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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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雪中花(84)
 彼は半ば呆然としていた。妻の死亡宣告を聞いて、葬儀屋
に連絡して、妻の遺品となった荷物を整理した。ストレッチ
ャーに乗せられた彼女に付き添い彼女を業者の迎えの車に
乗せた。まるで何か夢をみているようであった。病院の出口
で見送りに来た医師と看護師に「どうもお世話になりました。」
と礼を述べた。医師は「どうもお疲れ様でした。気をつけて
お帰り下さい。」と一礼した。業者が彼に声をかけた。「車の
同乗は2人できますけど。」「じゃあ、私が乗っていきます。
あと一人はいいか……。」彼の息子が声をかけた。「親父、
俺もおふくろと一緒に乗っていくから……。」「でも車は
どうする。」「家内に運転していってもらうから大丈夫だよ。」
「そうか……。」彼は呟くように言うと車に乗り込んだ。
 彼女と二人を乗せて車は病院を出た。医師と看護師がそれ
を見送っていた。彼は彼女の顔を見つめていた。浮腫と黄疸
で元気なころの顔貌からは変わってしまったが安らかな表情
だった。「よく頑張ったよ。本当に。つらかったよな。苦し
かったよな。俺が馬鹿やったばっかりに無理させてしまって。
俺の身代わりになったようなもんだよ…….。本当にお前も
大馬鹿なんだから…….。」彼は呟くように彼女に話しかけた。
「親父。」長男が彼に話しかけた。「なんだ。」彼は答えた。
「お袋がまだ元気だったときに預かっている手紙があるんだ。
自分が死んだら親父に渡してくれって。」彼はあっけに取ら
れていた。「どうしてお前に?」「多分、事前に親父に渡した
ら親父が動揺すると思ったんじゃないかな……。とりあえず
渡しとくよ。お袋との約束だったから。」彼は息子から手紙を
受け取った。封をあけて手紙をみるとそこには見慣れた彼女
の筆跡があった。「この手紙を見ている時にはあなたとの永遠
の別れになっていることだと思います。残念ながら先生方の
治療にもかかわらず病気が日、一日進行していくのが自分で
も自覚していかざろうえない状態です。多分、もうすぐ私の
人生は幕をおろすのでしょう。でも決して今までの人生に
後悔はありません。貴方の側に40年付き添えて本当に幸せ
だったと思います。年末の福井への旅行は無理を行ってつれ
ていってもらって本当に有難うございました。あの水仙は見事
でした。あなたと最後にいっしょにいけて本当に良かったで
す。いつも貴方は私の病気の事を自分の責任のように自分を
責めていたけど、決してそんなことはありません。これは
私の寿命なんですから。人はいつか何らかの病気で亡くなる
ものです。たまたま私はそれが癌だっただけ。自分の人生の
大変な時期にたまたまぶち当たってしまっただけなのです
から…..。あなたといっしょに仕事も子育てもできた。息子
も独立したし、会社の方も危機を脱してこれからも発展し
ていくことでしょう。心残りはなにもありません。あなたと
いっしょにいたからこそ出来た事なのですから。私はあなた
と出会えて本当に幸せだった。今でも感謝しています。あなた
より先に先立たなくてはいけないこと、本当にごめんなさい。
でもあなたなら会社の事も含めて、きっとこれからも大丈夫
だと信じています……。」手紙を読むうちに彼の目からは
涙が溢れ、止めることが出来なかった。「本当に大馬鹿だよ。
お前は。」彼は震える声で彼女の顔に手をやり呟くように彼
女に話しかけた。

(雪中花 おわり)
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【2006/02/21 23:16】 雪中花 | トラックバック(0) | コメント(3) |
<<春風(1) | ホーム | 雪中花(83)>>
コメント
「雪中花」をずっと読んで来て、実際この奥様は客観的にみてご主人の身代わりになってしまった面が少なからずあると思います。(病気になってしまったことではなく、大切な時期に病院に行けなかったこと)。普通ならば、自分は犠牲者だ、運が悪すぎるなど色々なことが頭をよぎると思います。
 しかし、この奥様は最後の最後まで、今後罪悪感に悩ませられるであろうご主人をいたわる言葉を残しました。これは並大抵のことではありません。ご主人はこれでずいぶん救われたのではないかと思います。ご本人の強さ、愛情の強さ、その他様々な要素が絡んでこないとここまではできないのではないかと思いました。
 転じて自分のことを振り返ってみて、もし自分がこの奥様のような状態だったらここまでできるのか、あるいは回りに思ってもらえるのかと考えると自信はありません。少しでも近づけるように努力しないといけません。

 それから、水仙の花にこんな素晴らしい意味があるとは知りませんでした。教えていただいてよかったです。思えば先生のお話のタイトルは花の名前がついているものがいくつかありますね。先生、花がお好きなんでしょうね。

 「雪中花」連載中は先生ご自身も多忙なことが多かった中、長編お疲れ様でした。これからも楽しみにしていますので、無理にならない程度に続けてくださいね。
【2006/02/22 09:08】 URL | punipunipyonpyon #-[ 編集]
日本でのガンによる死亡者数は304,286人(2002年厚生労働省大臣官房統計情報部)だそうです。
1時間に約35人の方が亡くなっていることになります。
一方、自殺による志望者は32,019人(2003年厚生労働省)とありました。
1時間に約4人の方が亡くなっていることになります。

雪中花の奥様が亡くなられたのも、珍しいことではないですね。
日本中のあちこちで起こっている「日常」の一部でもあると思います。

だからこそ、最期に至るまでの時間を大切に生きなくてはなりませんね。

医療費の問題を別にすれば、この奥様も、FOLFOXなどの新しい治療法があればその時間を少し長く出来たかもしれません。
将来的にはアバスチン、アービタックス、または未知のレジメンがその時間を少しでも延ばしてくれることを切に願っています。

長期の連載お疲れ様でした。
今回もまた、いろいろなことを考えさせられました。
【2006/02/22 23:12】 URL | ふじくろ #-[ 編集]
punipunipyonpyonさん、ふじくろさんいつもコメント有難うございます。

> しかし、この奥様は最後の最後まで、今後罪悪感に悩ませられるであろうご主人をいたわる言葉を残しました。これは並大抵のことではありません。ご主人はこれでずいぶん救われたのではないかと思います。ご本人の強さ、愛情の強さ、その他様々な要素が絡んでこないとここまではできないのではないかと思いました。

 そうですね。多分奥様も口には出さなかったでしょうがやはり自分の病気に対する理不尽さに対しての悔しさ、無念さは全くなかったわけではなかったと思います。でもそれを言っても自分が惨めになるだけだし、周りを傷つけるだけであることをわかっていらっしゃったのかもしれません。なくなっていく立場でありながら、最後まで周りの人間やとりわけ罪の意識をもっている夫に対しての気遣いを忘れなかった彼女は立派であったと私も思います。

>雪中花の奥様が亡くなられたのも、珍しいことではないですね。
日本中のあちこちで起こっている「日常」の一部でもあると思います。

 そのとおりだと思います。かつてまだ感染症、とりわけ結核でなくなっていた平均寿命が50代位であったときは癌でなくなる人は決して多くはなかったわけですが、感染症がある程度制御できるようになり、脳卒中で亡くなる人が減ったこともあり、平均寿命が延びるにつけ、基本的には高齢者の病気である癌が死亡原因のトップになってきました。人はいずれなんらかの原因で亡くなるわけですから、癌が仮に制御されたとしても他の病気が死の原因になっていくのでしょう。人が死という不治の病を抱えながら生まれてくる以上最終的にはどこまでを老衰と病気とを区別するのが難しくなっていくのかもしれません。かつては医師がご臨終ですといえば皆が納得して寿命だとあきらめられた時代と、死を忌み嫌いなんでもかんでも病名をつけてその死を家族に納得させるのに四苦八苦し、下手をするとその死を医療関係者のせいではないかと疑いの目をかけられる場合もある今の時代と、どちらが患者さんやご家族にとって幸せなのかわからなくなるときもあります。なかなか安らかには患者さんも死なせてもらえない時代です。それはさておき、癌に関しては早期であれば手術で完全に取り除き医者が治せるほとんど唯一の病気であり、最近の抗癌剤の進歩で進行がんの方にも貴重な時間をいくばくか提供できるようになりました。今後もいい薬が出てきて患者さんに提供できればいいとおもうのはふじくろさんと同意見です。

 重ねてpunipunipyonpyonさん、ふじくろさんコメント有難うございました。



【2006/02/24 00:39】 URL | nakano #-[ 編集]
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