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開設2年目になりました。これを機会に今の産科の危機に関してのフラッシュ作成しました。 →こちら

誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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誤報(117)
 「院長先生には申し訳ないのですが、産科に関しては来年の
3月で取り扱いをやめさせていただきたいのです。勝手なお願
いで本当に申し訳ないのですが......。」丸山の訴えに原田は
言葉を失っていた。原田にも丸山の気持ちは痛いほどわかっ
ていた。

 目の前の医師は20数年間にわたって地域の産婦人科医療を
たった一人でささえてきた医師であった。数千人もの新しい
命を取り上げてきた医師であった。N県の南部の産科がこの厳
しい医療情勢の中で次々と休診、閉院していく中で、60に手も
とどこうという年で週3回の当直をこなしていた医師であった。
 地域ではぐくんできた信頼や、自分の仕事に対しての誇りも
あっただろう。それがたまたま母子ともに命を失ってもおかし
くない妊婦にあたってしまったがために.......。しかも彼は
この施設でするべきことは行っておりなんら過誤はなく子供だ
けでも助かっただけでも感謝されていい患者さんだったはず
だったのに........。事情しらずのわけのわからない連中に
決め付けであることないことを報道され、殺人者扱いされ、
いままで積み立ててきた信頼も誇りもめちゃくちゃにされたの
である.....。どうして彼が産科をやめたいというのを止める
ことができるだろうか......。頭を垂れた丸山の肩に原田は
手を置き言った。「丸山先生。君を守ることができなくて本当
に済まなかった。心から申し訳ないと思っている。君はできる
かぎりの事をいままでも地域の患者さんのためにやってきた
し、高橋さんにも精一杯のことをやってくれたことを僕はわか
っている。僕が一番わかっているから........。本当にご苦労
様だった....。そして本当に済まなかった......。」原田の
言葉に丸山は下を向きながら肩を震わせていた。


12月のある日、川淀病院の産科休診の報道がなされた。


N県・川淀病院、分娩対応中止へ 県南部のお産の場消える

2006年12月22日

 N県川淀町の町立川淀病院で8月、重体になった妊婦(当時34)が計19病院に搬送の受け入れを断られた末、大阪府内の病院で死亡した問題で、同病院が来年3月で分娩(ぶんべん)の取り扱いを休止することがわかった。同病院の産婦人科にはこの妊婦を担当した常勤の男性医師(59)しかおらず、

長年にわたる激務や妊婦死亡をめぐる対応で心労が重なったほか、

別の産科医確保の見通しが立たないことなどが理由とみられる。

 県などによると、同病院は来年3月末で産科診療を休止し、その後は婦人科外来のみ続ける方針。スタッフの拡充を検討したが、県内の公立病院に産科医を派遣してきた奈良県立医大の医師不足などから、新たに医師が確保できず、分娩対応の継続ができないと判断した。病院側は同日、院長名で事情を説明する文書を張り出した。

 男性医師は県立医大から非常勤医師の応援を得ながら、年間150件以上のお産を扱っていた。宿直勤務は週3回以上で、妊婦が死亡した後、

「ここで20年以上頑張ってきたが、精神的にも体力的にも限界」

と周囲に漏らしていたという。

 県南部では、県立八條病院(八條市)が4月に産科医不足から分娩取り扱いを中止しており、川淀病院がお産を扱う唯一の病院だった。県幹部は「早急に県内の周産期医療のあり方を見直さねばならない」と話す。

(次回につづく)

 ここのところ風邪を引いたのか頭痛がひどくて仕事をこなすのが
精一杯でブログ更新の気力がなく更新お休みしていました。
 ようやく頭痛もおちついてきてほっとしています。




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【2007/05/31 23:34】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(116)
 11月の末のある日の朝、丸山は原田に声をかけた。「院長先生、
お話があるのですが.....。」原田は丸山の顔を見て言った。「なん
だい、丸山先生。改まって......。」「お時間をとっていただけな
いでしょうか?」原田は少し丸山を見つめてから言った。「わかった。
先生も忙しいだろうから、午後5時ごろにどうだろうか。そのころ
に連絡してくれないか。」「わかりました。」丸山は軽く頭をさげて
そういった。

 日常業務を終え、丸山は原田に連絡すると原田は丸山に院長室
にくるように言った。丸山は院長室の前にくるとドアをノックし
た。「はい。」原田が中から答える。「失礼します。」丸山はドアを
開けて部屋の中に入った。原田は丸山を見て言った。「ああ、丸山
先生、ご苦労様。まあ、座りたまえ。」丸山は原田にそういわれて
ソファーに腰掛けた。「はい。」といって丸山は腰をかけた。「それ
で話っていうのは、どういったことかな。」「院長先生。申し訳
ないのですが、実はもう私としては産科を閉めさせていただきた
いと思っているのです。」丸山の言葉に原田は黙った。「ただでさえ
今の産科をとりまく状況は厳しい状況です。お産自体が命がけの
はずなのに、無事に子供がうまれてくるのが当たり前という考え
の人が年々増えてきています。なにかあれば、医療者に責任がある
のではないかとクレームをつけてくる方が増えてきました。それ
でも新しい命を取り上げることにやりがいを感じて20数年間ずっと
この地で精一杯やってきました。私ももう60近い....。この年で
週3回の当直勤務をこなし、盆も正月もなく年間200近くのお産を
取り上げ続けてきたんです。今回の高橋さんの件にしたって私な
りに精一杯やったつもりでした。その場で行った処置に関しては
間違っていないとはっきりいえます。それなのに、まるで殺人者
のような報道をされて、警察の事情聴取まで受けさせられて、
受診する患者からも非難と、哀れみの視線で見つめられて......。
 病棟のスタッフも限界です。そして私の中でなにか糸がぷつん
と切れてしまいました。これ以上、産科を続けていく気力がもう
無くなってしまいました......。」丸山の言葉を原田は黙って聞いて
いた。

(次回につづく)

【2007/05/27 21:31】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(115)
 「それでいいと思っているかって?おいおい青山君。君も
立派な社会人だろう。世の中きれいごとだけでは済まない
ことはわかるだろう。」「でも狭山さんはこの一件が記事に
なるときに記事には裏をとらなくてはならないと言ってく
れていたではないですか?真実をきちんと報道しなくては
ならないと.....。狭山さんだってこれでいいとは思って
いないんでしょう?」青山の言葉を聞きながら狭山は黙って
タバコを下に落として吸殻の火を靴でこすって消した。
 「だれしもがこれでいいとは思ってはいないさ....。だが
新聞もテレビも広告費で食べている以上、クライアントに
不利になるような報道はできないのが事実さ.....。そこが
マスコミの情けないところさ。さっき僕は豊川自動車や花押
の話をしたけれど、豊川にしたって花押にしたって営利企業
である以上、商品を売るために広告や宣伝をするのはあたり
前だし、自分に都合の悪いことはかくそうとするのも当然だ。
 問題はだからといって広告主に不利なことならどんな重大
な事件も報じようとしない姿勢さ、確かに豊川自動車はマス
コミの第一の大お得意様さ。だけど豊川がトップでなくなれ
ば他の企業が1位になるだけの話なんだから。今回の医師の
報道と比べれば明らかにダブルスタンダードさ.....。この
ことに葛藤しているマスコミ関係者もいるのも事実だよ。だけ
どな、青山君、君はまだ独身だからわからないだろうが、働い
て年月を経ていくと、生活ってもんがあるんだ。家族もできる
し、家のローンだってある。いざ転職しようと思ってもそうは
簡単にいかない。マスコミ人なんて、えらそうな事を言っても
特殊な資格や能力があるわけじゃない。新聞社やテレビ局から
放り出されたら路頭に迷っちまう。みんなそれをよーくわかっ
てるのさ。結局、会社に寄生して、社会の歯車のひとつでしか
生きていけないことを思い知らされる。なるべく上司の不評を
買わないように....。無難に仕事をこなして、スクープはなる
べく反撃のなさそうなところで....。面倒なことには巻き込ま
れたくない......。そして次第にこう考えるようになる。「ど
うせ豊川や花押のこと掘り下げたって、ダメなんだよな。真実を
追求するなんて絵空ごとさ.......。一般大衆受けするくだらな
い表層的な記事を書いておけばいいんだ」ってな。」「狭山さん
......。」「かくいう僕だって同じ穴のムジナさ......。井出支
局長が白といえば黒でも白なんだ。それが仕事ってものさ.....。
それがいやなら記者をやめることだね。君はまだ若い。やり直し
はできるよ。僕とちがってね......。」狭山はつぶやくように
遠くを見ながら言った。

(次回につづく)
【2007/05/26 21:32】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(2) |
誤報(114)
 「それは......。広告代理店を通じてマスコミに圧力がかか
ったからですか?」青山は少しくちごもりながら言った。
 「うん。多少はそれもあるかもしれないね。君がいってい
るのは電信のことを言っているんだと思うけど。確かに豊川
自動車の広告は電信がとりしきっている。電信といえば知っ
ての通り、日本最大の広告代理店だ。莫大な資金や芸能プロ
ダクションへの力、メディア媒体への支配力、政治家へのコ
ネクションを自由自在に使ってマスコミを牛耳ってる。電信
は、スポンサーの色々な宣伝を一手に引き受けて、それをマ
スコミに流している。すると、テレビや新聞や雑誌なんかは、
広告が欲しいから電信には逆らえない仕組みになってる。これ
は業界人ならみんな知っていることだ。豊川の件での重要な
件に関してはこの件に関しては触れるなっているように電信
から通達があったかもしれない。だが本当はそれが問題なん
じゃない。」狭山はそう言ってふーっと煙を吹いた。「マスコ
ミにとっては豊川自動車に関してのスキャンダルはタブーな
のさ。豊川が広告費につかうお金はいくらだと思う?年間800
億円さ。これはすごい額なんだ。俺達マスコミの給料は豊川
自動車からもらっているといっても過言じゃない......。」
 「宣伝費や広告費が欲しいから広告主に不利な内容は報道し
ないということですか......。」「ああ、その通りさ。花押の
配送車の件だって、花押関連でない運転手だったら大悪人と
して血祭りに挙げられたにちがいないさ......。」「そんな
....。マスコミは相手を見ながら報道しているってことです
か?」「その通りさ。君がみつけた生贄は攻撃しても面倒なこ
とにならない対象だった。しかも一般人受けする医者の失態
だ。まあ実際にはそうじゃなかったようだが.....。」「そん
な.....。それでいいんですか?」「なにを青臭いことをいって
いるんだい青山君?所詮マスコミなんて広告を見せるのが仕
事なんだ。テレビなんて、一応それらしくニュース番組で
自分達は真実を伝えてますってフリをしてるだけさ....。本
音は「この広告を見て下さい。CMを見てください。」なんだ
から。だから視聴率を気にするんだし、その数字で右往左往
しているんじゃないか?そもそも、マスコミが真実を追究し
たり、人のためになるようなことをする必要や義務なんて全
然ないだろう?商売でやってるんだから.....。個人の会社が
商売の手段として、テレビやラジオや雑誌やら新聞やらという
道具を使っているだけなんだから。そんなところに、真実を
期待する方がおかしいよ。」「狭山さんはそれでいいと思って
いるんですか?」青山は狭山をにらみつけながら言った。

(次回につづく)
 
【2007/05/25 22:25】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(113)
狭山は続けた。「三山自動車の事件は覚えているだろう。」
狭山の問いに青山は言った。「ええ、テレビや新聞では毎日
のように三山自動車の欠陥について詳しく報道したり、首脳
陣の謝罪会見を繰り返し報道していましたから。三山自動車
がトラックの欠陥を隠していたせいで、事故が起きて死者ま
で出てしまって一時は倒産の危機もささやかれるほどでした
よね。毎日のようにあちらでもこちらでも三山の車が燃えた
なんて報道してましたしね。」「青山君、豊川自動車だって、
欠陥車のせいで大事故が起きてケガをした人がいるんだ。死
者こそ出なかったけどな、欠陥のせいでカーブを曲がれずに
正面衝突したっていうんだ。いつ死んでもおかしくないほど
の大事故だった。豊川自動車の幹部が欠陥を知りながらリコ
ールしなかったという理由でK県県警に書類送検されている。
それに最初はトラブルの数を実際は82件あったにもかかわら
ず、たった11件と少なく報告していたことが発覚してしまっ
て、そういう会社の体制に問題があるからって、国土交通省
から業務改善命令も出されているんだ。それに三山自動車の
ときは、事故を起こしたのは、「三山自動車」と合併する前
の別会社「三山ふそう」のトラックだった。ということは見
方を換えれば三山自動車本体とはあんまり関係ないとも言え
る。ところが、豊川自動車はあくまでも豊川自動車本体がや
ったリコール隠しだ。別会社や関連会社ではない。そういう
点ではむしろ豊川自動車の方が根が深いとも言えるわけだ。
 しかも日本を代表する大会社のスキャンダルさ。俺の知り
合いのテレビ局の若手のスタッフの中には三山自動車なんか
よりよっぽど大事件なんだから特集を組んで取材すべきです
って上司にかけあった奴もいたけどそんな意見は全部上から
握りつぶされているんだ。他のマスコミ連中もさすがに県警
が書類送検して業務改善命令がでているから簡単に事実関係
は報道したけどこの事件を掘り起こそうとするマスコミは
皆無だったろう?それはどうしてだと思う?」狭山は続けた。

(次回につづく)

 大淀病院関連の一件でご遺族が民事訴訟を起こすそうです
ね。これ以上騒ぎを大きくしてもご遺族を傷つけるだけである
ことを弁護士の方も含めて周りの方々に理解してほしいもの
です.....。

 明日は当直ですのでブログ更新はお休みします。
【2007/05/23 23:50】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(112)
 「支局長や島田さんは余計なことは気にするなといって
くれているんですが......。」「ああ.....。」「正直な
ところ本当にそれでいいのかと思って......。」狭山は
少し黙ってタバコをふかせてから言った。「なあ、青山
君......。我々、新聞やテレビってなんのためにあると
思う?」青山は狭山の質問の意味を解しかねていた。「どう
してって....。世の中の出来事を伝えるためじゃないんで
すか?」狭山は青山の方を向いて言った。「マスコミや
テレビなどの報道機関のことをメディアというだろう。これ
は媒体と言う意味だ。何の媒体かといえば、広告、宣伝のを
のせるための媒体さ。新聞の収入の多くは新聞代よりも広告費
で成り立っているのさ。新聞の部数が売れなくては高い広告費を
とることができない。だから販売部数を増やさないとなり
たたないのさ。テレビだってそうさ。視聴率がないと広告費が
とれないからCMの値段がさがる。だからテレビもあれだけ視
聴率に振り回されるわけだ。」「それはそうですが、それと
私のこととどういう関係があるんですか?」「つまり、一般
市民が食いつくようなスキャンダラスなスクープが新聞とし
ては欲しいわけさ。君はその材料をみつけてきて評価された
ということだよ。」「でも、そのスクープが事実と異なって
いる可能性があったら.....。」「青山君、この件に関しては
もううちの新聞社の方針は決まってしまっているんだ。君が
どう考えていようともうちに留まっていたいと考えるなら
井出支局長の言うとおりにすることさ.....。」「でも記者と
いうのは真実を世の中に伝えることが責務なのではないんで
すか?このままでは....。私は、記者として......。」「なあ
青山君、このマスコミ業界というのはほとんどつくりものの
世界なんだよ。たとえば、つい最近俳優の風間慎也の娘さんが
トラックにはねられて死んだだろう。その悲劇は散々ワイド
ショーをメインに報道されたけど、事故を起こしたトラック
の運転手を攻撃する報道は流れなかっただろう。どうしてだ
と思う?それが花押の配送車だったからさ。花押といえばマ
スコミにとっては豊川自動車工業に次いで第2位の宣伝費をは
らっている大事なお得意様さ。だからみんな黙っちまった。あ
と豊川自動車のリコール事件は知っているかな?」「ああ、少し
報道されていましたね。」「実はあれもかなり重大なリコール
だったんだ。三山自動車のリコール騒ぎの時は大々的に報道さ
れたのに豊川自動車だと突っ込もうとするマスコミはいない。」
「でもそれはたいしたリコールじゃなかったからじゃないんで
すか?」狭山は言った。「とんでもない、もっと重大な事件だ
ったんだ。実際にはね......。」

(次回につづく)
【2007/05/22 23:53】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(111)
 青山は川淀病院からの一連の報道記事やコラムを井出や
島田の指示に従って書いていた。支局に送られてくる抗議
のファックスやメールは報道から1ヶ月以上経過していた
にもかかわらず絶えることはなかった。青山たちが自分達
が遺族の立場を強調して一部捏造と思われても仕方がない
誤報に近い最初の報道を正当化しようとする報道を続けて
いることが医療者たちの怒りに火を注いでいるのは明らか
であった。青山にしてみれば、医療ミスで死んだ妊婦の敵
うちのような使命感に燃えて取材をしていたつもりであっ
た。実際スクープをものにしたと思っていたのだが、一部
事実誤認があり、客観的に見て医学的に担当医に過誤がな
かった可能性が高いことがはっきりしてきているのはわか
ってきている今、良心の呵責を感じていた。今更、いくら
一個人の攻撃でなく医療体制の不備に対しての記事であっ
たと強弁しても、あの記事を見る限りはやはり個人攻撃と
見られるであろう内容であったし、実際、自分もこの医師
の過誤を暴いてやったという思いで取材をし書いたのであ
る。それはなんと言おうと動かすことのできない事実であ
った。だが、島田や井出に言っても余計なことを考えるな
といわれるのはわかっていた。支局も毎朝新聞社自身もこ
の件に関しては謝罪や訂正を行わないで自己の報道の正当
性を主張していたし、青山も周りがなんといおうと会社か
ら自分の身は守られるであろうことはわかっていた。だが
上司に言われるままに記事を書いていてもなにか空虚感を
感じざろうえない状態であった。自分は何をしているのだ
ろう....。そのような疑問が浮かんでは打ち消していた。

 ある日の昼に青山は狭山に声をかけた。「狭山さん。ちょ
っとお話いいですか?」 狭山はすこし怪訝な顔をして「ああ
いいけど。」と答えた。「なんだい。改まって....。」「ええ、
実は川淀病院の件なんですけど....。」「ああ、今度労連の
賞をもらうことになりそうだって?よかったじゃないか。」
「ええ、でも連日のように支局にも医療関係者からの抗議の
ファックスやメールが届いているのは狭山さんもご存知で
しょう?」「ああ、そのようだね......。」狭山はそう言いな
がらタバコをくわえて火をつけた。「どうも、最初の記事の
6時間放置やたらいまわしなどの挑発的な言い回しが問題に
されているようで......。」「そのようだね....。」狭山は
ふーっとタバコの煙を吐きながら言った。

(次回につづく)

 昨日は呼び出しがあって更新できませんでした。明日も
大きな手術が入っていて帰り遅くなりそうです。ちょっと
忙しくなってきました。合間みながら更新していきますので
今後もよろしくお願いいたします。
【2007/05/21 23:17】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(1) |
誤報(110)
 比較的早く家に帰ってこれた丸山はぼんやりとソファーで
テレビを見ていた。11月に入って、かつてほどの取り上げ方
ではなかったが今でも断続的に新聞やテレビは川淀病院の一
件を取り上げていた。一方的な遺族側のインタビューをメイン
に医者や医療体制を攻撃する内容のものがほとんどであった。
 その日もあるテレビ番組でこの件の特集が組まれており
遺族の涙ながらに位牌の前で病院を非難する場面が流された。

 画面には英雄が写っていた。「もっと早く脳内出血とわかっ
てたら、意識なくなった時点でCTを撮っていただいたら、
命だけはとられなかったかなぁと思います」その後に番組
のアナウンスが入る。「主治医は脳出血を疑わず、当初、
失神と判断。その後、妊娠高血圧症候群による子癇と考えま
した。脳出血や生命の危険の可能性が伝わっていれば、搬送
先はもっと早く見つかったかもしれません....。」

 丸山はいたたまれない気持ちになりテレビのスイッチを
切った。「あなた.....。」頭を抱えている夫に背中から
真理絵が声をかけた。丸山はかすれた声で言った。「すまな
い.....。俺のせいでおまえにもつらい思いをさせる......。」
 丸山の言葉に真理絵は言った。
 「私は大丈夫よ。周りがなんといおうとあなたを信じている
から.....。そりゃあ、親戚や知り合いからこの件で色々聞いて
くるのは鬱陶しいことこの上ないことだけど。あなたができる
だけのことを患者さんにしてあげたということは信じてる。恭
子も信じてるから....。私達のことは別に気にしないでいいの
よ。」真理絵の言葉に丸山は頭を上げた。「なあ、真理絵。俺、
もう出産をとるのをやめようと思っているんだ......。」「あ
なた......。」「今回の件では川淀病院でできるかぎりのこと
はしてあげたつもりだった。僕は神様じゃない。お産は危険が
つきものなんだ。どうやったって助けられない妊婦さんや胎児
はいるさ。年間200件も出産を扱っていれば危ない患者さんに
だってあたる。だが結果が悪ければ殺人者扱いされて連日報道
されて.....。病院のスタッフたちもかなり参ってきてしまって
いるし、僕自身がもう限界だよ.....。」「でもあなた産科は
好きだったんでしょう?」「ああ、他の科は、婦人科もそうだが
年齢と共に衰えていくところを見る科がほとんどだから...。
新しい生命を取り上げることはすばらしいことだと思っていた
し誇りもあった。20数年もやっていたから自分もここで取り上
げてもらったから、この子もお願いしたくてって来てくれる妊婦
さんもいた。だからこそ身を粉にして、それこそ寝る間も惜し
んで働いてきた、この年で週3回の当直は正直きつかったけど
がんばってきたんだ。高橋さんだってあの旦那さんは僕が取り
上げたんだ。信頼してもらってきて仕方ないこととはいえ結果
が悪かっただけでも正直胸がえぐられるような思いなのに、家族
に責められて、その上現場の状況なんか知りもしない連中が
殺人者呼ばわりしてくるんだ......。今の産科の状況はひどい
....。この件が落ち着いたって第2、第3の高橋さんにあたら
ないとも限らない。そんなこと考えはじめたら今までの誇りも
なにもどうでも良くなった。すべてがばかばかしくなってきて
しまったよ......。」「あなた........。」真理絵は目を赤ら
めて訴える夫にそう声をかけるのがやっとだった。

(次回につづく)

 今の医療情勢をとりまく状況は非常に厳しいものがあります。
 平成14年からの改訂ごとの相次ぐ診療報酬の削減で病院の利
益率を1%ほどとなり、多くの公的病院は赤字となっています。
 (簡単な例えをすると原価400円のラーメンを600円で売って
いたのを404円で強制に売らされている状態と考えるといいで
しょう。)病院経営は悪化し、完全自由診療の美容外科などを
除けば多くの病院の経営は青色吐息状態です。その上、いまま
で半ば強制的にその強力な人事権で僻地の病院に医者を派遣
してきた医局制度が、民間の人材派遣会社の参入やそこへの天下
りも狙ってつぶすつもりで導入した研修医制度で厚生労働省の
狙い通りに破綻させられました。結果、僻地に行く医者は皆無に
なったという状況です。その上、マスコミがたいした根拠もなく
医者を悪者にする番組や報道を繰り返し、裁判所までが一般受け
をねらってかどう考えても医療者側に問題がないのに訴えたクレ
ーマー患者を支持する判決を繰り返しているという状況です。

 こうなった責任は一体だれにあるんでしょうか?政府でしょ
うか?無責任な報道を繰り返すマスコミでしょうか?それとも
裁判所?あるいは著しく公共心を低下させた一般市民でしょう
か?どれもそれぞれ責任があるでしょう。ですがあえていうなら
ば私は医学会の首脳陣にあると考えています。

 どうして医師会は青色吐息の病院にとどめをさすような、国民
の命の値段を値切るような診療報酬の改訂に抗議の声を上げない
のですか?2年ごとの改訂で長期療養病床を優遇して多くの中小
病院が生き残りをかけて一般病床を長期療養病床にリフォームさ
せておきながら、長期療養病床は突然廃止などという、はしごを
かけて上げさせておいてからはしごをはずすような真似をされて
も文句一ついえないのですか?今度多くの大病院に利益があがる
ようにしてDPC(医療費定額制)が導入されそうですが、これだ
って多くの病院がDPCになれば係数を変えられて引き下げられる
のは誰がみても明らかなのにそのまま導入されてしまう方向なの
ですか?
 どうして平成16年の研修医制度の導入のときにこの制度は大学
の人事権を奪い大学をつぶす目的で導入されることが明らかだっ
たのに、大学教授たちは全員が辞表をたたきつける覚悟で反対し
なかったのですか?
 どうして青木絵美誤報事件の時に声明をだしたのは地元医師会
の産婦人科医会だけだったのですか?日本産婦人科学会は毎日新
聞の誤報と捏造に対して、厳重に抗議し、病院に名誉毀損で裁判
を起こさせるべきでした。

 私がいいたいのは今の医学会の首脳に現場を守ろうという気持ち
がないことです。もしかしてあるのかもしれませんが少なくても現
場は医師会や学会は自分達を守ってくれるとは思っていません。

 かつて大学医局にまだ力があり、余裕もあった時代の話

 ある医局員が第一線の病院で勤務中脳梗塞で倒れた。
 教授と医局長がその医師の妻と面談した。
「先生はこの地域の医療と我々の大学の為に身をつくして倒れられ
ました。先生とご家族の今後のことは我々が責任をもってみさせ
ていただきます。奥様は何も心配なさらないように。」
 その医師は治療終了後、国立療養センターに配属された。
 医局が医局員を何があっても守るという姿勢を示したことで現場
の士気は上がったという。

 なぜ現場の医師たちは現場を去るという選択をしなくてはなら
ないのか?それは誰も彼らを守ってくれないからです。医師たち
にもそれぞれの人生があり、家族があり、生活がある。身をつく
して全力をつくしても結果が悪ければ殺人者呼ばわりされ、逮捕
され、マスコミにあることないことかかれて社会的に抹消される
かもしれないという状況におかれればやむをえないことでしょう。
 不当なマスコミの報道に対してはどんどん裁判を起こす、各学会
で金を出し合ってゴールデンタイムの特番を買い上げてタレント
つかってクレーマー患者によって振り回される医療者たちのドラマ
をつくるとか、不当な裁判判決で人生をぼろぼろにされる医師の
ドラマとつくるとか一般大衆の心に響く広報活動を行うとか(一番
いいのは放送局を買収してしまうのが効率的だが....。)政府の
不当な要求に対しては大学が連携して公立病院からの一斉の医師
引き上げを行うなど、徹底して戦う姿勢をみせるべきです。多分
学会や医師会は悪者にされるかもしれませんが、現場が何があって
も医師会や学会は現場を守ってくれると信じられれば、一線の医師
たちは踏みとどまれるかもしれません。

 これはフィクションですが誤報(96)の平川の言葉を引用します。

平川は言った。「我々が叩かれたからといってそれがなんだと
いうのですか?いいですか?ここに参加されていたすべての産婦
人科医が、丸山医師の判断は間違っていなかった。自分達が同じ
状況におかれれば多分同様の処置を行うだろうという意見で一致
したんです。丸山医師は我がN県医師会産婦人科医会の会員ですよ。
 正当な理由もなく訳もわからないマスコミ連中に不当にたたかれ
ている会員を守れなくて何のための産婦人医会ですか?この状況
が正当化されてしまったら医学的に正しい対応をしていても結果
が悪ければ犯罪扱いされるということです。この由々しき状況を
知らん顔して放置していいというのですか?」

 若輩ものの私がこんなことをいうのは身の程しらずもはなはだ
しいとは思っていますが.....。医学会の首脳の方々にも少し考えて
いただきたいと思います。
【2007/05/19 22:02】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(3) |
誤報(109)
毎朝新聞のN支局では川淀病院のスクープは地域医療の不備
の指摘を目的としていたということで特集を続けていた。
 最初の記事もそれを目的としたもので個人の医師や病院を
攻撃したものではないと主張する方向で固まっていた。
 そんな中で11月7日の毎朝新聞のO府版に青山のコメントが
載せられた

◆医師助ける体制改善を願う--青山絵里(N支局)

 「緊急かつ高度な治療が可能な病院に搬送するシステムが
機能しない現状を、行政も医師も私たちも直視すべきだ」。
私は、10月26日朝刊「記者の目」でそう訴えた。これに
対し「記事は医師、医療機関を悪者に仕立てている」という
意見が寄せられた。だが私を含め担当記者は当初から、医師
1人の責任で終わる問題ではないと考えてきた。

 待合室が患者であふれ、妊婦1人の検査、診察が2時間以
上かかる現実を、奈良県内の病院で目の当たりにした。休み
なく診察室と検査室を動き回る医師には、頭の下がる思いも
した。お産に絶対の安全はない。だからこそ、万一の場合に
備えた体制づくりは必要だと思った。それが現場の医師の助
けにもなるからだ。

 県は高リスクの妊婦搬送のあり方を議論する検討会の設置
方針を明らかにした。現場の医師の参加も求めており、双方
が意見を出し、体制の改善が進むことを願う。

毎朝新聞 2006年11月7日 O府版朝刊

 青山はO府版の自分の記事を見ながら島田に言った。「島田
さん。これでいいんですかね?」「なにがだい。」「これで
最初の記事が本当に医師個人を攻撃したものではないとわか
ってもらえるんでしょうか?」「そんなことわからないさ...。」
「わからない....、ですか....。」「ああ、大切なのは我々
はそういう姿勢で報道しているんだと示すことさ。すくなくと
も読者はわかってくれるさ。いちゃもんをつけてくるのは
一部の医者達だろうが、それはもう仕方ないさ。何を書いた
って文句をいってくるやつは言ってくるんだから。」「です
が.....。」「青山君。我々は最初から地域の医療体制の
問題を取材してきたんだ。川淀病院の一件はそれが表沙汰に
なった事件だった。この状態に対して問題を投げかけること
があの記事の目的だった。そういうことだったんだ。それで
いいだろう。なあ、青山君。我々が記事をかいてみんなにみ
んな納得する記事なんてかけるわけないんだ。そうだろう。
そりゃ、自分達に気に食わない記事をかかれれば文句をいって
くるやつらもいるだろう。だがそんなことをいちいち気にして
いては記事なんかかけないんだ。青山君。君はスクープを物に
したんだ。O府支社に栄転する話もあるし、新聞労連のジャー
ナリズム大賞の受賞の話もでているんだ。君は黙って胸を張
っていればいいんだ。」島田の強い口調に青山は沈黙した。

(次回につづく)

 毎日新聞から

診療情報流出:奈良の妊婦死亡で、県警が捜査着手
 奈良県大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明と
なり、緊急搬送先探しが難航した末、死亡した高崎実香さん(
当時32歳)=同県五條市=の診療情報がインターネットの医
師専用掲示板に流出した問題で、同県警が掲載情報を収集する
など捜査を始めたことが分かった。内容が町個人情報保護条例
の保護対象にあたるかなど検討を進めている。

 掲示板は、ソニーグループの「ソネット・エムスリー」(東
京都港区)が運営する「m3.com Community」。
県警は今月初めに、遺族が独自に集めた資料の提出を受けた。
高崎さんの死亡問題が報じられた昨年10月に書き込まれた内
容で、看護記録の内容や医師と遺族のやりとりなどが含まれて
いた。

 同掲示板では、診療情報の流出以外に、遺族らへの中傷的な
書き込みがあったことも判明。同社は今月11日から掲示板を
一時閉鎖している。【中村敦茂】

毎日新聞 2007年5月18日 9時58分

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070518
k0000e040013000c.html

 うーむご遺族は独自に集めた資料を警察にもっていったと。
 とりあえず受理すれば警察は動かなくてはならないんです
かね......。マスコミ的にはネガティブキャンペーンに使える
と考えたのか....。(まあ不起訴になるでしょうし、不起訴に
なっても記事にはならないでしょうが....。)


【2007/05/18 23:34】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(108)
 「しかしながら脳出血とわかれば治療の内容も変わった
のではないですか?それで患者さんが助かった可能性が
あるのではないですか?」「脳出血に関しての予後は私
にははっきりしたことは専門でないので言えませんが..。」
「それに関しては私が説明します。」原田が言った。「脳外
科医の一般的な臨床の経験からは発症数時間で呼吸障害が
生じるような脳出血とすると、脳幹部といわれる生命を維持
する部分がやられたということになります。脳ヘルニアと
いって頭蓋骨の中の圧が高まって脳が頭蓋骨の外に押し出
されるような状態が発生していたものと考えられます。こ
のような脳出血の患者さんはまず手を尽くしても助かる可
能性は低いと思います。当院で脳出血と診断がついても
お母さんを助けられた可能性は低いと思います。むしろ
分娩最中の脳出血となれば受け入れてもらえる施設はほとん
ど皆無だったと思います。結果的には子癇発作を疑って
転送先をさがしたことで転送先が見つかったと考えます。」
「脳出血に関しては診断がついていても結果は変わらなか
ったということですか?」「ええ、むしろ結果からは診断
がつかなかったことがむしろ患者さんにとってはこの場合
はいい方向にころんだとさえ言えるのではないでしょうか。
転送先がみつからなかったら、お子さんも助けられなかっ
たはずでしたから........。」その後も本山は丸山に質問
をぶつけたがいずれも丸山は自らの立場を冷静に主張して
いった。一通りの問答が終わった後、本山が言った。「大
体の病院の方々のお考えは理解いたしました。今日はこれ
くらいにしたいと思います。カルテ一式に関しては捜査に
使用したいと思いますのでしばらく当方にて管理させてい
ただきます。よろしいですね。」本山の言葉に原田は言っ
た。「わかりました。」

(次回につづく)
【2007/05/17 23:51】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(107)
 丸山はカルテを見ながら里美の入院後の経過を刑事たちに
説明していった。0時の時点で失神発作が起こり、内科当直医
の竹内と診察して、麻痺などの所見がなく経過をみていた事、
その1時間半後に痙攣発作があり、子癇発作と考え、転院先を
探しながら必死に治療を続けていたこと....。目の前であれよ
あれよと言う間に状態が急激に悪化していく患者.....。半ば
家族に罵倒されながら、必死に治療しながら探しても見つから
ない転送先.....。下手をすればそのまま母子共々、川淀病院
で息途絶えてしまうかもしれないという恐怖感.....。丸山は
思い出すのもつらい当時の記憶をたどりながら転送までの経
過をことば一つ一つを選びながら説明していった。「呼吸状
態が悪くなり、内科当直医の竹内先生に挿管してもらいまし
た。国立国際循環器センターから転送が可能との返事をもら
ったのが4時過ぎです。救急隊に転送要請を行い、O府への転
送をお願いして転送となりました......。転送までの経過は
大体以上です......。」
 本山は時々メモを取りながら丸山の話を聞いていた。丸山の
説明が終わったところで本山は顔を上げて言った。「どうも
先生、ご説明ありがとうございました。先生も大変だったよ
うで...。一応、我々もご遺族から当時の状況をお聞きして
いまして、それも含めて経過中のところでいくつかお聞きし
たいところがあるのでお教えいただきたいのですが.....。」
「はい。」「まず、今回の患者さんの死因は脳出血だったわ
けですが、先生は子癇発作と診断されたわけですね。これは
誤診にあたると思われるのですが....。ご遺族もこの点を一
番強く言っておられるのですよ。病院の記者会見でも病院長
も診断の誤りはあったとおっしゃているようですしね。この
ことについて、先生はどうお考えでいらっしゃいますか?」
本山は穏やかな口調で丸山の顔を見据えながら言った。丸山
は本山の質問に一瞬沈黙したが、一息つくと言った。「当時
の状況では子癇発作を考えるのが妥当であったと考えていま
す。高血圧を伴い、痙攣発作を起こした分娩最中の妊婦をみ
たならば100人中、100人の産科医は第一に子癇発作を考える
でしょう。ご理解していただきたいのは臨床の現場というの
は非常に不確定な要素が多く、いつも我々は手さぐりで治療
にあたっているということです。確実な診断がつかなくても
急激に状態が悪化していく患者さんに対しては生命を維持す
るための治療を行いながら同時に診断を進めていかなくては
ならないことはいくらでもあるのです。また、その場では一
番可能性の高い病気を念頭に入れて治療するのが基本です。
 ですから子癇発作を第一に考えて治療を行いました。あの
状況ではっきりしていたことは母体とお腹の中の胎児の生命
が深刻な危機に陥っており、それに対して呼吸や循環動態を
保ちながら高次医療機関に送らなくてはならなかったという
ことです。」「ですが、脳出血であればCTをとればわかった
のではないですか?」「確かにCTをとれば脳出血はわかった
かもしれません。ですが当院では夜間にCTをとるとなると放
射線技師を呼んで、CTを立ち上げる必要がありました。多分
撮影するとなるよ技師を呼び出してから撮影するまで1時間
以上かかるでしょう。CTを撮影する余裕などなかったですし
、その間に転送可能という返事が帰ってくる可能性もありま
した。それにCT室に運んでいる間に急変する可能性もありま
したし、子癇発作であれば動かすのは難しいと考えました..
....。」丸山は言葉を選びながら刑事の質問に対して慎重に
答えていった。

(次回につづく)

 m3掲示板が閉鎖されましたね。また読売新聞の疲弊する
勤務医の特集の番外編5月12日に掲載されたのを見て私は
新聞を持つ手が震えたのですが....。

信頼関係希薄に/プロ意識が欠如
 病院勤務医の労働環境の実態を追った連載「医の現場 疲弊する勤務医」に対し、多くの反響がメールやファクスで寄せられた。医師側からは、医師不足の解消や医療提供体制の改革を求める声が上がったほか、「不信感をむき出しにする患者が多くなった」との指摘も多かった。患者側からも「よい医師ばかりではない」などと手厳しい意見が相次いだが、一方で「(医師と患者の)相互理解を進めるべきだ」とする声もあった。

 「感謝という日本のよき伝統はもはや失われた」

 そう記し、患者との信頼関係が希薄になったと嘆くのは、40代の心臓外科医。高齢の患者の心臓手術を行い、手術後の容体にも特に問題はなかったが、帰宅した患者が数日後に突然死すると、医療ミスを疑う家族から何度も責められた。

 「治療に自信があっても『裁判を起こされるかも』と不安にかられる。こんな状況なら、開業医になって面倒な患者は病院に送りたいと思ってしまうのも当然」と医師はつづった。

 病院に勤務する50代の整形外科医も、救急外来の85歳の男性が帰宅後に急死したケースで、家族から訴訟を前提に怒りをぶつけられた体験を記した。「昔は家族からあれほど一方的に責められることはなかった」とこの医師は振り返る。

 一方、患者側からは医師の「プロ意識」について疑問の声が上がった。

 医学生の息子を持つ東京都の塾経営、木下茂樹さん(57)は「連載を読んで医療上の過失で医師が逮捕されたケースが4件しかないと知り、驚いた。過酷な勤務状況は分かるが、プロである以上、『精いっぱいやりました』ではすまないはず」と主張する。

 連載では、小児科や産婦人科の医師不足にも触れたが、都内の女性(52)は「多額の税金を使って医師として社会に育てられているのに、困っている患者が多い診療科を選ばないのは疑問」と記した。

 「月6回の当直程度で(大変だからと)医師をやめてしまうのか」「『ありがとう』の言葉がないからくじけそうになるというのは、ひ弱すぎる」などの声も目立った。

 医師からの提案もあった。「医師免許更新制度により国民の信頼を得る」「国立大を卒業した医師には診療科の選択に制限をつけ、不足がないよう定員枠を設けるべきだ」などの指摘のほか、「(国が計画する)『総合医』を支援し、夜間休日の診療を担う人材を育てよ」という意見もあった。

 「信頼関係を築く努力を、患者側も医療従事者側も怠ってきた。双方の怠慢だ」。札幌市の主婦(37)は今の医療不信の根をそう分析する。神奈川県の病院勤務医(36)は、専門分化された病院で患者がたらい回しされる現状や、すさんだ医師と患者の関係を嘆きつつ、こうつづった。「今必要なのは他者への思いやり。まず自分が、できることから実行していきたい」

(2007年5月12日 読売新聞)

「医療上の過失で医師が逮捕されたケースが4件しかないと知り驚いた過酷な勤務状況は わかるがプロである以上『精一杯やりました』ではすまないはず」 「多額の税金を使って医師として社会に育てられているのに、困っている患者が多い診療 科を選ばないのは疑問」「月6回程度の当直程度で(大変だからと)医師を辞めてしまうのか」「『ありがとう』の言葉がないからくじけそうになるというのはひ弱すぎる」

 金もマンパワーも足らない状況で精神論だけでなんとかなるという考え方は戦時中の時とかわらないようです。医者たちは必要なコストとマンパワーをかけないと、医療費削減ありきだけでは医療は崩壊するといっているだけなのですが....。平成14年からの診療報酬削減と、平成16年からの研修制度が医療崩壊の引き金となっていることもわからないのか、わかっていて無視して医者の精神論に問題をすり替えたいのか...。読んでいて怒りに手が震えました。まあ自分達の失政の責任を取ろうともおもわない厚生労働省の大本営発表をそのまま報道するレベルの人たちですから....。


 今日は当直明けでつかれて早く帰ってきました。
 明日も手術入っています。今日は早めに寝て疲れをとりたいと
思います。
【2007/05/16 21:21】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(106)
 翌日の午後6時に丸山と原田は病院の顧問弁護士の二ツ
木と病院内の会議室で高橋里美の入院カルテ、外来カルテ
や画像一式を持って待機していた。
 医局秘書が会議室のドアをノックして開いた。
「警察の方がいらっしゃいました。」医局秘書のあとから
3人の男性が入ってきた。3人は部屋に入って会釈する。原
田と丸山も会釈を返した。3人のうちの一人が口を開いた。
「どうも、先生方、お忙しいところ時間を割いていただい
て誠に申し訳ありません。私、N県警察本部の捜査第一課の
本山と申します。」本山の言葉に丸山と原田、二ツ木が立ち
上がった。本山が差し出した名刺を受け取ると原田が言っ
た。「どうも刑事さんもご苦労様です。私が院長の原田。
こちらが今回の患者さんを担当していた産婦人科部長の丸
山です。こちらがうちの顧問弁護士の二ツ木です。」原田の
言葉に本山はうなづいてから言った。「そうですか。それで
は今日はよろしくお願いします。」本山はそういうと会議室
の椅子に座った。後の2人も続いて席に座る。それを見て、
丸山と原田も続いて席についた。医局秘書が刑事たちの前に
お茶を並べ始めた。それを横目に本山が口を開いた。
「早速ですが、今回先生方に時間を割いていただいたのは、
先日ご連絡したとおりで8月にお亡くなりになった高橋里美
さんという患者さんの件です。10月の報道があって、我々と
しても調査をさせていただかなくてはならない状態でして、
この患者さんの経過についてのご説明をしていただきたくて
参りました。我々も医学に関しては素人なものでなかなか実
情をつかめないところもあると思いますが、どのような経過
であったかということについてご説明していただいてよろし
いでしょうか?」本山は見た目穏やかそうでその言葉は紳士
的であった。正直なところ丸山は少しほっとしていたが、相
手は業務上過失致死で自分の立件を考えているかもしれない
刑事である。どこで揚げ足をとられるかもしれない。事前に
「先生。ともかく先生は今回の医療行為や判断に関しては
最善をつくしたと考えていらっしゃるんですよね。でしたら
絶対にこれは誤りであった。すまないと思っているなどとは
決していわないでください。患者さんやご家族にはお気の毒
であるとは思うが、自分のやった医療行為には過誤はないと
いう線は絶対に崩さないでください。本人が誤りを認めてい
るという自白をとるのが彼らにとっては一番てっとりばやい
んです....。それが業務上過失致死で立件される原因になり
ますから....。もちろん私も傍にいますから、まずいと思った
らすぐ助けに入りますけど....。」と二ツ木に丸山は言われ
ていた。ともかく慎重に対応しなくては、説明もかなり気を
つけないといけないと丸山は考えていた。少し緊張しながら
丸山は軽く一呼吸置いて口を開いた。「わかりました。では
経過についてご説明させていただきます。患者さんは高橋里
美さん34歳の女性ですね。妊娠41週を経過しても陣痛がない
ということで陣痛誘発の目的で入院になった方です。初産の
方で、特に高血圧や糖尿病などの既往はない方です......。」
 丸山は刑事に里美の経過について説明を始めた。丸山の説明
を聞きながら、本山の脇でもう一人の刑事がパソコンを持ち出
して丸山の発言の記録を始めた。


(次回につづく)
【2007/05/13 22:27】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(105)
 その日も丸山は11時ごろまで書類仕事などをこなした後、家に
帰ってきた。自宅の玄関のチャイムを鳴らすと、真理絵がドアを
開いた。「お帰りなさい。」真理絵は夫の顔を見るとそういった。
「ただいま。」丸山はそう答えてドアの中に入った。真理絵に
荷物を預けた丸山はリビングにいきソファーにどさっと座りこん
だ。「いつもお疲れさま。」疲れて帰ってきた夫に真理絵は声を
かけた。「ああ.......。」「どうします。ビールでも入れまし
ょうか?」丸山は真理絵の言葉を手でさえぎって言った。「なあ
真理絵、明日、病院に警察が来るっていうんだ。」真理絵の表情
が一瞬こわばった。「警察が.....。例の患者さんの件でですか?」
「ああ、その件で病院に話をききにきたいと。患者さんのカルテ
など一式を持っていくつもりらしい。」「あなたは、大丈夫なん
ですか?」「大丈夫?うん。もしかしたら逮捕されるかもしれない
ね。」「逮捕される?だってあなたには何も落度はないんですよ
ね。」「ああ、あの状況下で僕は僕なりに精一杯やったつもり
なんだが.....。だがマスコミや一般の人たちにとってみれば僕
は医療ミスで患者を殺した大悪人ってことらしいからね。警察
も一般受けを狙って逮捕するかもしれないさ.....。F県でも
産婦人科医が逮捕されたじゃないか。医療なんて不確実で20数年
やっている僕だって、毎日正直びくびくしてやっているのに、
今の人たちはうまくいって当たり前、何かあれば医者のせいと
思い込んでいる人が多いんだから.....。」「あなた...。あなた
はずっと家族や自分のことを犠牲にして20数年間もこの病院で
数千人の赤ちゃんをこの世に送り出してきたんでしょう。私だ
って恭子だってほとんどお父さんがいない母子家庭だと思って
あなたを支えてきたつもりなのに....。1週間のうちに家に帰って
眠れるのは1日か2日だけ、帰ってきてもなにかあって呼び出さ
れれば病院にすぐにかけつけなくちゃいけない状態でずっと
やってきたのに...。あなたはずっとそうやってやってきたのに
それらに対しての最終的な答えがこれなんですか?」「ああ...。
俺が20数年間この病院でやってきたことは一体なんだったんだ
ろうな.....。地域の産婦人科を、このN県の南部でお産をとれる
のはうちしかない。俺が地域の医療を支えているんだってその
誇りだけで頑張ってきたのにな.....。そんなの俺の思い込み
だったのかもしれないな......。全く、笑ってしまうよ.....。」
 丸山は目にうっすらと涙を浮かべながら自分を嘲笑するかの
様に言った。

(次回につづく)
【2007/05/12 20:00】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(104)
 川淀病院に、警察の捜査が入るとの連絡が原田のもとに
届いた。原田は丸山を院長室に呼んでそのことを伝えた。
 「丸山先生、例の高橋さんの件で今度警察の捜査が入る
ことになった。今日、N県警察本部から連絡があってね。
 病院側の話を聞きたいということなんだ。明日にでも
こちらに話を聞きにきたいということなんだが、君の都合
はどうだね」「警察の方が来られるんですか?明日も決して
時間に余裕があるわけではないのですが....。」「ああ
だがこれだけ大騒ぎになると警察も動かないわけにはい
かないんだろう。ともかく時間をあけて欲しいとのことな
んだ....。」「そうですか.....。明日でしたら午後6時
くらいなら時間があくと思いますが。」「わかった。私も
同席するからその時間で先方に連絡するよ。」「わかり
ました。」「丸山君、色々大変だとおもうが、なんとか
ここは耐え忍んでくれ。警察にしてもきちっと捜査して
くれれば我々の立場も理解してもらえると思うから...。」
「ですが、先生。これだけ新聞やテレビで大々的に病院を
悪者として報道されてしまって、患者さんたちは動揺して
います。スタッフにしても不安を抱えて仕事をしているん
です。今までやってきて築いてきた地域の人々との信用を
めちゃくちゃにされてしまって、診療業務に支障がでてきて
いるんです。この上、警察が入ってくるとなると、現在の
診療を維持するのは困難になります。」「わかっているよ。
わかっているさ。警察にもなんとか診療業務には支障がで
ないように気をつかってくれるようにたのんではいるから。」
「警察の方は我々の立場を理解してくれるでしょうか?
一方的に新聞の記事のような内容を決め付けて捜査してくる
ことはないんでしょうか?」「とりあえず、私服の捜査官が
来るそうだから気はつかってくれているんだとは思うがね。
 まあ明日きた状況をみてみないとなんともいえないがね。」
 原田は丸山の顔をみながら呟くように言った。

(次回につづく)
【2007/05/10 23:40】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(103)
 「利害の一致といっても......。なんだか割り切れない
ですよ。」「青山君、余計な心配などしなくていいんだよ。
実際、人が一人死んでいるんだ。誤診はあったわけだし
病院長も結果的にはミスはあったと言っているんだ。
 一般の人は医療ミスだと理解している。他の報道機関も
医療ミスとして報道しているんだ。医者たちがなんといおう
ともう世間一般の評価はゆるぎないし、我々だってこのまま
いくしかないんだ。大丈夫だよ。会社はぼくらを守ってくれ
るさ。いやもう守っていくしかないんだから。これだけ大々
的に会社全体で盛り上げているスクープをぽしゃらせるわけ
にはいかないんだから。遺族だって喜んでいろいろなマスコ
ミの取材をうけているじゃないか。担当医を悪者にできる絶
好のチャンスだからね。彼らはマスコミを利用しようとして
いるんだから彼らに対して僕らが負い目を感じる必要なんて
ないさ。だから余計な心配しないでいいんだよ。支局長も本
社とよく相談しながらやっているし、我々は指示にしたがっ
てやっていけばいいんだ。」「本当にそれでいいんでしょう
か......。事実と異なる事があったというのに......。」
島田は言った。「新聞がそう報道すればそれが事実になるん
だよ。我々だって売り上げ部数がすべてなんだ。所詮は商売
なんだから。国民が読みたいと思う紙面をつくるのも我々の
仕事の一つなんだ。なあ、青山君。部数がうれなくて広告費が
入らなくなったら我々だっておまんまの食い上げなんだ。
 ちょっとした事実誤認や脚色は日常茶飯事さ。こんなこと
気にしていたら記事なんてかけやしないよ。僕だって最初に
新聞記者になったときは悪事をあばいて皆を幸せにするんだ
なんて青臭いことを考えていたさ。だけど所詮、新聞社だって
ほかのマスコミだって商売なんだ。売り上げがなくちゃなり
たたない。一般市民が面白いと思う記事をかかなくちゃ売れ
ないんならそういう記事をつくらなくちゃならないんだ。」
 島田は半ば自分に言い聞かせるように少し強い口調で言った。

(次回につづく)

 明日は当直で更新お休みします。
【2007/05/08 23:40】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(102)
 マスコミの川淀病院の一件での報道は医療関係者からの抗議の電話や
メール、ファックスなどが殺到したこともあり次第に医師個人攻撃から
N県の医療状況の問題にシフトしてきていた。報道が遺族からの一方的
な情報で報道が暴走したことはマスコミ関係者たちも認識しはじめてい
た。10月26日の毎朝新聞の青山もコラムもその流れにのるものであった
が、6時間放置という見出しの訂正は行うことはできないというのが毎朝
新聞首脳陣の考えであった。だがネット上の医療関係者達の毎朝新聞の
報道に対する批判的な意見はとどまることをしらず、青山記者個人を標的
として批判的な意見が出てくる状況となっていた。ある晩、青山は島田と
居酒屋で飲みながらこぼした。「島田さん。ネット上でも個人名で私が
名指しで非難されているんですよ。私は、医療被害にあった遺族達のため
に病院の誤診を報道しただけなのに……。6時間放置など捏造記事だって
いうけど、遺族にしてみれば結果的に放置されたと同じことだったんです
から…….。こっちだって限られた時間の中で記事を書かなきゃいけないん
ですから少しくらいの間違いはあるでしょう?どうしてあんなに非難され
なくちゃならないんですか?」「青山君、いくらネット上で医療関係者達
が騒いだってたいしたことではないさ。実際、今だってどの新聞もテレビ
の報道も病院と担当医を非難する方向で番組を作っているし、公式に
報道に対して医療者側が提言したのはたかだが地方医師会の産婦人科医会
だけさ。この件に関して別に日本医師会や産婦人科学会から抗議があった
わけでもなんでもない。今の新聞やテレビの報道姿勢からすれば一般の
世論はまちがいなく我々につくだろうし、ネットの件にしたって一時的
なものさ。医者個人がいくらネットで抗議したって、我々のところに
抗議の電話やファックスを送ってきたって放っておけばいいんだよ。ガス
抜きさ。そのうち忙しい医者たちは疲れるか、飽きるかしてこの事件の
ことだって忘れてしまうさ。人のうわさも75日っていうだろう。いくら
医者たちが騒いだって、一般の人にしてみればこの川淀病院の一件は医療
ミスということで記憶に刻まれているんだし、もう問題にはならないよ。
しらん顔して堂々としていればいいんだよ。支局長も我々の報道はN県
の産婦人科医療の体制の不備を指摘するためのものだということでこの件
の記事を書いていくということで方針を固めているんだ。本社の方とも
その方向で話がすすんでいるんだし。大丈夫だよ。」「そうですか……。
でも本当にそれでいいんですかね?医療者側の意見は産婦人科医会の
先生も言っていたように川淀病院に落度はないということで一致している
のに医療ミスと強く示唆させた最初の記事の訂正をしなくても……..。」
「なにいっているんだ、青山君。いちいちこんなこと気にしていたら
新聞記者なんかやってられないよ。この件はN県支局のスクープとして
本社からも注目されているんだ。実際、いままで大きな紙面を割いてもら
って大々的に報道してしまっているし、これで記事が捏造だなんて認めて
訂正したり謝罪したりしたら大変なことになるよ。下手すれば本社の首脳陣
だって責任を負う羽目になってもおかしくないよ。それに他の報道機関だ
って我々の記事の尻馬に乗って記事を書いているんだ。どこの社の記者達
だって内心はこれはまずいんじゃないかと思ってはいるさ。報道直後に
すぐに地元の産婦人科医会が担当医の医療行為に過誤なしと言い切っている
んだからね。しかもどうも事実誤認もあった記事だということがはっきり
してきているんだから……。だけど医療ミスで亡くなった妊婦、残された
幼子。絶好の報道の材料さ。お涙頂戴の記事や番組で数字をとれなくちゃ
我々は飯をくえないんだ。それで皆が食いついたわけだ。実際この事件の
件になるとテレビも視聴率が上がるらしいしね。この流れはもうとめられ
ないさ。最初にこの流れの引き金を引いたのはぼくらだけどもうマスコミ
全体がそれに乗ってしまっている以上、すでに皆が共犯なんだ。だから
他の報道機関がわれわれを責めることはできないし、そうなればネット
上でいくら医師たちが喚いてもそれっきりさ。」「島田さんはこの件は飯
の種だとわりきれと?私は遺族のためを思って精一杯やったつもりなん
ですけど……。島田さんはご遺族も我々の飯の種だというんですか?」
「おいおい、何を青臭いことを言っているんだ。遺族だって我々を利用
しようとしているんだぜ。自分達サイドに同情的な世論をつくって病院と
の交渉や裁判になったときに有利にしようと考えているんだろう?医療
ミスがないと専門家たちが言っているのに医療ミスがあったことにした
がっている遺族、それを報道して飯の種にしている我々。利害が一致した
だけのことさ……..。勧善懲悪のそんな単純な話じゃないだろう。」

(次回につづく)
【2007/05/07 23:20】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(101)
毎朝新聞としては川淀病院の件に関しては医師たちの抗議
など無視していてもなにも問題はないと考えていた。しかし
ながら今回に関しては事件の発表から1週間経っても全く抗議
が収まる気配がないこと、またm2.comからさまざまなブログや
オープンの掲示板にカルテの内容が転載されたことから、内科
医が意識消失時にCTを産科医に勧めたことでないことが明確と
なり、多くの専門家達が分娩最中の高血圧を伴う痙攣発作では
まず子癇発作を疑う。子癇発作では動かすのは危険で川淀病院
の施設ではCTをとるより高次医療機関に一刻ま早く転送するこ
とが肝心であり担当医と内科医の判断に過ちはない。川淀病院
でCTをとって脳出血とわかったとしても転送先はもっと見つか
りにくくなったにちがいなく、結果的には川淀病院で子癇発作
で通したので19件目で病院がみつかったのであって脳出血とわ
かればもっと転送先を探すのは困難で川淀病院でそのまま母子
ともに死んでしまっていたかもしれない。という意見が主流と
なってきていた。毎朝新聞社もカルテのコピーを持っており
医師たちの意見が正しいことがわかってきていた。N県支局で
もカルテ内容が出てきてしまっては自分達が脚色していた部分
に関しては言い訳ができない状況であることはメンバーのすべて
が認識していた。「どうしますか、支局長。いままで最初の
記事で押し切るつもりで記事を載せてきましたけど、どうも
我々の事実の誤認は否定できそうもないですよ。ネット上では
医師たちがカルテのコピーの内容を克明に解説していますし
言い訳の仕様がなくなってきています。」狭山が言った。「ああ
確かにすこしまずい状態になってきているのは事実ではあるな。」
井出もそれはみとめざろう得ない状態であることは認識していた。
「医師たちは我々の記事が医師への個人攻撃であることを問題
としているようだが、そうではないということを姿勢として示せ
ばいいだろう。医師個人の問題ではなく、転送先が見つからなか
った医療システムのせいだとね。医師たちにしたってシステムの
問題だということにすればその改善に一石を投じたということで
少しは納得してくれるのではないだろうか?」「それはどうで
しょう?かえって火に油と注ぐことになりませんか?この場合
はもうこの件は触れないことにしてほとぼりを冷ましたほうが
いいのではないでしょうか?」狭山の言葉に島田が言った。「いず
れにしても、青山には支局長の方針で記事を書かせましょう。
その反応をみてからでもいいのではないですか?」「ああ、島田
君そうしてくれ、この件に関しては本社からも注目されているん
だ失敗するわけにはいかないんでね.....。」井出は呟くように
言った。そして10月26日に青山のコラムが毎朝新聞に載った。

記者の目:「次の里美さん」出さぬように=青山絵美(N支局)
◇「人と予算」伴った対策を--医師だけを問責するな
 N県川淀町立川淀病院で今年8月8日、分娩(ぶんべん)
中に意識不明になった高橋里美さん(34)が、 19病院
から搬送を断られた後、O府S市の国立国際循環器病センター
で男児を出産し、8日後に亡くなった。 私は取材を通じ、
出産前後の医療システムについて考えさせられた。「財政難」
を理由にその整備を怠ってきたN県と、 深刻な医師不足で激務
を強いられている医療現場双方が、「次の里美さん」を出さな
いよう、今こそ「人と予算」の伴った対策をとるべきだと言い
たい。 取材は8月中旬、高橋さん一家の所在も分からない中
で始まった。産科担当医は取材拒否。容体の変化などを川淀
病院事務局長に尋ねても、「医師から聞いていない。確認で
きない」。満床を理由に受け入れを断った 県立医科大学付属
病院(同県新橿原市)も個人情報を盾に「一切答えられない」
の一点張りだった。
 搬送先探しが難航した背景は根深い。取材を進めると、緊急
かつ危険な妊婦を処置できる「総合周産期母子医療センター」
は 8県(秋田、山形、岐阜、N、佐賀、宮崎、長崎、鹿児島)
で未整備だった。危険な母体をO府などに送るN県の県外依存は、
ここ数年3~4人に1人の割合で推移する。県医務課の釈明は、
「看護師不足や財政難がある」。ただ、 新生児集中治療室
(NICU)が40床あることを挙げ「この病床数は大都市を
除いて多い」と、整備を急ぐ構えは感じられなかった。
 「だったら、なぜ妊婦は県外に送られたのか」「遺族はこの
現実をどう思うか」。里美さんの遺族にたどり着けたのは10
月だった。 義父の英雄さん(52)は当初、「里美ちゃんの死
を汚す結果にはしたくない」と、取材への不安を口にした。
 「県内の実態を改善させるよう継続的に取材する」と伝えると
、英雄さんの話は5時間以上に及んだ。里美さんは頭痛を訴えた
直後に意識不明に陥った。家族は脳の異状を疑い「CT(コン
ピューター断層撮影)を」と 主治医にすがったが、分娩中にけ
いれんを起こす子癇(しかん)の判断は変わらず、搬送先探しが
優先された。 結局、死因は脳内出血。「担当の先生は、息子
(里美さんの夫)も取り上げてくれた。『親子でお世話になれ
るな』と喜んでいた。 病院の説明があったとき、事務局長に
『誰のために働いてる』と聞いたら『町、病院のため』と答え
たよ」。 英雄さんの言葉には、信頼する医師の下で起きた事
態へのやりきれなさがあふれていた。
 その取材から3日後、里美さんの実父母、夫の大輔さん
(24)にも話を聞いた。「脳内出血の処置を受けているのに、
母乳がたまっているのか胸が張ってね……」。意識のない中、
里美さんは母であろうとしたのだ。その後、遺影の里美さんと、
生後2カ月で愛くるしい笑顔の長男健太(けんた)ちゃんに
対面した。一家は考えた末、取材が殺到するのを「覚悟して
ます」と、 実名と写真の掲載に同意した。
 報道以降、多数のファクスやメールが届いている。「医師の
能力不足が事態を招いた印象を与え、一方的だ。 医療現場の
荒廃を助長する」という医師の声も少なくない。だが、記事
化が必要だと思った一番の理由は、 医師個人を問題にするの
ではなく、緊急かつ高度な治療が可能な病院に搬送するシス
テムが機能しない現状を、 行政も医師も、そして私たちも直
視すべきだと思ったからだ。居住地域によって、助かる命と
失われる命があってはならない。NICUに9床を持つ県立
N病院(N市)では、緊急処置の必要な妊婦受け入れに対応で
きるよう、 正常分娩の妊婦を開業医に移す自助努力を重ねて
きた。また、今回の問題を受け、県医師会の産婦人科医会も
母体を産科以外で受け入れるなどの対策を打ち出した。医師
の研修制度改正や産科医不足から、県内でも 過去2年間で
3病院が分娩を取りやめるなど影響は深刻だが、可能な限り、
知恵を絞らねばならないと思う。
 一方、県は医師会の対策をなぞるように、県内の民間2病院
へ搬送受け入れを要請。だが、 これは本来のセンター整備の
遅れを補うに過ぎない。現時点で県は、人員確保を含めた体制
作りを09年度中としているが、前倒しすることも検討すべ
きだろう。 初めて川淀病院に行った時、私は待合室で2カ月
先まで分娩の予約が埋まっているとの張り紙を見た。
「地域の妊婦がこの病院と医師を信じ、通っている」。英雄
さんは「やがては里美ちゃんの死に意味があったと思いたい」
と訴えた。 失われた里美さんの命を見つめ、医療従事者、行
政は同じ過ちを繰り返してはならない。


(次回につづく)

 ここで内科医がCTを主張→家族がCTをとってくれとすがった。
 6時間放置と主治医を個人攻撃しているように思われる
   →そうではないシステムの問題と考えている。
 と前の記事から議論をスライドさせようとしているという
設定です。彼らはカルテのコピーの実物を持っていますから
逆に自分達の過ちを確認できているわけですが.....。
 一般的な病死→あくまでも医療関係者達の過ちである。と
いう主張は変えるつもりはない状況ですね......。

 私は外科医なんですが、どうも日本産科医会が助産所の
嘱託医の契約促進をしているようですが......。

医会からのお知らせ
http://www.jaog.or.jp/News/index.htm

助産所との嘱託医契約・合意についてのお願い
http://www.jaog.or.jp/News/2007/01May2007.pdf

 本年3月30日、厚生ろ同省医政局長より『分娩における医師、助産師、看護師等の役割分担と
連帯等について』という通知(医政発第 0330061 号)が発出されました。
 この医政局長通知には、医師、助産師、看護師等が適切な役割分担と連携のもとで、出産の
援助に当たるべきであるとの基本的な考え方が示されただけでなく、『本年4月より、助産所の
嘱託医師については、産科又は産婦人科医師とすること』という条文が明記されました。
 このことは、危機に瀕した周産期医療を担う、病院、診療所、助産所の、医師、助産師、
看護師等は、今後この局長通知に準じて、お互いに、連携し、協力し、助け合うことによって、
安心して、出産に当たることが出来るという通知であります。
 そこで、日本産婦人科医会は、病院や診療所の医師、看護師等はもとより、助産所の助産師も、
安心して分娩を担当することができるように、局長通知の遵守とともに、別紙のように、
『嘱託医契約書・合意書モデル案』を作成しましたので、会員は、助産所の嘱託医として、
助産所の支援につき、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

嘱託医契約書・合意書モデル案
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/TAISAKU/keiyaku/model.doc

 ただでさえ、助産所でどうしようもなくなって搬送されて何か
あったら病院のせいにされている現状で日本産科医会は厚生労働省
に会員を売るおつもりでしょうか?学会も所詮政府の犬状態なの
でしょうか?そういえばちょっと前にも日本消化器外科学会の
積立金で国債を買うとかいう話もありましたが.....。学会も所詮
医師コントロールの片棒をかつぐ存在でしかないんでしょうか...。

 今の医師たちの苦境は自分達の後輩たちを守ることなど考える
つもりもない医学会の首脳陣にも責任があるのではないかと最近
思うようになってきました。私の誤解でないといいのですが....。
【2007/05/04 23:39】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(0) |
誤報(100)
 m2.comの掲示板に詳細な患者の経過が提示され、掲示板では
担当医師の処置には大きな間違いはない。最初の段階で母子と
もども亡くなってもおかしくない患者さんで子供が助かっただ
けでも充分評価できる。夜の2時の段階でこの患者を自信をもっ
て受け入れられる施設は(世界中探しても)ほとんどないだろう
むしろ6時間で受け入れ先が見つかったこと事態大変なことだと
いう意見が大勢をしめるようになってきていた。医療関係者の
マスコミへの抗議電話やファックスは日をおいて増し、毎朝新聞
本社やN県支局でも問題になってきていた。「まったく、医療関
係者がうっとうしくも抗議してきて......。御社の記事に事実
誤認があると......。枝葉のことばかりいってきて。」会議中
に医師たちの抗議のファックス内容をみながら井出は吐き捨てた。
「だが、彼らがなんといおうと誤診があったのはまちがいないん
だ。受け入れ先がみつからない、医療体制が整備されていない
のが問題だったわけなんだからな。CT云々なんか問題じゃないだ
ろう.....。」「ですが、実際にはなかったことを記事にして
しまったことは確かですから......。彼らが不当な個人攻撃だと
いうのも無理はないですよ。実際、まずかったんではないです
か?」狭山が井出に言った。「まあそれはそうかもしれないが
.....。だが我々としてはこの事故ではっきりした医療体制に対
して改善を求めたかったわけだ。そのことを主張していくべきだ
とおもうね。」「私もそう思います。非難されている医療関係
者たちのいうことをいちいち聞いていては真実は報道できない
でしょう?」島田が井出に相槌を打つ。「本当にそれでいいん
ですね?でもそれで医療関係者達が納得してくれるんでしょう
か?」狭山は不安そうな表情で言った。「ああ、大丈夫だ。青
山君にも新たに続報を書いてもらうことにしているし、その点
を強調させることにしているからな。医療関係者達だって、誤診
があったことと、受け入れ先が見つからなかったことは事実とし
て認めるだろう。そこに焦点をあてて記事にすれば大丈夫さ。
 それに数にすればそれなりの抗議の数だが、読者の中で医者
の割合はたいしたことはない。医者達が我々に反感を持ったって
別に我々が困ることはないさ。」「そうですか....。ではこの
ままでいくのですね.....。」狭山は少し不満げに言った。

 10月24日に川淀病院の続報として毎朝新聞に記事が載せられた。

平成18(2006)年10月24日[火] ■【主張】病院たらい回し 患者本位の基本忘れるな

 分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った妊婦が、19カ所もの病院に次々と転院を断られ、やっと収容された病院で脳内出血と帝王切開の緊急手術を受け、男児を出産した。だが、8日後に亡くなってしまう。問題は病院の「たらい回し」である。

 残された夫は「妻の命をもっと大切にしてほしかった」「今後、同じことが起きないよう妊婦の搬送システムを改善してほしい」と訴えている。

 妊婦は8月7日、N県川淀町立川淀病院に入院し、翌日午前0時過ぎ、頭痛を訴えて意識を失った。適切な処置ができないと判断した川淀病院は受け入れ先を探したが、満床や専門医不在を理由に断られ、6時間後、約60キロ離れた国立国際循環器病センター(O府S市)に運び込まれた。受け入れを打診した20カ所目の病院だった。

 患者を医療設備と専門スタッフのそろった病院に搬送するシステムの欠如がまず問題だ。

 N県では高度な医療や緊急治療の必要な妊婦の40%近くが県外に転送されている。厚生労働省が進めているお産を扱う周産期医療をネットワーク化するシステムの導入も他の自治体に比べ、遅れたままだ。

 重体の患者を引き受け、面倒な医療訴訟を起こされる事態を避けたがる受け入れ側の病院の体質もあるだろう。厚労省によると、周産期医療は訴訟が多く、医療ミスや医療事故の12%は、産婦人科医が当事者だという。

 妊婦が最初に入院した川淀病院の誤診の問題も、忘れてはならない。川淀病院は容体の急変後、妊娠中毒症の妊婦が分娩中に痙攣(けいれん)を引き起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、痙攣を抑える薬を投与した。当直医が脳の異常の可能性を指摘し、CT(コンピューター断層撮影法)の必要性を主張したが、受け入れられなかった。

 脳内出血と正確に診断されていれば、搬送先の幅が広がり、早く受け入れ先が決まっていた可能性は高い。

 N県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査に乗り出した。

 患者を救うのが、病院や医師の義務である。患者中心の医療の基本を忘れているから患者をたらい回しにし、患者不在となる。

 もう一度、医療とは何かをしっかり、考えてほしい。

【青山 絵里】

(次回につづく)

 4月29日の患者のご遺族の弁護士さんが個人情報保護条例で告訴
の方向で動いたことがニュースとなり、この過疎の私のブログにも
多くの方がいらっしゃいました。医師側の主張を提示してブログに
書いていた先生方も不安を覚えられた方が多いのではないかと思い
ます。ですが今回の告訴騒ぎは弁護士さんの戦略と思います。
 この弁護士さんも今回の件は無茶な告訴だというのは百も承知
だと思います。本気で検察や警察が受理して動くとは考えていない
のではないでしょうか?家族がマスコミに公表したカルテのコピー
をマスコミ関係者が外部に流出させ、それをたまたま見た医師が
かなり広範に配布され、テレビでも担当医師の子癇のうたがいと
いうカルテの画像が流されているのをみて、これは保護下にはない
情報であると判断して一般の方は入れないクローズドの掲示板の
なかで症例検討したことを罪に問うのはかなり無理がありそうな
気がします。この医師の罪を問うならば当然、漏洩したマスコミ
関係者も罪に問われることになります。

この場合、刑事告発なのがミソ。
受けるのは検察なんですね。で、検察はこれを受けて立件することはまずありえないでしょう。不起訴になれば医療者側に公式には反論の場は与えられない。つまり医療側に公式の反撃の場は最初から与えるつもりはないんです。

 刑事告発すればマスコミが飛びつくとこの弁護士は計算ずみです。 これで世間には医療者は患者情報をリークした。守秘義務も守らないとはなにごとかという世論をつくることができる。そして不起訴になっても当然マスコミは報道しないと読んでる。告訴に飛びついたマスコミは不起訴になったとなればバツが悪いですからね。それにどうもよく調べると医師に秘密を漏洩したのはマスコミ関係者らしいということになればもう立件されなかったことはニュースにされることはまずないでしょう。これで医者は患者の情報をリークした、それで検察がうごいたというイメージだけが一般の人たちに残るという作戦です。
 
 そして医療関係者が反撃できるのはネットのみです。そのネット医師もこれは守秘義務違反で自分達も罪に問われるのではないかと疑心暗鬼にさせて叩ける一石二鳥の策。今後の民事訴訟を起こしていく上での外堀を手際よくうめていこうというのでしょう。この弁護士なかなか戦略家だと思います。

 まあその弁護士の策略にまんまとマスコミ関係者は乗せられたというのが今の状態ではないでしょうか?でもこれでもうまともなマスコミ関係者ならこの遺族と遺族周囲の怪しげな団体とは距離をおくようになるだろうなと個人的には思っています。長期的にはこの戦略はきっと裏目にでるでしょう。でも某新聞社はこのままこの弁護士さんと突っ走るつもりなんでしょうか? これ以上、命を賭けてこの世に命を送り届けて息を引き取った母親の死と、その命を救い上げるために奮闘した大淀病院のスタッフの人々の努力を踏みにじり、貶める行為はやめてもらえないのでしょうか?担当医であった産婦人科医もできることなら母親の命を救いたかったと思います。母親は助からなかったと聞いたときの担当医のつらさや苦しみは(ご家族の苦しみには遠くおよばないかもしれませんが)私にも想像にかたくありません。その上、家族に責められつづけられるだけでもきついのに、思い込みで充分な裏づけもなく記事をかかれ殺人者扱いされたことを彼らはどう考えているのでしょうか....。
 某新聞社はこの産婦人科医の名誉を回復する義務があります。

 あ、そうそう誤報が丁度今日100話目に到達しました。ここまでかけ
たのも読者の方々のおかげです。引き続き休み休みしながらなんとか
完結までもっていきたいと考えていますのでひきつづきよろしくお願
いします。
【2007/05/02 23:49】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(5) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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