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誤報(116)
 11月の末のある日の朝、丸山は原田に声をかけた。「院長先生、
お話があるのですが.....。」原田は丸山の顔を見て言った。「なん
だい、丸山先生。改まって......。」「お時間をとっていただけな
いでしょうか?」原田は少し丸山を見つめてから言った。「わかった。
先生も忙しいだろうから、午後5時ごろにどうだろうか。そのころ
に連絡してくれないか。」「わかりました。」丸山は軽く頭をさげて
そういった。

 日常業務を終え、丸山は原田に連絡すると原田は丸山に院長室
にくるように言った。丸山は院長室の前にくるとドアをノックし
た。「はい。」原田が中から答える。「失礼します。」丸山はドアを
開けて部屋の中に入った。原田は丸山を見て言った。「ああ、丸山
先生、ご苦労様。まあ、座りたまえ。」丸山は原田にそういわれて
ソファーに腰掛けた。「はい。」といって丸山は腰をかけた。「それ
で話っていうのは、どういったことかな。」「院長先生。申し訳
ないのですが、実はもう私としては産科を閉めさせていただきた
いと思っているのです。」丸山の言葉に原田は黙った。「ただでさえ
今の産科をとりまく状況は厳しい状況です。お産自体が命がけの
はずなのに、無事に子供がうまれてくるのが当たり前という考え
の人が年々増えてきています。なにかあれば、医療者に責任がある
のではないかとクレームをつけてくる方が増えてきました。それ
でも新しい命を取り上げることにやりがいを感じて20数年間ずっと
この地で精一杯やってきました。私ももう60近い....。この年で
週3回の当直勤務をこなし、盆も正月もなく年間200近くのお産を
取り上げ続けてきたんです。今回の高橋さんの件にしたって私な
りに精一杯やったつもりでした。その場で行った処置に関しては
間違っていないとはっきりいえます。それなのに、まるで殺人者
のような報道をされて、警察の事情聴取まで受けさせられて、
受診する患者からも非難と、哀れみの視線で見つめられて......。
 病棟のスタッフも限界です。そして私の中でなにか糸がぷつん
と切れてしまいました。これ以上、産科を続けていく気力がもう
無くなってしまいました......。」丸山の言葉を原田は黙って聞いて
いた。

(次回につづく)

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誤報を読ませて頂いて新聞・テレビのニュースも週刊誌と変わらないところがあるんだなと思い腹立たしくなりました。27日朝日テレで高崎さん提訴した事報道してましたが。院長先生が言わされた結果的にミスというところが赤字になってました。家庭を犠牲にし一生懸命やってきた婦人科の先生がお気の毒で、見ず知らずの私でも胸がいたみます。
タマ | URL | 2007/05/28/Mon 01:04 [編集]
 タマさんコメント有難うございました。

>誤報を読ませて頂いて新聞・テレビのニュースも週刊誌と変わらないところがあるんだなと思い腹立たしくなりました。

 結局、マスコミも商売ですから当然、自分達に都合のいいことを強調して、都合の悪いところは報道しないということは当然のことです。新聞もテレビも真実を報道する法的責任などありません。新聞もテレビも基本的にはすべてなんらかの思惑をもって報道していますから、すべてを鵜呑みにするのは危険です。かつてゲッペルズもいいました。「嘘も100回いえば真実になる。」新聞やテレビの報道は少し引いて情報を吟味するつもりぐらいがいいのかもしれません。医療記事だけとっても我々からみるとなんていい加減な記事なんだと思うこともしばしばですから....。多分、他の分野も似たり寄ったりなんだろうと思われます。

 タマさん重ねてコメント有難うございました。
 ひきつづきよろしくお願いします。
 
nakano | URL | 2007/05/31/Thu 23:47 [編集]
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