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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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春風(94)
 やはり11時ごろ管理画面に入れなかったので朝アップし
ます。

 朝9時半頃、詩織は分娩台の上で唸っていた。「はいお母
さんきばって!」 助産婦の声に詩織は額に脂汗を滲ませな
がら息んでいた。「もう赤ちゃん頭でてきてますよ。」これで
もかという痛みが襲ってくる。思い切りいきむと一気に赤ち
ゃんが引き出された。看護師が赤ちゃんを布で包んで、鼻か
ら吸引をすると赤ちゃんは元気に泣き出した。「お母さん、
赤ちゃんですよ。」看護師が詩織の目の前に赤ちゃんをもっ
てきて詩織に見せた。元気に泣く赤ちゃんに詩織は安堵の
表情を浮かべて言った。「かわいい…….。」

 後産を終え、出産時に少し裂けた会陰部を縫合してもらって
から病室に移った。友代は戻ってきた詩織に言った。「よく
頑張ったわね。お疲れ様。」「有難う、お母さん。ほっとした
わ。」「ともかく少し休んで、ほとんど徹夜状態だったでしょう。」
「そうよね。また少しすると授乳の時間になってしまうし….。」
「私たちも少し遅い朝食を外で食べてくるわ。」「わかったわ。
母さん達本当に有難う。」詩織は少し笑顔を見せて言った。

 友代と司郎は病院の近くのファミリーレストランに入った。
 司郎は友代に言った。「なあ。悟くんのこといつ詩織に話し
たらいいかね。」「でも無事に出産も終えたし、今日話をした
方がいいでしょう。篠崎のご両親も今日、こちらにこられる
つもりのようですし…..。」「そうだな。向こうも無事に手術
を終えたようだしな。しかしもらい事故とは悟くんも災難
だったな。」「しかも相手方が無保険で、支払い能力がないと
なるとちょっと…..。話だと、バックにその筋の人もついて
いるみたいで……。それはもう警察とレンタカー会社の保険
の人にかかわってもらうようにするしかないでしょうね….。
でも子供も生まれたし、まずは悟さんに元気になってもら
わないと。」「ああ、ともかく命に別状ない状況ならよしと
しないといけないかもしれないな…..。」司郎はつぶやくよう
に言った。

(次回につづく)

 来週夏休みをもらいました。7月30日から8月3日まで
実家に行ってきます。

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【2006/07/27 06:48】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(93)

 陣痛に唸る詩織のそばにいる友代はマナーモードに
していた携帯が鳴っているのに気がついた。友代は
詩織に一言いって部屋の外にでて受話器をとった。
 時計は3時半を過ぎたところだった。「もしもし
藤川ですが。」「もしもし、こちら篠崎です。」「ああ
敏子さん。ご苦労さまです。どうですか悟さんは。」
「いまさっき手術が終わって説明をうけたところで
す。肝臓が裂けてそこから出血していたようなんで
すがうまく出血をとめることができたようです。
 まだ予断はゆるさないけど、とりあえずは危機的
な状況は脱したみたいです。」「それは良かった。敏子
さんもご苦労さまです。」「おかげさまで。全く、一番
大事なときに事故にあってしまうなんて,,,,,。ご迷惑
かけて申し訳ありません。」「そんなことはないですよ。
それでどんな感じの事故だったんですか?」「警察の
方の話だと相手は盗難車でしかも飲酒運転だったらし
くて,,,,,。免許証まで偽造で身元もはっきりしないら
しいです。向こうが信号を無視して交差点につっこんで
ハンドルを切り損ねてスピンしながらこちらに突っ込
んできたらしくて…..。」「それはまたひどい話ですね。」
「警察もまだ充分に相手の素性をつかめていないらし
くて詳しいことは教えてくれなくて….。でも堅気の
人間ではないことは確かみたいです。相手も別の病院
に運ばれたらしいんですが…..。」「そうですか…..。」
「でもまあ一命はとりとめたようなので…..。それで
詩織さんの方はどうですか?」「子宮口も大分開いて
きたということで朝方には生まれてくるんじゃない
かって言われています。今は本人は陣痛でかなり
苦しんでいますけど。」「そうですか。友代さんもご苦
労様です。悟の方も落ち着いたらなるべく早めにそち
らに主人と伺いますので…..。」「わかりました。気を
つけていらしてください。」「ありがとうございます。」
友代はそういって電話を切った。

(次回につづく)

【2006/07/25 06:42】 春風 | トラックバック(0) | コメント(1) |
春風(92)
 システム障害で昨日の夜はアップできずコメント欄にアップしていた分をアップしておきます。

悟が手術室に入ってから2時間半ほどが経過していた。
 待合室で待っていた司郎と敏子は黙りこくったままだった。
 看護師が2人に声をかけた。「篠崎さんのご家族の方。手術
が終わりました。先生のほうからご説明がありますので来て
いただいて宜しいですか。」司郎ははっとすると「はい。」と答
えて敏子の方をみた。「大丈夫か。手術終わったって。いくぞ。」
敏子は立ちながら答えた。「わかっています。」2人は看護師に
誘導されて手術室の脇の面談室に入ってすすめられた椅子に
座った。しばらくしてnakanoが入ってきた。

 私は面談室のドアのノックして面談室に入った。面談室では
心配そうな表情を浮かべたご両親が待っていた。「まずはお疲れ
さまでした。手術は無事に終わっています。」私がそう話すと
2人の表情は少し和らいだ。「かなりの出血があって手術中も
血圧を保つのが大変でした。お腹をあけるともうお腹の中は
血の海でした。肝臓はCT写真で見たとおりで左側の肝臓の
内側の部分、内側区域といわれる部分ですがここに亀裂が走
っていました。ここを通る門脈の枝が損傷しておりここから
出血したようです。この血管の亀裂を修復したところ大きな
出血は止めることができました。あとは細かい出血をとめて
きて亀裂の部分に大網といわれる脂肪の膜をつめてきていま
す。再出血の可能性も否定できませんので出血したらわかる
ようにドレーンという管を肝臓の周りに入れています。」私は
面談室のホワイトボードに図を描きながら説明した。「あのま
ま放置していたら朝まではもたなかったと思います。手術を
してなんとか一番ひどい状態は脱したと考えます。」敏子は
少し目に涙を浮かべて言った。「良かった。先生、有難うご
ざいます。」私はつづけた。「まだこれからです。手術は無事
に終わりましたが、今後大きな合併症を起こさないともかぎ
りませんから。若い方ですしこれで大方うまくいってくれる
と考えていますけど、再出血の可能性も全くないわけではな
いですし、ある程度状態が落ち着かないと安心はできません。
 ともかく今日はICUで経過をみさせていただきますので。
 万一なにかあればすぐご連絡させていただきます。ともかく
今日はご家族の方もお疲れ様でした。」私がそう言うと2人は
「こちらこそどうも有難うございました。」といって頭を下
げた。

(次回につづく)

【2006/07/24 06:23】 春風 | トラックバック(0) | コメント(3) |
春風(91)
 亀裂部からはそれでもじわじわと出血が認められた。
 亀裂部をガーゼ圧迫しながら視野を確保するために
三角靭帯を切離し左葉の授動をはかった。充分に視野
がとれるまで授動をはかったところで外回りの看護師
が言った。「血流遮断から15分です。」一回、遮断
鉗子をはずして10分待つ。肝臓の血流を長時間遮断
しつづけると肝臓が不可逆的な障害を受けるので15分
遮断、10分開放を繰り返して手術する。「10分経ちま
した。」看護師の声に再び血流の遮断を行い亀裂部の
圧迫ガーゼをはずした。島田が吸引しながら視野を
つくる。亀裂部の奥に肝内門脈が裂けてそこから出血
しているのが確認された。門脈の内側区域枝のよう
だった。「5-0プロリンを。」私は看護師から受針器を
うけとり、亀裂部を閉鎖した。そのほかは幸いにも
大きな出血はなさそうだった。細かい出血を止めて
大体の止血が終わったところで一回遮断鉗子をはず
して止血を再度確認する。大体の止血を終えたとこ
ろで温生食で洗浄した。島田が言った。「断端はどう
する。亀裂したところあわせておくか?」「いやとり
あえずタココンブをあてて大網充填しておこう。」「わか
った。」我々は亀裂部に大網充填してドレーンをいれ
閉腹にかかった。そのとき部長が手術室に訪れた。
「どうもご苦労さん。どうだった。」「内側区域で
亀裂があって門脈の枝がさけて出血していたよう
です。出血していた血管壁を修復したら多きな出血
はとまりました。今回は止血だけで逃げてこようと
思っています。」私は答えた。「うむ。まあそれでいい
だろう。」部長はシャーカステンにつるされたCTを
みながらそう言った。私は手術がともかく無事に終わる
目処がついたことで少し胸をなでおろしていた。

(次回につづく)

 明日は当直になります。ブログお休みですがすいま
せん。
【2006/07/21 23:50】 春風 | トラックバック(0) | コメント(1) |
春風(90)
 MAPを急速輸血しながら手術室に患者を運ぶ。
手術室の看護師に患者を引き渡して更衣室で術
衣に着替える。助手として呼び出した同僚の島田
と行きかった。「すまない休みのところ。」「ああ、
大丈夫だ。よろしくな。」着替えて手術室にいくと
麻酔医の道場が私の顔を見て言った。「時間が無い
んだろう。ここは任せてさっさと手を洗ってきて
くれ。」私は一礼すると手洗いに入った。「CTみた
けど結構きびしそうだな。肝切除しないとだめ
かね。」島田は言った。「なんとか出血源の止血だけ
ですめばいいんだけど…..。一応、部長にも連絡し
てある。遅れてくるけど2人で始めておいてくれっ
てことだった。手に負え無そうだったらプリングル
して断裂部をタンポンして待っててくれっていって
たよ。」「まあ開けたとこでの勝負だな。」「ああ。」
私は答えた。手洗いを終えて手術室に向かう。手早く
準備を行い手術を開始する。準備が整ったところで
私は道場に言った。「はじめてよろしいでしょうか?」
「どうぞ。」道場は答えた。メルセデスベンツ切開で
開腹する。心電図のモニタ音の間隔から脈拍が速いこ
とがわかる。腹膜に透けて血液が貯留しているのが
確認される。私は道場に言った。「腹膜これから開け
ます。血圧下がるかもしれません。」「わかった。」「あ
けたら血液噴出してくるから吸引よろしく。」島田は言
った。「ああ。」電気メスで腹膜を開けて、ミクリッツ
鉗子で把持すると大量の血液が腹腔から溢れ出てきた。
 手早く腹膜を切開し充分な視野を確保するように
鉤引き器をセッティングする。お腹の中は血の海だっ
た。肝の内側区域に亀裂が走っているのがわかる。島
田が必死に吸引して視野を確保しようとしていた。
 道場もポンピングで急速輸血して血圧を必死に保とう
と努力していた。急いで胃の小網を開けてウィンスロ
ー孔に左の人さし指を通した。指先にケリー鉗子の先
端をつけケリーをウィンスロー孔に通してテーピング
する。プリングル用の遮断鉗子を肝十二指腸間膜にか
けると出血が少し収まった。

(次回につづく)
【2006/07/19 23:50】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(89)
 「ともかく手術はしなくてはならないのですね。」司郎は言った。
 「そうです。今のままでは助けることはできないと思います。
時間的余裕はありません。」「しかも手術をしても助けられない
可能性があるということですね。」確かめるように司郎は聞いた。
「そのとおりです。」「なあ、こういうことなんだ。手術するし
かないだろう…..。」敏子を諭すように司郎は言った。敏子は涙を
浮かべながら自分に言い聞かせるように言った。「そうね。先生
息子をよろしくお願いします…….。」

 詩織は数分おきに押し寄せる陣痛に苦しんでいた。「ううっ….。
痛い……。」「詩織ちゃん大丈夫?」詩織に付き添っていた友代
は言った。「あまり大丈夫でないけど…..。陣痛はどんどん強く
なってきているし…….。間隔もどんどん短くなってきているし、
痛みは強くなるわで……。でも赤ちゃんも頑張っているんだし,,,,。
頑張らないと……。でもひどいわよね。お母さんと赤ちゃんが
こんなに頑張っているっていうのに、お父さん仕事で来れない
なんて……..。」友代は複雑な表情を浮かべて言った。「そうね。
でも仕方ないこともあるわよ……。」詩織は言った。「一番そば
にいて欲しい時にいてくれないなんてひどいお父さんよね….。
元気に生まれてきたらばいっしょに怒ってやるわ……..。」詩織
は無理に笑顔をつくって友代に言った。

 私は患者さんのご両親にお話をしたあとご本人のところに
行った。私は言った。「篠崎さん。ご両親にはお話しました
が、どうやら今回の事故で肝臓という臓器が傷ついてそこから
出血しているようです。その出血がとまらなくて今ショック
状態になっています。今のままでは命が危険です。手術をして
出血を止めなくてはなりません。手術をさせていただきたい
のですが……。」悟は言った。「先生。出血が止まらないと
命が危ないのですね……。」「ええ……。ですが手術もかなり
危険を伴いますが…….。」悟は少し考えていった。「手術を
しなくては助からないのですね……。」私は小さくうなずいた。
「先生、お願いします。私はまだ死ぬわけにはいかないん
です……。私を必要としている人間がいるんです。まだ
死ねない…….。」悟はうなるような声で私に言った。

(次回につづく)
【2006/07/17 22:02】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(88)
 MAPを急速に輸血していたが血圧はなかなかあがって
こなかった。出血性ショックである。助けられるかは微妙
であるが緊急手術で腹腔内の出血をとめるしかない。私は
麻酔科の医師の拘束番と手術室の拘束番の看護師に連絡し
て緊急手術の準備をしてもらうように手配した。すぐ病院
にでてきてもらってから準備まで30分から40分かかりそ
うだということだった。とりあえず輸血でしのいで手術室
に運べるかどうかというところだった。到着した家族を呼
びいれ私は病状の説明を行うことにした。

 司郎と敏子は救急病棟の面談室に通された。突然の事故
の知らせに2人に動揺はあった。目の前に現れた医師は
面談室に入ると軽く会釈をした。2人が立ち上がって会釈
をすると医師は言った。「どうも、外科の当直医のnakano
と申します。よろしくお願いします。まずはお座り下さい。」
「どうもこちらこそお願いいたします。」司郎は言った。
「それで息子さんの状態なのですが、交通事故で多発性に
外傷をうけておられます。正直申し上げてあまりいい状態では
ありません。運ばれてまもなく血圧が低下してきてショック
状態になっています。血圧を維持するために輸血を行い、
昇圧剤も使用していますが血圧が上がってきません。どこか
で出血が続いている状態なのだと思われます。これがCTと
いいまして体を輪切りにした写真になりますが肋骨が折れて
わずかながら血胸になっています。こちらはそれほどではない
のですが、お腹の方で肝臓に損傷があるようです。出血は
ここからだと思います。いずれにしても腹腔内の出血で早急
に開腹手術を行い止血を行う必要があると思われます。血圧
が維持できなくなってきていますので一刻をあらそいます。」
「手術をすればなんとかなるんですか?」敏子は言った。
「申し上げにくいのですが状況によっては生きて手術室から
出ることができないことも覚悟していてください。しかし
手術をしなくてはまず助けることはできないのです。放って
おけば命を失うことになります。危険はありますが手術する
しか方法はないと思います。」「全く、なんてこと……。」
敏子は天を仰ぐと泣き崩れた。

(次回につづく)

 昨日は当直あけでぐっすり寝込んでしまいました。学会も
終わって患者さんもまずまず落ち着いた状況なので気が緩ん
だのでしょう。夕食とって少し横になったら朝になっていま
した。疲れもたまっていたのかなと思いました。寝不足気味の
日々が続いていたのでぐっすり寝込んだせいか今日は体が軽
かったです。午後は子供の相手もできてひさびさにゆったり
した1日をすごせました。
【2006/07/16 22:52】 春風 | トラックバック(0) | コメント(4) |
春風(87)
 救急外来で他の患者さんを診察しているときに院内PHS
が鳴った。私は診察中の患者さんに一言すいませんといって
電話を取った。救急病棟からの電話だった。「先生、篠崎さん
ですけど、さきほどから血圧が下がってきて末梢の脈拍
も触れづらくなってきているんですけど…..。脈拍も速くな
っています。意識はしっかりされていますが…..。」出血性
ショックか…..。まずいな….。どこかで出血している可能性
があるな。私はそう考えて言った。「わかった。多分どこか
から出血しているね。点滴の本体にアドナ100mg、トラン
サミン1000mg混注して点滴の側管からラクテックを全開
でおとしてください。アルブミナーも2本点滴してもらって、
血液型調べてもらってMAP400を3本用意してもらって
ください。プレドパ600を時間5で始めてくれるかな。」
「わかりました。」「家族の人は到着した?」「こちらに向かって
います。多分あと15分位で到着すると思いますけれど…..。」
「そう。手があいたらすぐ上に上がるから。」
「なるべく早くお願いします。」「わかった。」私はそういうと
電話を切った。手早く診察を終え、指示を出した後、私は
救急病棟にあがった。患者さんのいる病室にいき彼に声をか
けた。「篠崎さん。わかりますか….。」「ええ。わかります。」
 意識はしっかりしていたが、四肢は冷たく脈は触れづらい。
自動血圧計は収縮期血圧が60台であることを示していた。
 私は病棟の看護詰め所にいくと上がってきた採血の検査
結果とCT写真を確認した。肝、胆道系酵素とアミラーゼの
値が軒並み上昇し、貧血も軽度認められた。CTでは肝臓に
損傷があり、出血と思われる腹水が肝周囲に認められた。
また肋骨骨折に伴い、両側の血胸になっていた。だがトロ
ッカードレーンを挿入するほどでもなさそうだった。また
胸腔内の大動脈の外傷性の乖離はなさそうだった。多分出血
性のショックはお腹の方が原因として考えやすそうだった。
 肝損傷からの出血だろう….。血圧の下がりからするとアン
ギオをやっている余裕もないかもしれない。緊急手術が必要
か……。厳しいな、助けられるか……。私は額からいやな汗
がにじんでくるのを感じた。

(次回につづく)

 なんとか無事に発表終えてきました。無難に終わってほっと
しています。横浜も今日は蒸し暑かったです。建物の外はボイ
ラー室を思わせる暑さでした。明日は通常勤務で当直です。
 更新はお休みになります。
【2006/07/13 23:56】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(86)
 学会の準備をしていたらこの時間になって寝る間際で再度
管理画面を起こしたら更新できそうなのでアップしておきます。

悟は言った。「ともかく体中がいたいです。息するのもつら
いです。ともかく首も固定されていて身動きできないですし。」
 頚椎の固定をされていて身動きできな状態であった。「首の
方は大きな問題がなければはずすことはできると思いますけ
ど、診察させていただきますね。」私は診察を行った。四肢の
動きは問題なく手足の骨折はなさそうであった。胸部は圧痛が
あり肋骨骨折は何箇所かありそうだったが気胸にはなっていな
いようであった。腹部を触ると全体に硬く、上腹部を中心に
痛みがあった。穿孔か、腹腔内臓器の出血があるかもしれな
い……。私はそう思った。「肋骨の骨折は何箇所かありそうで
すね。お腹もなんらかの外傷がありそうです。ともかく採血
とCTをとってみましょう。首の固定は整形の先生にみても
らいましょう。」私は採血とCTなどの検査の指示をだした
あと、看護師に聞いた。「ご家族の方は?」「それが….。
奥様は出産で千葉の実家にいるらしくて、ご本人のご両親
に連絡してこちらにむかっています。」

 友代の携帯に電話がかかってきた。友代は陣痛室から慌てて
でると病棟の食堂までいって電話をとった。「もしもし、藤川で
すが。」「もしもしすいません。こちら篠崎ですが。」敏子からで
あった。「どうもいつもお世話になっています。」「いえいえ
そんなことはないんですが…..。実は、悟が今日、そちらに
レンタカーで向かったらしいんですが、途中で事故にあった
らしくって、今病院と警察から連絡があったんです。詳しい
ことはまだ私もわからないんですが、ともかくこれから病院
に主人と一緒に向かいますので……。もう詩織さんは陣痛が
始まっているってことみたいですけど…….。」「ええ、今
陣痛の間隔が少しずつ短くなってきているところで動けない
状態ですね…..。私たちもこちらから動けないし…..。」「悟の
方はうちらが病院にいきますので、お母さんはそちらにいら
してください。」「そうですか。すいません。」「そんな。この
大事な時に事故に巻き込まれてしまうなんてうちの悟の方が
申し訳ないわ。詩織さんにはどう伝えますか?」「今、悟さん
の事故のことを聞いたら動揺するでしょう。どうしても仕事
の都合でこれなくなったといっておきます。落ち着いてから
また話をしておきますから。」「そうですか。そのほうが今は
いいかもしれませんね…….。」敏子はつぶやくように言った。

(次回につづく)

 7月13日に横浜の学会(消化器外科学会)の発表があり、明日
の夜、一泊して1日だけ学会参加と発表して夕方にもどります。
(13日の夜は拘束番、14日は当直になっています。)明日は更新
できないと思いますが13日は多分更新できると思います。
 学会準備もあり、6月後半~7月にかけては少し大変でした…。
【2006/07/12 01:28】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(85)
 私は当直室で鳴り響く医療用PHSの音で目覚めた。
 昼間に大きな手術を終え疲れも残っていたが、手術を
終えて入った救急外来には夕方から絶え間なく患者が
訪れ休む暇もなかった。11時半すぎに患者が途切れて
くたくたになって当直ベットに倒れこんでまもなく
のことだった。頭がともかく重い......。少しボー
っとしながらPHSをとる。着信は救急病棟からだった。
 通話ボタンを押して応答する。「もしもし、nakano
ですが.....。」「先生、今救急隊から連絡がありまし
て交通事故の患者さんです。32歳の男性で対向車に突
っ込まれたということです。意識はしっかりしていて
頭部外傷はなさそうだということです。胸とおなかの
痛みを訴えているということで5分後に来ます。救急車
到着したらまた連絡します。」「わかりました。」私
が答えると看護師はすぐ電話を切った。やれやれ、どう
も体が重たくっていけない....。私はふっーと溜息を
ついて起き上がった。身支度を整え、重い足取りで当直
室を出たとき、また院内PHSが鳴った。「先生、救急車
到着しました。」「わかりました。すぐ行きます。」私
は少し足早に救急外来に向かった。

 救急外来につくと丁度患者さんが運ばれてきたところ
だった。救急隊員が私の姿を確認すると経過の報告を
行った。「患者さんは篠崎悟さん。32歳男性。0時25分
交差点で信号待ちしていたところ対向車が突っ込んで
きたということです。到着時には運転席にはさまれて
いて20分ほどでレスキュー隊に救出されました。頭部
外傷はなく胸とお腹を強く打っているようです。救出
時の血圧は124/74,脈拍98でした。room airでSaO290台
前半だったので2lの経鼻で酸素を始めています。」
「わかりました。」私は救急隊の報告をうけたあと、
患者さんに向かって言った。「篠崎さん。わかり
ますか?」

(次回につづく)
【2006/07/09 23:54】 春風 | トラックバック(0) | コメント(3) |
春風(84)
 悟は丁度寝床に入ってうとうとしていた。電話が鳴る音で
少しボーっとしながら目を覚ますと受話器をとった。「もし
もし篠崎ですが…..。」「悟さん。夜分ごめんなさい。友代で
す。」「ああ、お義母さん。こんな時間に….。詩織になにか
ありましたか。」「ええ、丁度陣痛が始まったの….。多分
出産は明日の昼ころになりそうだっていうの。」「わかりまし
た。すぐ行った方がいいですね。今から準備してそちらに
いきます。」「今からって。悟さん。どうやってこちらにくる
つもり?電車は止まっているわよ。無理しなくても明日の朝
1番できてもらっても多分間に合うと思うし…..。」「いや、
お義母さん達が病院にいっているというのにいかない訳に
もいかないでしょう。レンタカーでなにか車を借りてそちら
に向かいますよ。確か近くのレンタカー屋は24時間営業
だったから。」「わかったわ。気をつけてきてね。」「ありが
とうございます。それじゃすいませんけど詩織をお願いします。」
 悟は急いで身支度をするとアパートを出た。時計は丁度0時
をまわったところだった。会社には明日の朝に連絡すればいい
よな……..。時間も時間だし…..。悟はそう思いながら近くのレ
ンタカー屋に向かった。そうか….。俺もいよいよ父親か。なんだ
か実感がわかないけどな…..。レンタカー屋の事務所の戸を開け
ると中年の店員が端末操作をしていた。「すいません。いいで
すか。」悟が声をかけると店員はハッとして窓口にでてきた。
「いらっしゃいませ。」「あの、急ぎの用で今すぐに車をかりた
いんですが、大丈夫ですか?」「車種は限られますけど今大丈夫
なのなら。」「空いているので一番安い自動車で2日間借りたい
んだけれど。」「いまあるのだとサニーになりますけど。」「それ
でいいよ。」悟は保険の手続きと料金の支払いを終えると車で
店を後にした。近くの首都高のランプから高速に乗ろうと自動
車を走らせる。交差点で信号待ちをしているところだった。
 真夜中の空いた対抗車線をかなりの速度で突っ走る車があっ
た。「おいおい、信号は赤だぞ。」いぶかしがって悟はそれを
見ていた。その車は赤信号を無視して交差点につっこむ。タイ
ヤを鳴らしながら強引に右折しようとしてきた。あぶないっ!
と悟が思ったときだった。その車はスピンしながら悟の車に
突っこんだ。

(次回につづく)
【2006/07/08 23:49】 春風 | トラックバック(0) | コメント(2) |
春風(83)
 夜10時ごろ藤川の実家の電話が鳴った。友代は床に入ろうとして
いたところであった。友代は少しいぶかしながら受話器をとった。
 「もしもし、藤川ですが。」「もしもしこちらS総合病院の産婦
人科の菅谷と申しますが。」「ああ、お世話になっております。」
「篠崎詩織さんですが、陣痛が始まりまして、まだ子宮口もひろ
がっていませんし、時間はありそうですがご家族に付き添っていた
だいた方がよいと思いますので連絡さしあげました。」「そうで
すかわかりました。今から参ります。」友代は電話を切ると寝床に
入っていた和夫に声をかけた。「あなた。詩織が陣痛始まった
ようです。私病院にいきますけど。」和夫は友代に声をかけられ
て体を起こした。「そうか。わかった。私も準備するから.....。」
 友代と和夫は身支度を整え家を出た。和夫は車を運転しながら
友代に言った。「詩織も大変だったがいよいよだな。」「そうね
結構前の流産でかなり悩んでいたようだし、元気な赤ちゃんが
生まれるといいんだけど.....。」「まあ、大丈夫だろう。ところ
で悟君には連絡いっているのかな?」「どうでしょう。いずれに
しても出産まではまだ時間もあるでしょうから病院で詩織に聞いて
みましょう。でも家に電話かかってきたのは看護師さんだったから
本人はもう余裕がないのかもしれないですよ。」「そうだな。そう
かもしれないな...。」和夫は運転しながらつぶやくようにいった。

 病院について産婦人科の病棟に2人は向かった。ナースステーシ
ョンで看護師に声をかけると陣痛室に2人は案内された。そこでは
詩織が脂汗を流してうなっていた。友代は詩織に声をかけた。
 「いまついたわよ。詩織ちゃん。」友代が声をかけると詩織は
顔をあげた。「ああ、おかあさん....。」詩織はうなるように
言った。「どうなの、いまの状態は.....。」「少し前に破水し
たところ。少しずつ子宮口が開いてきているらしいわ。でも
出産は明日の昼くらいじゃないかって。陣痛は10分位おきに
くる感じかしら......。」「そう。わかったわ。ところで悟さん
には連絡したの?」「まだ連絡してないはずよ。痛みがだんだん
強くなってきていて落ち着いて話できないと思うし.....。」
 「わかったわ、悟さんと篠崎のおうちには私が連絡するから。」
 「ごめんなさい。母さんお願いするわ....。」詩織は声を絞り
出すように言った。

(次回につづく)

【2006/07/06 23:52】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
春風(82)
 38週に入ってから時々おなかがはる感じが頻回になって
きていた。おなかの赤ちゃんは充分育ってきており陣痛が
はじまればそのままお産になる。詩織は悟に言った。「はじ
まったらすぐ連絡するから。できれば出産に立ち会って。」
悟は言った。「もちろんすぐくるさ。初産だし多分12時間
以上はかかるだろう。仕事中でも会社に事情を話せば出産
には間に合うとおもうけどね。」「そうね。お父さんが到着
するまで待っているわ。」詩織は笑って言った。

 3月のある日の夜詩織はおりものが下ってきた感じが
あった。「あら、おしるしかしら…..。」そう思っている
と下腹部を圧迫するような痛みがおそってきた。
 どうしよう、看護師さん呼んだ方がいいかしら。
 息をこらえながら痛みに耐えていると自然に痛みは
落ち着いてきたが、また再びおそってくる。感覚は
15分間隔くらいか….。前駆陣痛かしら。でも看護師
さんには言っておいたほうがいいわよね……。詩織は
少し遠慮しながらナースコールを押した。担当の看護師
が部屋に来て声をかける。「篠崎さん。どうされました
か……。」「さっき、おしるしと思われる出血があって
から15分間隔くらいにおなかに痛みがでてきたんです。
もしかしてはじまったかもしれないと思って….。」
「わかりました。ちょっと診察させてください。」看護師
は慣れた手つきで内診を行った。「まだそんなに子宮
口は開いていないけど陣痛が始まっているかもしれま
せんね。痛みは結構強いですか。」「時間とともに強く
なっている気がします。」「わかりました。陣痛室に移って
もらうようにしましょう。」詩織はおそるおそる看護師に
聞いた。「あの、家族に電話してもいいでしょうか。」
「いいですけど、自分で動けますか?」「陣痛が収まって
いるときならなんとか。」「無理しないで。付き添ってもら
いたい人がいれば連絡しますから……。」看護師はそうい
って部屋を出た。

(次回につづく)

 日曜日が当直で前後、患者さんの状態もよくなくなかなか
家に帰れなくなってしまいブログ更新が滞ってしまいました。
 なかなか落ち着かないところですがなんとか頑張っています。
【2006/07/04 23:50】 春風 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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