)

 昨日の当直は重症の方はあまりこなかったのですが、感冒がはやって
きたせいか発熱の患者さんが多かったです。何人かはインフルエンザ
キットで検査しましたがまだインフルエンザはでていないです。
 急に寒さが厳しくなっていきているので皆さんも体調に気をつけて
くださいね。
【2005/12/02 23:31】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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