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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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春風(81)
 詩織が入院してから点滴につながれる日々が続いた。
 持続的に点滴を行い始めておなかの張りは落ち着いてきた。
 特につらい感じはなく、悪阻も落ち着いてきていたため
体は楽になった感じであったが、なにしろ暇であった。
 時間が経つのが長い。おなかの子供のためにも安静が
大事だということはわかっていたが横になっている時間
が長いため、ただでさえおなかが張って苦しいところに
腰痛もひどくなりなんとも身の置き所がない状況であった。
 友代に差し入れてもらった本を読んだり、テレビをみて
いてもすぐ疲れてしまって気力がわいてこない。「でももう
少しよ。いつまでもこの状態がつづくわけではないわ。」詩
織は自分に言い聞かせた。週末には悟が見舞いにきてくれ
ていたし、友代は毎日の様に様子をみにきてくれていた。
 詩織の帰省と入院を聞いて高校時代の友人も見舞いに
きてくれた。「私は恵まれているわ……。」大部屋の病室
での患者の面会人はその人の人間関係を如実にあらわに
してしまう。ぜんぜん面会人がこない患者もいるし、
家族と喧嘩をしてしまう患者もいる。自分にはこれだけ
気にしてくれる人たちがいるんだいうことに改めてきづ
かされた。正常妊娠で入院してくる人が多いために
入院患者の入れ替わりは激しかった。気がつくと自分
が一番の病室の古株になってしまっていた。どんどん
他の妊婦が無事に出産を終えて退院していく中で自分
が取り残されてしまっている気もした。そうこうして
いるうちに気がつくと詩織の妊娠も37週に入ってい
た。回診のときに富沢医師は言った。「まずまずです
ね。今の時期ならいつ出産になっても赤ちゃんは大丈夫
でしょう。よくがんばりましたね。」詩織はそれを聞いて
言った。「おかげさまで。有難うございます。」

(次回につづく)
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【2006/06/30 23:44】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(80)
 詩織はその夜に悟に電話をかけた。「もしもし、篠崎
ですが……。」「あなた。私です。詩織です。」「ああ、詩織
か。その後どうだい。」「いまのところは落ち着いているん
だけど、ここのところ少しおなかがはるの。子宮の収縮を
おさえる薬ももらっているんだけどいまひとつみたいで
早産の可能性もあるからっていうことで明日入院になるの。
点滴で薬をつかうみたいで….。」「そうか…..。」「36週に
なるまではなるべくおなかの中にいてもらいたいところ
らしいんだけど…..。先生は多分大丈夫だろうけど大事を
とってということらしいの。」「また入院か、大変だけど
仕方ないよな…..。」「そういうことだからともかく連絡
しようと思って。」「わかった。また週末に見舞いにいく
よ。」「ありがとう。でもあなたあまり無理しなくていいの
よ。時間も交通費だってそんなに馬鹿にできないんだか
ら。」「それはそうだけどな。だがそのままにしていかない
というわけにもいかないだろう。詩織のご両親に完全に
おんぶに抱っこ状態だしね。」「家の両親は結構、娘の世話
を焼くのが楽しみなところもあるからそれはいいんだけど。
それに今回は初孫になるし、楽しみにしてくれているから。
正直なところ、実家ということもあって、ちょっと甘えて
しまっているけど。」「まあなんにせよ、詩織とおなかの子
供が元気ならよかった。」「有難う。そういうことでまた様子
みながら病院から電話するわ。」「ああ、そうしてくれ。な
にかあればすぐにいくつもりでいるから。」「わかったわ、
あなた、ありがとう。あなたもあまり無理しないでね。」
「ああ、そうするよ…..。大丈夫だ……。」悟はそう言って
電話を切った。

(次回につづく)
【2006/06/29 23:50】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(79)
 34週をすぎたころから詩織はおなかがはる感じが
しばしば出現するようになった。早産の可能性もあり
詩織は早めの入院を指示された。富沢は言った。「赤ち
ゃんも大丈夫そうですけど、早産となる可能性があり
ます。できれば36週まではおなかの中にいてくれたほう
が安心ですし、入院で経過をみたほうがよいでしょう。」
「特に今、大きな異常があるというわけではないんです
よね。」「ええ、大事をとってということです。今、子宮
収縮抑制剤も飲んでもらっていますが、それでもおなか
の張りが頻回のようなので…….。」「そうですか….。わか
りました。」診察を終え、バスに乗って実家にもどると
家にいる友代に詩織は声をかけた。「ただいま。」「おかえり
詩織。」荷物をおくと詩織は友代に言った。「ねえ。お母
さん。明日、入院するようにいわれたわ……。」詩織の
言葉に友代は手を止めた。「詩織ちゃん。それって。」
友代のやや驚きの表情を見て詩織は言った。「大丈夫よ、
お母さん。そんな深刻な話じゃないの。ここのところ
おなかの張りが頻回になってきたから、薬をもらって
様子をみてたじゃない。それでもあまり落ち着かないから
早産のおそれもあるから入院でみましょうって話なの。
赤ちゃんは大丈夫。まだ34週で、できれば36週までは
おなかにいてもらった方が安心だということなの。入院
で点滴で様子をみるらしいわ……。」友代はそれを聞いて
すこし安堵の表情を浮かべた。「そう、わかったわ。突然
の話だからびっくりしたわ。」「そう、それで入院のときに
必要なものとか書いてある紙をもらってきたの。準備を手
伝ってほしいんだけどいいかしら。」「そういうことなら
いいわ。その紙をみせてもらっていい?」友代はそう言って
詩織のさしだした紙を手に取った。

(次回につづく)
【2006/06/28 22:37】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(78)
 詩織のつわりは実家に戻ってすこしずつ落ち着いてきて
いた。ともかくも少しずつでも食事が入るようになってき
ていた。ちょっとは外に出て散歩もできるようになった。
 おなかの張りは妊娠週がすすむにつれ強くはなっていた
がひどいつわりが緩和したことは彼女を大分楽にさせてい
た。時々、おなかの中の子供がおなかをけったりするのを
感じることはおなかの中で赤ちゃんが無事に元気に育って
いるのを確認できて詩織を安心させた。

 次の富沢医師の受診日に詩織は予定どおり受診した。
 診察室で富沢は言った。「経過はよさそうですね。
おなかの赤ちゃんも元気そうです。前の受診の時には
前置胎盤気味のように見えたようですが、胎盤の位置
もそんなに悪くないようです。これなら自然分娩でも
大丈夫かもしれませんね。早産の可能性はありそうな
ので、早めに入院してもらうことになるかもしれませ
んけど、今のところそんなに心配はなさそうですね。」
 富沢の言葉に詩織はほっとしていった。「そうですか
有難うございます。」「それじゃ、また来週いらしてく
ださい。また何かあったら連絡ください。」そういって
富沢は詩織を送りだした。

 産婦人科の外来は忙しい。午前中の外来の予約が3時
4時までかかることも珍しくない。3時半ころ午前中の
外来を終えた富沢は昼ごはんもとらずに病棟に上がった。
 病棟では緊急帝王切開を終えた関口がナースステーシ
ョンで入院患者に指示出しをしていた。富沢は関口に
言った。「関口先生。あの先生から頼まれた篠崎さんて
患者さんだけど、先生が記載しているよりはそんなに
前置胎盤のような感じでなさそうだけど…..。」関口は
言った。「そうですか。それはかえって患者さんにと
ってはよかったですね。」「先生、意図的にそう記録
したわけじゃないよね。」「多分、私がエコーで見誤
ったんでしょう。ちょっと私も少し心配性で大きく
とりすぎたかもしれません。」「そう、それならいいん
だけど、うちの病院の外来もパンク寸前だから、かぎら
れた医療資源はできるだけ地元で子供を育てる人達に
まわすべきなんだ。いいとこどりで出産の時だけ
こちらによろしくという患者さんは可能なら別の施設
に行っていただくのが今のうちの方針だから。」「でも
先生。すくなくとも前回受診時はリスク妊娠だと私は
判断したんです。先生が私の判断があやまりであったと
おっしゃるならそれは本当に申し訳ありませんが……。」
「いや、ただどうだったのか確認したかっただけだから
いいよ。なんでも君の高校の時の同級生だということだ
から余計な事を勘ぐっただけだ、かえって私もすまなか
った。」そういうと富沢は病棟の自分の受け持ち患者の
ところに向かった。

(次回につづく)
【2006/06/25 23:19】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(77)
 夕方になって詩織は寝床から起き上がって居間に降りて
きた。それに気づいた友代が詩織に声をかけた。「詩織ちゃ
ん。悟さんがいらしているわよ。」詩織は居間に入ると悟の
姿を確認していった。「悟さん…..。」「詩織、どうだ調子の
方は…..。」「正直、いまだに悪阻がひどくて本当に動けない
感じなの。今もずっと上で休んでいたところ。悟さん、本当
に迷惑ばかりかけてごめんなさい。」「迷惑なんてことはない
よ。とりあえず無事でよかった。勝手にこちらにこられてし
まった時には本当におどろいたよ。」「そうよね。悟さんは
いっしょに週末送っていくっていっていたんだから……..。」
友代が言った。「まあでも無事にこちらについたんだから
良かったと思うわ。どっちにせよこちらにはいずれ来ても
らう予定だったんだし…..。」悟は言った。「そうなんです
けど、結果的にお義父さんやお義母さんに迷惑をかける
ことになってしまって…….。本当はぼくが付き添ってつ
れてきて挨拶しなくちゃならなかったわけですし……..。」
和夫が言った。「悟君、そんなに他人行儀にしなくても
いいから。なんにせよ、娘が家に帰ってくるのはうれしい
ものさ。それに孫がうまれるとなればね…….。だから
それはそんなに気にしなくていいことだから。」「そうよ。
それにうちの詩織が前の事も含めて悟さんに心配ばかり
かけて申し訳ないと思っているくらいだから。」「そうで
すか…….。有難うございます……。」

 悟はその日、藤川の家で夕食をご馳走になって家に
かえることにしていた。友代は1泊するようにすすめ
たが悟はこれ以上迷惑をかけるわけにいかないと固辞し
た。悟が帰る間際に和夫は言った。「悟くん。そんなに
気をつかわないで泊まっていったらどうだい。」「いえいえ
今日は本来するべき挨拶をしにきただけですし、夕食を
ご馳走になったうえに泊まらせていただくわけには……。
それより、本当に申し訳ありませんが詩織のことよろしく
お願いします。」「大丈夫だよ。わかったから…..。」「あなた
気をつけて帰ってね……..。」「ああ、お前も体を大事にして
な……。」悟は和夫に一礼すると駅まで送るという友代の
車の方に向かった。
(次回につづく)
【2006/06/24 22:59】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(76)
 藤川の実家につくと友代は悟を玄関まで案内した。友代は
玄関をあけると中に向かって言った。「あなた。悟さん、こち
らにつきましたよ。」その声を聞いて和夫が中から出てきた。
「どうも、お疲れ様。よくきてくれました。」和夫の言葉に悟
は頭を下げて言った。「どうもお義父さん。今回は本当にご迷
惑をかけてしまって…..。ご挨拶が遅れることになって申し訳
ありませんでした。」「それはいいから、まあ上がって下さい。」
友代も言った。「そうよ、ともかく遠くからお疲れでしょう。
まずは上がって休んでください。」2人に勧められて悟は居間に
通された。「今、お茶を入れてきますから…..。」友代はそう言っ
て台所に向かった。「どうも、お義父さん。ご無沙汰しており
ます。今回は突然に詩織が世話になることになって本当に申し
訳ありません。本来なら私もいっしょにきてお願いの挨拶に
うかがうのが筋なのですが….。ご挨拶が遅れてしまって……。」
和夫は悟を見つめながら言った。「悟さん。そんなことは別
に気にしなくていいんだ。詩織も結構つわりでつらかったら
しくて、勝手にこっちに一人できてしまったらしいしね。
 うちの娘が前の流産の時も含めて、悟さんに迷惑かけてて
こっちが申し訳ないよ。君はよく詩織の事に気をつかっている
のはわかっているから….。余計な気はつかわなくていいから。」
 和夫がそういうと、奥から友代がお茶をもって居間み戻って
きた。「悟さん。それで詩織のことなんだけど、やっぱり調子
が悪くて…..。今も上の部屋で休んでいるの…..。もう少し
たったら起きてこれるとおもうので、そのままにしてあげて
いいかしら……。」友代の言葉に悟は言った。「それは僕は
全然かまいませんが………。」友代はお茶をテーブルに並べ
ながら言った。「それならよかったわ。」

(次回につづく)
【2006/06/24 00:00】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(75)
 その週末に悟が藤川の家に挨拶にやってきた。電車でS駅に
つくと友代が迎えにきていた。悟は友代に声をかけた。「お母さ
ん。どうもご迷惑かけます。」友代は悟の言葉を聞くと言った。
「どうも悟さん。こちらまでご苦労様です。仕事もあるし大変
だったんじゃないですか?」「いえいえ、詩織が非常にお世話に
なってしまって…….。本当にいつもご迷惑かけて申しわけない
です。」「そんなことないわよ。うちも一人っ子だったから詩織
が家をでてしまったら結構さみしいものでね。丁度世話をやく
人がいるくらいがいいのよ。それに実の娘だしね。孫がもうす
ぐうまれるとなれば楽しみだし、迷惑なんてことはないわよ。
それじゃ車こっちによせるからここで待っててもらっていいか
しら…..。」「いっしょにいきますよ。」「いいのよ。ここで待って
て。」友代はそういうと車を取りにいった。

 車の中で悟は友代に聞いた。「それでお母さん。詩織の様子は
どんな感じですか……。」「なにせつわりがひどくてね…..。もう
8ヶ月になろうというのに吐き気が強くて食事もままならない
感じだけど、なんとか頑張って食べては吐いてしまう感じね。
 まあ悟さん。あれじゃ、独りで家においておけないでしょう。
こちらにきたのは正解だったんじゃないかと思うわ…..。」「そう
ですか…..。」「そう。でもこちらに来た次の日に病院にいって
ね、赤ちゃんは元気だそうだからそれは安心してもらっていい
から。」「わかりました。本当にすいません。こちらも付き添って
くるべきものを独りでこさせてしまって。ご挨拶にもこれなか
ったので……。」「いいのよ、悟さん。あなたが一生懸命詩織の
事で気をつかってくれていることはよくわかっているから。
あなたも大変だったでしょう。家についたら少しゆっくりし
てもらっていいですからね……。」友代は車を運転しながら
そう言った。

(次回につづく)
【2006/06/21 23:58】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(74)
 詩織は診察を終え、待合室の母親のところに向かった。
 友代は詩織に声をかけた。「どうだった?」「いまのところ
赤ちゃんは大丈夫みたい。出産のことなんだけど、いままで
も切迫だったこともあるし、あまりうれしくはないんだけど
やや前置胎盤の傾向があるということで遠くでは大変だろう
ってなんとかここで出産できそうよ。」友代はふっと息をつい
て言った。「とりあえずそれならよかったわ。また遠くだと
私たちも大変だしね……。」「一応、喜んでいいんだと思うわ。
でも大変ね。気軽に里帰り出産もできなくなってきている
のね……。」「ああ、市民病院で産婦人科が閉鎖してからここ
も大変らしいってのは話を聞いてはいたけどね。ともかく
これで一安心だね。」「ええ。本当に。」詩織は友代の言葉に
そう答えた。

 家に帰ってから詩織は疲労感と吐き気がひどくなりまた
寝込んでいた。ひきつづき強い吐き気に襲われ、夕食も食べ
られないで寝込んでいた。そんななか和夫が家に帰ってきた。
 「ただいま。」出迎えた友代に和夫は声をかけた。「お帰り
なさいあなた。」和夫は友代を見ていった。「ああ、それで
詩織はどんな感じだった。」「今、疲れて寝てしまっています。
やっぱり吐き気がひどくて食事はたべられそうもないって
夕食も食べずに横になっています。でも赤ちゃんは元気な
ようですよ。」「そうか….。」「病院も今大変みたいでとくに
問題ない妊婦さんはこの子の週数だともう受け付けないら
しいですけど、この子は色々あって大変だから何かあった
ときに対応できないとこまるだろうってうけてくれたみた
いです。」「そうか。それならとりあえず安心だな。結構、
里帰り出産断られているみたいだからね。実家にもどって
はみたもののってことにならなくてとりあえずよかった。」
「でも、あの子の悪阻は本当にかわいそうなくらいです
よ。本当に食事はほとんどたべられないし、顔はやせ細って
しまって。」「まあそうだな。私は最初に詩織の顔を見た
時はびっくりしたよ。でもまず赤ちゃんが元気でよかった。」
 そういいながら和夫は荷物を友代に渡し居間にむかった。

(次回につづく)
【2006/06/20 23:17】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(73)
 詩織が所定の検査を終え、中待合で待っていると呼び出し
音が鳴った。「篠崎さん。篠崎詩織さん。第2診察室にお入り
下さい。」 詩織はドアをノックし診察室に入った。関口医師
は少し以前より太ったが高校のときの面影は残っていた。
詩織が診察室に入ると関口は言った。「どうも。篠崎さん。
ええと旧姓は藤川でしたっけ。おひさしぶりです。」詩織は
知り合いの医師に診察されるのは少し抵抗はあったか、里美が
気をつかってわざわざ回してくれたこともあり軽く頭をさげて
返事をした。「お久しぶりです。関口君も立派になって。」「そん
なことはないですけどね。ええと里帰り出産ということですね。
今回が初診と。今が丁度28週にはいるところですか。出産予定日
は3月4日になりますね。」「あの、関口君、でなくて先生。受付
の里美から聞いたんですけど、こちらの病院では里帰り出産は
受付られない場合があるってきいたんですけど。」「そうですか。
そうですね。この周囲の産婦人科もどんどん閉鎖してきてし
まっていまして、しかもうちのS市の市民病院も昨年に産婦人科
を閉鎖してしまってこの病院に妊婦さんが押し寄せてきている
んですよ。それで出産の予約も半年先まで埋まってまして…..。
まあその説明は後でしますけどまずは診察を…..。」関口の言葉に
詩織は少し不安を感じながら内診室に向かった。
 診察とエコーを終え、詩織は診察室に戻って、関口と向かい
あった。関口は説明を始めた。「篠崎さん。今診察させていただ
いたところでは赤ちゃんは元気なようです。結構、切迫流産で
長く入院する事になってしまったようで大変でしたね。エコーで
は胎盤はやや前置胎盤気味になっていますね。切迫流産という
こともありますしやや出産にリスクを伴いますのでご実家から
遠隔での移動はちょっと大変でしょう。特に異常なくリスクの
低い方ならこの週ではもう市外の病院をご紹介するのですが
篠崎さんの場合はここで受けさせていただいた方がよいでし
ょう。引き続きここで見させていただきます。状況によって
は予定の帝王切開になるかもしれません。」「そうですか。あり
がとうございます。」「今後のフォローですけどどうしますか?
私は知り合いですし、私が担当だとやりづらければ他の医師に
事情をお話して担当医になってもらいますが…..。」詩織は少し
考えて言った。「いいの?関口君?」「いいんですよ。こっちも
高校の同級生は少しやりづらいんだ…..。」「じゃあ、悪いけど。」
「わかりました。それでは次回、富沢医師の外来を予約させて
いただきますので……。」関口はそういって詩織を送りだした。

(次回につづく)
【2006/06/18 19:46】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(72)
 詩織が実家についた次の日、詩織は近くの総合病院の
産婦人科を受診した。産婦人科の窓口に総合受付で渡さ
れたファイル類を提出したとき詩織は声をかけられた。
「あら詩織ちゃん。久しぶり。」ふと窓口の中の顔をみる
と高校のときの同級生の里美だった。「里美ちゃん。病院
に勤めていたんだ。本当に久しぶり。」「本当に…..。詩織
ちゃん東京にいってからこちらにはあまりもどってこれ
なかったものね。」「そう。今回妊娠して里帰り出産する
つもりで帰ってきたの。今日はこっちの病院ははじめて
よ。」里美は周りを見回して少し声を落として言った。「詩
織ちゃん。今何ヶ月?」「今7ヶ月の後半くらい。」「あのね。
うちの病院、半年以上先まで出産予約入っていて、もしか
するとここでの出産断られるかもしれないわよ。」詩織は
一瞬言葉を失った。「隣の市でも去年3施設で出産やめて
いてうちの市の市民病院も出産をとりやめてうちの病院
にも患者さんが殺到していて、里帰り出産を断っている人
もでているの。」「でもここで断られたらどこで産むの?」
「市外の病院を探してもらうしかないかもしれないわ。」
表情が硬くなった詩織に里美は言った。「詩織ちゃん。ごめ
んなさい余計なこと言って。でも多分大丈夫だと思うわ。
幸い、今日の外来の担当医の一人はうちらの高校の同級生
の関口君なの。彼ならうまく融通きかせてくれるかもしれ
ないから….。そっちの診察室にカルテ回しておくから…….。」
 里美はそういうと軽く礼をして奥に入っていった。詩織
は少し唖然としながら待合室の友代の傍に行った。「お母さん。」
「どうしたの詩織?」「今、窓口で里美にあったの。」「里美ち
ゃん?」「高校生の時の同級生なんだけど。」「あら、また奇遇ね。」
「里美の話だともしかすると里帰り出産断られるかもしれない
って。」友代は詩織の言葉を聞いて一瞬黙ってから言った。「詩織
ちゃん。うちの通りの向かいの小松さんとこの恭子さん覚えて
いるかい。」「ええ。」「10月に里帰り出産したんだけど、ここの
病院に断られて結局千葉市の病院で産んだのよ。病院さがすの
大変だったらしいわ。」「じゃあ。」「あながちあなたの友達の
言っていることもうそじゃないかもしれないわ…..。」友代は
つぶやくように言った。

(次回につづく)
【2006/06/17 22:41】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(71)
 和夫は言った。「たしかに流産したり、切迫流産に
なったりで大変だったのはわかるが、今のところは
おなかの子供は落ち着いているわけだろう。悟くん
もかなり気をつかってくれているみたいだし、お前
は恵まれているよ。世の中にはなかなか妊娠できな
かったり流産を繰り返す人もいくらでもいる。支え
てくれている人もいる。もう7ヶ月に入ってきている
わけだし流産の可能性はかなり低いわけだから...。」
 「そうね。それはそう思うわ....。でも本当に今回
の悪阻はあまりにもひどくて....。正直、このまま
だと死んでしまうんじゃないかと思うくらいだったの。
 今も結構、吐き気がひどいんだけど、こちらについ
て少し休めたからちょっとよくなったわ。でも父さん
がいうように、私も悟さんには本当に感謝しているわ。
 前回の時もかなり迷惑をかけてしまったし、今回
も結構迷惑かけてしまっているから.....。でも決し
て文句をいうでもなく支えてくれていて。本当に助か
っているわ....。」「そうか。」「実際、出産がこん
なに大変なことだって分からなかったから...。自分
が甘く見ていた点はあったかもしれない。やはり年
をとると流産も多くなるし、つわりもひどくなるみた
いだし....。私ももっと若ければ楽だったのかもしれ
ないけど.....。30になってしまっているし。悟さん
のお母様にもあなた出産や育児を簡単に考えすぎて
いないって言われたけど的を得ていた点もあったの
かもしれないわ....。」友代が横から口を挟んだ。
「まあそれはどうかわからないけど、出産は人生の
大仕事だから.....。人の親になるというのは大きく
視点が変わるものよ。私もあなたを産んで自分の母親
がどれだけ自分の事を思っていたか初めてわかったわ。
 人は生まれてきてから一人前になるまでに多くの
人々に支えられて生きてきているの。誰にも愛され
ないで生きてきて人なんていないわ。みんな誰かに
オムツを替えてもらって、食事を食べさせてもらって
大きくなっていくの。だれしもがオムツを替えてくれ
た、食事を与えて育ててくれたその人を愛してつくして
くれた人がいたからこそ一人前になれたんだって。そん
な当たり前の事に気づかされたわ。誰かの犠牲が奉仕
があってこそ人は生きているし、生きてこれているんだ
って思えるようになった。私はあなたを産んで幸せだ
った。あなたもこの子を産んで育てたらきっとそう思
えると思うわ.....。」

(次回につづく)

 今日も少し帰りが遅くなりましたがなんとか帰ってこ
られました。患者さんの状態は大分落ち着いたのでこの
週末は少しゆっくりできそうです....。
【2006/06/16 23:55】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(70)
 「いずれにしてもこちらで出産するつもりだった
し、そろそろこちらの病院を受診しなくてはならない
時期ではあったの。切迫流産でずいぶん長く入院にな
ってしまったから慌しい感じになってしまったけど。
明日にも病院を受診しようと思っているわ…..。」詩織
は和夫にそう言った。「そうか、おなかの子供は大丈夫
なんだろうな。」「大丈夫。こちらは本当につわりでへろ
へろだけど、時々元気におなかを蹴っているわ。おなか
の上のあたりを蹴られると、ただでさえ悪阻で気持ち
悪いのにもっと苦しくなるの。でも元気でいてくれる
ならそれで全然安心するんだけど。」「ふん…。そうか。
こちらは実の娘がくるのは全然問題ないが……….。
悟くんは大丈夫なのか?」「さっき電話したわ。やっぱり
かなり驚いていたわ。でも来てしまった以上しょうが
ないだろうって。今から連れ帰したってどうしようも
ないし、こちらの病院にはそろそろ受診しなくては
ならなかったわけだし……。もともと今週末にこちら
に悟さん私を連れてきてくれるつもりだったから…..。
 こちらに私を預ける形になるから本当はお父さんに
お願いの挨拶をしたかったらしいわ……。今週末に
ともかく挨拶にくるって。」「そうか…..。わかった。
まあいずれにしても今回は元気に子供を生んでもら
わないといけないからな……..。」「でも正直、お父さん。
私、こんなに出産て大変だとは思わなかったわ。もっと
楽なのかと思っていた。ぎりぎりまで職場ではたらい
ている人とかたくさん見ていたし…..。なんでわたし
だけが….。って思いが強かった。前は流産で今回は
切迫で長期に入院なんて…..。」「みんな口には出さない
が苦労しているんだ。決してお前だけじゃないんだから
な。物事悪く考えれば悪い方にしか考えなくなるから..。
 子供を産んで育てるというのはともかく大変な事な
んだから。親がどれだけ子供のために犠牲をはらっている
かなんて親になってみなくてはわからない事だよ。母
さんもよく言ってたよ。自分で子供を産んでみてどれ
だけ自分が自分の母親に愛されていたか初めてわかった
って。それだけ苦労して産んだ子は本当に可愛いと思える
さ…..。」和夫は娘を諭すように言った。

(次回につづく)

 今日はなんとか日にちが変わる前に帰ることができまし
た。でも明日は当直です。先週末からまともに起きている
娘の顔をみることができないまま時間が経っていきます。
 7月中旬に学会があり(幸か不幸か)演題が採用されて
しまったので準備もはじめなくてはならなくて少々あせり
モードです。ここのところ急激に忙しくなってきました
が仕事量には波があるので踏ん張っていこうと思います。
 来週は予定手術がすいているので少し余裕ができるので
はないかと思っていますが……。読者の方々には心配かけて
しまってすいません。でもなんとか元気(ちょっと疲れ気味?)
でがんばっています。
【2006/06/14 23:51】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(69)
 夜になって和夫が帰ってきた。和夫を玄関に迎えた
友代は和夫に言った。「お帰りなさい。あなた。」「ああ
ただいま。」「あなた。あのね。詩織が帰ってきてるの。」
和夫は少し驚いた顔をしていった。「ええっ。そんな
話はなかったよな。悟君もいっしょなのか。」「いいえ。
詩織独りできたのよ。」「独りって。だって身重の身だ
し、第一、退院したばっかりだろう。どういうことだ
い。悟君が独りでよこしたのか?」「どうやら話をした
ところ、詩織が勝手に独りで帰ってきてしまったみた
い。悟さんはこの週末に送ってくれるつもりだったら
しいんだけど…..。」「勝手に独りって…..。何かあった
らどうするつもりだったんだ。まあいい。ともかく
詩織の話を聞いてみよう。詩織はどこにいるんだ。」
「あなた。あんまり余計なこといわないで頂戴。詩織
もくたくたになってるんだから。」「わかってるよ。」
和夫はそういうと荷物を友代に渡し、家の中に入って
いった。居間にはいると詩織がテーブルのところに
座っていた。「お父さん。お帰りなさい。」詩織は和夫
の姿を見つけて言った。和夫は詩織の顔つきをみて息
を飲んだ。ずいぶんやつれたな……..。「ああ。ただ
いま。まあよく来たな。」和夫は驚きを隠すように言
葉を濁して言った。和夫の返事を聞いて詩織は言った。
「本当に突然ですいませんけど出産までこちらに居さ
せてください。」「居させるもなにも押しかけられて
身重のお前に帰れとはいえないよ。まあ、それはい
いが…..。悟君はなんて言ってるんだ。なんでも勝手
にこっちに一人で来たんだって?」「ええ。お父さん
そうなの……。」「全く、無茶して。なにか途中であっ
たらどうするつもりだったんだ。またえらい痩せて
しまって。食事はとれているのか?」「つわりで全然
だめなの。においで気持ち悪くなってしまって…..。」
「そうか。いずれにしても大変だったな……。」和夫
はそういうと椅子に座った。

(次回につづく)
 
 この週末は緊急手術の術後の患者さんの状態があまり
かんばしくなく、少々忙しくなってしまってブログを
更新する余裕がなくなってしまっていました。ちょっと
落ち着いたので今日は午後は家にいられました。
 明日は大きな手術が入っているので(8時間位かか
りそうな)今日は早めに休みます。夜間呼び出しがな
いことを祈りたいです…..。
【2006/06/11 21:02】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(68)
 「わかっているわ。前のこともあるし、もう無理は
しないわ….。今日のことは本当にごめんなさい。でも
…..。」悟は詩織の言葉をさえぎった。「もういいさ。す
んだことだし。週末にはなんとか時間をつくって挨拶
にうかがうから。またいける時間が決まったら連絡
するよ。病院はなるべく早く行っておいた方がいいか
もしれないよ。なにか異常があっても困るしな。」「ええ
明日の体調みて考えるけど、できれば明日病院にいこう
と思っているわ。お母さんが朝一番にいって受付の番号
とってくるからっていってくれたし….。でも本当に今日
は強行軍だったわ。出てきた事を一時は後悔していた
くらいだったから。なかなか会社の友人にいっしょに
つきそってくれと頼むわけにもいかないし、いざとなる
と頼める人っていないものよね。」「そうだな。なんだか
んだいって、皆自分のことで精一杯だからな。相手の
事を考えると気軽には頼めないもんだよな。まあ今後
の事はまたそっちに言ったときに話そうか。」「そうね。
明日病院に行った結果はまた連絡するわ。」「わかった。
そうしてくれ。」悟は答えた。「あなた。」「うん。なん
だい?」詩織は少しおいて言った。「前の子供の事もあ
るし…..。いつも迷惑かけてごめんなさい。」悟は言った。
「あんまりくだらないこと気にするな。物事やるだけの
事をやって、あとはなるようにしかならないんだから。
 別に迷惑なんて思ってないから大丈夫だ。俺はお前が
無事ならそれでいいから。かえって本人が帰りたい時
についていってやれない自分が情けないくらいだから。」
「あなた……。」「じゃあ、今、まだ外だから電話切る
ぞ。明日気をつけて病院いってこいよ。」「ええ。そうす
るわ。有難う、あなたも仕事頑張ってね。」「ああ。じゃ
あな。」詩織は悟の言葉を聞いて電話を切った。この人
といっしょで良かったわ…..。詩織は改めてそう思った。

(次回につづく)
【2006/06/07 23:42】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(67)
 詩織は居間に行き、椅子に腰を下ろした。ずいぶん長い
一日だった……。友代のいれてくれたお茶を口にする。
悟さん、きっと心配しているだろうな…….。やっぱり
悪いことしたな…..。ぼんやりと詩織はそんなことを考えて
いた。居間で一息ついてから詩織は電話をとり、悟に電話
した。ほどなく悟が電話に出る。「もしもし篠崎ですけ
ど…..。」悟の声に詩織が答えた。「もしもし、詩織です。
あなた。今日はごめんなさい。」悟が一瞬黙った。詩織
がつづけた。「一応、無事に千葉の実家につきました。
あなたに無断で勝手にきてしまってごめんなさい。」悟
は言った。「全く、無茶して…….。ともかく無事につい
たならよかった。よく家、一人で出られたな……。
本当に勘弁してくれよ。行く途中で何かあったら
どうするつもりだったんだ?」悟の心配は当然だった。
だが詩織にしてみればあのままの状態で5日間も一人で
家にいる方が恐ろしかった。そのことを言いたかったが
ぐっと言葉を飲み込んだ。実際、悟を驚かせてしまった
のは事実なのだから…..。書置きを見つけたときの悟の
気持ちを考えると余計な事は言えなかった。「あまり
考えなかったわ。それは……。ともかく必死だったの。
もちろんあなたといっしょに来たほうがよかったわ。
でも家に一人でずっといるのはどうしても耐えられ
なかったの。ともかくごめんなさい。」悟はふーっと
息をつくと言った。「まあ。無事についたんなら
良かったよ。もし勝手に一人でいかせてお前になにか
あったら藤川のご両親に申し訳がたたなくなるところ
だったよ。ともかく今後こんな勝手な真似はやめて
くれ。おかあさんに電話してお前の無事を聞いてほっと
胸をなでおろしたんだから。ともかく今週末は僕も
そっちにいくようにするから…….。」「ええ、わかった
わ。」「ともかく無茶しないでくれよ。退院してまだ
たいして日も経っていないんだから。」悟は穏やかな
声で詩織を諭すように言った。

(次回につづく)

 明日は当直のためブログはお休みします。
【2006/06/05 22:32】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(66)
 詩織が目をさますと時計は午後の7時をすぎて
いた。目をさましたあと一瞬彼女はどこにいるかわか
らなかった。見慣れた実家であることに気づいてふと
思った。「そうだ…..。なんとか家にもどってきたん
だっけ…….。」ふらふらで今にも倒れそうで、今にも
吐きそうな状態で列車を乗りついできたのを思い出し
た。悟にだまって出てきたことも思い出した。「そうだ。
はやく悟に電話しないと……。」詩織は寝床からもぞもぞ
と起きだすと部屋を出た。友代が詩織が起きたことに
気づいて声をかけた。「詩織ちゃん。大丈夫?」友代の
姿を確認して詩織は答えた。「なんとか大丈夫そう。
でも本当に気持ち悪くて…..。父さんも帰ってきたの?」
「まだよ。今日はなんでも会合があるとかで遅く帰って
くる予定だから……。でもあなたが帰ってきてるってい
ったらきっとびっくりするわ……。夕食はたべられそ
う?」「有難う。でもとてもたべられそうにないわ…..。
ともかく胃のあたりがむかむかしてしまって。なにか
口にいれようとしたら吐いてしまいそう…….。」「そう。
ずいぶんやつれたしね…..。駅であったときは詩織ちゃん
大丈夫?って思ったもの…..。もう少し休んでいるかい?」
「いや、ともかく悟さんも心配していると思うから、今日
はまっすぐ家に帰るっていってたし、連絡とらないと…..。」
「悟さんからはさっき電話あったわよ。あなたのことよろ
しくって。ともかく連絡欲しいと思うから連絡してあげ
たほうがいいわね…..。悟さん、特に怒ってはいない感じ
だったけど……。外で食事してくるから携帯に電話して
くれっていってたわ。」「有難う、母さん。ちょっと電話
かけてみるわ。」「とりあえず、居間にいって休んでおいで
今、お茶いれるから…..。それから電話すればいいよ。」
「わかったわ、母さん。」詩織はそう答えて居間に向かった。

(次回につづく)
【2006/06/04 21:18】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(65)
 悟は詩織が心配で仕事を終えるとすぐに会社から帰って
きたので夕食もとっていなかった。どうするか…..。まあ
今日のところは外で食べるか……。詩織の書置きをみなが
ら悟は考えた。だがまず詩織のところに連絡をとらないと
……。悟はそう思って自宅の受話器をとった。詩織の実家
の電話番号をまわすと電話には友代がでた。「もしもし、
こちら篠崎悟ですが…..。」「あら、悟さん。どうも今回は
詩織が迷惑かけて申しわけなかったですね….。」友代の
言葉に悟は言った。「いいえ、こちらこそ。突然に詩織が
そちらに行ってしまったみたいで本当に申し訳ありま
せん。本当は私もいっしょについていってお願いしなく
ちゃならなかったんですが……。」「そんな…….。こちら
はいいのよ。いつきてもらっても。でもかなり詩織調子
悪いみたいでね。確かに悟さんが家にいないときはちょ
っと一人にしておくのは心配な感じね……。また病院に
もつれていくしこちらはなんとか私の方でやっていける
と思うから……。まあ悟さんは心配しないで大丈夫よ。」
「そうですか…..。それでお母さん。詩織と話をしておき
たいんですが……。」「今、ちょっと休んでて寝てるとこ
ろだから詩織の方から連絡させますから……。」「わかり
ました。本当に今回の件ではご迷惑をかけて申し訳あり
ませんでした…….。今週末には一回そちらにお伺いさせ
ていただきますので……。今自宅に帰ってきたところで
すが、夕食だけ外で食べてきますので、連絡は僕の携帯
に電話をかけるように言っていただけますか?」「わかり
ました。でも、悟さん。あんまり無理しなくて大丈夫だ
から。とりあえずそんなに心配しなくていいからね。」
そういって友代は電話を切った。

(次回につづく)

【2006/06/02 23:17】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(64)
 「それで悟さんは今回のことは黙っているの?」友代
の問いに詩織は答えた。「ええ、今日はだまってでて
きちゃった。悪いかなと思ったけど、そのほうが悟さん
にとっても安心だと思うし…..。家で一人で動けなくな
ってしまってもどうしようもないし……。怒られる
とは思うけど、無理しても帰ってきたほうがいいかと
思ったの……。」「そう…….。まあ家についたら休んで
もらっていいから。もう布団も引いておいたし……。」
「本当に母さんごめんなさい。なにから何まで…….。」
「でも父さんも驚くと思うわ……。仕事から帰ってきて
娘が一人で帰ってきたってきいたらね。少し横になって
休んでから悟さんには連絡いれなさいよ。」「ええ、そうす
るわ。ともかく東京の友人達も仕事もってたり、家族
のこともあるから色々頼めないし、動けなくなってし
まった状態で悟さんが仕事にいってしまって一人の状態
じゃ本当にどうしようもなくなってしまうの。ちゃんと
話をすれば悟さんもわかってもらえれと思うわ。」「でも、
そんな状況だとは思ってなかったから。私が行ってあげれ
ばよかったかしら……。」「そんな、母さん。どっちみち
こっちで産むつもりだったし、こっちの病院にもそろそ
ろいかなくちゃならないんだから。どっちみちこっちに
もどってこなくちゃならなかったのよ。だからそれが
少し早くなっただけ。母さん達に迷惑をかけてしまって
申しわけないけど。」「迷惑なんかじゃないわよ。父さん
も娘が帰ってくればうれしいと思うしね。」友代はそう
言って車を走らせた。実家につくと詩織の荷物をさっさ
と友代は家の中に運び込んだ。そして詩織にお茶をふる
まって一息つかせたあと、休むようにすすめた。
「じゃあ、つかれただろうからちょっと休んでおいて。」
「有難う、母さん。」「でもずいぶん顔がやつれてかわ
いそうに…….。」友代はそういうとふすまを閉じて
詩織の休む部屋を出た。

(次回につづく)
 昨日は夜間の呼び出しで更新できませんでした。また
少し忙しくなってきていますが、休み休み続けていきま
すので今後ともよろしくお願いします。
【2006/06/01 23:39】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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