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誤報(93)
 「亡くなられたのは高橋里美さん。34歳。今年の8月に
N県川淀病院に入院中に意識をなくしたということです。
 意識消失時に産科医は内科医が脳出血の可能性があり
CTを撮るように言ったのを無視して、分娩の痛みによる
失神と考えそのまま放置し、状態が悪くなったところで
子癇発作と診断して、患者さんを転送しようとしました
が、18もの病院に転送を拒否されたということです。」
 次に大輔が生まれた赤ん坊をかかえてインタビューし
ている画像が流された。「先生は子癇発作だといって
ききませんでした。内科の先生がCTをとった方がいいと
いっていたのに.....。CTさえ撮って、早く処置できた
ら助かったはずなんです....。この子が不憫で......。」
 里美さんは転送先の国立国際循環器センターにて1週
間後に死亡したということです。内藤さん。また医療
ミスで人の命が奪われました。全くいたましいことです。」
 「全くですね。病院側には速やかに誠実な対応をして
もらいたいものです......。」病院側の意見はほとんど
カットされ、原田の結果的に診断ミスはあったという発言
だけを取り出した病院会見のVTR、患者家族側の発言や
見解を強調して構成されたニュース内容は、明らかに病院
と担当産科医を非難する形となっていた。丸山は画面を見
ながら立ちすくんでいた.....。

 どうしようもない焦燥感にかられ、病棟の患者さんや患
者家族の同情と非難のこもった視線を感じながらも丸山は
その日の業務を何とか終わらせ、夜の11時半に病院を後に
した。今日はともかく疲れた....。早く横になろう.....。
 「ただいま....。」ようやくの思いで家についた丸山は
血相を変えた妻の真理絵の表情に一瞬たじろいた。「あなた
今日、こんなものが郵便受けに....。」そこには「殺人医者
!おまえなど死んでしまえ!」と書かれていた。「ほかに
も今日だけで嫌がらせの電話が10数件もかかってきて...。」
 狭い町である。新聞やテレビの報道があれば下手をすれば
社会的に抹殺されてしまうかもしれない.....。妻の動揺を
みて、丸山は改めて自分が陥れられた状況を自覚させられた。
 丸山はこの地で20数年間かけて築いてきたものが音をたて
て崩れ去っていくのを感じていた......。

(次回につづく)
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