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春風(21)
 娘の様子を見て友代は言った。「あんまりつら
ければ、一旦うちにもどってきてもらっても大丈
夫よ。父さんも喜ぶとおもうし….。」詩織は少し
考えてから言った。「気持ちはうれしいけど、多分
家にもどってもつらいのは変わりないと思うわ。
結局、自分がしっかりしないとどうしようもない
と思うし、ただでさえ、悟さんに迷惑かけている
のにこの上、実家に帰るなんてできないわよ。」
「そう……。わかったわ。でもつらくなったら
いつでも戻ってきていいから。なにかあればすぐ
飛んでくるつもりだし….。」「有難う母さん。
気持ちだけで充分よ。今日も本当に助かってる
わ。独りだったらどんな気持ちになっていたこ
とかわからないし……..。」詩織はそう言って
溜息をついた。

 昼食は気分転換に母親に連れられて外に食事を
食べに行った。天気もよく、気候も穏やかであっ
た。このことがなければすがすがしい気分になれ
ただろうにと詩織は思った。昼間の時間帯、普段
なら仕事にでている時間である。小さな子供づれ
の母親と出くわす度に自分が周りから取り残されて
いくような感覚に襲われた。他人をみてそのような
気持ちになる自分にも嫌悪感を抱いていた。どこ
からともなく湧き上がる感情を彼女は必死に押さ
え込もうとしていた。許されるなら思い切り叫び
たい気持ちだった。友代は詩織を気遣いながら自
宅から数駅離れた洋食店につれてきた。友代は言
った。「ここのパスタはすごくおいしいの。少し
おいしいもの食べたら気分も少しは晴れるわよ。」
彼女なりに詩織に気を遣っていることは充分伝
わっていた。詩織は少し申し訳がない気がして言
った。「そうね。ちょっと元気でるかもしれない
わね…….。」

(次回につづく)
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