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誤報(96)
 N県医師会産婦人科医会の臨時理事会では参加理事のベテラン
の産婦人科医たちが配布された資料を確認しながら論議を進めて
いた。「いや、これはやはり子癇発作と考えるでしょう。30代前半
の基礎疾患のない妊婦で分娩中での失神発作ですし.....。高血圧
もありますから.....。これで脳出血と判断しなくてはならないと
いうのは無理があります。」「診断がつかなかったとしても意識障害
をおこしている患者さんに対しての処置に大きな間違いはないで
しょう。」参加理事達の意見は丸山医師の判断と治療に関しては
大きな間違いは認められないという事で意見が一致した。ある理事
は言った。「しかしながら、我々がこの一件に対して言明するべき
なのでしょうか?まずいままでこのようなことで記者会見を行う
というのは前例がないのではないですか?我々がそのような言明
をすればまたマスコミは同業者のかばいあいだと叩くでしょう?」
 平川は言った。「我々が叩かれたからといってそれがなんだと
いうのですか?いいですか?ここに参加されていたすべての産婦
人科医が、丸山医師の判断は間違っていなかった。自分達が同じ
状況におかれれば多分同様の処置を行うだろうという意見で一致
したんです。丸山医師は我がN県医師会産婦人科医会の会員ですよ。
 正当な理由もなく訳もわからないマスコミ連中に不当にたたかれ
ている会員を守れなくて何のための産婦人医会ですか?この状況
が正当化されてしまったら医学的に正しい対応をしていても結果
が悪ければ犯罪扱いされるということです。この由々しき状況を
知らん顔して放置していいというのですか?」平川の言葉に会議
室は静まり帰った。

 その日の午後、産婦人科医会は記者会見を開いた。「川淀病院
の事件に関してN県医師会産婦人科医会は臨時理事会を開きました。
 充分にこの事例を検討した結果、参加した理事達も自分達も同
様の状況に置かれた場合同様の判断を行うであろうという意見が
大多数であり、全会一致で川淀病院の産婦人科医の治療行為は
妥当であったと判断しています.......。」

 その日の朝川新聞の夕刊にN県医師会産婦人科医会の表明の記事
が小さく載せられた。

 N県川淀町の町立川淀病院で8月、分娩中に重体となった妊婦
(当時34)が 県内外の19病院に搬送を断られ、出産後に死亡した問
題について、同県医師会の産婦人科医会(約150人)は19日、同県新
橿原市内で臨時理事会を開き、「主治医の判断や処置にミスはなか
った」と結論づけた。 妊婦は脳内出血を起こし、意識不明となっ
たが、主治医らは妊娠中毒症の妊婦が分娩中にけいれんを起こす
「子癇」と診断し、CT(コンピューター断層撮影)検査をしなかっ
たとされる。理事会後、記者会見した同医会の平川貞治会長は「失
神とけいれんは、子癇でも脳内出血でも起こる症状で、見分けるの
は困難。妊婦の最高血圧が高かったこともあり、子癇と考えるのが
普通だ」と説明。「CTを撮らなかったのは妊婦の搬送を優先したた
めで、出席した理事らは『自分も同じ診断をする』と話している」
とも述べた。 県警が業務上過失致死容疑で捜査を始めた点につい
ては、「このようなケースで警察に呼ばれるのなら、重症の妊婦
の引き受け手がなくなってしまう」と懸念を示した。

(次回につづく)

 昨日はちょっと忙しい当直でした。明日も勤務です。ちょっと
きついですが頑張ります。
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