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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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誤報(99)
支局長からの手紙の文面は最初から病院側に過誤があると決め
付けた取材であったことを自白したようなものであった。守秘
義務があり、患者家族との話し合いが続いている病院が明らかに
悪意をもって取材を申し込んできたマスコミに情報を公開する
わけにはいかない。マスコミがきたからといってはいはいとい
って個人情報を出すわけにはいかないのはあたりまえのことだ。
 それをさも隠蔽であるかの印象を与えるような文面であり、
その取材源の大部分は患者家族からの情報だったというので
ある。最初から決め付けで取材を行い、患者家族側からの視点
で記事を書いたことがはっきりした。そして本来、スクープ熱
で冷静さを失った記者をなだめて問題がないかを冷静に検討す
べき支局長が部下の記者達と熱狂し、自慢げにネット上で書き
記したという事実は医療関係者たちにこの新聞社への怒りと不
信を増幅させた。

 医師限定のネット上のコミュニティーであるm2.comの掲示板
では川淀病院の報道に対しての論議が活発に行われていた。
 当初は内科医がCTをすすめたのに産婦人科医が無視をして
放置していたとの報道をうけ当該産婦人科医に対して批判的
な意見も散見されていたが、川淀病院にバイトにいっていた
医師や竹内を知る医師が自分はCTを撮る様に丸山医師にいった
覚えはないのになぜあのような報道になったのがわからない
ともらしていたことなどが掲示板に記載されるとマスコミ報道
に対しての批判的な意見が主流をしめるようになってきた。ま
たN県内の産婦人科医の一人が遺族がマスコミに配布しかなり
広範に流通していると思われるカルテのコピーの一つを手にい
れ提示した。それは彼が関係者の話を聞き集めて調べてきたこと
を何回か掲示板に投稿した後に最終の報告として提示された。
 彼の情報源は遺族がマスコミに配布したカルテのコピーであった。

 ここ2,3日で私自身が知りえた事を書きます。たぶんこれ以上はもう解らないと思います。

妊娠中
(1)最終月経は平成17年10月23日より5日間。近くの開業医で妊娠と診断され、同年12月20日川淀病院産婦人科初診。
(2)初診時子宮の後壁に28*18の筋腫核指摘。既往歴、家族暦には特記すべきことなし。
(3)同年12月31日、感冒症状あることと、悪阻強く、何度も嘔吐するため、本人より病院に電話があり、点滴を希望される。当直医指示により点滴を行う。この悪阻症状は 2月まで続き、そのため時々点滴を受けた。
(4)妊娠経過中はきっちり指示どおり来院、同病院で行われた母親学級も3回きっちり受講した。妊娠経過は順調で血圧も高くなく、96-118/50-60 mmHg で経過しPIHの所見もなかった。他の検査、超音波やX-ray film によるpelviometry も行われたが新しい筋腫核がもうひとつ見つかったぐらいで、ほとんど異常なく経過した。また分娩は夫立会いを希望し、所定の承諾書に署名捺印を行った。
(5)同年7月(妊娠37週)の外来受診時、時々ひどい嘔吐があることを訴える。
(6)妊娠40週頃2回行われたnon-stress testもreactive であった。

入院以後
(1)妊娠41週超で誘発目的にて入院。失神に至るまでは、おおむね今までの書き込みの通りである。誘発開始(09:40)よりPGE服用終了(14:45)まで産科病棟 師長で助産師である経験31年近い助産師がベッドサイドに付き添い経時的に内診、バイタルチェック、CTGのチェックを行い看護記録に記載あり。
(2)(17:00)準夜勤務の助産師(経験20年)に交代。陣痛は2分おきと患者応答あり。子宮口3cm開大。
(3)(17:20)入院以来最初の嘔吐あり。(胃液様)show(+)
陣痛間歇2分、発作20~30秒。助産師より呼吸法を指導す。fetal wellbeing 良好。患者「痛い、痛い」と声を出している。
(4)陣痛と悪心、嘔吐あるため夕食摂取せず。かわりにポカリスエットを十分摂取している。(18:00) CTG で異常所見なし。あいかわらず「痛い、痛い」と訴えあり。
(5)(21:30)胃液様嘔吐あり。ポカリスエットを摂取してはいるが、嘔吐が何回もあるので、ルート確保も兼ねて、5% glucose 500ml 点滴開始。(21:40) 子宮口4cm開大。児心音良好。
(6)(22:00)胃液様嘔吐あり。(23:00) 発汗多い。「もういや、家に帰りたい」との訴えあり。血性帯下を認める。
児心音良好。
(7)(0:00)こめかみが痛いとの訴えあり。発汗を認める。脱水気味。BP 155/84 HR74/min.。産婦人科医師に報告。点滴をnormal saline 500ml に変更指示あり。
(8)(0:10)胃液嘔吐あり。産婦人科医師に報告。プリンペラン1A 側管より投与の指示あり。よびかけに応答があり、開眼する。
(9)(0:14)突然の意識消失、応答に返事なし。SPO2 97%,
産婦人科医師に報告、すぐ来室。BP147/73 HR73/min.
産婦人科医師の診察。瞳孔、左右差なし。対光反射もあり偏心も認めない。血圧も安定し呼吸も安定。痛覚刺激に顔をしかめて反応。念のため内科当直医(経験6年の循環器内科 医)に診察を依頼。
(10)内科医師すぐに来室、患者の概略を説明のうえ、ヒステリー発作の可能性も含めての診察依頼。内科医師は一通りの診察を行い、「失神発作でしょう」と答えた。この記 載はカルテの医師記載欄および看護日誌にも記載あり。ここで産婦人科医は内科医に「頭は大丈夫?」と質問した。内科医は肯定も否定もしなかった。(おそらく頷くか何かのジ ェスチャーをしたのではないか。これは推測)バイタルサインもよいので経過観察ということで意見一致。
(11)産婦人科医はここで陣痛と家族の期待に対する精神的負担による失神かと考えたので、主人に「今までこんな失神のような事なかったか」と質問すると、「なかった」と 主人答える。尿失禁を認めるも、全身状態安定。産婦人科医が主人に「全身状態が良いのでこのまま様子を見ます」と伝えた。
(0:25)BP148/69mmHg,sPO2 97% ここで一旦、産婦人科医と内科医が分娩室をでて、当直室に帰る。
(0:30)BP156/71mmHg,顔色は良い。
(0:40)CTG 再装着。児心音良好。バイタルサイン良好。
(1:00)BP152/84mmHg,SPO2 97-98% 呼びかけに対し、眠っているのか、返事がない。呼吸は平静でイビキも認められない。陣痛発作時は四肢を動かしたり、顔をしかめたりする。
(1:30)CTG 異常所見なし。呼びかけに対し応答なし。よく眠っている様。顔色良好。
(1:37)突然の痙攣発作出現。当直室の産婦人科医を呼ぶ。BP175/89mmHgと上昇、水銀血圧計でBP200/100mmHg。SPO2 97%、いびきをかき始める。強直性の様な痙攣を認める。産婦人科医は強直性の様な痙攣と血圧の上昇から子癇発作と診断、すぐにマグネゾール20ml 1A 側管より静注すると痙攣はおさまった。引き続き微量注入装置を使用し、マグネゾールを 20ml/hr. のスピードで点滴を始めた。
(1:50)内科当直医を呼び出し、循環器系の管理を依頼するとともに、バイトブロックを咬ませ、口腔内と鼻孔を吸引した。バルーンカテーテルも挿入した。この時点で、母 体搬送を決断し、奈良医大付属病院に連絡し、当直医を呼び出して搬送を依頼した。
(2:00)BP148/75,HR76/min.SPO2 97%,R26/min.痙攣発作は認めない。二回目のBP144/71,HR96/min. 瞳孔散大。搬送用紙、紹介状を作成。奈良医大当直医より満床の返事あり。こちらに人手がないため、奈良医大の方で引き続き奈良医大での再検討もふくめ、他の受け入れ施設を 探してくれるように依頼。また奈良医大よりのパート医師で、当患者をずっと外来で診察していた医師を電話で呼び出したが連絡がつかない。
(2:15)患者に痛覚反応を認める。ここで内科医と産婦人科医が話し合い、頭部CTスキャンを検討したが、今の時間ではもし奈良医大が引き受けてくれたなら、ここから1 5分程度でN県医大着くだろう、(距離にして15kmで一般道だが一部四車線区間もあり、N県にしては比較的整備されている区間)いつ母体搬送受け入れの返事がくるかもわ からないし、いま移動する事による母体、胎児への悪影響を考えると、高次病院での検査、診断、処置が最善と判断した。その後内科医は、母体搬送を送り出すまで全身管理を手 伝ってくれた。
(2:30)産婦人科医師が患者家族への説明を行う。「子癇の疑いがあり、現在薬剤で対処しているが、これ以上の当院での対応は無理なので、現在N医大のネットワークを 通じて受け入れ病院を探しているので、返事を待って欲しい」マグネゾールを25ml/hr.に増量指示。
産婦人科医師は、とりあえず内科医当直医に患者のベッドサイドについてくれるように頼み、当直室で電話をかけ、電話を待ちつづけた。
その後(時間不詳)内科医と交代で患者ベッドサイドへ。主人をふくむ家族が患者を触るたびに血圧上昇を認めるので、触らないように指示。
時間が流れるうち、国立国際循環器病センターが受け入れ可との連絡あり。
(4:30)呼吸困難状態発生。気管内挿管。
(4:50)救急車へ移送。O府へ。

長文になり申し訳ありません。

2:30 以後は適宜前に書いた書き込みで補ってください。皆様のご理解とご協力よろしくお願いします。

実はこの経過の文章のうち、95パーセントはカルテに書いてある事なのです。彼らはコピーを持っていながら、医師の記載欄や看護記録のtechnical termが理解できないから、あんな記事になったのでしょう。この文章はカルテのコピーを見ながらまとめました。コピーはもう返却しました。

(次回につづく)

 この情報を提示した医師はマスコミ関係者が持っていたカルテの
コピーがなんらかの手だてで入ってそれを掲示したという設定です。
 うむ、そうするとマスコミ関係者がだれか外部の者に情報をもら
さないとこの医師に情報が渡らなかったはずですね。これをもら
したマスコミ関係者は情報漏えいの罪があるのかしら?
 そういえばある新聞社はオウムのある弁護士の情報をオウムに
漏らしたことありましたっけ。それで弁護士がオウムに消された
んでしたっけ?あれは何か罪に問われたんでしたっけか?
 あと何回も断っておきますけどこれは私が創造したフィクション
ですので実在の人物や団体とは関係ありません。そこを理解してく
ださいね。平気で事実でないことをさも事実のように報道して平気
な顔をされている某新聞社と一緒にされると困りますので.....。
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【2007/04/30 21:08】 誤報 | トラックバック(1) | コメント(2) |
誤報(98)
 医師からの抗議の電話やメール、ファックスが毎朝新聞
に届けられており新聞社としても事実誤認があったことは
認識しつつあったがスクープを誤報と公式に認めることは
なかった。そんな中10月22日の毎朝新聞のネットのホーム
ページに井出の支局長からの手紙が掲載された。

支局長からの手紙:遺族と医師の間で /N県支局
 今年8月、大淀町立大淀病院に入院したG市の高橋里美さん
(34)が容体急変後、搬送先探しに手間取り大阪府内の転送
先で男児を出産後、脳内出血のため亡くなりました。
 結果的には本紙のスクープになったのですが、第一報の原稿
を本社に放した後、背筋を伸ばされるような思いに駆られました。
「もし遺族に会えてなかったら……」というのは、今回の一件は
ほとんど手掛かりがないところから取材を始め、かなり時間を費
やして事のあらましをどうにかつかみました。当然ながら関係し
た病院のガードは固く、医師の口は重い。何度足を運んでもミス
や責任を認めるコメントは取れませんでした。なにより肝心の遺
族の氏名や所在が分からない。「これ以上は無理」
「必要最低限の要素で、書こうか」本社デスクと一時はそう考え
ました。そこへ基礎取材を続けていた記者から「遺族が判明しま
した」の連絡。記者が取材の趣旨を説明に向かうと、それまでい
くら調べても出てこなかった実香さんの症状、それに対する病院
の対応が明らかになりました。それがないと関係者にいくつもの
矛盾点を突く再取材へと展開しませんでした。
 さらに、患者、遺族は「名前と写真が出ても構わない」とおっ
しゃいました。「新聞、テレビ取材が殺到しますよ」と、私たち
が気遣うのも承知の上の勇気ある決断でした。
 情報公開条例や個人情報保護法を理由に県警、地検、県、市町
村などの匿名広報が加速するなか、記事とともに母子の写真、遺
族名が全国に伝わり、多くの反響が寄せられています。それは実
名と写真という遺族の「怒りの力」によるものに他なりません。
 支局の記者たちも、ジグソーパズルのピースを一つずつ集める
ような作業のなかで、ぼやっとしていたニュースの輪郭がくっき
りと見えた感覚があったに違いありません。手掛かりある限り、
あきらめないで当事者に迫って直接取材するという基本がいかに
大切で、記事の信頼性を支えるか。取材報告を読みながら、身に
しみました。
 改めて、お亡くなりになった高崎実香さんのご冥福をお祈りし
ます。【N県支局長・井出朗】
 
毎朝新聞 2006年10月22日

【2007/04/29 20:06】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(97)
 10月20日の昼、毎朝新聞N県支局長の井出は狭山に廊下で呼
び止められた。「支局長!」井出は振り返ると言った。「なん
だい狭山君。」「例の川淀病院の件ですけど、N県医師会の産婦
人科医会は主治医に過誤なしと表明したそうじゃないですか?
支局や本社にも複数の医師達から抗議の電話やメール、ファッ
クスが届いているといいます。どうも内科医師がCTをすすめた
というのも家族の思い違いだっただけで実際にはそうではなか
ったらしいじゃないですか?このままにしてしまっていいんで
しょうか?」狭山の言葉に井出は少し不機嫌そうな顔になった。
「狭山君。ここ2、3日のほかの報道機関の報道も見ただろう。
もう態勢は決してしまっているんだよ。医療関係者が抗議してき
たってたいしたことはないさ。産婦人科医会の会見にしたって
ベタ記事さ。ほとんど人の目にはつかないさ。いままでの医療
報道をみたってわかるだろう。医者なんか叩かれればおとなし
くなるんだ。過誤がなくたってぺこぺこ頭を下げてさ....。だか
ら叩いたってなにも問題ない。実際、人が一人死んでいるんだ。
誤診をして怠慢にも寝ていた悪役の医者、弱者の患者、悲しみに
くれる遺族。悲劇の物語の完成さ。実際、国民たちはみんな食い
ついてきたじゃないか。」「しかし、事実と異なることで個人を
たたくような記事を書くのは.....。ご遺族をだますことになりま
せんか?」「大丈夫だよ。狭山君。遺族にしたってマスコミに
騒いでもらいたかったんだから。それに医者なんて所詮、
マイノリティーさ。叩かれたって医師会も学会も我々になにも
できやしない。だからいい飯の種になるのさ。わかるだろう。
国民が読みたいと思う記事を書くのが我々新聞の仕事さ。それ
なりの部数が売れて、広告がとれなくちゃ商売にならないんだ。
多少の脚色などどこでもやっていることさ。」「ですが......。」
「もういいだろう。このスクープ記事で青山は名前を上げた。
君もなにかスクープを見つけてきてもらわないとな......。」
井出はそういうとその場に立ちすくんだ狭山を置いて立ち去った。

(次回につづく)
【2007/04/28 23:31】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(96)
 N県医師会産婦人科医会の臨時理事会では参加理事のベテラン
の産婦人科医たちが配布された資料を確認しながら論議を進めて
いた。「いや、これはやはり子癇発作と考えるでしょう。30代前半
の基礎疾患のない妊婦で分娩中での失神発作ですし.....。高血圧
もありますから.....。これで脳出血と判断しなくてはならないと
いうのは無理があります。」「診断がつかなかったとしても意識障害
をおこしている患者さんに対しての処置に大きな間違いはないで
しょう。」参加理事達の意見は丸山医師の判断と治療に関しては
大きな間違いは認められないという事で意見が一致した。ある理事
は言った。「しかしながら、我々がこの一件に対して言明するべき
なのでしょうか?まずいままでこのようなことで記者会見を行う
というのは前例がないのではないですか?我々がそのような言明
をすればまたマスコミは同業者のかばいあいだと叩くでしょう?」
 平川は言った。「我々が叩かれたからといってそれがなんだと
いうのですか?いいですか?ここに参加されていたすべての産婦
人科医が、丸山医師の判断は間違っていなかった。自分達が同じ
状況におかれれば多分同様の処置を行うだろうという意見で一致
したんです。丸山医師は我がN県医師会産婦人科医会の会員ですよ。
 正当な理由もなく訳もわからないマスコミ連中に不当にたたかれ
ている会員を守れなくて何のための産婦人医会ですか?この状況
が正当化されてしまったら医学的に正しい対応をしていても結果
が悪ければ犯罪扱いされるということです。この由々しき状況を
知らん顔して放置していいというのですか?」平川の言葉に会議
室は静まり帰った。

 その日の午後、産婦人科医会は記者会見を開いた。「川淀病院
の事件に関してN県医師会産婦人科医会は臨時理事会を開きました。
 充分にこの事例を検討した結果、参加した理事達も自分達も同
様の状況に置かれた場合同様の判断を行うであろうという意見が
大多数であり、全会一致で川淀病院の産婦人科医の治療行為は
妥当であったと判断しています.......。」

 その日の朝川新聞の夕刊にN県医師会産婦人科医会の表明の記事
が小さく載せられた。

 N県川淀町の町立川淀病院で8月、分娩中に重体となった妊婦
(当時34)が 県内外の19病院に搬送を断られ、出産後に死亡した問
題について、同県医師会の産婦人科医会(約150人)は19日、同県新
橿原市内で臨時理事会を開き、「主治医の判断や処置にミスはなか
った」と結論づけた。 妊婦は脳内出血を起こし、意識不明となっ
たが、主治医らは妊娠中毒症の妊婦が分娩中にけいれんを起こす
「子癇」と診断し、CT(コンピューター断層撮影)検査をしなかっ
たとされる。理事会後、記者会見した同医会の平川貞治会長は「失
神とけいれんは、子癇でも脳内出血でも起こる症状で、見分けるの
は困難。妊婦の最高血圧が高かったこともあり、子癇と考えるのが
普通だ」と説明。「CTを撮らなかったのは妊婦の搬送を優先したた
めで、出席した理事らは『自分も同じ診断をする』と話している」
とも述べた。 県警が業務上過失致死容疑で捜査を始めた点につい
ては、「このようなケースで警察に呼ばれるのなら、重症の妊婦
の引き受け手がなくなってしまう」と懸念を示した。

(次回につづく)

 昨日はちょっと忙しい当直でした。明日も勤務です。ちょっと
きついですが頑張ります。
【2007/04/27 23:41】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(95)
 10月19日になっても関西地方局の朝のニュース番組で川淀病院
の一件が報道されていた。「N県大川淀町の町立川淀病院で、出産中
に意識不明になった女性の手術ができる受け入れ先がなかなか
決まらず、脳内出血で死亡した問題で、奈良県警察本部は、最初
の病院の処置のミスが死亡につながった疑いもあると見て、 業務
上過失致死の疑いで捜査する方針です。 奈良県川淀町の町立川
淀病院では今年8月、高橋里美さん(当時34)が出産中に意識
を失ってけいれんを起こし、緊急手術ができる病院に受け入れを
打診したものの19の病院に断られ、約6時間後に運び込まれた
大阪の病院で、出産後に脳内出血のため死亡しました。 担当した
川淀病院の産科の医師は女性の症状を陣痛から来るけいれんと判
断し、内科の医師から「頭に異状が起きている疑いがある」と指
摘されても検査を行わなかったということで、病院は「結果的に
判断ミスだった」と 認めています。これについて警察は、こうし
た川淀病院での処置のミスが死亡につながった疑いもあると見て、
業務上過失致死の疑いで捜査する方針を固め、今後、病院の関係
者や遺族らから事情を聴くとともに、病院側にカルテなどの提出
を求めることにしています……。」原田はそのニュースを片目に
見ていた。警察の捜査が病院に入るかもしれない、まあ捜査に入
るとしても病院側に通告はあるだろうが……。だが警察はきちっ
と状況を冷静に判断して捜査してくれるだろうか?このようなマ
スコミの加熱報道に乗せられてずかずかと病院内に入ってこない
だろうか?しかしどうしてあの会見でこのような報道になるのか
……。会見では自分は病院の立場をしっかり強調していたつもり
だったのに……..。誘導尋問的に言わされた発言を強調して……
….。原田のマスコミに対してのイライラは病院の周りでうろう
ろしている連中の目に余る行動で時間が経つごとに増していた。
彼らはだれこれかまわずインタビューを試みたり、車を路駐して
通行の障害となったり、タバコの吸殻やごみをあたりかまわず投
げ捨てたりと病院側を悩ませる行動を繰り返していた。それは病
院業務に支障をきたすほどのものであった。

(次回につづく)

 明日は当直でブログお休みします。学会も終わって疲れもたま
ってきているので今日は早く寝て疲れをとっておきたいところ
です。
【2007/04/25 21:59】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(94)
 翌日18日の朝の報道番組は川淀病院のニュース一色となって
いた。どの番組も患者が意識障害になったのに陣痛の痛みによる
失神といって産婦人科医が寝ていた。内科医が脳の疾患を疑って
CTを勧めたのに産婦人科医が無視した。転送を依頼された18病院
が受け入れを拒否したという事実関係の説明を行った後、病院側
のインタビューとして原田の「結果として診断ミスはあったわけで
すが….。」という発言の画像と、ウェディングドレスの里美の
遺影と位牌の前で赤ん坊を抱えた大輔が「内科の先生はCTをとった
方がいいといったのに、先生は子癇発作といって聞かなかったん
です。CTとっていてくれさえすれば適切な処置をしてもらって
里美は助かったのに…….。」と言う画像と、英雄の「私も廊下の片隅
でもいいから引き受けてくれといったのに他の病院も受け入れてくれ
なかった…..。」と言う画像が流される。ついで、事情しらずのコメ
ンテーターたちが、「これは殺人でしょう。この産婦人科医は逮捕
ですね。」「全く、ひどいですね。CTとれば助かったのに……….。」
「この受け入れを拒否した18病院にも責任がありますよね。実名
だせないんですか?この病院で当直していた医者も同罪ですよ….。」
などというコメントが次々とだされるという構成となっていた。
 朝の報道番組を見ていた真理絵はどの報道も夫が重大なミスを犯
して患者を殺した。逮捕されてしかるべきであるという決め付けで
行われているように感じられた…….。電話が鳴る。またいやがらせ
電話かしら…..。「もしもし丸山ですが…….。」「お母さん。恭子よ。
いまテレビで川淀病院が大変なことになっているみたいだけど
お父さん大丈夫?患者さん、死んじゃったんですって?」「恭子ちゃん。
昨日、お父さんに話を聞いたけど、お父さんはこの患者さんに対して
は全力をつくしたっていってたわ。でもどうしても助けられなかった
んですって…..。」「でも、テレビや新聞では、警察も動く方向だっ
て….。」「恭子ちゃん。大丈夫よ。新聞やテレビとお父さん。どっち
を信じる?私はお父さんを信じるわ…….。」

 病院に勤務している丸山は昨日よりまして周りの視線の厳しさを
感じていた。病棟を回っている時に「あの先生、患者さん死なせちゃ
ったんですって?」「そうらしいわ、テレビでもずっとやっていたわ。」
「本当に大丈夫なのかしら?」という患者の会話を漏れ聞き、いたたま
れない気持ちを抱いたまま黙々と仕事をこなしていた。

 N県医師会産婦人科医会の平川は一連の報道みてなんともいえない
嫌なものを感じていた。報道を客観的にみてみると特に投薬ミスや
医療行為のエラーがあったわけではなさそうである。意識障害の妊婦
ならそうそうは受け入れてもらえない。18病院が受け入れられなかった
のも仕方がなかったことかもしれない。一生懸命転送しようとしたが
少し時間がかかった。4時間前後でこの時間で転送先が見つかったな
ら上等だろう…..。これで刑事事件?警察が動く?疑問となんともいえぬ
危機感を平川は感じていた。平川は医師会の産婦人科医会の事務局に
電話をかけた。「もしもし、緒方君。平川なんだが、例の川淀病院の
件について産婦人科医会として見解をだす必要があると思うんだ。
明日、臨時の理事会を開きたいんだが連絡おねがいできるかな?
それから、川淀病院の丸山君に電話して当該の患者さんのカルテのコピー
を送ってもらえるように頼んでほしい…..。」まずは、丸山君になんらか
の医療過誤がないことを確認しなくては……..。そしてやはり過誤がないと
すれば産婦人科医会は丸山君を守ってやらなくてはならない……。
 守るべきときに会員を守れなくて何のための産婦人科医会か…….。
 平川は心の中でそうつぶやいていた。

(次回につづく)

 今日は少し遅くなりました。明日も仕事ですがんばります。
【2007/04/24 23:39】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(93)
 「亡くなられたのは高橋里美さん。34歳。今年の8月に
N県川淀病院に入院中に意識をなくしたということです。
 意識消失時に産科医は内科医が脳出血の可能性があり
CTを撮るように言ったのを無視して、分娩の痛みによる
失神と考えそのまま放置し、状態が悪くなったところで
子癇発作と診断して、患者さんを転送しようとしました
が、18もの病院に転送を拒否されたということです。」
 次に大輔が生まれた赤ん坊をかかえてインタビューし
ている画像が流された。「先生は子癇発作だといって
ききませんでした。内科の先生がCTをとった方がいいと
いっていたのに.....。CTさえ撮って、早く処置できた
ら助かったはずなんです....。この子が不憫で......。」
 里美さんは転送先の国立国際循環器センターにて1週
間後に死亡したということです。内藤さん。また医療
ミスで人の命が奪われました。全くいたましいことです。」
 「全くですね。病院側には速やかに誠実な対応をして
もらいたいものです......。」病院側の意見はほとんど
カットされ、原田の結果的に診断ミスはあったという発言
だけを取り出した病院会見のVTR、患者家族側の発言や
見解を強調して構成されたニュース内容は、明らかに病院
と担当産科医を非難する形となっていた。丸山は画面を見
ながら立ちすくんでいた.....。

 どうしようもない焦燥感にかられ、病棟の患者さんや患
者家族の同情と非難のこもった視線を感じながらも丸山は
その日の業務を何とか終わらせ、夜の11時半に病院を後に
した。今日はともかく疲れた....。早く横になろう.....。
 「ただいま....。」ようやくの思いで家についた丸山は
血相を変えた妻の真理絵の表情に一瞬たじろいた。「あなた
今日、こんなものが郵便受けに....。」そこには「殺人医者
!おまえなど死んでしまえ!」と書かれていた。「ほかに
も今日だけで嫌がらせの電話が10数件もかかってきて...。」
 狭い町である。新聞やテレビの報道があれば下手をすれば
社会的に抹殺されてしまうかもしれない.....。妻の動揺を
みて、丸山は改めて自分が陥れられた状況を自覚させられた。
 丸山はこの地で20数年間かけて築いてきたものが音をたて
て崩れ去っていくのを感じていた......。

(次回につづく)
【2007/04/22 08:57】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(92)
 丸山はいつもの通りに夕方の病棟の回診を行っていた。例の
脳出血の妊婦の転送の一件について新聞にでていたこと、今日の
午後に院長らが病院側の記者会見を行ったことは知っていた。
 新聞に書かれたことで外来でも「先生、なんか患者さんを放置
して死なせてしまったんですって?新聞にでていましたよ。」「こ
れから妻が出産するのに大丈夫なんですか?」などど丸山に診察
中に詰め寄る患者や家族がでてきていた。20数年もこの地域の為
にやってきた。忙しいけれどもこれからもこの地域を地域医療を
支えていかなくてはという思いで頑張ってきた。そうやって長年に
わたって築き、地域の患者さんと培ってきた信頼関係があっという
間にて崩れ去っていくのを丸山は感じていた。心なしか病棟の看
護師たちの表情も硬かった。彼女達も今後どうなっていってしまう
のか不安なのだろう…….。だが、なんとか踏ん張らなくては…..。
 私が今しっかりしなくてどうする……。実際、私はあの時この
施設でできるだけのことはしたのだから..…..。竹内先生にも協力し
てもらって……..。院長も記者会見で病院には落度はないというこ
とを重ねて強調する。丸山君心配しないでくれといってくれてい
た。時間はかかるかもしれないが事実がわかれば、時がすぎれば
もとの信頼関係をとりもどすことができるにちがいない……。足
元から何かが崩れていきそうな気持ちになりそうになる自分自身
に対して丸山はそう言い聞かせていた。
 病棟の食堂の前を通ったとき丸山はテレビに映った画像をみて
足が止まった。それは夕方のニュースの一画面であった。「N県
川淀病院で脳出血を見逃され、34歳の妊婦が死亡していたことが
今日明らかになりました。」そのアナウンスの後に病院側の記者
会見のビデオ画像が流された。「そうですね。結果的には診断ミス
はあったわけですが…..。」そこには丸山に病院側には落度はない
と強調するといっていたはずの原田の画像が映っていた。
(次回につづく)

 青森の学会は無事に発表を終えて一息つきました。すこしのん
びりしながら更新しています。青森も今日は天気はぐずついてい
ました。傘買って、病院のスタッフにお土産買って、荷物がかさ
ばって仕方ないです..。
【2007/04/21 19:55】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(91)
 「いずれにしても当院において患者さんに関してはでき
るかぎりの対応をさせていただいております。結果的には
お亡くなりになったということでご家族の心境はあまり
あるものではありますが、今後とも話合いをつづけていき
ご理解していただくよう当院としても努力していく所存
です。」「人、一人亡くなっているんですよ。病院側に
落ち度がなくてどうして亡くなるんですか?」「若い方で
も病死があるということです。この方は脳出血で病死され
た。多分、うちの病院より高次の医療機関でも助けられない
ような広範な脳出血による病死です。分娩中の意識障害
を起こした患者さんに対しては担当の産婦人科医と内科医
は当施設においてはできるかぎりの対応をしてくれたも
のと考えております。」「病院はなにか隠しているんでは
ないのですか?」「いったいなにを根拠にしてそのように
おっしゃるのか理解いたしかねますが、我々としてはご家族
の承認を得られる範囲で情報は公開していますが....。」
 記者との問答はその後も続いた。1時間半を経過したと
ころで司会を務める白石が言った。「それでは一通り質問
をうけさせていただきましたのでここで記者会見を終了
にしたいと思います。また追加の質問などありましたら
文書にて提出していただければ追って回答させていただき
たいと思います。」まだ早い、会見を打ち切るつもりか!
との罵声が飛んだが、原田はすっと立ち上がり一礼して
席から離れた。

 記者会見の後、会議室に原田たちは移って今後の対応に
ついて相談しようとしていた。事務長の高田は原田に言った。
 「院長先生、ご苦労様でした。かなり厳しい記者会見
でしたが病院側の姿勢は示せたのではないかと思います。」
 「かなり無礼な質問もあったが、まあ大丈夫だろう。あと
は夕方のニュースでどのように報道されるかだが......。」
 原田はそういってため息をついた。記者会見の内容も
報道機関のいいように編集されるだろう.....。どのように
報道されるか.....。そんなには甘くはないだろうと原田も
高田も想像してはいた。そして実際にそれは彼らの予想を
上回るものになっていくのであった......。

(次回につづく)

 明日の午後に青森に出発します。土曜日に発表して日曜日に
帰ってきます。学会は青森は遠いです.....。元気があって
ネットカフェで更新する元気があれば更新しますが、ちょっと
きびしいかもしれません。ともかく学会発表がんばってきます。
 
【2007/04/19 23:28】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(90)
 「お手元に配布させていただきました資料に詳細は書か
れておりますのでそれをご参照ください。経過に関しまし
ては以上です。」「それではご質問を受けたいと思います。」
 間髪いれず質問がでてきた。「結局病気は脳出血であった
わけで、診断がつかないまま患者さんは適切な治療を受けら
れないまま死亡したということですか?」「患者さんは
妊婦さんで、30代の若い方です。特に糖尿病などの基礎疾患
があるわけでもなく、血圧が上昇して意識障害で痙攣発作を
おこしたとなればまず子癇発作を考えると思います。その後
の医療的な対応に関しても妥当なものと考えております。」
「患者さんの家族との話合いでも病院側に落ち度はないと
断言されたということですが、脳出血と診断がつかなかった
こと、最初の意識障害が発生してから1時間ほどは担当医
は休んでいたということですが、これは問題ではないので
すか?」「実際に、最初に意識障害が発生した時に担当医
は内科の当直医と診察しています。麻痺などの症状がない
ことから経過観察としていますが、モニターは装着してい
ましたし、点滴ラインも確保し、助産師もベットサイドに
ついた状態でなにかあれば対応できる体制にしていました。
実際、担当医は助産師が異常を察知して呼び出しを受けたと
きにすぐに現場にかけつけて対応しています。」「脳出血
と診断がつかなかったのは問題ではないのですか?」「脳
出血はCTを撮影しないと判断できません。当院はCTを撮る
ためには技師を呼び出さなくてはなりません。技師を呼び
出して機械を立ち上げ撮影するのにはそれなりの時間がか
かります。子癇発作の可能性も否定できない時に人手のない
ところでCT室に運んで急変する可能性もありました。とも
かく転送が必要な状況であり、CT自体は高次医療施設で
とってもらって診断してもらったほうが安全だったと思います
し、脳出血とわかったら夜間の妊婦の脳出血に対応できる
施設などほとんどありませんからかえって転送先がみつから
なかった可能性があります.......。」
 記者の激しい攻撃的な質問に原田はかなり注意をしながら
答えていた。病院側に落ち度はないということを強調したが
記者たちは納得せず次々と質問を浴びせかけていった。
 「院長先生、経過はどうにせよ、病院側がきちんと対応し
たと思っているようにせよ、結果的には診断ミスはあったわ
けでしょう?対応は適切であったにしても......。」
 「そうですね。結果的には診断ミスはあったわけですが...。」
 この一言を聞いて取材に同席していた青山は島田にささやいた。
 「これで今日の絵は(今夜のニュースの画像)決まりましたね。」
 原田は記者に言わされたこの一言の事の大きさにまだ気がついて
いなかった。

(次回につづく)

 昨日は緊急手術で遅くなりました。明日も当直でブログお休み
です。
【2007/04/17 23:51】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(89)
 陣痛の誘発と促進ための内服薬を内服してもらって陣痛が誘発
され順調に経過していましたが、8月8日の午前0時すぎに患者さん
は意識を失いました。産婦人科の担当医が内科の当直医師にもきて
もらって診察していましたが、このときは麻痺などもなく陣痛の
痛みに伴う失神だろうという判断をしています。胎児心拍も正常
であったことから経過観察することとして、助産師が分娩の監視
を継続していました。午前1時すぎに突然痙攣があり担当の産科医
が診察して子癇発作という判断をしてマグネゾールという痙攣を
止める薬を使用したところ痙攣は消失しました。血圧の上が200を
超えていることから妊娠高血圧を合併した子癇発作と判断。子癇
発作というのはお腹の胎児も仮死状態となる危険があり、緊急の
帝王切開が必要となる病態です。胎児仮死の可能性も考えてNICU
のある施設への転送が必要と判断して転送先を探し始めています。
 N県立医大病院と、県立N病院をはじめN県からO府にいたる基幹
病院に転送を依頼しましたが、受け入れ態勢をとれる施設がなく
国立国際循環器センターに最終的に受け入れ先が決まったのは5時
すぎでした。患者さんの状態は急激に進行し、呼吸状態も悪化し
てきたため、気管内挿管を行い、呼吸を確保しています。その状
態で転送となっています。国立国際医療センターでの返書では、
転送時には瞳孔が、散大しており、CTを撮ったところ脳出血だ
ったということで、脳室ドレナージ術と帝王切開術が施行され、
胎児は無事に出産したようですが、母体は脳出血で亡くなられて
いるということでした......。」原田は病状についての説明を
続けた。

(次回につづく)
【2007/04/15 16:12】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(88)
 その日の1時ごろから川淀病院の駐車場にマスコミの車が
乗り付けてきていた。病院の周囲にカメラや色々な撮影器具
を持ち歩いたマスコミ関係と思われる人々がうろついていた。
 病院の画像をとるために病院周囲で撮影をしたり、病院に
出入りする職員や患者に取材をしようとする姿が見受けら
れた。一体、何事だろうかと通りかかった人たちはいぶかしげ
に彼らを見ていた。3時近くになり、取材にきたマスコミ関係
者たちが病院の会議室に招き入れられた。カメラポジションの
場所の取り合いや席の取り合いで記者やカメラマン達の小競り
合いが始まった。「お前、そこじゃまなんだよ...。」「お前の
カメラそこどかせっ!」会場整理にあたっていた事務員たちは
彼らの柄の悪さに少し驚いていた。3時になって院長の原田が
会議室に事務長の高田と総婦長の三船ともに会議室の壇上に
上がってきた。彼らが席に一旦ついた後、進行役を務めること
になった白石が言った。「それでは記者会見をはじめさせて
いただきます。」その一声のあと壇上の3人は起立した。原田
が言う。「まずは亡くなられた患者さまのご冥福を心よりお祈
り申し上げます。」原田の言葉と共に3人が頭を下げた。それと
同時に一斉にフラッシュの光がたかれ、シャッターがきられ
る音が部屋にこだました。3人が席に着いた後、原田が患者の
病状経過について説明を始めた。「それでは患者さんの病状
経過についてご説明させていただきたいと思います。患者さん
は34歳の女性です。妊娠41週で過産期に入っており8月7日に
分娩誘発のために入院となっています......。」

(次回につづく)

 当直はちょっと忙しくて大変でした。昨日はばててしまって
更新する元気がなくてお休みさせてもらいました。
【2007/04/14 19:17】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(87)
 原田は言った。「なんてことだ......。またずいぶん
大々的にかかれたものだな.....。」「毎朝新聞は全国紙
ですから.....。早々に病院周囲にマスコミがはりつくで
しょう。一回記者会見をしておかないと、また隠蔽だの
情報隠しだのと報道されるでしょうし.....。」「しかし
この記事はひどいな.....。内科の竹内君はCTをとるのを
勧めてはいなかったようだが、丸山先生も徹夜に近い状態
で患者さんの治療にあたっていたはずなのに6時間放置と
は.....。ともかくなんとかしなくては.....。職員から
勝手なコメントをとられては困る.....。朝礼のときに職
員にはマスコミのインタビューを求められてもご家族
と話し合い中で個人的な情報はまだ話ができないのでと
いうことでインタビューには応じないように各部署の責
任者に伝えることにしてあとはマスコミに対しての記者
会見だな.....。今日の午前中は外来があるから、午後の
3時ごろ記者会見をするということで各マスコミにファッ
クスを流してくれるかい。各社とも夕方の6時のニュース
に間に合わせたいとかんがえているだろうから、その方が
病院内に入り込まれたりするのを予防することができる
だろう。彼らはまず画像が欲しいから何をしでかすかわか
らないからな....。あとご家族に、記者会見があることを
連絡しておいて欲しい。その他は危機管理室の方と相談し
て方針をたててくれ。」「わかりました。」この記事では
丸山先生が一方的に悪者にされてしまっている......。こ
このところのマスコミの医療報道の流れからすると、また
医療ミスと決め付けての報道になるだろう。こちらに手落
ちがないとしてもそれをうまく伝えられるかどうかもわか
らない......。記者会見はかなり厳しいものになるだろう
....。覚悟しなくては.....。原田はそう考えていた。

(次回につづく)

 明日は当直でブログ更新はお休みです。
【2007/04/11 23:17】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(86)
 10月17日の朝、院長室に出勤してきた原田に高田が声を
かけた。「院長先生!」原田は振り返って言った。「事務長。
どうしたのかな、朝から。」「先生、これごらんになりまし
たか?」高田は原田にもってきた新聞を渡した。「ともかく
見てください。」原田は渡された新聞をみるとある記事に
目が釘付けになった。

病院受け入れ拒否:意識不明、6時間“放置” 妊婦転送
でN県18病院、脳内出血死亡

 ◇手術は60キロ先のO府
 N県川淀町立川淀病院で今年8月、分娩(ぶんべん)
中に意識不明に陥った妊婦に対し、 受け入れを打診された
18病院が拒否し、妊婦は6時間後にようやく約60キロ
離れた国立国際循環器病センター(O府S市)に 収容された
ことが分かった。妊婦は、脳内出血と帝王切開の手術をほ
ぼ同時に受け元気な男児を出産したが、 約1週間後に死亡
した。遺族は「意識不明になってから長時間放置され、母
体の死亡につながった」 と態勢の不備や病院の対応を批判。
大淀病院側は「できるだけのことはやった」としている。
過疎地の産科医療体制が社会問題化する中、N県や川淀町
は対応を迫られそうだ。 (31面に関連記事)

 ◇県外搬送常態化
 遺族や病院関係者によると、妊婦は同県G市に住んでいた
高橋里美さん(34)。 出産予定日を過ぎた妊娠41週
の8月7日午前、川淀病院に入院した。8日午前0時ごろ、
頭痛を訴えて約15分後に意識不明に陥った。 産科担当医
は急変から約1時間45分後、同県内で危険度の高い母子の
治療や搬送先を 照会する拠点のN県立医科大学付属病院(N県
S市)に受け入れを打診したが、 同病院は「母体治療のベッ
ドが満床」と断った。同病院産科当直医が午前2時半ごろ、
もう一つの拠点施設である県立N病院(N市)に受け入れを
要請。しかし N病院も満床を理由に、応じなかった。 医大
病院は、当直医4人のうち2人が通常勤務をしながらO府
を中心に 電話で搬送先を探したが決まらず、午前4時半ご
ろ19カ所目の国立国際循環器病センター に決まったとい
う。高橋さんは約1時間かけて救急車で運ばれ、同センター
に午前6時ごろ到着。 脳内出血と診断され、緊急手術と帝
王切開を実施、男児を出産した。高橋さんは 同月16日に
死亡した。 川淀病院はこれまでに2度、高橋さんの遺族に
状況を説明した。それによると、 産科担当医は入院後に陣
痛促進剤を投与。容体急変の後、妊娠高血圧症候群(妊娠中
毒症) の妊婦が分娩中にけいれんを起こす「子癇(しかん)
発作」と判断し、 けいれんを和らげる薬を投与した。当直
の内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、 CT(コンピ
ューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け
入れなかったという。

 緊急、高度な治療が必要な母子について、厚生労働省は
来年度中に都道府県単位で 総合周産期母子医療センター
を指定するよう通知したが、N県など8県が未整備で、
母体の県外搬送が常態化している。

 川淀病院の原田院長は「担当医が子癇発作と判断して処
置した。 脳内出血の疑いも検討したが、判明しても対応し
ようがなく、診断と治療を対応可能な病院に依頼して、連
絡を待っていた。ご遺族とは誠意を持って対応させていた
だいている」 と話した。一方、高橋さんの遺族は「大淀
病院は、脳外科を備えながら専門医に 連絡すら取ってい
ない。長時間ほったらかしで適切な処置ができていれば
母体は助かったはずだ」 と話している

 ◇「確認可能なはず」
 妊婦が意識を失った場合、子癇発作と脳内出血の差は
どう判別されるのか。 県立医大の小村浩・産科婦人科
教授によると「いずれもけいれんを起こし、普通どちら
なのかは 判断できない」という。一方、別の産科医は
「頭痛があり、妊娠高血圧症候群がないなら、 脳内出
血を疑うべきだ。病院内にCTがあるなら、確認は可能
だったはず」と話す。 遺族は「脳内出血を疑う情報が、
転院依頼先の病院に伝わっていれば、次々と断られるこ
とはなかったのでは」と訴える。
                【青山絵里】

(次回につづく)

 今日は早く帰ってこれたので早く更新します。
 話の中の記事は記事内容は17日の某新聞の記事を参
考にさせていただきました。

  必死に対応しながら転送先検索
          → 6時間 放置
  内科医も症状から脳疾患を否定、2人で経過観察することにした
      →内科医がCTの必要性を主張したが産科医が無視
  満床や体制不備で対応できないため
    受け入れできないと18病院が返答
     (受け入れ態勢できない状態で患者を受けるのは
        無責任だし、事故につながる。良心的な対応)
     →18病院 受け入れ拒否
  県立医大の教授が「判断が難しい」といっているのに
   別の産科医の意見を強調、(この産科医は誰?)
    遺族の意見につなげる

       という形で事実と異なる捏造がされたと
               いう設定です...........。
  あくまでもある事件をモデルにした私の創作であることを
一応申しつけ加えておきます。捏造して事実を報道していると
いう態度をとっているある新聞と同じにされるのは困るので...。
      
            
【2007/04/10 21:13】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(85)
 「病院とは2回話し合いましたが、病院側には特に手落ちは
ない。できるだけのことをしたということを繰り返すばかりで
埒が開きません。院長先生と丸山先生も病院の過ちを認めよう
としないのです。」涙ながらに語る大輔に青山は「そうです
か......。」と呟いた。横から英雄は言った。「記者さん。お
願いです。この事件を公にしてください。病院の医療ミスを暴
いて欲しいんです...。名前と写真がでてもかまわない....。」
島田が言った。「このことを報道すると、ご家族にも迷惑がかか
ります。新聞で報道すれば新聞、テレビ取材が殺到しますよ。」
「それでもかまいません。」大輔が言った。

 N県支局で川淀病院妊婦死亡事件についての会議が開かれた。
 青山が言った。「妊婦さんは高橋里美さん34歳の女性です。
8月7日に分娩誘発のために入院になっています。8月8日の0時
すぎに意識がなくなっています。担当の医師は分娩の疼痛に
よる失神という診断をくだして、内科医師がCTをとるように
すすめたのを拒んだと家族は言っています。」「内科医師の
意見を無視したということだね。」井出が言った。「そういう
ことだと思います。そのあと担当医は1時間半にわたって寝て
休んでいたということです。1時すぎに痙攣発作が起こった
ところで担当医がきたということです。子癇発作という診断
で治療が行われ、転送先を探し始めたということだが転送
先が見つからなかったということです。」「ようやく見つけた
転送先では子癇発作ではなく脳出血という診断で、帝王切開
と、頭の手術が行われたそうです。里美さんは転送先で亡く
なっています。」と島田が横から付け加えた。青山が続ける。
「つまり、脳出血だったのに最初は分娩の途中での痛みによる
失神だったと決めつけ内科医師の意見を無視して寝て休んで
いたということ、痙攣発作を起こしたあとも子癇発作だと
いって脳出血ではなく子癇発作の治療をしていたこと。子癇
発作と誤診したために転送先が見つからなかったことが
あります。」別の部署の記者の狭山が言った。「青山君、非常
によく取材したと思うのだが、ご家族の話の裏はとれているの
かい?病院側に事実関係の確認がしっかりとれているのかな?
たとえば、内科の先生がCTを勧めたっていうのは?カルテの
コピーにはそのような記載はないようだけど.....。家族の話
だけでカルテにかかれてないことを事実と断定していいんだ
ろうか。個人の話には思い込みが紛れ込む可能性もあると
思うんだ。」「それは....。実は病院側にも何度かアプローチ
していたのですが病院側の口は重くて.....。」「だが、紛争
になっているときは両者から話をきちんときかないと。私は
カルテのコピーからわかることだけ記事にするべきだと思う
んだが.....。」井出が言った。「まあ狭山君のいうことも
わかるが、病院側は認めようとしないだろうし、取材もしにく
いだろうしまずコメントを取るのは無理だろう。ご家族が実名
を出してもらっても報道して欲しいといっているんだ。我々は
それを記事にして報道する義務がある。そうだろう。」「支局
長.....。ですが....。」「狭山君、余計な心配をするな。これ
はおぜん立てされたドラマのようじゃないか。
 まず役者がそろっている。主役は妊婦という弱者の代表。調べ
てみたところ調査の結果は「医師の怠慢」。 読者はまちがいなく
引き込まれる。このスクープで販売部数だって上がるだろう。
 脳外科と産婦人科の先生からもコメントをもらっている。
 大丈夫さ.......。」

(次回につづく)
【2007/04/09 21:33】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(84)
 青山と島田は約束どおり家族の話を聞くために高橋家を訪
れた。新聞記者がくるということで、夫の大輔と大輔の両親
である英雄と雅代、里美の両親の大村龍雄と敏江が家にきて
いた。青山は家族を前に切り出した。「それでは、里美さん
が転送になった時のことについて教えていただけますか?」
大輔は話を始めた。「前日に陣痛が遅れているということ
で陣痛の誘発のために入院になったんです。陣痛と吐き気が
あって点滴してもらっていました。途中までは分娩は順調
だったようでした。おかしくなったのは夜の0時ころでした。
意識を失って、丸山先生が呼ばれました。丸山先生は診察
して、分娩の痛みによって意識を失ったのだろうと言って
いました。内科の先生にも診てもらって、内科の先生は頭
に何か起こっているかもしれないと言っていたと思います。
確か、頭のCTも撮ったほうがいいのではないかと言ってい
たと思うんですが.....。結局、そのまま経過をみますと
言われたんです。里美はそのまま放りっぱなしで....。
痙攣をおこしたのは1時半ごろです。それから丸山先生は
あわててやってきて、子癇発作だと言ったんです。痙攣
発作を抑える薬を使って状態をみているが、この病院では
診れないから他の病院に行ってくれって言われました。」
「そうですか.....。」横から龍雄が言った。「その1時間
半の間どうしてたのかと聞いたら、寝ていたっていうんで
す信じられますか?」「すると、丸山医師は内科の医師が
頭に異常があるのではないか、CTをとったほうがいいのでは
ないかという意見を無視して分娩の痛みのための失神だと
決め付けて、患者さんを放置していたということですね。
その間寝ていたと....。そうですか.....。」「子癇発作
ということでなんでも胎児のための新生児集中治療室が
ある病院じゃないとだめだと言って.....。それで数え切れ
ないほどの病院に次々に断られて....。最後に国立国際
循環器センターに転院になったんです。そうしたら脳出血
っていわれて.....。」「なるほど、子癇発作だといわれた
のに実際には脳出血だったと.....。」「脳出血だったら
もっと早く病院を見つけられたかもしれないのに、誤診
したがために病院がみつからなかったんです......。」
 大輔は涙を流しながら話した。

(次回につづく)

 大分暖かくなってきて桜も咲いてきましたね。本編の方は
ここらへんあたりから事実と異なる内容の報道がされていく
経過をうまく描出していければと考えています。今後の物語
の顛末を楽しみにしてくださいね。
【2007/04/08 23:09】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(83)
 「患者さんの家族の連絡先がわかったって?ほんとうか?」
島田は電話口で言った。「ええ、大吉野郡の葬儀社に当たって
高橋里美の連絡先をつかみました。」「連絡先に間違いはない
のか?」「間違いないです。実際連絡とってみたところ旦那さ
んが電話に出ました。取材は是非受けたいということでしたの
で明後日、お伺いする約束を取り付けました。」「でかした。
青山君。」「支局長にも伝えておいてください。」「わかった。」
そう言って島田は電話を切った。島田は井出に言った。「青山
君が家族の連絡先をつきとめたそうです。電話で旦那さんと連絡
がとれたとのことで、取材の約束もとりつけたそうです。」
「そうか、それは良かった。家族に話をきけば事の顛末がもう
少しはっきりするだろう。病院側の誤診がはっきりすればこれ
は記事にできるな。島田君も青山君といっしょにこの件を
つめていってもらっていいかな。」「もちろんです。大切な
スクープですから......。」島田はそう答えた。

 その日の夜、外出先から帰ってきた英雄に大輔は言った。
「お帰り、父さん。」「ああ、ただいま。」「父さん、実は
今日、毎朝新聞の青山とかいう記者から電話があったよ。なん
でも里美のことについて話が聞きたいっていうことだったけど。」
「ふん、ようやくたどり着いたか.....。」「父さん、何か
言った?」「いやなんでもないよ。里美さんのことを聞きた
いって?新聞記者がかい?」「ああ、そうなんだ。経過に
ついてご家族から話を聞きたいっていうんだ。それで一応
明後日の午後6時ごろなら大丈夫って返事しておいたけど、
父さんもその時間なら家に帰ってこれるよね?」「ああ、大
丈夫だと思うよ。」「じゃあ、そのつもりでいてね。」「わか
った。」「でもなんで新聞記者がわざわざ家なんかに取材に
くるのかねえ。」雅代が少しいぶかしげに呟いた。「まあ
それはわからないが、うちにとっては害のある話じゃないだ
ろう。まあ、取材をうけてみて考えるさ......。」英雄は
つぶやくように言った。

(次回につづく)
【2007/04/07 23:32】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(82)
 「もしもし、こちら青山というものなんですけど。大丸日典
さんですか?実は先月の18日に高橋里美さんという方の告別式
がありまして、そちらの葬儀屋さんでやってくださったかどう
か確認したくて......。ええ実は彼女の高校の友人なんですが
どうしてもご家族にお渡ししなくてはならないものがありまし
て....。連絡先がどうしてもわからなくて、そちらでわかれば
電話番号だけでもお聞きできればと.....。」丸山から情報を
得ることに失敗した青山は川淀町周囲の葬儀社を片端から電話
をかけ家族の連絡先を聞くことにした。死んだ母親の名前と
告別式の日にちがわかれば葬儀社をあたれば家族の連絡先が
わかるかもしれない.....。そうかんがえた青山は川淀町と大吉
野郡周囲の葬儀社をあたることにした。葬儀社も都会のように
多いわけでもないしあたるとすれば数社だ.....。青山は里美の
友人をかたって連絡先を聞こうとしたのである。

 編集部で島田と井出が話しあっていた。「青山君が直接、丸山
医師に取材をこころみたのですが、ほとんど相手にされなかった
ようです。」「まあ、そうだろう。病院側も医療ミスを隠したい
と思っているだろうし、当事者には緘口令もしかれていることだ
ろうからね......。」「どうしますか、やはり病院にもう少し
つっこんで聞いてみるか、遺族に話を聞ければいいんですが...。」
 「病院側はまた取材させてくれそうなのか?」「今のところは
また追って連絡するのでということにはなっていますが.....。
どうでしょう。」「うーんそれはどうだろうかな......。そのまま
になってしまうかもしれないね。」「医療ミスの疑い?ということ
で記事にしてしまえば、病院もそのまま黙っているわけにはいか
ないでしょう。カルテの写しもあるし、見込みで記事にしてし
まってもよいと思うのですが......。一応、某病院の脳外科の先生
には意識障害の患者で脳出血を考えないというのはありえないとい
うコメントはもらっていますし、誤診ということは確かでしょうか
ら.....。」島田は井出に向かって言った。「記事にしてしまえば
病院も黙っていることはできなくなるだろうということかな?」
「端的にいえばそういうことになりますかね.......。」「うーん。
せっかくのスクープだ。記事にすれば家族も手をあげてくれるか
もしれないしね......。悩むところだが......。」話していると
ころに島田の携帯電話が鳴った。島田は井出に一言すいませんと
いうと電話をとった。「もしもし、島田ですが.......。」「いそ
がしいところすいません。島田さん。青山です。家族の連絡先が
わかりました。」

(次回につづく)

 一応注釈しておきますけど、島田がその脳外科の先生にいた
だいたコメントは意識を失った患者さんに対して脳出血をかんがえ
ないということはあるかという質問に対してのコメントという
設定です。(意識障害をおこした妊婦でないところがミソなの
を一応理解しておいてくださいね......。)

 人が減ってすこし忙しモードです。7月には一人増やしてもら
えるとの希望的観測もあり、それまで頑張ります。でも月初めで
レセプト詳記の山に追われ、4月下旬の消化器病学会(また青森
なんですよ....。遠い.....。行くのも帰るのも大変.....。)
の準備もあってちょっときつい状況ですね.....。ばてない程度
にブログ更新していきますね.....。
【2007/04/05 23:48】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(81)
 9月下旬のある日、丸山が病棟業務を終え、当直を大学の
バイトの先生にお願いして帰宅につこうと着替えを終え、病院
の出口をでて少しあるいていた。「丸山先生。」女性の声の
呼びかけに丸山は振り返った。そこには見覚えのない女性が
立っていた。あれ、患者さんのご家族の方かな......。丸山
はそう思い、頭を下げた。「ええっと、失礼ですがどなたか
のご家族の方でしょうか?」丸山の問いにその女性は答えた。
「毎朝新聞の青山といいます。」丸山は思った。こんなとこ
ろに直接くるとは......。「申し訳ありませんが、今帰るとこ
ろですから.......。取材でしたらまた改めて時間のあるとこ
ろでアポイントメントとってもらってからにしていただけま
せんか?」丸山はそういうとあらためて歩き出した。「先生、
どうしてもお聞きしておきたいことがあって......。高橋
里美さんという患者さんをご存知ですよね?」食い下がって
くる青山に丸山は少しいらいらしてきていた。3日ぶりに家に
帰れるというのに....。大体、こんな道端で聞かれてまとも
に答えられるわけがないではないか.....。大体、患者さんの
情報に関しては守秘義務があるというのに.......。丸山
は言った。「記者さん。申し訳ないんですが、このような
形でのインタビューは非常に無礼だと思いますよ。相手に
も都合というものがあるのですから.....。」「でも先生。
ひと一人死んでいるんですよ.....。」「手元にカルテも
何もない状態ではお話できません。たとえばあなたが出勤
途中に見知らぬ男に話しかけられて、どこに住んでるの?
どこで働いているの?と話しかけられて付きまとわれたら
迷惑でしょう?それと同じ位、私にとってもあなたの行動
は迷惑なんです。あなたは非常に無礼なことをしている
とわかりませんか?私は業務を終えて帰る途中なんです。
取材が必要ならきちっとアポイントメントをとって下さい。」
 「そんなこといわずに一言.....。」後を追う青山を振り
切って丸山は足早に駐車場に向かった。

(次回につづく)

 結局、日が替わってしまってからの更新になりました。
【2007/04/03 00:33】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(3) |
誤報(80)
 「いずれにしても新聞記者は次回の取材の予定をたてて
欲しいということですが、どうしたものでしょうか?」白石
が言った。「個人情報も含めて情報を公開するとなるとご家族
の承諾をえなくてはならないですが......。」「家族との次回
の話合いの際に家族と相談する形にするしかないでしょう。
ただでさえ、関係が少しこじれている状態ですから.......。」
 高田がそういうと原田は言った。「そうだね。いずれにし
てもご家族の承諾なしに勝手に新聞記者に患者の情報を公開
するわけにはいかないから.......。ご家族とご相談の上、次回
の取材の日時を決めさせてもらうということにしたいと伝え
てもらうことにしたほうがいいだろう.....。それでいいかな
丸山先生。そのときは丸山先生にも取材に応じてもらうことに
なるかもしれないが......。」「そうですね。わかりました。」
 原田の言葉に丸山は答えた。

 N県支局で井出と島田と青山が話合っていた。「病院側は今回
の事に関しては手落ちはないと思っているようなんだね。」井出
は言った。井出の言葉に青山は答えた。「まあ、実際には取材に
関してはノーコメントという感じでしたね。担当の医師との面談
の約束はとれていません。経過の情報はこのカルテのコピーだけ
ですね。」「だが、経過になんらかの不満を持った人間が送って
きたと考えるべきだろう。内部告発してくれようとした人間がわ
かればいいが、まず不可能だろう。表にでてくるつもりならもう
我々に接触をはかるだろうし....。」「そうですね、せめてご家
族と接触できれば状況がもう少しわかってくるとは思うのです
が.....。」「たしかにこれだけではちょっと記事にするには
弱いな......。丸山医師への接触はできそうか?」「いずれにし
てもまた病院に取材させてもらいたい旨は伝えてあります。」
 井出の問いかけに島田が答えた。

(次回につづく)

 
【2007/04/01 18:33】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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