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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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誤報(110)
 比較的早く家に帰ってこれた丸山はぼんやりとソファーで
テレビを見ていた。11月に入って、かつてほどの取り上げ方
ではなかったが今でも断続的に新聞やテレビは川淀病院の一
件を取り上げていた。一方的な遺族側のインタビューをメイン
に医者や医療体制を攻撃する内容のものがほとんどであった。
 その日もあるテレビ番組でこの件の特集が組まれており
遺族の涙ながらに位牌の前で病院を非難する場面が流された。

 画面には英雄が写っていた。「もっと早く脳内出血とわかっ
てたら、意識なくなった時点でCTを撮っていただいたら、
命だけはとられなかったかなぁと思います」その後に番組
のアナウンスが入る。「主治医は脳出血を疑わず、当初、
失神と判断。その後、妊娠高血圧症候群による子癇と考えま
した。脳出血や生命の危険の可能性が伝わっていれば、搬送
先はもっと早く見つかったかもしれません....。」

 丸山はいたたまれない気持ちになりテレビのスイッチを
切った。「あなた.....。」頭を抱えている夫に背中から
真理絵が声をかけた。丸山はかすれた声で言った。「すまな
い.....。俺のせいでおまえにもつらい思いをさせる......。」
 丸山の言葉に真理絵は言った。
 「私は大丈夫よ。周りがなんといおうとあなたを信じている
から.....。そりゃあ、親戚や知り合いからこの件で色々聞いて
くるのは鬱陶しいことこの上ないことだけど。あなたができる
だけのことを患者さんにしてあげたということは信じてる。恭
子も信じてるから....。私達のことは別に気にしないでいいの
よ。」真理絵の言葉に丸山は頭を上げた。「なあ、真理絵。俺、
もう出産をとるのをやめようと思っているんだ......。」「あ
なた......。」「今回の件では川淀病院でできるかぎりのこと
はしてあげたつもりだった。僕は神様じゃない。お産は危険が
つきものなんだ。どうやったって助けられない妊婦さんや胎児
はいるさ。年間200件も出産を扱っていれば危ない患者さんに
だってあたる。だが結果が悪ければ殺人者扱いされて連日報道
されて.....。病院のスタッフたちもかなり参ってきてしまって
いるし、僕自身がもう限界だよ.....。」「でもあなた産科は
好きだったんでしょう?」「ああ、他の科は、婦人科もそうだが
年齢と共に衰えていくところを見る科がほとんどだから...。
新しい生命を取り上げることはすばらしいことだと思っていた
し誇りもあった。20数年もやっていたから自分もここで取り上
げてもらったから、この子もお願いしたくてって来てくれる妊婦
さんもいた。だからこそ身を粉にして、それこそ寝る間も惜し
んで働いてきた、この年で週3回の当直は正直きつかったけど
がんばってきたんだ。高橋さんだってあの旦那さんは僕が取り
上げたんだ。信頼してもらってきて仕方ないこととはいえ結果
が悪かっただけでも正直胸がえぐられるような思いなのに、家族
に責められて、その上現場の状況なんか知りもしない連中が
殺人者呼ばわりしてくるんだ......。今の産科の状況はひどい
....。この件が落ち着いたって第2、第3の高橋さんにあたら
ないとも限らない。そんなこと考えはじめたら今までの誇りも
なにもどうでも良くなった。すべてがばかばかしくなってきて
しまったよ......。」「あなた........。」真理絵は目を赤ら
めて訴える夫にそう声をかけるのがやっとだった。

(次回につづく)

 今の医療情勢をとりまく状況は非常に厳しいものがあります。
 平成14年からの改訂ごとの相次ぐ診療報酬の削減で病院の利
益率を1%ほどとなり、多くの公的病院は赤字となっています。
 (簡単な例えをすると原価400円のラーメンを600円で売って
いたのを404円で強制に売らされている状態と考えるといいで
しょう。)病院経営は悪化し、完全自由診療の美容外科などを
除けば多くの病院の経営は青色吐息状態です。その上、いまま
で半ば強制的にその強力な人事権で僻地の病院に医者を派遣
してきた医局制度が、民間の人材派遣会社の参入やそこへの天下
りも狙ってつぶすつもりで導入した研修医制度で厚生労働省の
狙い通りに破綻させられました。結果、僻地に行く医者は皆無に
なったという状況です。その上、マスコミがたいした根拠もなく
医者を悪者にする番組や報道を繰り返し、裁判所までが一般受け
をねらってかどう考えても医療者側に問題がないのに訴えたクレ
ーマー患者を支持する判決を繰り返しているという状況です。

 こうなった責任は一体だれにあるんでしょうか?政府でしょ
うか?無責任な報道を繰り返すマスコミでしょうか?それとも
裁判所?あるいは著しく公共心を低下させた一般市民でしょう
か?どれもそれぞれ責任があるでしょう。ですがあえていうなら
ば私は医学会の首脳陣にあると考えています。

 どうして医師会は青色吐息の病院にとどめをさすような、国民
の命の値段を値切るような診療報酬の改訂に抗議の声を上げない
のですか?2年ごとの改訂で長期療養病床を優遇して多くの中小
病院が生き残りをかけて一般病床を長期療養病床にリフォームさ
せておきながら、長期療養病床は突然廃止などという、はしごを
かけて上げさせておいてからはしごをはずすような真似をされて
も文句一ついえないのですか?今度多くの大病院に利益があがる
ようにしてDPC(医療費定額制)が導入されそうですが、これだ
って多くの病院がDPCになれば係数を変えられて引き下げられる
のは誰がみても明らかなのにそのまま導入されてしまう方向なの
ですか?
 どうして平成16年の研修医制度の導入のときにこの制度は大学
の人事権を奪い大学をつぶす目的で導入されることが明らかだっ
たのに、大学教授たちは全員が辞表をたたきつける覚悟で反対し
なかったのですか?
 どうして青木絵美誤報事件の時に声明をだしたのは地元医師会
の産婦人科医会だけだったのですか?日本産婦人科学会は毎日新
聞の誤報と捏造に対して、厳重に抗議し、病院に名誉毀損で裁判
を起こさせるべきでした。

 私がいいたいのは今の医学会の首脳に現場を守ろうという気持ち
がないことです。もしかしてあるのかもしれませんが少なくても現
場は医師会や学会は自分達を守ってくれるとは思っていません。

 かつて大学医局にまだ力があり、余裕もあった時代の話

 ある医局員が第一線の病院で勤務中脳梗塞で倒れた。
 教授と医局長がその医師の妻と面談した。
「先生はこの地域の医療と我々の大学の為に身をつくして倒れられ
ました。先生とご家族の今後のことは我々が責任をもってみさせ
ていただきます。奥様は何も心配なさらないように。」
 その医師は治療終了後、国立療養センターに配属された。
 医局が医局員を何があっても守るという姿勢を示したことで現場
の士気は上がったという。

 なぜ現場の医師たちは現場を去るという選択をしなくてはなら
ないのか?それは誰も彼らを守ってくれないからです。医師たち
にもそれぞれの人生があり、家族があり、生活がある。身をつく
して全力をつくしても結果が悪ければ殺人者呼ばわりされ、逮捕
され、マスコミにあることないことかかれて社会的に抹消される
かもしれないという状況におかれればやむをえないことでしょう。
 不当なマスコミの報道に対してはどんどん裁判を起こす、各学会
で金を出し合ってゴールデンタイムの特番を買い上げてタレント
つかってクレーマー患者によって振り回される医療者たちのドラマ
をつくるとか、不当な裁判判決で人生をぼろぼろにされる医師の
ドラマとつくるとか一般大衆の心に響く広報活動を行うとか(一番
いいのは放送局を買収してしまうのが効率的だが....。)政府の
不当な要求に対しては大学が連携して公立病院からの一斉の医師
引き上げを行うなど、徹底して戦う姿勢をみせるべきです。多分
学会や医師会は悪者にされるかもしれませんが、現場が何があって
も医師会や学会は現場を守ってくれると信じられれば、一線の医師
たちは踏みとどまれるかもしれません。

 これはフィクションですが誤報(96)の平川の言葉を引用します。

平川は言った。「我々が叩かれたからといってそれがなんだと
いうのですか?いいですか?ここに参加されていたすべての産婦
人科医が、丸山医師の判断は間違っていなかった。自分達が同じ
状況におかれれば多分同様の処置を行うだろうという意見で一致
したんです。丸山医師は我がN県医師会産婦人科医会の会員ですよ。
 正当な理由もなく訳もわからないマスコミ連中に不当にたたかれ
ている会員を守れなくて何のための産婦人医会ですか?この状況
が正当化されてしまったら医学的に正しい対応をしていても結果
が悪ければ犯罪扱いされるということです。この由々しき状況を
知らん顔して放置していいというのですか?」

 若輩ものの私がこんなことをいうのは身の程しらずもはなはだ
しいとは思っていますが.....。医学会の首脳の方々にも少し考えて
いただきたいと思います。
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【2007/05/19 22:02】 誤報 | トラックバック(0) | コメント(3) |
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【2007/05/20 00:33】 | #[ 編集]
涙無くして読めませんでした。
【2007/05/20 00:41】 URL | 病院勤無為 #-[ 編集]
 病院勤無為さんコメント有がとうございました。

 この物語の丸山医師と全く同じ境遇にいつ何時おかれるかもしれないというのが今の我々勤務医の実情です。厳しい状況であることは事実ですね。少しでも状況が改善の方向に向かってくれればいいのですが、今は現場の医師がそれぞれの現場で各個撃破されて戦線を放棄していっているところで疲労感と絶望感が漂っています。今後の我々の後輩や、医療をうける患者さんのためにも医療界の首脳陣の決断と行動があることを期待したいところですが....。

 重ねてコメント有がとうございました。引き続きよろしくおねがいいたします。
【2007/05/21 23:25】 URL | nakano #-[ 編集]
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