陣痛に唸る詩織のそばにいる友代はマナーモードに していた携帯が鳴っているのに気がついた。友代は 詩織に一言いって部屋の外にでて受話器をとった。 時計は3時半を過ぎたところだった。「もしもし 藤川ですが。」「もしもし、こちら篠崎です。」「ああ 敏子さん。ご苦労さまです。どうですか悟さんは。」 「いまさっき手術が終わって説明をうけたところで す。肝臓が裂けてそこから出血していたようなんで すがうまく出血をとめることができたようです。 まだ予断はゆるさないけど、とりあえずは危機的 な状況は脱したみたいです。」「それは良かった。敏子 さんもご苦労さまです。」「おかげさまで。全く、一番 大事なときに事故にあってしまうなんて,,,,,。ご迷惑 かけて申し訳ありません。」「そんなことはないですよ。 それでどんな感じの事故だったんですか?」「警察の 方の話だと相手は盗難車でしかも飲酒運転だったらし くて,,,,,。免許証まで偽造で身元もはっきりしないら しいです。向こうが信号を無視して交差点につっこんで ハンドルを切り損ねてスピンしながらこちらに突っ込 んできたらしくて…..。」「それはまたひどい話ですね。」 「警察もまだ充分に相手の素性をつかめていないらし くて詳しいことは教えてくれなくて….。でも堅気の 人間ではないことは確かみたいです。相手も別の病院 に運ばれたらしいんですが…..。」「そうですか…..。」 「でもまあ一命はとりとめたようなので…..。それで 詩織さんの方はどうですか?」「子宮口も大分開いて きたということで朝方には生まれてくるんじゃない かって言われています。今は本人は陣痛でかなり 苦しんでいますけど。」「そうですか。友代さんもご苦 労様です。悟の方も落ち着いたらなるべく早めにそち らに主人と伺いますので…..。」「わかりました。気を つけていらしてください。」「ありがとうございます。」 友代はそういって電話を切った。
(次回につづく)
【2006/07/25 06:42】
春風 |
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