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誤報(115)
 「それでいいと思っているかって?おいおい青山君。君も
立派な社会人だろう。世の中きれいごとだけでは済まない
ことはわかるだろう。」「でも狭山さんはこの一件が記事に
なるときに記事には裏をとらなくてはならないと言ってく
れていたではないですか?真実をきちんと報道しなくては
ならないと.....。狭山さんだってこれでいいとは思って
いないんでしょう?」青山の言葉を聞きながら狭山は黙って
タバコを下に落として吸殻の火を靴でこすって消した。
 「だれしもがこれでいいとは思ってはいないさ....。だが
新聞もテレビも広告費で食べている以上、クライアントに
不利になるような報道はできないのが事実さ.....。そこが
マスコミの情けないところさ。さっき僕は豊川自動車や花押
の話をしたけれど、豊川にしたって花押にしたって営利企業
である以上、商品を売るために広告や宣伝をするのはあたり
前だし、自分に都合の悪いことはかくそうとするのも当然だ。
 問題はだからといって広告主に不利なことならどんな重大
な事件も報じようとしない姿勢さ、確かに豊川自動車はマス
コミの第一の大お得意様さ。だけど豊川がトップでなくなれ
ば他の企業が1位になるだけの話なんだから。今回の医師の
報道と比べれば明らかにダブルスタンダードさ.....。この
ことに葛藤しているマスコミ関係者もいるのも事実だよ。だけ
どな、青山君、君はまだ独身だからわからないだろうが、働い
て年月を経ていくと、生活ってもんがあるんだ。家族もできる
し、家のローンだってある。いざ転職しようと思ってもそうは
簡単にいかない。マスコミ人なんて、えらそうな事を言っても
特殊な資格や能力があるわけじゃない。新聞社やテレビ局から
放り出されたら路頭に迷っちまう。みんなそれをよーくわかっ
てるのさ。結局、会社に寄生して、社会の歯車のひとつでしか
生きていけないことを思い知らされる。なるべく上司の不評を
買わないように....。無難に仕事をこなして、スクープはなる
べく反撃のなさそうなところで....。面倒なことには巻き込ま
れたくない......。そして次第にこう考えるようになる。「ど
うせ豊川や花押のこと掘り下げたって、ダメなんだよな。真実を
追求するなんて絵空ごとさ.......。一般大衆受けするくだらな
い表層的な記事を書いておけばいいんだ」ってな。」「狭山さん
......。」「かくいう僕だって同じ穴のムジナさ......。井出支
局長が白といえば黒でも白なんだ。それが仕事ってものさ.....。
それがいやなら記者をやめることだね。君はまだ若い。やり直し
はできるよ。僕とちがってね......。」狭山はつぶやくように
遠くを見ながら言った。

(次回につづく)
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すごい展開になってきましたね。
事件のニュースと物語が同時進行になっているのが興味深いです。
このブログのおかげで、ニュースを見る目が変わってきました
バビン | URL | 2007/05/26/Sat 23:05 [編集]
バビンさんコメント有難うございました。

>このブログのおかげで、ニュースを見る目が変わってきました

そうですね。我々は新聞やテレビの報道に対する信頼度が高いですから。新聞やテレビの報道の影響はすざましいものがあります。うその報道やバラエティーでも納豆やココアが店頭から消えてしまうのですから....。でも冷静に考えてみれば新聞にしたってテレビにしたって営利企業です。自分達の利益のためにニュースを少し偏向させたり、脚色してしまうのは当然のことです。新聞社は真実を報道する法的義務はないのです。(そうはっきりいっている新聞社もあるようですが....。)ですからマスコミ報道を鵜呑みにするのは非常に危険であるということは認識しておく必要はあると思います。新聞もテレビもかならずある恣意をもって紙面や番組をつくっているということを忘れてはいけません。かのゲッベルズはいいました。嘘も100回繰り返せば真実になる....。

 バビンさん重ねてコメント有難うございました。引き続きよろしくおねがいします。
nakano | URL | 2007/05/27/Sun 21:48 [編集]
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