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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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誤報(79)
 青山たちが病院に来た次の日の午後、院長室に白石と高田
原田と丸山があつまり昨日の青山たちの来院の事について話
あっていた。高田が言った。「まず、どうして新聞記者に高橋
里美のカルテの写しが渡ったかということです。新聞記者は
内部告発ではないかといっていましたが.....。いずれにして
も患者の情報管理の上では大問題です。患者さんの家族に承諾
ももらっていないのにカルテの写しがマスコミに流れるという
のは......。」「本当に内部からなのでしょうか?病院の職員
が勝手にそのようなことをするというのは考えにくいですが..。」
 白石がそういうと原田が言った。「白石さん。そうでないと
すると、どこから複写が流出したと思っているのかね?」「あま
り考えたくないですが、ご家族の方が流した可能性があるのでは
ないでしょうか?」白石の言葉に一同は沈黙した。丸山が言った。
「考えたくはないですが、可能性がないとはいえないかもしれ
ません....。病状に関して2回ほど説明させてもらっていますが
病状経過について納得されていなかったようですから.....。」
原田は言った。「だがカルテの写しがマスコミに渡ったとして、
冷静にカルテの写しを分析すればこちらに手落ちがないことは
わかるだろう?要は、当院で分娩中に、状態が急変して転送先を
探して転送したということなのだから。全く間違えた薬剤を使った
とか、処置を誤ったということはない。」「マスコミがそんな
に良心的だと考えるのはどうでしょうか?彼らはまず結論あり
きで取材をし、報道する傾向にありますから....。あの青山と
いう女性記者は病院側に落ち度ありきと決め付けている印象で
したから.....。病院側が隠蔽していると言い切っていました
しね......。」「だが、1記者にすぎないだろう。カルテの写し
を専門家に見せて検討すれば病院側には問題がないことは解る
だろうし、新聞社にしたって一流の全国紙だし、上の編集者は
もっと客観的に冷静に判断するだろう?」「だといいのです
が......。」高田はつぶやくように言った。

(次回につづく)

 ここのところ当直や緊急手術が立て込み、更新がとどこおり
ました。また4月人事で私が勤めている病院の外科が一人減らされ
また忙しくなりそうです。ちょっととほほですが.....。
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【2007/03/31 21:01】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(78)
 「隠蔽?なにを根拠にそんなことをいうんですか?いいで
すか冷静に考えてくださいよ。たとえばあなたのお母さんが
何か病気になっていたとします。そこに病院に得体のしれな
い新聞記者が来てお母さんの病状を聞かせろといわれてすぐ
情報を渡してしまうような病院だったらあなたはその病院を
信用できますか?信用できないでしょう?いきなり病院にこ
られて患者さんの状態を聞かせろといわれても病院は個人情
報を保護しなくてはならない立場にあるんですから.....。
新聞記者が教えろといったからといって教えられるわけが
ないではないですか。ましてや今回はその患者さんのこと
を聞きたいという形の取材の申し込みではなかったはずです。
それをいきなりこのようなどこから手に入れたかもわか
らないカルテのコピーまで持ち出して......。隠蔽などと失
礼にもほどがあるのではないのですか?」白石は少し怒りを
あらわにして語気を強めて言った。「白石さん。そこまでに
して.....。」高田が白石を少し押さえてから言った。「青山
さん。でしたっけ。いずれにしても今日はこれ以上のことは
お話できません。また改めてこちらからご連絡するので今日
は引き上げていただけませんか?」ふうっと溜息をついて
青山は言った。「気に入らない事を聞かれると逆切れですか。
まったく.......。図星を突かれたってとこですかね。今日
はお話にならなさそうなので引き上げますよ。」「ちょっと、
あなたね.....。人の話を聞いてたんですか?大体、無礼で
しょう。今回の取材の申し込み方、仕方にしても。」「後ろ
めたいことがあるから感情的になるんでしょう?こちらは
粛々と取材させていただきますので.....。今度は丸山先生
にもお話を聞かせていただけるとありがたいですね.....。
じゃあ、島田さん、行きましょうか。」青山はそう言って
席を立った。

 青山たちが部屋を出て行ったあと、高田は白石に言った。
「白石さん。気持ちは分かるが、ああいう手合いには感情
的になっちゃいかんよ。あれじゃ何を書かれたものかわか
らないよ。まあ、全国紙の記者だというから良識はあると
信じたいところだが.....。」「すいません。でもいきなり
何をいうかとおもえば隠蔽だなんて....。ふざけるにもほど
があります。」「まあ、カルテのコピーが新聞記者の手に
渡っているというのがまず一番の問題だが....。いずれに
しても丸山先生や院長先生ともお話して対策をねらないと
いけないね.....。それにしても厄介なことになってきた
ものだ.....。」高田はつぶやくように言った。

(次回につづく)
【2007/03/26 22:28】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(77)
 白石は言った。「記者さん。申し訳ないですが、個別の患者
さんの情報について我々は勝手に第三者に情報を伝えることは
できないんです。ご家族や本人の同意がないと......。今日いき
なりその患者さんのことを聞かれても病院側には守秘義務があ
るので....。診療のために必要で教えていただいている個人情
報を勝手に外に漏らすわけにはいかないので.....。」「そうで
すか。この患者さんの件について丸山先生にもご意見をいただけ
ればと思っていたのですが......。じつはうちの新聞社にこの
ようなものが届けられましてね....。」島田は高橋里美のカルテ
のコピーを出した。「これは.....。」いったい誰が......。
カルテのコピーを渡したのは高橋里美に家族だけだったが...。
院内に勝手に新聞社にカルテのコピーを送った者がいるのか?
そうだとするとそのことが情報管理として問題だが.......。
青山が続けた。「その患者さん、事務長さんはご存知ですか?」
「今言われてもわからないですね。一体どこから届けられたん
ですか?」「病院内部からが一番考えられやすいでしょうが、
我々もわからないんです。匿名でとどけられたのでね。」「うち
の内部からだとすると大問題です。個人の患者情報が勝手にもち
だされたということですから。我々の情報管理が問われる事態
です。」「いずれにしても、病院内だとすると何か経過に問題
があると考えたスタッフの内部告発になるかと思うんですが。
その患者さん、分娩途中で急変して亡くなっていますね。8月
6日にに転送されて、8月16日に国際国立循環器センターで亡く
なっている。病院側に手落ちがあったんではないですか?それ
を病院側が隠蔽しようとして内部から情報が漏洩したと考える
のが妥当でしょう。」「いずれにしても突然このような物を
出されてもこちらとしては何も準備をしていないので。今日は
当院の産婦人科医療についての取材と聞いていましたのでね。
今、その患者さんに関して我々はお話できることはありま
せん。」「ではあらためて日を変えてお話できますか?」青山
が高田の方を向いて言った。高田は青山の方に向いて答えた。
「病院側としては患者さん個人に関しての情報を勝手に新聞記
者にお話することはできませんので少し検討させていただいて
から返事をさせてください。」最初からここを突っ込みたかっ
たくせに.....。高田はいまいましく思いながらそう言った。青
山は言った。「なるべく早くおねがいしますね。早くしないと
面倒な事になるんではないですか?」「それは脅しですか?」
「いいえ、隠蔽しようとすると色々問題が大きくなるのでは
ないかというアドバイスですよ。」青山は少しにやっとして
言った。

(次回につづく)
【2007/03/25 15:37】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(76)
 会議室で高田と白石は川淀病院の年報から引用してきた
医療統計を出して説明をしていた。「当院での分娩数は大体
年間200例前後ですね。常勤医は1名で、週に2回外来と当直
をN県立医大から応援にきてもらっています。」「この病院
で対応できないような患者さんは.....。」「大体は大学の
方に送る形が多いですね。川淀町から大学のある橿原中央
までは比較的整備された道がありますので車でも20分くらい
でいけますから........。」青木と島田は高田と白石の説明
を簡単な質問をしながら聞いていた。一通りの病院側からの
説明を聞いた後、島田は言った。「現場の状況をしるのに産
婦人科医の先生にも直接お話をお聞きしたいのですが.....。」
高田と白石は顔を見合わせた。高田は言った。「何分、人がい
ない中で丸山医師も多忙ですし、できれば医師への取材はやめ
てもらいたいところですが...。」「なにか取材されると困る
ことがあるんですか?」「そういうわけではないですが......。
何分、業務のあることですから都合をつけないと........。」
 島田は青木に目配せしてから一息ついて言った。「じつは、
産婦人科の救急医療ということで取材をしているところで、
8月にこの病院から搬送された高橋里美さんという方のことを
お聞きしまして、その方に関しての病院側の対応についての
ご意見もお聞きしたくて......。」白石と高田は顔を見合わせた。
白石は思った。それが狙いか........。高田は言った。「突然
言われても、今その患者さんのカルテが手元にあるわけでも
ないですし、我々にいきなり言われてもそのことに関しての
情報が手元にないのでなんとも言えませんが......。その患者
さんについて何か問題があったのですか?」高田は島田の目を
見ながらこいつら、一体なにを掴んでいるんだ?と考えていた。
「いえ、まだ確実な情報ではないのですが、どうもその患者さん
県外に搬送されているんですね。この事例に関しての病院の
ご意見などがきくことができれがいいかと思いまして......。」
白石は島田の話を聞きながら思っていた。病院が本人や家族の
許可なしに個人の病状経過などの情報を第三者に公開すること
なんかできるわけがないではないか.......。我々には守秘義務
があるのだから........。

(次回につづく)
【2007/03/24 23:52】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(75)
 青山と島田は結局、家族との接触ができないまま
病院との会合の日を迎えることになった。青山は島
田に言った。「結局、家族には会えないままになっ
てしまいましたね。」島田は言った。「まあ仕方な
いさ。とりあえず病院との約束の日はきてしまった
から、また家族さがしはつづけていかなくちゃなら
ないけどね。」「どの程度、病院側は話してくれ
るでしょうか?」「まあ、病院側も警戒しているだ
ろうから.....。まあ話してみて、状況をみはからっ
てこれを出してみるというものかな。」島田はファ
ックスされてきたカルテのコピーをもって言った。
 「でもそれをみせたら病院は丸山医師に会わせて
くれないかもしれないですよ。」「うーんそうかも
しれないね。難しいところだが....。」「ともかく
は産婦人科医療の取材という申し込みで押していっ
たほうがいいのではないでしょうか?それで丸山医
師に会える見込みがあれば丸山医師に会ったところ
でそれを出した方がよさそうな気がします。」「そう
だな。それで丸山医師と話せる見込みがなさそうなら
このことについて聞いてみるというのがいいかもし
れないな......。」島田は歩きながらそうつぶ
やいた。

 青山と島田が医局秘書に連れられて病院の会議室の
一室にやってきた。医局秘書は彼らに椅子を勧めた後、
部屋を出ていった。しばらくして白石と高田が会議室
に入ってきて一礼した。「どうもご苦労様です。私、
総務課長の白石と申します。こちらが事務長の高田で
す。」「どうも失礼いたします。」青山と島田は立ち
上がると軽く返礼した。

(次回につづく)

 昨日は帰りが遅くなって更新をあきらめました。
 今日も少し帰りが遅くなりました。ちょっとお疲れ
モードです。
【2007/03/23 23:46】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(74)
 青木が別の記事の草稿をしていたときに携帯の電話が
鳴った。「もしもし、青木ですが.....。」「もしもし、
こちら町立斎場の三井と申します。」「ああ、三井さん。
」「ご依頼の件ですが申し訳ないのですが、やはりお断
りさせていただきたいと思います。上の者とも相談しま
したが、やはり個人情報になりますので、身内でもない
方に連絡先を伝えるのは問題が発生する可能性が高いと
いうことになりました。」「そんな.....。斎場の方に
ご迷惑をかけることはないようにしますので....。取材
源を守ることは原則ですし.....。」「青木さん。申し
訳ないですが...。地域の冠婚葬祭を司らせていただいて
いる我々が、ご家族のご承諾なしに第3者に連絡先を伝え
るというのは信用問題にかかわりますので.....。我々の
立場も理解していただきたいと思います。」「どうしても
駄目ですか....。上の方とも私が直接お話させていただけ
れば........。」「申し訳ありません。これ以上はこち
らも申し上げることはありませんので、失礼させていた
だきます。」そう言って三井は電話を切った。「あ....
..。」と青山は声にならない声をだしてふーっと溜息を
ついた。まいったな....。これでまた家族探しは振り出
しにもどりだわ......。病院への取材は4日後にアポイン
トメントとっているというのに........。どうしたもの
かしら.......。青山はそう思いながら椅子の背もたれにも
たれかけた。

(次回につづく) 
【2007/03/21 11:37】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(73)
 青山は斎場に電話をかけた。「もしもし、こちら町立斎場で
すが......。」「もしもし、すいません。こちら毎朝新聞の
N県支局の記者の青山と申します。じつは今、産婦人科医療
についての取材をしていまして、出産でなくなられた方の
取材をしているところなんです。それで、ほかにも何人かの
方に取材させていただいているんですが、高橋里美さんと
いう方なんですけど、8月18日にそちらで告別式をしていら
っしゃるようなんですが、ご家族の方に連絡をとりたくて、
連絡先を教えていただければと思いまして電話させていただい
た次第なんですが.....。」「ご遺族の連絡先.....ですか。」
「ええ、できれば教えていただきたいんですが......。」
「ちょっとそれは私には判断いたしかねますので上のものと
相談させていただいてよろしいでしょうか?」「ええ、それは
ぜんぜんかまいませんが。」「折り返し、お電話いたします
ので連絡先を教えていただけますか?ええと、どなた様とお
しゃっていましたっけ?」「毎朝新聞のN県支局の青山です。
携帯の電話番号は090-○○△×-□△○○です。支局の電話
番号は074--○△×-□△○○です。」「わかりました。折り
返し電話いたします。」「よろしくお願いします。」そう
いって青山は電話を切った。

 電話を受けた斎場の三井は少し悩んでいた。はたして連絡
先を伝えていいものか.....。電話では相手は誰だかはっきり
しない。そのような状態で個人情報を流すのはまずいだろうと
三井は考えていた。支局の電話番号を残すくらいだから記者
なのはまちがいないだろうが....。取材のために斎場が利用者
の個人情報を記者にわたすのはやはりまずいのではないか...。
 一応上司とも相談すべきだろう....。そう考えて三井は席
を立った。

(次回につづく)

 ちょっと昨日の当直はきつかったです。インフルエンザがは
やってますね。皆さんも体にきをつけてください。
【2007/03/20 23:43】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(72)
 大淀病院の総務課長の白石は病院の廊下を歩いていく事務長の
高田に声をかけた。「事務長、すいません。」白石の声に高田が
振り返った。「白石さん、何か?」「高田さん、忙しいところす
いません。実は、新聞社からの取材申し込みがありまして、取材
をうけるかどうか判断に迷いまして…..。」「取材?どこの新聞
社で、どういった内容なんですか?」「なんでもN県の産婦人科
医療と救急医療についての取材らしいんですが……。毎朝新聞の
青山という女性の記者です。」「N県の産婦人科医療と救急医療?
なんでまたうちの病院に?」「ほかの病院にも取材にいってはい
るそうなんですが……。」「うーん。」「記者の方はどうやら、
産婦人科の丸山先生から話を聞きたいということでしたが、先
生の都合もあるし、すぐにはお答えできないと返事はしておき
ましたが……..。」「そうか……。」高田の頭に一瞬高橋里美の
件が思い浮かんだ。「新聞記者がどのような記事をかくつもりな
のかが問題だな。とりあえず事務方で一回取材をうけた方がいい
と思う。丸山先生抜きでね。」「やはりその方がいいでしょう
か。」「新聞記者というのは最初に結論ありきで記事をかく
記者も多いときくし、取材して発言した内容も全くニュアンス
を変えられてしまうこともよくあるというから。今、産婦人科
でも医事紛争になりかけている一件もあるし、取材は慎重にう
けた方がいいだろう。表だっての取材要件と全くちがうねらい
があることも多いらしいからね。」「わかりました。それでは
事務長と私が対応することでよいかということで日程をつめさ
せてもらう様にします。」「そうしてください。」高田は答えた。

 青山と島田は8月8日から8月31日までの新聞の地方版を引き
出し、順々にお悔やみ欄の名前を追っていった。8月17日の新
聞のお悔やみ欄に高橋里美の名前が載っているのを青山は見
つけた。「島田さん。ありました。多分これですね。高橋里美、
34歳。8月16日に亡くなっています。斎場は町営の斎場のよう
ですね。」「そうか、それじゃ、それで高橋里美の家族の連絡
先を斎場で確認できれば…….。」「家族と接触できるんじゃ
ないでしょうか?」 青山は少し微笑みながら言った。

(次回につづく)

 明日は当直のため更新はお休みします。
【2007/03/18 14:44】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(71)
 毎朝新聞のN県支局の編集部で井出が青山に声をかけた。
 「どうかね。例の怪文書の件は調べがついてきたかい?」
 青山は机の書類から目を上げると言った。「そうですね。
どうやら信憑性はありそうですね。直接病院に問い合わせる
前に、ある程度裏づけをとった方がいいだろうと思って、
川淀病院から県外に搬送したとおもわれる救急隊の確認を
しようと大吉野消防組合本部にいって話を聞いてきました。
 この日に搬送された子癇発作の患者さんがどうもこのカルテ
の患者さんのようですね。高橋里美さんという方です。
 名前はわかったので、病院の方に取材を申し込んであり
ます。もちろん、この患者さんの件ということでなくて
今のN県の産婦人科医療や救急医療に関しての取材ということ
でですけど....。医師の都合もあって、お話できる日にちの方
はまだ決まっていませんが、連絡がくるはずです。川淀病院の
産婦人科医の常勤は1人で丸山という医師になります。この人
に話をききたいところですね。」「そうか、うまくいっている
ようだね。」「ええ、あとは患者さんの家族を見つけられると
いいのですけど.....。川淀町もたいして大きな町ではないの
でゼンリンの住宅地図で片端から高橋さんの家をあたってみ
ようかと思うんですが。」「川淀町以外の住人も可能性もある
かもしれないがね、この病院の診療圏は川淀町だけではないだ
ろうからね。一番は病院関係者からご家族の情報を得られれば
それが早いんだが.....。あとはうちの新聞のおくやみ欄を調
べた方がはやいかもしれないな。川淀病院から搬送されたのが
8月8日だから、ここから向こう2週間のお悔やみ欄で高橋里美
の名前をさがせば、告別式などが行われた斎場がわかるだろう。
 そこから住所を聞き出すのが早いかもしれないね。」井出の
言葉に青山は言った。「確かに、そのほうが早いですね。支局長
そのアイディアいただきます。」「まあ病院と話をする前に
家族に接触できて、実際の状況がわかった方が病院と話をする
のにもいいだろうからね........。」「ええ、そうですね。」
青山はそう答えた。

(次回につづく)

 ここのところ忙しくで3日更新を休んでしまいました。緊急手術
があったり、当直があったりで.....。今日は午後に帰ってこれた
ので更新できました。今後とも休み休みつづけていきますのでよろ
しくお願いいたします。
【2007/03/17 17:56】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(70)
 9月末のある日、丸山はいつもどおり忙しく外来をこなしていた。
 「超音波の検査でも赤ちゃんに異常はありません。大きさも正常で
すし、順調に経過していますよ。」「ありがとうございます。」定期健診
の妊婦に話をしていると丸山の院内PHSが鳴った。「ちょっと失礼
しますね。」丸山は話をしていた妊婦にそういってPHSに出た。
 「もしもし、丸山ですが…….。」「あ、先生お忙しいところすいま
せん。交換なんですが、外線から毎朝新聞の青山という女性の方か
ら電話ですが、おつなぎしていいでしょうか?」毎朝新聞?新聞社
の人間がどうして……。「どういったご用件か聞いてもらえますか?
いずれにしても、今は外来が立て込んでいて急ぎでなければかけな
おしてもらった方がいいんだが…..。」「わかりました。とりあえず
用件だけは聞いておきますね…..。」「お願いします。」丸山はそう
いって電話を切った。

 病院の交換が外線につなぎかえて青山からの電話の回線に出た。
「もしもし、すいません。今、丸山に連絡いたしましたが、外来の
処置中で電話にでることができません。ご用件だけでもお伺いし
てくれとのことですが…….。」「そうですか。わかりました。
実は、いまのN県での妊産婦医療について地域の先生方に取材
をさせていただいておりまして、ついては丸山先生のご都合の
よいところで取材をさせていただいきたいのですが、そのアポイ
ントメントを取らせていただきたいのですが……。」「わかりまし
た。それでは丸山に直接ではなく病院の広報委員会か総務課の
方に相談されたほうがいいと思いますが…….。」「そうですか、
わかりました。それでは担当の部署の方につなげていただいて
よろしいですか?」「わかりました。それでは総務部につなげさ
せていただきます。」「お願いします。」やはり直接、医師に連絡
するのは少し無理があったわね。まあいいわ、取材の機会さえ
もたせてもらえれば肝心の話もできるでしょう……。青山は
そう考えてふっと溜息をついた。
【2007/03/13 23:04】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(69)
 しばらくして伊藤は救急隊の搬送記録を持ってもどってき
た。伊藤は応接室のソファーに座ると青山に向かって言った。
 「こちらが当救急隊の県外への搬送記録ですね。2件は大動
脈解離で、1件は妊婦さんの子癇発作の患者さんですね。いず
れも大阪の施設に運ばれています。」「大阪となると搬送に
は結構時間がかかるのでは?」「そうですね。30分位は.....。
川淀町も道路事情はあまり恵まれているとは言い難いですか
ら......。大学のある橿原中央からバイパスを通って新葛城
から有料道路に入ってO府に抜けるのが一番早いですね。
 いずれの患者さんも状態があまりよくなくて、救急車の中
で急変してもおかしくないような状態でした.....。」「そう
ですか.....。ちょっと失礼して拝見させていただきますね。」
「どうぞ.....。いずれにしてもN県南部からの搬送となると
やはりO府が一番多くなるのが実情ですね....。」伊藤の話
を聞きながら、青山は救急隊の搬送記録をめくっていった。
子癇発作の患者の搬送記録に目が止まる。川淀病院の出発が
午前4時50分.......。搬送日時は送られてきたカルテのコピー
のファックスの日時に合いそうであった。転送先は国立国際
循環器センター.........。患者の名前は高橋里美、34才...
....。同乗医師は竹内医師.......。多分これね.......。青
山は心の中でつぶやいた。ともかく搬送日時と患者の名前は
わかったわ.....。狭い町だし、少し調べればきっと家族を
見つけることもできるし、うまくすればかまをかけて、病院
に探りを入れられるわ.....。N県の救急搬送の実情を記者に
わかってもらおうと熱心に説明をしている広報の伊藤の話を
よそにスクープ記事を物にできるかもしれないという期待を
胸に青山は静かにほくそ笑んだ。

(次回につづく)
【2007/03/12 23:30】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(68)
 青山は大吉野消防組合本部で広報課の伊藤と取材のための
話をしていた。「そうすると、N県で妊産婦の状態が悪くな
って高次医療機関に搬送された約4割近くが県外に搬送され
るということですか.....。」「ええ、おととし、平成16年
の数字になりますが、妊産婦の搬送事例は208例、そのうち
の県外搬送は77例ですから、大体37%くらいですね。」
「N県内での搬送先が限られるのですか?」「そうですね。
我々の管内での川淀病院からの搬送ということになると
NICUがあるということになると県立N病院とN県立医科大学
になってしますので、そこで断れると県外に転送先を探す
しかなくなりますね......。」「先月の川淀病院から、県外
への搬送はどれくらいあるのですか?」「先月ですか?
8月ですね......。ええと3件ありますね、婦人科関連です
と1例ですね。」「そうですか.....。その3事例の救急隊
の搬送記録など見せていただいてよろしいでしょうか?
 具体的な状況など理解しておきたいので......。」
「搬送記録ですか?」伊藤は少し考えてから言った。「個人
情報もあるのでコピーなどはわたせませんし、報道する際
は個人名は避けていただけるということであれば.......。」
「そうですか、どうも有難うございます。」「まあ、N県の
救急の実態の報道をしていただけるのであれば我々や県民
のためになるでしょうから.......。しかしくれぐれも個人
情報の漏洩となるようなことはしないでくださいね。記者
さんだから信用はしてますけど.......。」「もちろんです。
有難うございます。」「それじゃ、先月の搬送記録をもって
きますので少々、お待ちください......。」伊藤はそういって
席を立った。

(次回につづく)
【2007/03/11 18:11】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(67)
 病院と里美の家族との2回目の話し合いの場が改めてもた
れた。しかしながら、家族が誤診が原因で治療が遅れたのが
里美の死亡の原因であると主張し、病院側の非常に診断が困難
な症例であり、結果として診断がつかなかったが、初期治療と
しては最善をつくしており、転送先の検索も真夜中の時間帯
で全力をつくしており病院側としては何もあやまりはないと
いう説明を全く受け入れようとしない状況が続いていた。
 龍雄は言った。「病院がなんと言い訳をしても誤診したの
はまちがいないし、それで里美が死んだのは事実ではないで
すか?どうして病院はその事実を認めようとしないんですか?」
 原田は言った。「ですから、それはあくまでもご家族の主観
的な観点からの事実であり、客観的に判断して、これ以上の
対応は当院では無理であったと何度も説明させていただいて
いるではないですか。丸山先生は高橋さんの分娩中の急変に
対してできるかぎりの事をしている。確かに脳出血が診断で
きなかったといわれればその通りですが、本当に子癇発作で
あって、安静が第一の子癇発作の患者さんをCT室に運んでいる
最中に何かあれば、子癇発作だったのにCTなんかとってないで
どうしてさっさと対応できる高次医療施設に運ばなかったんだ、
CTなんか人手のある高次施設でとればよかったじゃないかと
いう話になるだけでしょう。ご家族がおっしゃっているのは
結果論にすぎない。いいですか。丸山先生は年間200以上の
分娩を扱ってここで20年以上やってらっしゃるんです。4000
分娩以上も扱っているベテランの先生が里美さんの急変に対
してそのままなくなってしまってもおかしくない状態だった
のを内科の当直の先生と協力して母体も生命を維持した状態
で転送できた。このことだけでも非常にすごいことであるこ
とをまず理解してください。」「何を言っても言い訳にしか
きこえないですよ。本当に病院には落度がなかったといいき
れるんですか。」「病院側にはこの患者さんに対しての対応
としては落度はないです。」原田は語気をやや強めに言った。
 「話になりませんね。」英雄は言った。「院長先生、そんな
言い訳ばかりいっていると今に大変なことになりますよ。」
 「それはどういう意味でしょうか?こちらとしては時間を
割いて、誠実に対応させていただいているつもりですが?」
 「まあ、そのうちわかりますよ。そのうちにね.....。」
 英雄はつぶやくように言った。

(次回につづく)
【2007/03/10 23:53】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(66)
 青山はとどいたファックスのカルテの写しをみていた。日にち
は8月だった。「どこかに転送されているのね.......。」青山は
黒塗りされているカルテの読める記載を確認しながらつぶやいた。
 調べるとしたら消防署から調べるのが一番やりやすいかしら。
 いきなり病院に問い合わせるのは難しいだろう。救急車の搬送
記録を調べさせてもらえればきっと患者さんを絞ることができる
わ.......。川淀病院周辺の救急隊は......。大吉野消防組合本部
ここにいけば消防車の出動記録が調べられるかもしれない.....。
 青山は電話をとって消防組合本部に連絡してみることにした。
 意を決して電話をかけてみる。「もしもし、こちら大吉野消防
組合本部、伊藤ですが........。」「もしもし、お忙しいところ
すいません。こちら毎朝新聞、N県支局の青山と申します。実は
少し取材させていただきたいことがありまして......。」「毎朝
新聞の記者さん......。どういっったことの取材でしょうか?」
 「実は、N県の救急医療の取材をしているので救急車の出動の
状況などのお話がききたいのです。結構、N県から県外に搬送され
る患者さんも多いとお聞きしたので.....。救急車の出動状況な
ど現場の状況をお聞きできればと思いまして.......。」「わか
りました。それでは広報にまわさせてもらいますのでお待ちく
ださい.......。」「わかりました......。」青山はそう答えた。
 電話の保留音が少し流れたあと、広報の石井が電話に出た。
 「はい、広報課、石井です。」「もしもし、お忙しいところ
すいません。こちら毎朝新聞、N県支局、青山と申します。実
は取材の申し込みで.....。」「はい、どういった取材になり
ますでしょうか.......。」石井は青山の言葉をきいてそう問
うた。

(次回につづく)
【2007/03/09 23:32】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(65)
 ある日の午後、毎朝新聞のN県支局に1通のファックスが送ら
れてきた。N県支局の青山絵里が送られてきたファックスを
取り出して目をやった。ファックスには送信者の名前はなく
匿名のファックスのようだった。そこには「今年の8月、川淀
病院の産婦人科で医療ミスで妊婦が一人亡くなっている。
病院と遺族が交渉中.......。」とかかれてあった。患者の
名前はわからないようになっていたが、カルテの一部と思わ
れるものも同時に数ページ送られてきた。青山は内容を確認
すると支局長のところにファックスをもっていった。「支局長
よろしいでしょうか?」「うん?」支局長の井手は机から目
を上げて青山を見た。「青山くんどうしたかな。」「今、
このようなファックスが届いたのですが.....。」青山は
届いたファックスを支局長の前に置いた。「うーん。」井手
はとどいたファックスをめくりながら唸った。「これは
内部告発かね......。」「どうもそうかもしれませんね。」
青山は言った。「確かにおもしろいかもしれないな。少し
調べてみるか、うまくすればいいスクープになるかもしれない
な。だが、他の社にも送っている可能性もあるな。いずれに
しても裏をとらないといけないね......。」井手は少し考
えて言った。「よし、この山は青山くんにまかそうか。少し
病院周囲に探りをいれてみてくれ、情報が確実なもののよう
なら少し本腰をいれていくことにしようか.......。」「わか
りました。」青山は答えた。

(次回につづく)
【2007/03/07 23:28】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(64)
 話し合いの後の帰りの車の中で英雄は大輔に言った。「結局
病院側は処置から転送にいたる処置には問題がないという言い方
だったな........。」大輔は「ああ、そうだね。」と運転しな
がら答えた。「だがやはり納得できないな。脳出血とわかって
早く処置をすれば助かった可能性がないとどうして言い切れる
んだ....。」「親父、まあ、院長先生の話だと経過からはそれ
ほどの脳出血だったというのだから、実際に助からなかったの
かもしれないさ.....。だが、診断がつかなかったというのは
どうしても納得できないんだ。脳出血と正しく診断がついて
そのように説明をうけて治療されてだめだったんならまだわかる
んだけどね.......。」「ああ、そうさ。子癇といわれていた
のに脳出血なんて....。それで里美さんは亡くなってしまった
んだ....。どうして病院は問題ないといえるんだ。」「まあ
話し合っていくしかないんじゃないかな。丸山先生も院長先生
も忙しい中で病院側はまた話合う機会を持つっていってくれて
いるんだし、その中で誤診のことは認めさせていくしかないと
思うけどね。」「ああ、だが時間がかかりそうだがね......。」
 英雄は病院側から受け取った里美のカルテのコピーをめくり
ながらそう言った。

 丸山は話し合いのあと病棟の回診をしていた。病棟の妊婦たち
の様子を確認し、カルテの記載をしながらぼんやりと原田の言葉
を思い返した。「丸山先生。ご家族は誤診が原因で患者さんが亡
くなったと思い込んでしまっている。これはなかなか修正は難し
いかもしれないね......。一回そう思い込むと、坊主憎けりゃ
袈裟まで憎いとなって悪いようにしか解釈してもらえない....。
多分、ご家族が納得するまでかなり時間はかかると思うよ....。
だが、こちらは客観的にみて落ち度はないんだ。先生も大変だ
と思うけど、粘り強く話しあうしかないだろう......。」

(次回につづく)
【2007/03/06 23:52】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(63)
 大輔は言った。「ともかく、誤診だということは確かです
よね。頭のCTをとれば診断はついたはずですよね......。」
 丸山は言った。「確かに診断がつかなかったことに対して
ご家族がご不満に思うのはわかりますし、申し訳ないと思って
います。でもそれも結果論です。もし、CTを撮っている最中
で急変してしまった可能性もありますから....。それに原田
先生がおっしゃっているように、分娩中におこした脳出血の
患者さんを受け入れられる施設はかなり限られたでしょう。
 結果的に診断がつかなかったから子癇発作と考えて循環器
センターでうけいれてくれたのだと思います。母体が命を脅
かされるような脳出血の状態でお子さんが無事に生まれたのは
非常に幸運だと思うのですが......。」「子供の母親が亡く
なっているんですよ、それを幸運なんて....。」「高橋さん。
冷静に我々の話を聞いてください。状態としては子癇発作で
あれ脳出血であれ、当施設で助けられる状態ではなかった。
 母体もお子さんも亡くなられてしまっても全然おかしくな
かった状態なんです。それは子癇発作でも脳出血でも同じ
ことです。子癇発作だって重篤な病態なのですから。そこを
わかっていただきたい。我々がしなくてはならなかったのは、
母体と胎児の命をなんとかつなげて、早急に対応できる施設
に転送することでした。それに関してはしっかりやらせていた
だいたつもりです。結果として母体を救えなかったことに関し
ていえば、ご家族のつらい気持ちには及びもしませんが、私
だって非常に残念であり、つらいことではあるのですが.....。」
「いいわけにしか聞こえません。脳出血と診断もつけられな
かったくせに何をいっているんですか........。」

 家族と、丸山、原田らの話し合いは2時間に及んだが、家族
と病院側の話はかみ合わないままであった。お互いにやりきれ
ない思いを抱きながら、また話し合いの機会をもつことをお互
いに同意し、この日の話し合いは終了した......。

(次回につづく)
【2007/03/05 22:08】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(62)
 龍雄はふーっと息をついて言った。「院長先生、そうはいって
もだね。命にかかわるような脳出血があったにもかかわらず、
診断がつけられなかった上に1時間半も寝ていたというのは
どう考えても納得がいかないんですよ......。」原田は言った。
「大村さん。でも我々が説明したことがすべてです。分娩の
途中で意識を失った時点では内科の先生にも確認してもらって
頭には異常がなさそうだという判断だった。それでも厳重に
経過を監視していたんです。1時半に痙攣をおこした時点で、
転送が必要だという判断もあやまりではなかった。分娩途中
に痙攣発作をおこせばまずほとんどの医師は子癇発作を考える
でしょう。痙攣発作を起こした後の処置で大きな問題となる
ような薬剤が使用されたり、処置のエラーがあったわけでも
ない。突発的に起こった急変に対して丸山先生は限られた条件
の中でやるべきことはやっていると考えています。いいですか。
今回、血液型を間違えたとか、他人の点滴を誤って点滴して
しまったなどの明らかな医療過誤などはないですし、先生は
20数年間で数千例のお産をとりあげているベテランです。妊娠
や分娩に対しての知識や経験は相当なものです。若手の経験
不足の医師がいい加減な知識で扱ったという事例でもない。
 それに最初の意識消失のときには念のため、当直内科医師
にも診察を依頼しているんです。」「でも里美は亡くなった。」
「そうです。脳出血でお亡くなりになった。力及ばず命を助け
られなかったのはこちらも断腸の思いですが、全力をつくして
も助けられない病状というのはあるのですから..........。」
「勝手なことばかりいうな。人が一人死んでいるんだぞ。こちら
は真実が知りたいんだ。」「いままで説明したことが真実です。
お渡ししたカルテのコピーもある。こちらはありのままを説明
しているだけです。ご家族が悲しみのあまり我々にあたりどこ
ろのない怒りや悲しみを我々に向けたくなるお気持ちも分から
なくはないです。確かにご家族には受け入れ難いかもしれない
真実かもしれませんが、これ以外の真実などありはしないの
です。」原田の言葉の後、部屋には重苦しい沈黙が覆った。

(次回につづく)
【2007/03/04 22:07】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(61)
 丸山は言った。「高橋さん....。いいですか、診断がつかな
い状態でも全身状態を維持するための治療は行われています。
 そしてそれは脳出血に対して全く誤った治療をしていたと
いうことではない。当院の設備とマンパワーの状態では最善
をつくさせていただいたとしかいうことはできません......。」
 「脳出血と診断もつかない状態で1時間以上も寝ていたという
のが信じられないんです!」大輔は吐き捨てるように言った。
 「高橋さん.....。先ほどもお話しましたが、0時の段階では
脳出血と思われるような症状はなかったんです。その時点で
本当に脳出血をおこしたかどうかはわからないです....。
 それに高橋さんは、まるでそのまま放っておいたような言い方
をされますが、ベットサイドにはずっと助産師の広川が付き
添って様子をみていたわけですし、モニターもつけて監視を
していた。なにかあれば当直室から駆けつけられる状態で
様子をみていたわけです。別に全く放置していたわけではない。
 それに0時の段階では内科の先生にもみてもらっています。
 その上での判断ですから....。」「それでは誤診であるという
ことも問題ないというのですか?」横からの英雄の問いに丸山
は言った。「医療現場というのはそういうものです。一寸先は
闇の状態ですから、診断をつけるどころか何か起こっているの
か全くわからない状態でともかく命を助けなくてはならないと
いう状態はいくらでもあるのです。高橋里美さんの場合は、状
況として子癇発作と脳出血の鑑別は非常に困難だと思います。」
 原山が丸山の言葉に続いて言った。「それに.....高橋さん。
 数時間で急激に呼吸障害までおこすような脳出血であったと
すればまず助かりません......。たとえ診断がついたとしても
です......。」しばらくの沈黙の時間が流れた。
 龍雄が言った。「病院側には手落ちはないとおっしゃるのです
か?」原田は言った。「診断がつかなかったことに関してご家族
がご不満である点に関しては確かに残念であったと思いますが、
限られた条件の中では最善をつくしていると考えています。」
 「病院に手落ちがなかったとすればどうして里美は死んだので
すか?」龍雄の言葉に丸山は一瞬呆然とした。この人は何を言
っているのだ?脳出血で亡くなっているのはわかっているでは
ないか?明らかに病死である。院長で脳外科の原田も里美の脳
出血は発症してしまえば助けることのできないほど重篤な脳出血
だったのだと言ったではないか....?「大村さん.....。里美さん
は脳出血で病死されたのです。」丸山は少し困惑気味に答えた。
「いいや病院は真実を隠している。里美は病院に殺されたんだ。
あなたにだ.....。」龍雄は強い口調で言った。龍雄の言葉に
原田は言った。「大村さん。なにを根拠にそのようなことをお
っしゃるのですか?丸山先生は里美さんとお腹のお子さんを急
変時から助けるために全力をつくしてくれたんですよ?お母さ
んは助けられなかったかもしれないが、お子さんは助かった。
前から言っているように下手をすればお子さんだって助からな
かったかもしれない状態だったんですから......。少し冷静
になってください....。」

(次回につづく)

 おととい、昨日は体調が悪くてブログ更新休ませていただきま
した。少し忙しくなってきてバテぎみです。
 
【2007/03/03 22:26】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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