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雪中花(14)
 彼女は数社をまわったが、みな殆ど門前払いの状態で
あった。予想されたこととはいえ、精神的につらいもの
がないといったら嘘であった。今日だめなら夫にも会社
のこと一応話しておかないといけないかな…….。彼女
はふと思った。昼食をとってから午後も会社回りをつづ
けた。午後になって回り始めて3社目の会社の受付に
いき「すいません。こちらのモーター製造過程の責任者
の方とお話したいのですが……。」と声をかけたときで
あった。背中から「あれ、Y製作所の奥さんじゃないで
すか?」と声をかけられた。振り向くとそこには見覚え
のある顔があった。にわかには思い出せなかった。彼女
がすこしぽかんとしているのを見て、彼はいった。「奥さ
ん。覚えてませんか。Y工業のUですよ。おひさしぶり
です。」彼女もしばらくして合点がいった。「ああ、U
製造部長さん。これは失礼しました。今こちらにいら
っしゃるんですね。」「ええ。奥さんのところには色々
お世話になってました。1年前に知人が会社を立ち上げ
るっていうんで誘われてこちらに移ったんです。」「そう
でした。急にやめられたってきいて驚いたんでした。」
「今日はうちの会社になにかご用事ですか?まさか専務
自ら営業ということもないでしょう?」「Uさん。その
まさかなの。実は、Y工業が倒産したのはご存知です
よね。」「ええ。私がいたときも少し危ない感じだった
んですけどね。もう少しもってくれると思っていたん
ですが…..。」「それで、うちから納品した分の支払いが
焦げ付いてしまって、いきなり資金繰りが苦しくなっ
てしまって……。Y工業の分の取引がなくなってしま
ったことも痛手なの。すこしでも新規の顧客を開拓し
ないとうちも連鎖倒産になりそうな状態なのよ…..。」
「そうなんですか……。」彼女は考えた。うまくいけば
商談が成立するかもしれない。夫の自殺未遂、N常務
の資金持ち逃げに関しては話さない方がいいだろう。
 U部長とあえたのは奇跡的な幸運だった。なんとか
この幸運を生かさなければ…..。彼女の駆け引きがはじ
まった。

(次回につづく)
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