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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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春風(63)
 S駅に列車がつくと詩織はふらついた足取りで荷
物をかかえて駅に降り立った。天気はよかったが風
が強く吹き、冬の寒さがこたえた。人の流れとともに
改札口に向かうと改札の向こうで待っている友代の
姿が目に入った。友代の姿をみて詩織はほっとした。
 改札口を出ると友代は詩織に声をかけた。「おかえり
なさい。お疲れ様。またずいぶんやつれたわね。顔
がげっそりしているわよ。」「母さん。有難う。突然
きちゃってごめんね。でもこうするしかなくって….。」
「きてくれるのは大丈夫よ。お父さんも喜ぶと思うし。
でもここまで大変じゃなかったの?」「大変もなにも
必死だったわ…..。途中で倒れたりしたらまた面倒な
ことになると思ったし。電車の中でもいまにも吐いて
しまうんじゃないかと気が気でなかったわ……。」「ま
あ詳しい話はまたあとで聞かせてもらうわ…..。ともか
く車にのりましょう。外は寒いし、体にこたえるわ…。
信金の駐車場に車を止めてあるからそこでまってて、
車を回すわ….。」「わかったわ。母さん…..。」

実家に向かう車の中で詩織は友代に言った。「母さん。
いつも心配かけてごめんなさい。」詩織の言葉に友代は
答えた。「子供の心配するのが親の仕事だからそんなこ
とは気にしなくていいよ。お前が元気で無事ならそれ
でいいから…..。ともかくおなかの赤ちゃんが無事なん
だからいいよ。前みたいなことになったら向こうの家
にも申しわけないしね…..。それより悟さんは大丈夫な
なのかい?勝手に出てきた感じになってしまったんだ
ろう?」「結果的にはね…..。でもあのまま5日間も家
にずっといれる状況じゃなかったわ…..。家事は一切
できそうになさそうな感じだったし、退院した週末は
かえって悟さんに世話してもらったような感じになって
しまったし…..。正直もう耐えられない状況だったから
……..。」詩織は窓外の見慣れた故郷の町並みを見つめな
がらつぶやくように言った。

(次回につづく)
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【2006/05/30 23:32】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(62)
 詩織がふと目が覚ますと列車は稲毛を出たところ
であった。比較的すいていたことから詩織は携帯電話
を取り出し実家に電話をかけた。「もしもし詩織です
けど…..。」電話にでた友代は答えた。「詩織ちゃん。大
丈夫?」「なんとか総武線の快速電車に乗ってそっちに
向かっているところ。もうすぐ千葉につくところね。
ちょっと大変だったけどなんとか無事につきそう。」「そ
れはよかったわ。それじゃ母さん駅まえ迎えにいくから。」
「有難う。母さん。それじゃまた駅でね。」「わかったわ。
気をつけて来てね。」友代の言葉を聞いて詩織は電話を
切った。詩織は窓の外の光景を見ながらぼんやり考えて
いた。悟、きっと怒るだろうな……。あれだけ週末まで
待つように言ってたしな…..。でもあのまま1週間家に
一人でいるのは耐えられないし、誰にも助けを求められ
ないんだから……。悟にも迷惑かけるし、これで良か
ったのよ…….。

 友代は少し慌てながら外出の準備をしていた。突然
の連絡だったので正直なところ驚いていたが娘が帰って
くるのはうれしいことだった。だが、電話の感じだと
かなり詩織の調子は悪いようだった。いきなり、実家
にもどってこないとならないというのはあまり尋常で
はない。しかも退院して間もなくである。ともかく早
く駅に行ってやらないと…..。そう思いながら友代は
家をでて車に乗り込んだ。S駅までの車での道のりは
20分ほどである。詩織ちゃん一体どんな感じなのか
しら….。友代はそう思いながら車を走らせた。

(次回につづく)

【2006/05/28 20:42】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(61)
 詩織は重い足取りでホームへの階段を登っていった。
 荷物も最低限にしたがそれでもそれなりの大荷物で
ある。事前に計画したのであれば宅配便で送るのだが
今日の今日思い立ってである。予想していたよりも体
の動きは悪く自由がきかない。失敗したなと彼女は思
った。だが実家にも電話をかけたし、もう行くしかな
いわと自分に言い聞かせて、ホームに到着した電車に
乗り込んだ。ともかく体はだるいし、吐き気が絶え間な
くおそってくる。電車のゆれもかなりつらかった。なる
べく周りに気をつかわせまいと平静を保ったが気をゆる
めると倒れてしまいそうな状態だった。ラッシュの時間
は過ぎているとはいえ、まだ電車は混雑している状態で
あった。正直立っているのがつらい。誰か席を譲って欲
しい….。自分では結構我慢強い方だと思っていたが、そ
んなことも思うほど辛かった。残念ながら彼女に席を譲
る人も出現せず、彼女はふらふらしながらもなんとか電
車を乗りつぐことになった。やっとの思いで、目的地に向
かう総武線の下りの快速電車に乗り込んだ。下り列車はす
いている時間帯であったため詩織はようやく電車の座席に
座ることができた。ほーっと一息つく。「あとはこのまま
我慢していればなんとかつくわ…….。」立っているのが
やっとの状態で途中で倒れてしまったらどうしようと考え
ていた詩織は一安心した。悟に黙ってでてきて途中で倒れ
て悟に連絡されてしまえば悟に余計な手間をかけることに
なるし、まずかなり怒られることは予想された。幸いこれ
ならそのような事態は免れそうであった。列車に乗ってい
る乗客も少ないので詩織は周りに遠慮する必要もなかった。
詩織は座席の傍の窓を少し開けた。外の風があたるだけ
でも少し吐き気がおちつく。なんとか持参した嘔吐したと
き用のビニール袋はつかわないで済みそうだ。S駅につけ
ば母さんも迎えにきてくれるしなんとかなるわ…….。詩織
はそう考えながら疲れからくる眠気に誘われ、浅い眠りに
ついた。

(次回につづく)

【2006/05/27 23:46】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(60)
 詩織は家に書置きをしてからとりあえずの身の回りの
荷物をまとめ、ふらふらした足取りでアパートを後にし
た。駅までの足取りも重たかった。駅についたところで
詩織は実家に電話をかけた。「もしもし…..。」「もしもし
母さん?詩織だけど……。」「あら、詩織ちゃんどうした
の?」「母さん、本当に申しわけないんだけど、つわりが
ひどくて全然動けなくなってしまって…..。」「ええ?
退院してまだ間もないわよね?」「ええ、そうなんだけ
ど….。ともかく悟さんにも迷惑かけるし、落ち着くまで
家に帰りたいの……。」「ええ、それはいいけど….。
いつこちらに来るつもりなの?」「今日、もう家をでて
きたところなの……..。」「ええっ?今日?それはまた突
然ね。状況が状況なら仕方ないからいいけど…..。悟さん
はなんていっているの?」「じつは悟さんは実家にいく
にしてもお願いに挨拶にいかなくちゃならないから週末
まで待てっていっていたんだけど、ともかく食事しても
吐いてしまうし、ほとんど寝たきり状態だし悟さんにも
迷惑かけるから。昼すぎには着くと思うわ。」「本当にい
いのかい。こちらはきてもらうのはかまわないけど…..。」
「母さん。突然の勝手なお願いで申し訳ないけど….。
また夜に悟さんには連絡とるから……。」「わかったわ。
仕方ないわね。S駅についたら電話を頂戴。迎えにいく
から……。気をつけていらっしゃいね。」「有難う、母さん。
じゃあ着いたら連絡するから…….。」詩織はそう言って
電話を切ると改札口を通っていった。

(次回につづく)
【2006/05/26 23:12】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(59)
 結局、詩織は週末はまともな食事もとれないまま経過
した。ともかく気持ち悪いのだ。胃が圧迫されるような
気持ち悪さが落ち着かなかった。動くと吐き気が襲って
くる。ほとんど寝たきりの状態だった。週明け悟が仕事に
でる際に一人で家にいられるか心配だった。月曜日の朝
仕事に出かけようとしている悟に詩織は声をかけた。
「あなた。やっぱりこのままあなたに迷惑かけられない
わ……。今日、実家に帰ろうと思うの…..。」悟は詩織を
方を向いて言った。「なに言っているんだ。今の状態じゃ
外にでるのだって大変じゃないか。そんな状態で一人で
いかせられないよ。だいたい迷惑なんかじゃないから余計
な心配するなよ。ともかく今日はゆっくり家で休んでいて
くれ。なるべく早く帰るようにするから。この週末には
いっしょにつきそっていくから少し待ってくれよ。」「あな
たの気遣いはうれしいの。だけど….。」「ともかく、今日
いかなくちゃいけない理由はないだろう。」「でも……。」
「今日の夜またゆっくりどうするか話そう。今は時間も
ないから…..。今日はなるべく早く帰ってくるから…….。」
そういうと悟は仕事に出かけていった。
 詩織は家に一人で横になっていた。今の状態では家事を
こなすのも容易な状況ではなかった。食事をしてもどうせ
吐いてしまうのだから食べない方がまだ吐かないですむ
分、楽な気がしていた。だが正直ずっと寝たきり状態なの
は悟に対して気が引けていた。ただでさえ、仕事で大変
なのに、自分の世話も焼いてもらわなくてはならないこと
が申し訳なかった。少したつらかったが彼女は起き上がって
電話をかけた。

 悟は仕事を終え、同僚からの飲み会の誘いを断ってでき
るだけ早く帰ってきた。アパートのドアのところで呼び鈴
を鳴らすが応答がない。鍵をあけて中に入ると部屋は真っ暗
であった。電気をつけてあたりを見渡すと机の上に置き書き
が置いてあった。悟は置き書きを手にとってみた。
「あなたごめんなさい。今の状態ではあなたに迷惑をかけ
ます。やはり実家に帰ります。勝手ですいません。」
 悟はそれを読んだあと、ふーっと息を吐くと椅子にどっと
座り込んだ。

(次回につづく)
【2006/05/24 23:09】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(58)
 詩織は退院して家にもどったがつわりがひどく食欲が
全くわかない状態であった。6ヶ月すぎれば大分つわりも
楽になると聞いていたのに….。詩織はそう思ったが入院
中も病院特有の消毒液のにおいがきつくてつらかったが
家に帰ってからもつわりは一向に落ち着く気配がなくむ
しろひどくなっている状態であった。退院した週末は、
ほとんど家で寝て過ごしていた。ともかくなにか食べよ
うとすると吐いてしまう。この週末は悟も目に余って、
いろいろ工夫して詩織のために食事をつくってみたが
なんとか口にいれてもすぐ嘔吐してしまう状態で、寝た
きり状態であった。悟もこの2日、半ば詩織につきっき
りで世話をする感じとなってしまった。詩織の入院生活
中に家事に関しては大分手馴れた悟であったが、つらそ
うな詩織の表情をみていると悟も憂鬱な気分になってしまう。
 悟はなにも言わなかったが詩織はこのまま週明けになって
悟が仕事にでていったとき独りで家にいられるか正直
少々不安であった。詩織は日曜日の夜に悟に言った。
「あなた。この週末は本当にありがとう。ぜんぜん体が
動かない状態でごめんなさい。本当に迷惑をかけて
しまって…..。」詩織の言葉に悟は答えた。「なに言って
いるんだ。仕方のないことだし、いつまでもこの状態
が続くわけじゃないんだから。あんまり気にするな。」
「でも悟さん。やっぱり今の状態じゃ悟さんにも迷惑
かけてしまうわ…..。早めに実家に帰ろうと思うの。
いずれにしても向こうの病院には早くかからなくては
ならないし……。」「それはそうだけど。僕が実家に
送れるのは来週の週末になってしまうと思うよ。いき
なり行くといっても向こうだって困るだろう。」「家の
お母さんは大丈夫だと思うわ…..。だからわたし一人
で帰るから…..。」「馬鹿いうな。向こうの実家にいて
もらうにしたって俺がお前のご両親にお願いするのが
筋なんだから……。俺が送って挨拶もしないと…….。」
悟はそう言って詩織の言葉をさえぎった。

(次回につづく)
【2006/05/22 23:47】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(57)
 ようやく詩織の退院の許可がおりた。「出血も落ち着いて
きたし状態もいいようなのでそろそろ退院の方向で考えて
います。」 ある日、いつものように回診におとずれた主治
医に詩織は告げられた。「有難うございます。」と詩織は答
えた。「引き続き外来でみさせていただきますので…。次
の受診日も決めておきますが….。篠崎さんは出産は里帰り
出産ということですけど…..。」「ええ、千葉になります。」
「もう7ヶ月に入ってきていますので一回、出産される
病院を受診された方がよいでしょう。出産前に突然こられ
ても向こうの先生も困ってしまうでしょうし…….。退院日
までに紹介状を用意しておきますので…..。」「わかりました。
よろしくお願いします。」詩織は軽く頭をさげて礼を言った。

 その日に見舞いにきた悟に詩織は言った。「悟さん。退院
の日が決まったわ….。今週の金曜日ですって。」「そうか
わかった。仕事の予定はあるけどなんとかできるだろう。
上司に言って休みもらえるように頼んでみるから….。」「あり
がとう。助かるわ…..。それで、今後のことなんだけど….。」
「ああ。」「いずれにしても前も相談したように出産は実家に
行ってということで考えているんだけど。先生が一回、向こ
うの病院の方に事前に一回受診したほうがいいだろうって。」
「そうか。まあそうだろうな…..。」「なるべく早くいける日を
決めておかなくちゃならないし…..。いつから家の実家に
お世話になるかも決めておかないといけないわね……。」
「ああ、そうだな…..。色々大変だろうがなんとかなるだ
ろう。」悟はそう言って詩織に答えた。

(次回につづく)

 昨日は呼び出しがあって更新できませんでしたが、今日
は比較的ゆっくりできました。また明日から忙しい日々が
始まりますががんばっていきたいと思います。
【2006/05/21 18:03】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(56)
 司郎と敏子が帰ってから悟は詩織に言った。「母さんの
いうことなんか気にしないでいいからな。こっちの事情
なんかあんまり気にしないで物事を言う人だから。」詩織
は悟の言葉に答えた。「気をつかってくれて有難う。でも
お母さんのいうことにも一理はあると思うわ…..。実際に
私は前の子を生んであげることができなかった。そして
2度目の子供もこんな目にあわせてしまっているのは事実
よ。自分では無理をしていないつもりだった。でもそれは
私の思い込みだったのよ。こんなに出産が大変なことなん
て思っていなかった。妊娠してても元気に仕事ができる
ものだと思っていた。だってみんな妊娠してもがんばって
働いている人はたくさんいるし…..。自分だって大丈夫だと
思っていたの…….。けどそんな考えは甘かったのよ……。
私の体が妊娠、出産にむいていなかったのかもしれないけ
ど、私がもっと色々なことに気をつかっていればこんな事
になって周りに迷惑をかけなくても済んだかもしれないし
おなかの子供につらい思いをさせないで済んだかもしれな
いのよ…..。」「詩織……..。」「でも心配しないで、この子は
なんとしても無事に生まれてきてもらうつもりだから…..。
それにお母さんだって意地悪でいっているんじゃないわ。
本当に心配していってくれているんだと思うから…..。あなた
が見舞いに来ないでくれっていったの?それは普通怒るわ
よ…..。それでもわざわざ見舞いにきてくれたんだから感謝
しないと…….。」詩織の言葉を聞いて悟は言った。「まったく
考えすぎだよ。お袋がなんといおうと気にしなくていいんだ
から。大体、場の雰囲気がよめないんだから。余計なこと
いうから親父だって困っていたんだし…..。まあお前が大丈夫
なら全然かまわないんだが…….。」病室の窓の外をみながら
悟はつぶやくように言った。

(次回につづく)
【2006/05/19 23:42】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(55)
 敏子は言った。「悟。私はいやがらせで言っているんじゃ
ないのよ。耳に痛いことかもしれないけどいうべき事は言
っておかないといけないのよ。うるさいと思うかもしれな
いけどこちらも真剣に心配してるから言ってるの。大体、
夫の実家の両親に見舞いにこないで欲しいなんていう事
自体、私には気に食わないわ。」「母さん、それは俺が勝
手に頼んだことで詩織には関係ないことなんだから。」
「だいたいね、あなたにそんな気を遣わせること自体
おかしいのよ。大体流産しかかって入院になったことを
夫の実家にまず第一に当人の詩織さんが連絡するべきでし
ょう。」司郎は言った。「おまえ。もういい加減にしろ。こ
んなところで話す内容でもないだろう。また落ち着いた時
に話せばいいことだ。第一もう終わったことを蒸し返して
どうするんだ。ともかく詩織さんも赤ちゃんも今のところ
無事でいい方向にいっているんだからそれを素直に喜んで
やるべきだろう。」敏子を諌める司郎をみて詩織は言った。
「いいえ、お父さん。お母さんのいうことももっともです。
前の事もありましたし、今回の件にしても色々ばたばた
して私もなかなか落ち着いて物事を考えられなかったの
で…..。いずれにしてもご心配をかけて申し訳ありません
でした。行きとどかなったこともあったことは本当です
しお母さんにそのように言われても仕方の無いことです。
今後は気をつけますので……..。」詩織の言葉を聞いて敏
子は言った。「まあ、今回のことで詩織さんも大分こたえた
でしょうからちょっと考えてもらって….。でも言葉だけ
ならなんとでも言えますからね。しっかりしてもらわ
ないと。」悟は言った。「もう母さんいいだろ。ともかく
詩織だって一生懸命やっているんだ。つらい思いもして
いるんだし、仕方無いことだってあるんだから。」「わか
ったわよ。でもこれ以上、余計な心配かけないで頂戴。」
敏子はそう言ってだまった。司郎は少し困惑した表情で
いった。「じゃあ詩織さん。体を大事にしてな。こうは
いっても敏子も心配して言っていることだから….。」
詩織は言った。「大丈夫ですよお父さん。わかっています
から……。」

 (次回につづく)
【2006/05/18 21:58】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(54)
 その翌日の夜、司郎と敏子は詩織の入院する病棟に
見舞いにやってきた。悟も待ち合わせて一緒に詩織の
病室に向かった。病室に入ると司郎が詩織に声をかけ
た。「詩織さん。だいぶ遅くなったが見舞いにこさせて
もらったよ。」詩織は司郎と敏子の姿を確認して少し
あわてて言った。「あら、お父さん、お母さん。どう
もわざわざすいません。」おじぎをする詩織にむか
って司郎は続けた。「いやいや、入院してからの経過
は悟から聞いてはいたんだ。もっと早く見舞いにきた
いと思っていたんだが悟が詩織さんが落ち着くまで
見舞いは待ってくれっていうもんでね。」司郎の言葉
の後に敏子はぼそっとつぶやいた。「全く、自分の両親
にはきてもらっておきながら夫の実家の親にはきて
もらいたくないなんて大したものね…..。」決して大き
な声ではなかったが周りの人に充分聞こえる声であ
った。一瞬、気まずい雰囲気となった。司郎は敏子に
目配せをしてから言った。「大分おちついたって聞いて
いるけどどうなんだい。」「入院当初からは大分出血も
おさまってきています。おなかの赤ちゃんも元気みた
いなので…..。今の調子ならなんとか一回退院できそう
です。ちょっとつわりがひどいのがつらいんですが。」
「そう。それはよかった。」「ともかく、最初はずっとベ
ット上安静でしたからちょっとつらかったですね。少し
でも動いてもし流産してしまったらどうしようって必死
でした。今は大分出血もおさまってきて動く範囲の制限
もなくなってきたので大分気分的には落ち着いてきてい
ます。」「まあだんだんによくなっているならよかった。
急にまた入院なんていうから本当に心配していたんだ。」
「本当にすいませんでした。」「詩織さん。すいませんでし
たじゃないのよ。あやまるならおなかの赤ちゃんにあや
まりなさい。今回の切迫流産にしたって、そのつわりに
しても赤ちゃんの訴えと思ってもらわなくちゃ。あなたが
なにか無理をしているんじゃない。少し考えてもらわな
いとまた取り返しのつかないことになるわよ。」敏子の
言葉に悟が我慢しきれずに言った。「母さん。いきなり
なにを言い出すんだよ。」
(次回につづく)

 昨日は午後から体調が悪くなって、仕事はなんとか
こなしましたが早く帰って寝ました。ブログお休みして
すいませんでした。今日は大分体調もどりましたが明日
も当直です。ちょっとつらいスケジュールですが、なん
とかがんばります。
【2006/05/16 23:56】 春風 | トラックバック(0) | コメント(3) |
春風(53)
 そんなある日に悟は司郎と敏子に詩織の状態が落ち着いて
きたことを連絡した。詩織が入院してから悟が病状について
は司郎と敏子に常に連絡をとっていたが、詩織の病状が不安
定な状態でまた敏子に余計なことをいわれるのは困ると悟は
考えていた。悟は詩織の状態が落ち着くまでは2人に見舞い
に来ないで欲しいと頼んでいたのである。敏子は悟の意見を
聞いて正直なところおもしろくなかったが、司郎にも悟がそう
して欲しいというのならそうしてやれといわれておりしぶしぶ
とそれに従っていた。詩織が入院して1ヶ月経ち、状態も落ち
着いてきたことから悟が見舞いを許可したのである。悟から
の電話を受けた後、敏子はその内容を司郎に伝えた後に言っ
た。「見舞いにくるなってずっといわれていたんだし、今な
ら来てもいいなんていわれても…..。今更行っても白々しいわ
……。もう退院までほっておいた方がいいんじゃない?」と
敏子は司郎にイラつきを隠さずに言ったが、司郎は「馬鹿い
うんじゃない。仮にも息子の嫁が孫を孕んで入院しているん
だ。多少気に入らなくたって見舞いにいけるならいかなくち
ゃ駄目だ。大体お前が詩織さんにきついから悟が余計な気を
つかうんだ。都合をつけて顔だけでも出すようにしないと。
また見舞いに行った時に余計なことをいうなよ。」「余計な事
なんか言ったことはないわよ。大体、悟が詩織さんに甘いか
らいけないんでしょう。おかげで前は流産してしまうし、今
回だって切迫流産で1ヶ月以上入院だなんて….。詩織さんも
少しは自分の立場というものをわかってもらわないと…..。悟
がはっきりいってやらないんだから誰かがきちっといってあげ
ないとだめなのよ…..。」「おまえな。もう悟は独立しているん
だ。2人の間で決めたことを俺たちがとやかくいうべきじゃない
だろう。悟が納得して詩織さんとがんばっているんだから。
 俺たちは2人を見守ってやるだけでいいんだから…..。」
 司郎の言葉に敏子は不満げに言った。「わかったわよ。」

(次回につづく)

【2006/05/14 16:39】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(52)
 悟の同意も得られたことから詩織は会社に連絡して会社側
の提案に従い、休職扱いにしてもらうように頼んだ。出産後
の経済的な事を考えれば収入源が確保できるということはあ
りがたい事であることは2人の共通の認識ではあった。出産
後には仕事で会社にそれなりに貢献しなくてはならないとい
う心理的な圧力はあるものの、これで出産に専念できるし、
正社員であれば微々たるものとはいえ、種々の補助金や祝い
金も受け取れる。産休や育休の間も少なからず手当てがつく
のであるから詩織にとっては願ったりかなったりであった。
 会社の件が一段落したことで詩織は気分的には大分落ちつ
いた。それに加えて、日を追うごとに出血も減り、それにした
がって安静度も緩やかになってきていたことも詩織を安心さ
せていた。病状がいい方向に向かっていることは詩織自身も
自覚できていた。最初はベット上安静で点滴に24時間つな
がれている状態であった。おなかの赤ちゃんのためならと
必死に我慢していたが、ずっとベット上というのは、なかなか
苦痛なものである。腰や肩など体中のあちこちの筋肉が張っ
て痛くて仕方がなかった。本を読むのも気力がつづかない。
妊娠悪阻も強く、食事をする気力も失せてしまう状態で
あった。だが出血が収まっていくと共に次第に安静が解除さ
れていき、いまでは病棟内は自由に動けるようになっていた
し、特に血圧の上昇や体重の過剰な増加もなくこれといった
食事制限もなかったことから悟や知人の見舞いの時にも病室
でなく病院の食堂でお茶でも飲みながら面談できるようにな
っていた。精神的には入院当初より大分落ち着いてきていた。
 つわりが思いのほかつらいけど……。なんとか出産前に一
回退院できそうだわ…..。詩織はそう思いながら入院の日々を
送っていた。

(次回につづく)
【2006/05/13 21:48】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(51)
 その夜、病院に見舞いにきた悟に詩織はいった。
 「あなたいつもお疲れ様。仕事の方は大丈夫?」「なかなか
大変ではあるけれどなんとか大丈夫だよ。独りぐらしもも
う大分なれたよ。」「そう。それで今日、課長がきてくれた
んだけど。」悟ははっとしていった。「そういえばそういっ
てたな。やめるっていってなんか言っていたかい。」「一応
休職あつかいにしたらどうかって言われたわ…..。3ヶ月半
休職扱いにして産休と育児休暇をそのままつかってもらって
復職すればいいからって……。」「おいおい、今時、そんなに
いい話はそうそうないと思うよ。ずいぶん見込まれたもんだ
な……。」「私も想像以上にいい話だったんでにわかには信じ
られなかったんだけど….。即答してもいいかとは思ったんだ
けど、悟には仕事はやめるという話を進めるっていうことで
合意していたから、勝手にわたしだけで決めてしまうのはど
うかと思ったの……。会社の提案を受けていいわよね…….。」
「いいんじゃないか。今のご時世、正社員で雇ってもらうのだ
って大変なんだから….。お前が出産後も働ける場所残して
もらえるなんてそうそうある話じゃないんだから。」「よかった。
一応、あなたの合意がえられなければ断ろうとは思っていた
の….。ただでさえ、迷惑かけてしまっているし…….。」「迷惑
なんてことはないさ……。子供ができたらできたでお金も
かかるんだ。どうしたってなんらかの形では働いてもらわな
くちゃいけないんだし……。」「そうよね…..。ともかくこれで
ほっとしたわ……。仕事の事が正直、気がかりだったの……。
この子を無事に産むまではともかくこれで出産に専念する
ことができるわ……..。」詩織はそう言ってほっと肩をなでおろ
した.

(次回につづく)

 昨日は帰りも遅くなり更新ができなくてすいませんでした。
 急に暖かくなったり涼しくなったりで体調くずしがちな時期
ですが皆さんもからだ大切にしてくださいね。

【2006/05/12 23:47】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(50)
 その週末、詩織の上司が病院にやってきた。病室に上司
が来たのを見て詩織は言った。「どうも課長、お忙しいとこ
ろわざわざすいませんでした。」「篠崎くん。どうも久しぶり。
大丈夫かい?」「正直、あんまり大丈夫とはいえないですけど
…..。それでも入院した時よりは大分出血もおちついてきて
少しづつ動くのが許可されてきました。入院当初はベット上
安静でしたから….。」「そうか…..。それじゃ、落ち着いたとこ
ろで話ができるかな…..。」「病棟内は動いてもいいことにな
っているので大丈夫です。」詩織はそういうと点滴台を引きな
がら上司を病棟の食堂に案内した。食堂につくと二人は座った。
「それでどんな状況なのかな…。」「今のところまだ退院の目処
はついていないんです。切迫流産ということで流産しかかって
いる状態ということらしいです。ともかく安静にして、点滴か
ら止血剤と子宮の収縮を抑える薬をつかって落ち着くまでは
入院していなくてはならないようです。今の出血が収まって
流産の危険がなくなれば退院できるかもしれないんですが..。
おさまらない場合は出産まで入院しなくてはならない人も
いるということで…….。なんとか退院できても、仕事に復帰
できるかどうかもわからないですし…..。これ以上、現場の
同僚に負担をかけるわけにもいかないでしょうから….。一回
退職としてもらったほうがいいかと考えまして…..。」上司は
詩織の話を黙って聞いたあと言った。「そうだね。実際に君が
抜けた穴をみんなで埋めるのはなかなか大変ではあるんだが
まあなんとかやっているよ。実際、休んでいる理由はこういう
ことだから仕方ないしね。人事部とも相談したんだが、退職
にはしなくていいんではないかと思っている。有給休暇はほと
んど使い切るけど、産休は出産予定日の42日前が規定だから
3ヶ月半は休職扱いにすればなんとかなるんではないかと考えて
いるんだが…….。出産後も産後休暇は56日とれるしその後
で復帰できれば復帰してもらう方向でいいと思うんだが..。」
詩織は言った。「本当にそんなこと許してもらえるんですか?」
「もちろん君がそれを望めばだけど…..。それに復帰した後
は大変だと思うけどね….。」「実際そうしていただけるなら
ありがたいです。うちも出産後は共働きしないとやっていけ
ないですし、今以上の待遇が望める職場は私にはないと思って
いますので……。」「じゃあその方向で話をすすめておこうか
ね……。」詩織は少し考えていった。「課長、今日は本当にあり
がとうございました。でも一応、夫ともよく話しあっておく
必要があると思うんです…..。お返事少し待っていただいて
よろしいですか……。」課長は詩織の顔を見て言った。「ああ
わかった。でも来週半ばまでには返事が欲しいな。やめるに
しても、続けるにしても手続きが必要だから…..。」「わかり
ました。なるべく早くお返事させていただきます。」詩織は
一礼をして言った。

(次回につづく)

 明日は当直でブログはお休みです。
【2006/05/09 23:23】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(49)
 会社に連絡をとってからも詩織は会社をやめること
に少し戸惑いはあったが、現実問題として出産を終え
るまでは仕事は無理と思われた。いたずらに仕事を気に
しながらこのままの中途半端な気持ちでいるのは帰って
よくないし、出産して子育てにどの程度の手間がかかる
かも想像がつかない状況ではいつまで仕事ができないか
の目処もつかない。休職するにしても明確な期間
をはっきりさせなければなかなか難しいと思われたし
詩織の仕事が一般業務であり、他の人間にもできる仕事
であることを考えると会社側にしても詩織のために職を
確保していなくてはならない合理的な理由はない。新し
い人を配置した方がよいだろう。第一、今は他のメンバ
ーが詩織の仕事を肩代わりしてくれているのである。詩
織の休職がだらだらとつづけば詩織が復帰することを見
越して人員配置を行うことになるわけで現場の増員は
望めないだろう。詩織の休職がだらだらとつづくのは
同僚たちに迷惑をかけることであることはよく分かって
いた。「長い間よくしてもらっていい職場だった。多分
今後、これ以上の職場も収入も私にはえられないことは
わかっているわ……残念だけど、これも仕方ないことよ
……。これ以上会社のみんなにも迷惑をかけるわけには
いかないわ。それにやめたらやめたで出産と育児が一段
落ついた時にゆっくり仕事のことは考えればいいわ……..。」
詩織は自分にそう言い聞かせた。

(次回につづく)
【2006/05/08 23:57】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(48)
 「正直まだいつ退院になるかも分からない状況なん
です。このままだらだらと出産まで入院となってしま
う可能性もないとはいえないですし、なんとか退院で
きたとしても仕事に復帰できるかも分からない状況な
ので…..。さすがに半年以上も休むかもしれないという
ことになると少し心苦しいところもあるので…….。」
「そうか….。そういうことだと確かにちょっと厳しい
かもしれないね….。わかった。ともかくまた詳しい
話を聞きにいくよ。まだしばらくは入院しなくてはな
らないんだね。」「ええ。」「じゃあ、今度の週末に時間
を見つけて病院にいくから。そこで詳しい話をきかせて
くれないか。」「わかりました。」詩織はそういって電話
を切った。

 その日の夜、悟が見舞いに来た時に詩織は言った。
「あなた。今日、上司の課長に退職のこと電話したわ。」
悟は詩織の顔をみつめてから言った「そうか、それで
なんていってたんだい。」「ともかく詳しい状況がききた
いからこの週末に病院にわざわざきてくれるっていうの。」
「そうか…..。まあ、向こうにしてもこちらがどうするか
はっきりしてもらわないと困るだろうからな。」「ええ、そう
思うわ……。でも短大でてから9年間も働いてよくしても
らった職場だからこんな形でやめなくてはならないのは
ちょっと不本意ではあるんだけど…..。本当にお世話になった
しこれからも働けるんではないかと思っていたから…….。」
「ああ、そうだよな……。でもそうはいってもやっぱりお腹
の子供のことが第一だからな…..。仕方ないだろう。」「ええ。
わかっているわ。仕方ないことよ……。」詩織はそういって
天をあおいだ。

(次回につづく)
【2006/05/07 15:44】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(47)
 悟は言った。「それはかまわないけど。今回の入院は
いつまでになるか目処もたたないみたいだし、出産が
一段落するまではいずれにしても仕事は無理そうだしな
…..。なにか職場から言われたのかい?」詩織は答えた。
「特になんと言われたわけでもないんだけど、もう職場
の方もだらだらと休んでいるわけにもいかないだろうし、
これ以上迷惑をかけるわけにもいかないと思うの。私の
年で一回仕事をやめてしまったら今の収入と同様の仕事
にまたつけるとは思えないけどこうなってしまっては一
回わりきってやめた方がいいと思うの…..。」「そうか….。」
「休職にしたとしても復帰の目処がつかなければなかな
かお願いするのも難しいと思うし……。」「そうだな…..。
それがいいかもしれないな……。収入はどうにでもなる
と思うからそのことは心配するなよ…..。なんとかなるさ。
ともかく今は出産に集中してもらおうか。」「すまないけ
どそうすることにするわ….。」「今は大切な時期だから余計
なこと考えなくていいから、仕事の方も一回退職という形
にしないとおちつかないだろうからな…….。」「ええ、そう
ね….。」詩織はつぶやくように言った。

 詩織は次の日、上司に電話をかけた。会社の自分の部署に
電話を回してもらったところ課長が電話に出た。「もしもし
課長、篠崎ですが….。」「ああ篠崎くんか。突然のことだった
んでずっと心配していたんだ…..。その後どんな状態だい。
切迫流産ということは聞いていたけど….。退院はいつごろ
になりそうだい。」「実は課長、まだ退院の目処がつかなくて
….。出血自体は落ち着いてはきているんですが……。退院
後も仕事は無理そうな感じなんです……。」「そうか……。」
「この状態でだらだらと休んでご迷惑をかけるのも心苦しい
ですし…..。復帰の目処がつかない以上、一旦退職の方が
いいのかもしれないとも考えていまして、ご相談したくて
…….。」「うーん。そうか……。それは残念だがね…..。
有給ももうすぐ使い切る形になるし休職扱いにしたほうが
いいのかとも思ってはいたんだけど。いずれにしても一回
状況を詳しく聞いた方がいいと思うんだ。しばらくはまだ
入院がつづきそうなんだろうか?」詩織の上司はそう尋ねた。
(次回につづく)
【2006/05/06 23:27】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(46)
 詩織の出血は次第に落ち着いてきていた。出血の減少
と共に安静も解除されてきていた。それは安心できる事
であったが悪阻が今回はだんだんひどくなってきていた。
 ともかく病院特有の消毒液のにおいで気持ち悪くなって
しまう。食欲も無くなっていた。切迫流産の状態からは
脱却しているようであったが悪阻のひどさで日常生活や
仕事ができるか正直心配だった。また今回の件で仕事を
どうするかもなやんでいた。前回の流産の前は妊娠して
も普通に仕事をして出産の数ヶ月前に産休をもらって仕事
を続けていけるものとぼんやり考えていた。だが前回の
流産の時も職場に迷惑をかけたが、今回は本当にこの状態
で職場復帰できるのかは不明であったし先行きは不透明で
あった。だがここで退職してしまって一段落してまた仕事
をさがしても今以上の収入は得られるとは思えなかったし
この厳しい雇用情勢の中でまた職が得られるかもわから
ない。悟の給料も決して高いものではない。子供ができて
生活していくのには共働きしなくてはならないと詩織は
考えていた。今の職場での正社員の立場を捨てるのは若い
2人にとって経済的には痛手であることは間違いなかった。
 だが1週間、2週間と入院期間が続く状況でこれ以上
職場に迷惑をかけるのも厳しい状況であった。切迫流産
は免れたとしてもこの悪阻がつづいては仕事はできそう
にない。それに退院後に無理に仕事をしてまた本当に流産
ということになってしまったら、いくら悔いても後悔しき
れないことになることは間違いなかった。悶々とした日々
を送っていた詩織はある日見舞いにきた悟に言った。
 「悟さん。わたし、やはり今、仕事やめたほうがいいと
思うんだけど,,,,,。どう思う?」

(次回につづく)

 昨日の当直はかなりハードでした。でも天気がよかった
のでちょっとつらかったのですが家族で遊園地に遊びにいき
ました。子供とふれあう時間が短いので貴重な時間になりま
した。皆さんはどのような連休をお過ごしですか。
【2006/05/05 21:03】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(45)
 「母さんもどのように言ってあげられればいいのか
はわからないけれどもやれるだけの事はやってあとは
自然にまかせるしかないと思うわ。こんな言い方をし
ていいのかわからないけれども、結局のところはなる
ようにしかならないのだから…..。悟さんもよくあなた
のこと考えてくれているみたいだし。」詩織は答えた。
「そうなのよね。まだ悟さんがよく気を遣ってくれて
いるからありがたいわ。毎晩、仕事がおわれば見舞い
にきてくれるし。本当に自分でもしっかりしなくちゃ
いけないって思っているの。でも一日中、ベットの上
でじっとしていなくてはならないということになると
余計なことを考えてしまうのよね。でも今回の事で
やっぱり自分も無理をしていたのかしらってかんがえ
ちゃうわ。自分が思っていたほどは無理がきかなくな
っているのかもしれないわ…..。でも本当に不平等よ
ね。楽に無事に出産できる人がほとんどなのに……。」
 「そんなことはないわよ…..。みんなそんなこと話さ
ないだけよ。流産している人は結構周りにいるわよ。
あなただけじゃないわ…..。みんな口に出していわない
だけ。出産は大仕事なのよ。そんな簡単なものでは
ないわ…..。今でこそ無事に生まれて当たり前みたい
な感じだけど昔は出産でお母さんが産褥で死んでしま
ったり、流産もめずらしいことじゃなかったわ。それ
も昔は20代前半で出産していたのがほとんどだった
けど今は30位の人が多いから出産自体はもっと本当は
大変になっているんじゃないかしら….。ともかく今の
ところは赤ちゃんもあなたも無事なんだからいいほう
に考えないと….。」「そうよね。そう思うわ…..。つわり
もつらいけど赤ちゃんが元気でいる証拠と考えれば
我慢できるの。不安はあるけど少しずつ自分のおなかの
中で育っていると感じられると少しずつ母親にさせられ
てきているなって感じるの。なんとか今回の事を無事に
乗り切らないと…..。」「大丈夫よあなたなら….。悟さん
もついているんだし、おなかの子もがんばってくれて
いるんだから……。」「ええ、それなのに母親がくじけて
いちゃだめよね…..。」詩織はつぶやくようにそして自分
にいいきかせるように言った。

(次回につづく)
【2006/05/03 21:33】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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