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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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つかめない藁(31)
 入院後、酸素投与やステロイド使用しても症状が軽減される
ことはなく、彼女の呼吸苦は続いていた。呼吸苦に対して
呼吸抑制がかからない程度にモルヒネを使用し呼吸苦の軽減
をはかったがはかばかしくはなかった。彼女は言った。「先生。
今回はもう退院できないかもしれないね.....。」彼女の見通し
は間違ってはいない。私は言った。「どうしてそう思われるの
ですか?」少し黙ったあと彼女は答えた。「先生が一番お分かり
でしょう?この症状は癌が進んできて起こっていることなんで
すよね...。そして抗癌剤だけがそれを抑えられる唯一の方法
だった。色々な薬をつかったけど結局ここまで。もう私には
効果が望めない状況なんですよね.....。」2人の間に沈黙が
流れた。私は言った。「確かに今の段階で劇的な治療というのは
考えにくい状況ですが.....。」彼女はあえぎ様の呼吸をしな
がら言った。「ごめんなさい。別に先生を困らせるつもりは
なかったんです。抗癌剤のおかげでここまで生きることができた
ということはわかっています。私に貴重な時間を与えてくれ
たこともね....。先生....。そんな馬鹿なって思うかもしれな
いけど、この1年が今までの自分の人生の中で一番充実していた
ような気がするんですよ...。今まで自分が大切だと思っていた
こと、築いてきたことが一回すべてご破算になったらかえって
楽になったんです。この1年、いろいろな人に助けてもらって
短かったけど楽しかったんです...。こんな日がくるのはもう
ずっと前から解っていたことですし.....。笑うかもしれないけど
自分を褒めてあげたい位、頑張れた気がするんです....。」
 彼女はあえぎながら、時々せきこみながら必死に話つづけよう
とした。私は言った。「解りましたから....。話をするのも苦しい
でしょう。少しお休みになってください。」少し沈黙してから
彼女は言った。「先生。本当にいつも有難う.....。」
(次回につづく)

 明日は当直でブログはお休みです。土曜日はアップできると
思いますのでまた皆さん覗きにいらしてください。
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【2005/07/14 23:52】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(2) |
<<つかめない藁(32) | ホーム | つかめない藁(30)>>
コメント
このお話もそろそろ大詰めをむかえるようですね。
今日、「小さなお針子」という中国映画を見ました。先生はごらんになったかもしれませんが、文革の時代に四川省の山の中に下放された二人の知識階級の若者と美しい文盲のお針子の話です。
貧農の村で再教育されるはずの青年たちが逆にバルザックなどを読み聞かせて、村人が文明に目覚めていくのですが、それが良かったのかそうでなかったのか、見る人の判断に任されている、大変によい映画でした。
その中で、青年の一人がマラリヤにかかるのですが、村人は高熱で震えている青年を池の中に放り込んで、次によもぎの枝で背中を鞭打ちます。もう一人の青年が「こんなことをして治るのですか」と聞くと村人は「治った奴もいる」といいます。私はつかめない藁の人のことを思いだしました。彼女が頼った民間療法はよもぎの枝ではなかったかと・・貧しい山の中ではそれ以外に治療法がなかった・・・でも、彼女はいくらでも選択の余地があった・・・
西洋でも中世は薬草を煎じてくすりとしていました。それが万能でなかったから、西洋医学が発達したのですね。世界中の科学者(ドクターも科学者のうちだと思いますが?)が英知を傾けて多くの薬や治療法が発達してきました。つかめない藁の人が、どうしてそれを退けて、民間療法に頼ってしまったのか。もったいない話です。

今日たまたま見た映画と、ほかの人のHPで民間療法の巧みな勧誘を見てしまいましたので、生意気のようですが、そのようなものに惑わされないで欲しいと切に思いましたので長々と書いてしまいました。

先生は今夜は当直ですね。きつい当直になりませんように。
そろそろ梅雨も明けます。ご自愛ください。
【2005/07/15 19:39】 URL | momo #-[ 編集]
 momoさんコメント有難うございました。

 彼女が自分が癌であるかもしれないと思いながら病院に来れなかったのは非常に残念なことだったと思います。また、再発の防止のための補助療法を中断してしまったことももったいないことだったと思います。でもなんとなく彼女の心境もわかるような気もするのです。病院に行って癌といわれてしまったらどうしよう。怖いから検査をうけたくない。病院にいきたくない...。入院して手術したら仕事はどれくらい休まなくてはならないのか....。ようやく手術を終えて退院して仕事に復帰できると思ったら毎週のように外来にきて化学療法?仕事はどうすればいいの?首にされたら...?実際に仕事をもっていらっしゃる方には切実な問題でしょう。特に(前半の)彼女にとって、うまく有意義な人間関係が築くことができない(できなかったというよりどちらかというと自分から築こうとしなかった)状況で仕事が自分の存在意義の拠り所としている人には耐えがたいことであったかもしれません。(彼女が結局本当に自分が欲しかったのは他人との友情や愛情だったのに自分の存在意義は仕事だと思いこんでいた。いや思いこもうとしていた..。自分がつかもうとしていたのはそのつかめない藁(幻想)だったのだと告白してくれた場面がありましたね...。)我々も仕事をもっている方に関しては気をつかってはいるのですが...。結局仕事をしながら治療をしている気になれるものにたよってしまったという事だったのかもしれません...。 

>ほかの人のHPで民間療法の巧みな勧誘を見てしまいましたので、生意気のようですが、そのようなものに惑わされないで欲しいと切に思いましたので長々と書いてしまいました。

 生意気なんてとんでもないです。人の弱みにつけこんで一儲けしようとする輩はどんな時代にもいます。そんなものに惑わされないように呼びかけることも大切なことだと思います。

>先生は今夜は当直ですね。きつい当直になりませんように。
そろそろ梅雨も明けます。ご自愛ください。

お気遣い有難うございます。momoさんも色々大変なことと思いますがお体大切にされてください。重ねて貴重なコメント有難うございました。

【2005/07/17 23:11】 URL | nakano #-[ 編集]
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