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帰れない老人達(1)
 普通、退院とは病気が治った状態で患者さんは退院を待ち望
んでいるものと考えられがちであるが、必ずともそうでないと
いったならあなたは驚くであろうか?決してそれは珍しいこと
ではない。日本の多くの病院で家族が退院を拒まれることが
日常茶飯事となっている。世話を焼く人間がいないのだ。
 そして一般の老人ホームや施設では月20~30万かかる。病院に
入院となれば老人保健だから月10万いかないし、高額医療費の
上限が7万程度であるから安くてすむ。そうして少し風邪をひいて
具合が悪くなるとどうみても元気な老人をつれてきて家族が
膨大な荷物をもってきて入院させろと半ばけんか腰で迫って
くることがある。ここでは自分が見た家に帰してあげたかった
が帰せなかった老人達について記憶を頼りに綴っていこうと思う。

 東京の某病院にもともと脳梗塞で右片麻痺があり寝たきりの
80代の男性患者が腹痛と嘔吐で入院となった。もともと開業
医の先生の往診患者さんで。便潜血陽性であったが高齢でもあ
り家族も大腸カメラなどの侵襲的な検査を望まず、なにかあっ
ても症状がでたときで考えるということで観察されていた。腹
部を触診すると右の下腹部に巨大な腫瘍が触知され容易に右側
の結腸の悪性腫瘍が疑われた。貧血もひどく腫瘍マーカーも高
値で腹部のCTでも分かる上行結腸癌であった。本人はもうこの
年まで生きたし手術しないでこのまま様子みてくれ、苦しいの
と痛いのだけとってくれればいいから。手術は受けたくない
と言っていた。状態も悪く手術はかなり厳しいものになる旨
お話し本人の気持ちを考えるなら手術しないで経過をみるのも
ひとつの方法である旨をお話した。しかしながら家族はできる
だけのことをしてくれといって半ば本人を無理やり説得して
手術することになった。かなり大きなもので後腹膜、腎被膜
十二指腸の漿膜に浸潤しておりこれらを削り取って右半結腸
切除を行った。術後の回復には時間がかかったが幸いにも大
きな合併症なくリハビリも進み入院前より活動度はむしろ改善
し、この結果なら手術をしてよかったと思っていた。
(次回につづく)
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