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春風(146)
 緊急入院となった2人の患者さんの入院カルテに入院
指示を書き込んでいると院内PHSが鳴った。「もしもし
nakanoですが......。」「もしもし、川口です。今解剖
の方終わりました。先生、今電話大丈夫ですか?」「え
え、先生。すいません、解剖の方つくことができなくて
...。」「仕方ないですよ当直で手がはなせないんですか
ら。ご苦労様です。」「それでどうでしたか。」「肺の方
はまたミクロ(顕微鏡所見)をみないと血栓の分布はわか
らないですが大きな血管をがっしりと詰まらせている血栓
はなさそうです。小腸以下には血液が多量にあって胃の前
庭部に結構深い潰瘍があります。多分最後はここからの
出血による血圧低下でしょう。DIC(汎血管内凝固症候群)
があったようですから出血が起こってしまったら止まらな
かったでしょうね。DICの状況もミクロの所見ではっきり
するでしょうが、最終死因は出血性胃潰瘍ということで良
いと思います。」「わかりました。どうも先生夜分遅く申
しわけありませんでした。」「病状説明はどうしますか、
先生の方からしてもらったほうがいいんでしょうか?」「
ええ、今の入院患者さんの指示を書いたら手があくので私
の方から説明させていただきます。」「わかりました。ど
うも有難うございました。」私はそういうと電話を切った。
時計を見ると午前4時半だった。私は小さく溜息をつくと入
院指示を書き終え、救急外来の看護師に言った。「それじゃ
下血の人と肺炎の人とりあえずの入院指示出しましたので。
肺炎の人は明日内科にとってもらうようにするからね。」
「わかりました。」「それじゃよろしく。」「あ、先生。
今また救急隊から連絡があって腹痛の人がこられます。あ
と20分くらいで到着します。」「わかりました。」私はそ
う返事をして悟の病棟に向かった。

 待合室で待っていた詩織たちのところに看護師がやって
きて言った。「篠崎さんのご家族の方、今解剖が終わりま
した。先生の方から説明がありますのでこちらにいらして
いただいてよろしいですか?」「わかりました。」司郎が
答えた。一同は立ち上がると看護師に誘導されて面談室に
向かった。

(次回につづく)

 
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