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誤報(72)
 大淀病院の総務課長の白石は病院の廊下を歩いていく事務長の
高田に声をかけた。「事務長、すいません。」白石の声に高田が
振り返った。「白石さん、何か?」「高田さん、忙しいところす
いません。実は、新聞社からの取材申し込みがありまして、取材
をうけるかどうか判断に迷いまして…..。」「取材?どこの新聞
社で、どういった内容なんですか?」「なんでもN県の産婦人科
医療と救急医療についての取材らしいんですが……。毎朝新聞の
青山という女性の記者です。」「N県の産婦人科医療と救急医療?
なんでまたうちの病院に?」「ほかの病院にも取材にいってはい
るそうなんですが……。」「うーん。」「記者の方はどうやら、
産婦人科の丸山先生から話を聞きたいということでしたが、先
生の都合もあるし、すぐにはお答えできないと返事はしておき
ましたが……..。」「そうか……。」高田の頭に一瞬高橋里美の
件が思い浮かんだ。「新聞記者がどのような記事をかくつもりな
のかが問題だな。とりあえず事務方で一回取材をうけた方がいい
と思う。丸山先生抜きでね。」「やはりその方がいいでしょう
か。」「新聞記者というのは最初に結論ありきで記事をかく
記者も多いときくし、取材して発言した内容も全くニュアンス
を変えられてしまうこともよくあるというから。今、産婦人科
でも医事紛争になりかけている一件もあるし、取材は慎重にう
けた方がいいだろう。表だっての取材要件と全くちがうねらい
があることも多いらしいからね。」「わかりました。それでは
事務長と私が対応することでよいかということで日程をつめさ
せてもらう様にします。」「そうしてください。」高田は答えた。

 青山と島田は8月8日から8月31日までの新聞の地方版を引き
出し、順々にお悔やみ欄の名前を追っていった。8月17日の新
聞のお悔やみ欄に高橋里美の名前が載っているのを青山は見
つけた。「島田さん。ありました。多分これですね。高橋里美、
34歳。8月16日に亡くなっています。斎場は町営の斎場のよう
ですね。」「そうか、それじゃ、それで高橋里美の家族の連絡
先を斎場で確認できれば…….。」「家族と接触できるんじゃ
ないでしょうか?」 青山は少し微笑みながら言った。

(次回につづく)

 明日は当直のため更新はお休みします。
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