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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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芝桜の咲く丘(23)
 なかなか忙しくて更新まで手がまわらなくてすいません。休み休みすすめていくのでよろしくお願いします。


 仕事場で端末に向かっていた雅哉に同じ開発部の堀内が声をかけた。「木下さん。外線から電話です。なんでも大学の同窓会の件で光村さんて女の人からですよ。」雅哉は端末から顔を上げると「わかった。こっちに電話回してもらっていいかな。」と答えた。「わかりました。」そういうと堀内は電話を木下の内線に転送した。「もしもし。木下ですが。」「もしもし、光村です。」「光村さんか。久し振りだね。サークルのOBの同窓会の幹事をやらされているのかい?御苦労様。」「木下君。それは電話を回してもらうための方便よ。実は木下君に伝えなきゃいけないことがあって.......。」詩織の言葉を聞いて雅哉は「ちょっとまって....。」といってまわりを見渡した。堀内は別のセクターでの仕事に集中しているようだった。富岡は外に出ている。雅哉は頭を低くして受話器を手でおおって少し声を抑えて言った。「おい、いきなりなんだい。個人的なことなら職場は困るんだけど。」「周りの目があるので困るのはわかるんだけど、あなたにとって大事なことなのでそのまま聞いて欲しいの。実は、里美のことなんだけど.........。」「里美の事?」「あなたは里美のお父さんの事は知っていたかしら。」「いや、くわしいことはわからないけど........。」「山内吉男といえばわかるわよね。」「えっ?ちょっとまてよ。」「そうなの。山内ディーゼルの社長よ。」「そうなんだ。それは少しびっくりしたな。」「問題はここからなの。社長は里美がけ落ちした相手があなただと思っている。それで娘が死んだのはあなたのせいだと考えているわ。そのことについてどうしても詳しい話をしておきたいの。」「突然いわれてもびっくりだよ。光村さんと久し振りに話ができたと思ったら.......。わかった。とりあえずまた電話をもらえるかな。ここでは話はしずらいからね。」「ええ。」「ぼくの携帯番号は090-×××▽-□○▼■だから。」「わかった。何時くらいだったら電話していいかしら。」「じゃあ昼休みに外にでれると思うから12時半くらいに携帯に電話もらえるかな。」「わかった。じゃあまた連絡するわ。」「それじゃ。」そういうと雅哉は静かに受話器をおいた。
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【2009/05/25 22:57】 管理人雑感 | トラックバック(0) | コメント(10) |
芝桜の咲く丘(22)
 「川越さん。いきなり従業員を解雇にできないのはわかっている。貴方は別に何もしなくてもいい。ただ、あなたは僕の方から御社にシステム管理の者を一人採用してもらえばいいんだ。音無という男だが、SE(システムエンジニア)としてもそれなりに優秀な男だ。彼を雇ってくれればあとは彼がすべてうまくやってくれるようにしておく。君は何も考えないでいてくれればいいんだ。」吉男の言葉に章は顔を上げ言った。「それはいったいどういうことですか。」「方法としては君の会社にも少し迷惑をかけることのなるかもしれないので一応大まかなことは話しておく。要は木下という男が君の会社の情報漏洩をするかもしれないということだ。」吉男の言葉に章の顔色が変わった。「それはつまり、SEをつかってサーバーのログを操作して木下君のIDをつかって情報漏洩をでっちあげるということですか?それは半ば犯罪では?私は経営者として山内社長のことは尊敬していました。そのあなたの口からこのような事がでてくるとは思っていませんでした。正直、私は自分の耳を疑っています。」章の言葉に吉男は表情を変えず答えた。「川越さん。あなたは何か勘違いしているようだ。私は君の会社の職員が情報漏洩をするかもしれないという注意喚起と、当方からのSEの受け入れを了解していただきたいとお願いしているだけです。別に断る理由はないでしょう?おたくとは長い付き合いだし、これからだってそのつもりなんだ。余計なことは考えないでこちらのお願いを聞いていただけませんかね?」章は吉男の顔をじっと見つめて言った。「わかりました。山内社長の直々のお願いならそれはいいでしょう。しかしながらうちの木下が何かしたんでしょうか?すくなくとも社内での評判も悪くないですし、仕事もよくこなしています。山内社長がそれほど彼にこだわる理由が想像がつかないのですが。」吉男は章の言葉に少しふーっとため息をついて言った。「川越さん。あなたには関係ないことだ。余計な詮索はしない方がいい。」吉男の言葉に章はすこし諦め顔になった。「わかりました。また社にもどって人事の方に伝えておきましょう。その音無という方の履歴書をうちの人事の方に送ってもらえるようにしていただけますか?面談の日取りも決めなくてはならないでしょうしね。」章の言葉に吉男は静かに言った。「川越君.........。私の個人的な理由で迷惑をかけてすまない。この穴埋めはいずれまた考えるから.........。」「社長のお話の趣旨は理解しました。とりあえず今日はこれで......。」そういって章は席を立った。
【2009/05/20 22:23】 管理人雑感 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(21)
 新型インフルエンザが関西で猛威をふるっていますね。私は関東の病院にいますが国内封じ込めの状態が失敗に終わり、蔓延期に入りつつあることから感染の専門施設ではないのですが発熱外来の設置が検討されていて騒然としてきています。蔓延状態でインフルエンザの患者さんが増えると待機手術も中止にすることも検討しなくてはならなさそうで医療現場も緊張の度合いを増しています。これだけ関西で蔓延すると潜伏期も考えて1週間前後で関東でも一気に患者さんが発生する可能性が高そうですね。

 「社長、川越製作所の川越社長がお見えです。」インターフォン越しの二宮の声に吉男は答えた。「わかった、お通ししてください。」「わかりました。」二宮の声の後、部屋のドアをノックして章が入ってきた。「失礼いたします。」章は一礼してそう言った。「川越君も忙しいところ時間をとってもらってすまなかったね。まあ座ってください。」吉男の言葉に章は「ありがとうございます。」といって、ソファーにすわった。「それで、山内社長、折り入ってお話というのはどのようなことでしょうか?」「ああ、君の会社に木下雅哉という男がいると思うんだが......。」章は少し驚いた表情をして言った。「ええ、開発部の主任をやっている者ですが.........。」「どのような男なのかな?」章は少し戸惑った。上場企業の社長が下請け会社の社員に興味をもつ理由が章にはにわかにはつかめなかったのである。「ええ、優秀なエンジニアです。非常に仕事熱心ですし、まじめな男です。」章の言葉に吉男は「そうか.......。」と言って少し黙った。「あの......。うちの木下が何か?」やや不安げに聞く章に吉男は言った。「うん、突然なんだが、その男をなんらかの理由をつけて解雇にして欲しいんだ。」章は少しぽかんとした。吉男の言葉が一瞬理解できなかった。「木下を解雇しろと?」「ああ、そうして欲しいんだ。」「その、山内社長が直々に私に頼むというのは、一体どういうことで.......。」「理由を説明しないとだめかい。」吉男の感情を押し殺した声に章は言葉を失った。「理由などどうでもいいだろう。ともかく、なんらかの理由をつけて解雇してもらいたいんだ。もし、開発部の人材が不足しているのならこちらで手配してもかまわない。」「それはできませんという選択肢は......。」「ないよ。君も一つの会社の主ならぼくの言っている意味は理解できるよね。100人の従業員と会社全体の責任を君は負っているんだから........。」吉男の言葉に章は少し混乱した。少し考えた後、「社長の意向はわかりました。なるべく意向にはそうようにいたしますが.....。何分、従業員の雇用の問題ですから少し考える時間をいただけますか?」と答えた。章の言葉に「ふん。」と吉男は言った。
【2009/05/18 23:02】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(20)
 「今度の日曜日はどうするんだい。」章は朝食のパンをたべながら京子に聞いた。「雅哉さんと幸美ちゃんとショッピングモールに買い物にいくつもりよ。」「そうか。木下君とはうまくいっているようだね。父さんとしては嬉しくもあり、寂しくもあるな。」章の言葉に京子は言った。「お父さん......。でも雅哉さんといっしょになることは賛成してくれているんだよね。」京子の言葉に章はふーっと息をついて言った。「ああ、母さんも先に逝ってしまったからさみしくないといったらウソになるけどね。でも京子が幸せになるんならそれが一番さ。木下君は職場でも評判いいしね。京子が好きになった人なら反対はしないよ。それに新しい家族が増えるんだ。いきなり義理とはいえ孫までできるんだから、その幸美ちゃんだっけか。その子もお前になついているというしな。」京子は章に微笑んでから言った。「そうなの.....。でも父さんにそういってもらって私もうれしいわ.......。」「そうか........。それで、いつか家に挨拶につれてくるのかい。」「うん、正式にお付き合いするのだから、はやくご挨拶には伺いたいとは雅哉さんも言っていたわ........。」「そうか.........。母さんが生きていたら喜んでいただろうにな。」「大丈夫よ。母さんだってきっと喜んでいてくれるわ。また雅哉さんと話してみて日にちの予定を立てたら相談するわ。父さんも忙しいしね。」「わかった。その日を楽しみにしているよ。」章はそう言ってほほ笑んだ。

 会社の経営会議が終わったあと、開発部部長の富岡は章に声をかけた。「社長、それで例の工具の発注は予定どおりかけさせていただきますので。」「ああ、富岡君、よろしく頼むよ。工程に遅れがないようにして欲しいのでね。」「わかりました。それで、また全然別のことなんですが......。」「ああ、どうかしたかい?」「うちの木下の事ですが、なんでも京子さんとつきあっているということなんですが。」「ああ、そうらしいな。」「社長の身内になるかもしれないんですね。」「ああ、たぶんね。」「その、職場での木下の扱いはどうしたらよいでしょうか?」富岡のやや困惑した表情をみて章は思わず笑ってから言った。「余計な気遣いはいらないよ。いままで通りでいいさ。むしろ身内になるかもしれないからこそ今まで以上に厳しく評価してもらったほうがいいさ。そうしないと木下君だってやりづらいだろう?」富岡は章の言葉に少し安堵の表情を浮かべた。「そうですね。これは全く失礼なことを......。すいません。社長、余計なことを言ってしまって.......。」「ああ、いいよ。富岡君は少し気をまわしすぎだな。」章は笑いながら言った。
【2009/05/15 22:23】 管理人雑感 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(19)
 「社長、弁護士の川口様がいらしています。」インターホン越しに秘書の二宮から声がかかった。「わかった。お通しして......。」吉男が答えるとドアがノックされ川口が入ってきた。「社長、失礼いたします。」「突然呼び出しで済まなかったね、川口君。まあすわってくれたまえ。」「ありがとうございます。それでは失礼して......。」そういうと川口はソファーに座った。「忙しいところ悪かったね。」吉男の言葉に川口は言った。「いえ、それは構わないですよ。それより折り入って社長からの頼みというのはどういうことですかね。」「うむ、実は全くの私のプライベートなことなんだが。」「ええ。」「私には孫がいるんだ。最近わかったことなんだが、10数年前に失踪して縁を切った娘が子供を生んでいるんだ。女の子なんだが......。」「そうなんですか。」「その子の親権をとりたいんだ.......。」吉男の言葉に川口は少しきょとんとした表情をした。「親権ですか?でも娘さんとそのお相手が育てていらっしゃるんでしょう?よほどの理由がなければ祖父だからといってお孫さんを両親から取り上げるというのは難しいと思いますよ。」川口の言葉に吉男は言った。「川口君。娘は死んでいるんだ。その子の母親、つまり私の娘だが、その子を出産したときに亡くなっているんだ。そしてその相手の男が子供を育てているんだ。」「そのお相手というのは......。」「木下雅哉という男だ。うちの関連の下請け会社の技術者らしい。」「男手ひとつでお子さんを.......。」「まあ、どんな風に育っているかもわからん。ろくでもない男の子供だ。だがどんな子供であれ私の娘の子で孫になるわけだ。まあ成人するまでは面倒をみてそれなりの金を出すのはやぶさかでない。それよりかこの男が私は許せないんだ。」「社長、個人的な事で私が私見を述べるのはためらわれますが、娘さんが選んだお相手でらっしゃるわけでしょう。10数年前駆け落ちされたとしてもそれはお二人が決められたことですし、もう許してあげても........。」「ああ、娘を幸せにしようとその男なりの誠意と愛情があったんなら良かった。だが奴は娘に.......。」「社長........。」「奴は、妊娠した娘を借金の形に売ったんだ。さすがに罪の意識に苛まれたんだか、両親が交通事故で死んだ保険金で連れ戻したらしいが、その交通事故だって詐欺かもしれん。ともかく娘を不幸にしたあげく、出産で死なせた男だ。娘の敵というわけではないが、なんらかの制裁を与えなくては私の気がおさまらないんだ。うちの下請け会社の社員だからうまく圧力をかければ失業させることはわけがないだろう。失業してしまえば、親権を奪うのはそんなに大変ではなくなるだろう?」「まあ、それはそうですが......。」「川口君。奴を罰する法律はないんだろうが、私は許さない。私なりの方法で奴のもっているすべてのものを奪い取ってやるつもりだ..........。」吉男は自分に言い聞かせるようにつぶやくように言った。
【2009/05/11 22:12】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(18)
 新型インフルエンザの国内発生が確認されましたね。私の勤めている病院でも今後の対策についての検討会議がなされはじめています。この夏はともかくとして、秋から冬にかけては季節性のインフルエンザといっしょになって蔓延すると思われるので心配ですね。それと別に外科の仕事も忙しくなってきており投稿が空くこともあるとおもいますが、無理のないようにつづけていきますので今後とも読者の皆様お願いいたします。


 詩織はテーブルのレシートを取って会計に向かった。幸助はテーブルに向かい詩織に背中を向けたまま言った。「なんだよ。自分だけいい子ぶりやがって!」詩織は幸助を無視して会計を済ませて店を出た。外は小雨が降っていた。その雨の中を詩織は傘もささずに駅へ足早に歩きはじめた。

 筑駒大学時代、雅哉と里美、詩織と幸助は同じテニスサークルにいた。詩織は昔、雅哉に思いを打ち明けた事を思い出していた。家族旅行に行ったお土産を取りに来て欲しいと雅哉を呼び出した詩織は、近くの喫茶店に雅哉を誘って連れ出した。サークルの事や大学のこと、旅行に行った九州のことなど世間話をして、すこし話が途切れたところで詩織は言った。「あのね、突然でびっくりするかもしれないけど、私、木下君に伝えたいことがあるんだ。」雅哉はすこしきょとんとして言った。「なんだよ光村、そんな改まって.....。」「あのね、私、木下君のことが好きなの。できればお付き合いできないかなって.......。」雅哉は詩織の顔をじっとみてから言った。「光村、すごい気持ちはうれしいよ。僕も光村のこと嫌いじゃないし......。君はすごくかわいいし、魅力的さ。だけど.......。」「だけど?」「今、だれかと付き合いたいっていう気持ちにはなれないんだ。」雅哉のことばに詩織は少し間をおいて言った。「里美の事ね。」「いや、そういうことではないんだよ。ただ.....。」「木下君も知ってるでしょう。里美は堀山先輩と付き合っているのよ。」詩織の言葉に雅哉は少しさみしげに言った。「ああ、それは知っているよ.......。」

 木下さんも馬鹿ね........。詩織は心の中でつぶやきながら歩いていた。馬鹿だけど、あなたは強い人よ、好きな人のために一途になれて.........。私にはできない事だったわ。人をそんなに強く愛せるなんて..........。だから私はこんな下らない女になってしまったのかもしれないけど.........。里美も男を見る目がなかったわよ。堀山なんてくだらない男といっしょになって.......。木下さんなら里美のことあんなことにさせなかったでしょうに........。忘れかけた思いがよみがえってくるのを詩織は感じていた。
【2009/05/10 17:16】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(17)
 「社長秘書の二宮さんに聞いたわよ。」薄暗いバーで詩織は幸助に言った。「あなた里美の調査報告書を一昨日、社長にもっていったんですって。」幸助はジントニックを1杯あおってから言った。「ああ、持っていったよ。」「いったいどんな報告書を提出したの?娘さんを孕ませた上、借金の形にだまくらかして温泉街に置き去りにしてきましたって正直に書いてもっていったわけ?」「嘘は書いてないよ。ただ駆け落ちしたのはある男ってことになっている。」「つまり相手はわからなかったと報告したということ?そんなのあなたと里美は入籍しているんだし、戸籍調べればすぐだれが相手かなんてわかることでしょう?」「ああ、社長が調べる気になればね。」「どういうこと?」「どうせ地獄耳の君のことさ。どんな報告書かなんてすぐわかるだろうがね。まあどうせ君はすぐわかることになるからここで話してもいいか。」「もったいぶらないでよ。」「報告書には今、里美が生んだ子供を育てている男の事も書かれている。里美が出産した後にわざわざ人の子を11年間も育てているお人よしの男さ。」「あきれた。それじゃ報告書を読むと.....。」「たぶん社長はその男が娘にひどい仕打ちをしたと勘違いする。」「あなた、里美にあんな仕打ちをしたうえ他の人にその責任を押し付けてほおっかむりするつもり?」「だから報告書には嘘は書いていないっていってるじゃないか。あくまでも俺の名前が載っていないだけさ。あとは社長が勝手に勘違いするだけのことで報告書自体には事実しか書いていないんだから。それにちょっと自分でしらべればわかることさ。報告書を勝手に勘違いして思い込みで報告書の不確定要素を調べようとしないのは自己責任さ。」「ひどい言い草ね。意図的にそう思い込むような報告書にしたくせに。」「意図的?それは心外ですなあ、光村さん。たまたまそんな風に読めるかもしれないっていうだけさ。それでそのお人よしの男なんだが。」「それは調べがついているのね。」「ああ、驚くとおもうよ。実は木下なんだ。」「木下さんが.......。」「ああ、奴は大学時代から里美にぞっこんだったからな。両親が交通事故で亡くなっているんだ。その保険金で里美の借金を払って引き取ったらしい。」「そう。木下さん。ずっと里美のこと....。」「馬鹿な男さ。人の女に余計な事してくれて.....。」「馬鹿かどうかしらないけどあなたみたいな下衆な人間とはくらべものにならないわ。」「それはひどい言い草だな。君だって元村常務にとりいってよろしくやっているんだ。下衆の程度なら俺とどっこいどっこいだろ。」「気分悪いわ。今日は帰るわ。ここのお代は私が払うから。」そういうと詩織は席を立った。
【2009/05/06 14:31】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(16)
 「どうぞ入りたまえ。」吉男はドアのノックの音にそう答えた。「失礼します。」そう言って幸助が社長室に入ってきた。「待たせてすまなかったね。そこに座ってもらっていいかな。」「お気づかいなく、それでは失礼します。」そう言って幸助はソファーに座った。「それで、里美の件だがどうだったね。」「社長、残念ながら里美さんはお亡くなりになっています。」幸助の言葉に吉男は言葉を失った。重い沈黙の時間がしばらくその場を支配した。「里美が死んでいると?」「ええ、平成10年4月15日ですね。女の子のお子さんを生んだ時に亡くなられているようです。」「出産時に?」「ええ。」「それではその子はどうしているんだね。その、私の孫になるその子と、その父親は?」「行田市内に住んでいるようです。お孫さんの名前は木下幸美さん。11歳になります。今、小学校5年生ですね。父親の名は木下雅哉。うちの下請けの川越製作所の開発部門の技術者です。」「そんな近くに.......。」「ええ、細かいところは報告書をまた見ていただければと思います。」「そうか.......。その男と里美とはどんなきっかけで.....。」「筑駒大学でのサークルでいっしょだったようですね。お嬢さんが就職されたあと、社長からの見合い話に反抗されて駆け落ちをされています。」「それは知っている。その後はどうなったかだ。」「平成8年に入籍して男は事業を立ち上げた様ですが、事業は失敗して借金に追われていたようです。男は闇金にも借金していたようで、里美さんを平成9年8月に借金の形に北陸の山谷温泉に勤めさせたようです。」吉男はそれを聞いて顔を真赤にさせた。「温泉に売り飛ばされただと!」「ええ、木下は両親が交通事故で亡くなってその保険金で里美さんを引き戻しています。里美さんはその時には妊娠されていたようですね。」「つまり身ごもった娘を借金の形にしたと。」「たぶんそういうことです。お嬢さんは前置胎盤で出産には危険を伴ったようで、出産時には羊水塞栓を起こした.....。」「もういいっ!」吉男はいたたまれなくなり思わず叫んだ。少しおいて吉男は言った。「どなってしまってすまない。堀山君。つい興奮してしまった。少し一人にして欲しいんだ。今回の調査費の請求書はおいていってもらえるかな明日かならず振り込んでおくから。」吉男の言葉に幸助は言った。「心中お察しします。気にしないでください。それでは失礼します。」幸助は静かに席を立った。
【2009/05/05 09:59】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(15)
 その日は空もきれいに晴れ上がった日だった。指定の駐車場に車を止め、羊山公園までのバスの中に3人はいた。「いや、やはりすごい人出ですね。」すし詰め状態のバスの中で京子は言った。「そうなんですよ。毎年こんな感じですね。道も結構渋滞しますしね。」雅哉は答えた。「今日は結構暖かいし、人出もすごいから京子さんもばてないようにしてね。」そう言って幸美は京子に微笑んだ。

 バス停から芝桜の丘までは少し距離がある。なだらかな上り坂をのぼっていくと丘の入り口の近くに出店が出店していた。臨時に設けられた受付で入園料を払って園の中に入っていくと鮮やかな芝桜が満開に丘一面に咲いていた。「これは見事ですね。幸美ちゃんのお母さんが好きでいらっしゃったのもわかるわ。」「そうでしょう。京子さん。私も好きなんだ。年によっては来たとき、まだ咲いていなかったり、枯れてきちゃっていたりすることもあるんだけど、今年はいい時期みたい。いままでで一番咲いている感じ。」「そうなのね、素敵だわ。」「2人ともこちらを向いて、写真とりますから。」雅哉の声に2人は振り向いた。人の流れにそってすすみ、時々写真をとって芝桜の丘を一通り回った後、丘を一望できる高台のベンチを確保して3人は座った。ペットボトルのジュースを飲んで一息ついたあと幸美は言った。「ちょっと私、花の近くで写真とってくるね、向こうからこっちの父さんと京子さんの写真もズームでとってくるから。」といって幸美が立った。「人が多いから気をつけてね。」京子が幸美に声をかける。「大丈夫、大丈夫。」そう言って幸美は京子に微笑むと京子に聞こえないように雅哉に耳打ちでささやいた。「お父さん、しっかりね。」雅哉はだまって軽く頷いた。「じゃ、いってくるよ。」そういって幸美は道を下りて行った。「幸美ちゃん、元気ですね。」「ええ、それだけが取り柄の娘ですから。」「いえ非常にしっかりしていますよ。時々関心させられます。」「そうですか、それを聞いたら幸美も喜びますよ。幸美も京子さんの事が好きだから。そして......。」「そして.....。どうされました。」「私もあなたの事が好きです。」雅哉の言葉に京子ははっとした表情を浮かべて雅哉を見た。京子は胸が高まり、少し自分の顔が赤らんだのを感じた。「私も、木村さん......。雅哉さんのことが好きです......。」京子の言葉に雅哉は少しほっとした表情を浮かべた。「京子さん。もしよければ、僕でよければいっしょになることを前提にお付き合いさせていただきたいんですが.......。幸美も京子さんならって言ってますし....。」雅哉の言葉に京子は言った。「雅哉さん。私はその言葉をずっと待っていました。私なんかでよければ喜んで..........。」京子の言葉を聞いて雅哉はやさしく京子の肩を抱いた。
【2009/05/04 22:08】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
芝桜の咲く丘(14)
 どうもここのところ忙しくなって更新が途絶え気味で申し訳ありませんでした。引き続きお願いします。

 秩父のホテルは小高い山にあり、秩父の町が一望できた。雅哉はシングル1室とツイン1室をとっていた。幸美の希望もあり、雅哉がシングルで、京子と幸美が一つの部屋に泊まることになっていた。夕食を終え、入浴したあと、幸美と京子は部屋にもどってきた。自動販売機で買ってきた清涼飲料水を飲みながら2人はテレビをみながらくつろいでいた。ふと幸美が言った。「ねえ、京子さんはうちのお父さんのことはどう思っているの?」突然の幸美の問いに京子は少し驚いたが、少し考えて言った。「素敵な人だと思っているわよ。お仕事もしっかりしていらっしゃるし、なによりも幸美ちゃんをしっかり育ててこられたわけだし、なんていうのかな。一緒にいるとほっとする感じかしら......。」「京子さんはお父さんと一緒に......。つまり、私のお母さんになってくれる気持ちはあるんですよね。」幸美が真剣な眼差しで京子を見て言った。京子は一瞬返答に困惑したが、一息ついて言った。「幸美ちゃん、あのね。私はもし、お父さんと幸美ちゃんが私を受け入れてくれるというのなら喜んでそのつもりはあるのよ。でもね、お父さんと幸美ちゃんがずっと積み重ねてきた時間と世界があるし、亡くなられた幸美ちゃんのお母さんへの思いもあると思うの。私はそのつもりでも、2人の世界に無神経に入っていくわけにはいかないと思っているのよ。」京子の答えに幸美は少し黙ってから言った。「私は、京子さんの事、好きですよ。京子さんならうまくやっていけると思ってます。」「幸美ちゃん.......。」「京子さん。お父さんもきっと京子さんのこと好きだと思うんだ。京子さんといっしょにいるとお父さん楽しそうだし.....。それに私も父さんの相談相手になってあげられるけど、大人の色々な悩みって相談相手になる人がいないじゃない。たぶん、父さんも口には出さないけどさみしいと思ってるにちがいないんだよね。ねえ、京子さん。3人で家族になるって素敵だと思わない?」「幸美ちゃん。幸美ちゃんの気持ちはとてもうれしいわ。そうなるととても素敵ね。私もそうなるといいと思っているわ.......。そうね、私は幸美ちゃんのいいお母さんになれるかしら.....。」「それよりか、わたしが好い娘にならないといけないですね。」幸美の言葉に京子はすこし涙を浮かべて言った。「ありがとう、幸美ちゃん。あなたは私にとってお父さん以上に大切な人よ.........。」

 雅哉は別室で一人でぼんやり秩父の夜景を眺めていた。(あれから11年か、経ってしまうと早いものだな......。)そう考えてふーっと息を吐いた。(里美.....。君もこの空のどこかからこの夜景を眺めているのかい?今でも君の存在は僕の中では大きいままだ。幸美という宝物を残してくれたことに本当に感謝しているよ......。)缶ビールを一口飲んだあと雅哉はつぶやいた。「里美、新しい恋をしようかと思っているんだ。幸美のことも大切にしてくれているし、幸美もなついてくれている人なんだ........。僕にはもったいないくらいの人さ............。君は許してくれるだろうか.......。」
【2009/05/03 21:47】 芝桜の咲く丘 | トラックバック(0) | コメント(0) |
藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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    nakano
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