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誤報(46)
 原田は三橋が医事課から借りてきた里美の入院カルテをめ
くっていた。0時半に意識消失してからの経過について原田
は眼を通していた。内科の竹内先生もみているのか.......。
 1時半すぎのところで痙攣。この時点で子癇発作と判断して
マグネゾールを使用.....。原田が助産師の広川の看護記録と
丸山の医師記録をみていたところに院長室のドアをノック
する音が聞こえた。「すいません、危機管理室の山本ですが。」
「どうぞ。」原田がそういうと山本がドアをあけて部屋に入っ
てきた。「まあ座ってもらっていいかな。」「はい。」山本は
原田にすすめられソファーに座った。「実は、山本さん。この
患者さんなんだけど。」「はい。」「8月に出産のために当院の
産婦人科に入院されていた方で、分娩中に意識消失して、子癇
発作の診断で治療をしながら転送をした患者さんらしいんだ。
 転送先で亡くなったということらしい。それで今、大村さん
からそのことで説明して欲しいと連絡があってね。実はこの患
者さんの大叔母にあたるのが大村さんらしいんだ。」
「大村さんですか?前の総婦長さんですよね。」「ああ、直接
私のところに電話をかけてきた。状況もわからないと対応の
しようもないからね。また話し合いの設定をするようにする
旨伝えたんだけどね。いずれにしてもご家族が説明をして欲しい
ということなんだ。こちらも産婦人科の丸山先生には直接事情を
聞いてみるつもりなんだが、山本くん。一回このご家族の人と話
をしてもらってくれないかな。いずれは丸山先生や広川さんを
含めて話し合いをしなくてはならないと思うんだが、まずどう
いった点に不満をもっているのかそこらへんを確認しておいて
もらいたいんだ。またご家族の訴えの窓口になってもらえればと
思っているんだけど。」山本は原田の話を聞いていった。「わか
りました。ともかくご家族に一回連絡してお話を聞いてみます
ので...。」「ああ、なるべく早くたのむよ。」「わかりました。」
 山本はそういうとカルテから家族の連絡先の電話番号を確認
して手帳に記載した。

 丸山はうずたかく積み上がったカルテの山を横におきながら
外来診療を行っていた。そこに院内PHSの呼び出し音が鳴った。
 診察中の患者に丸山は「ちょっとすみません。」といって診察
を中断した。PHSの画面をみると院長からだった。何かあった
のかな?丸山はそういぶかりながらPHSの受信ボタンを押し電
話に出た。「もしもし、丸山ですが...。」「もしもし、原田です。
すいません先生忙しいところ、今いいですか?」「ええ、何か
ありましたか?」「実は先生、ちょっとお話させていただきた
いことがあって....。今日時間とれますかね?」丸山は少し
嫌な雰囲気を感じた。「ええ、午後に1件予定のカイザーがあり
ますのでその後なら時間はとれると思いますが...。」「わかり
ました。今日の午後5時半位に時間をとってもらえますかね?」
「わかりました。そのころにまたお電話させていただいた方が
いいですかね?」「いや、こちらからまたかけさせてもらいます
のでいいですよ、忙しいところ申し訳なかったね。」「いいえ、
わかりました。」丸山はそういうとPHSの通話を切った。

(次回につづく)
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