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誤報(90)
 「お手元に配布させていただきました資料に詳細は書か
れておりますのでそれをご参照ください。経過に関しまし
ては以上です。」「それではご質問を受けたいと思います。」
 間髪いれず質問がでてきた。「結局病気は脳出血であった
わけで、診断がつかないまま患者さんは適切な治療を受けら
れないまま死亡したということですか?」「患者さんは
妊婦さんで、30代の若い方です。特に糖尿病などの基礎疾患
があるわけでもなく、血圧が上昇して意識障害で痙攣発作を
おこしたとなればまず子癇発作を考えると思います。その後
の医療的な対応に関しても妥当なものと考えております。」
「患者さんの家族との話合いでも病院側に落ち度はないと
断言されたということですが、脳出血と診断がつかなかった
こと、最初の意識障害が発生してから1時間ほどは担当医
は休んでいたということですが、これは問題ではないので
すか?」「実際に、最初に意識障害が発生した時に担当医
は内科の当直医と診察しています。麻痺などの症状がない
ことから経過観察としていますが、モニターは装着してい
ましたし、点滴ラインも確保し、助産師もベットサイドに
ついた状態でなにかあれば対応できる体制にしていました。
実際、担当医は助産師が異常を察知して呼び出しを受けたと
きにすぐに現場にかけつけて対応しています。」「脳出血
と診断がつかなかったのは問題ではないのですか?」「脳
出血はCTを撮影しないと判断できません。当院はCTを撮る
ためには技師を呼び出さなくてはなりません。技師を呼び
出して機械を立ち上げ撮影するのにはそれなりの時間がか
かります。子癇発作の可能性も否定できない時に人手のない
ところでCT室に運んで急変する可能性もありました。とも
かく転送が必要な状況であり、CT自体は高次医療施設で
とってもらって診断してもらったほうが安全だったと思います
し、脳出血とわかったら夜間の妊婦の脳出血に対応できる
施設などほとんどありませんからかえって転送先がみつから
なかった可能性があります.......。」
 記者の激しい攻撃的な質問に原田はかなり注意をしながら
答えていた。病院側に落ち度はないということを強調したが
記者たちは納得せず次々と質問を浴びせかけていった。
 「院長先生、経過はどうにせよ、病院側がきちんと対応し
たと思っているようにせよ、結果的には診断ミスはあったわ
けでしょう?対応は適切であったにしても......。」
 「そうですね。結果的には診断ミスはあったわけですが...。」
 この一言を聞いて取材に同席していた青山は島田にささやいた。
 「これで今日の絵は(今夜のニュースの画像)決まりましたね。」
 原田は記者に言わされたこの一言の事の大きさにまだ気がついて
いなかった。

(次回につづく)

 昨日は緊急手術で遅くなりました。明日も当直でブログお休み
です。
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