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誤報(120)
 「ともかく今回の件はスクープとして、絶対失敗するわけに
いかないのさ。最初は医者の医療ミスのスクープとして大々的
に報道したうえ、支局長はインターネット上のわが社のホーム
ページに『この報道は手掛かりある限り、あきらめないで当事
者に迫って直接取材するという基本がいかに大切で、記事の信
頼性を支えるか。取材報告を読みながら、身にしみました。
』などと自画自賛していたんだから......。
 当初の支局は熱に浮かされているみたいだったよ。
 実際には遺族側の立場での報道だったことがはっきりしてき
て、一部脚色していた部分がネット上で捏造とたたかれてあわ
てて地域の医療体制を問題としようとしていたんだと記事の論調
を変えたのさ。それでも医療関係者からの抗議のメールやファックス
があとからあとから届けられているんだ。医療崩壊の特集をあわ
てて組んでみたり、ジャーナリズム大賞は地域医療問題を追及す
る目的で書いたという主張を正当化しようとして労組まで巻き込
んで賞を受賞させるというんだから徹底したものさ........。間
違いとわかったって知らん顔さ。後追いのテレビや他の報道機関
にしてもいたぶるいい生贄がきたとたいした検証もしないで好き
なだけたたいてさ.....。弱いものいじめ以外のなにもので
もないさ....。そりゃ、マスコミの連中が本当に心から今の
崩壊しかかっている医療の状態について真摯に考え、改善して
もらいたいと考えて報道しているならまだ許せるさ.....。だが
マスコミの連中が考えているのはいかにその番組を見せるか、
いかに新聞を売るかなんだ。悪者の医者と母親を失ったかわい
そうな被害者の遺族。我は正義の味方なり、天にかわって医者
をたたくという乗りで報道してさ、勧善懲悪のドラマ仕立てに
して一般国民を煽っているだけなんだから..。」「あなた。
でもあなただってそんなマスコミの一人でしょう。」「ああ、
おれも所詮、そんな新聞社の社員の一人にしかすぎないのさ。
 長年やってよくわかっているさ....。所詮マスコミなんて広告
媒体にすぎない。それで商売しなくちゃならない。広告主と
国民が喜ぶ記事をかかなくちゃいけない。すべてはつくりもの
なんだってことをね......。ばかばかしいといえばばかばか
しい話さ..........。」そういって狭山は黙った。幸代は黙って
夫の顔を見た。「もう2006年も暮れるな.......。」狭山は
つぶやくように幸代に言った。「ええ.....。」と幸代は答
えた。「この件はまだまだこじれそうだよ......。来年もしば
らくごたごたが続くんじゃないかな........。」狭山は呟く
ように言った。

(次回につづく)
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