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誤報(98)
 医師からの抗議の電話やメール、ファックスが毎朝新聞
に届けられており新聞社としても事実誤認があったことは
認識しつつあったがスクープを誤報と公式に認めることは
なかった。そんな中10月22日の毎朝新聞のネットのホーム
ページに井出の支局長からの手紙が掲載された。

支局長からの手紙:遺族と医師の間で /N県支局
 今年8月、大淀町立大淀病院に入院したG市の高橋里美さん
(34)が容体急変後、搬送先探しに手間取り大阪府内の転送
先で男児を出産後、脳内出血のため亡くなりました。
 結果的には本紙のスクープになったのですが、第一報の原稿
を本社に放した後、背筋を伸ばされるような思いに駆られました。
「もし遺族に会えてなかったら……」というのは、今回の一件は
ほとんど手掛かりがないところから取材を始め、かなり時間を費
やして事のあらましをどうにかつかみました。当然ながら関係し
た病院のガードは固く、医師の口は重い。何度足を運んでもミス
や責任を認めるコメントは取れませんでした。なにより肝心の遺
族の氏名や所在が分からない。「これ以上は無理」
「必要最低限の要素で、書こうか」本社デスクと一時はそう考え
ました。そこへ基礎取材を続けていた記者から「遺族が判明しま
した」の連絡。記者が取材の趣旨を説明に向かうと、それまでい
くら調べても出てこなかった実香さんの症状、それに対する病院
の対応が明らかになりました。それがないと関係者にいくつもの
矛盾点を突く再取材へと展開しませんでした。
 さらに、患者、遺族は「名前と写真が出ても構わない」とおっ
しゃいました。「新聞、テレビ取材が殺到しますよ」と、私たち
が気遣うのも承知の上の勇気ある決断でした。
 情報公開条例や個人情報保護法を理由に県警、地検、県、市町
村などの匿名広報が加速するなか、記事とともに母子の写真、遺
族名が全国に伝わり、多くの反響が寄せられています。それは実
名と写真という遺族の「怒りの力」によるものに他なりません。
 支局の記者たちも、ジグソーパズルのピースを一つずつ集める
ような作業のなかで、ぼやっとしていたニュースの輪郭がくっき
りと見えた感覚があったに違いありません。手掛かりある限り、
あきらめないで当事者に迫って直接取材するという基本がいかに
大切で、記事の信頼性を支えるか。取材報告を読みながら、身に
しみました。
 改めて、お亡くなりになった高崎実香さんのご冥福をお祈りし
ます。【N県支局長・井出朗】
 
毎朝新聞 2006年10月22日

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