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芝桜の咲く丘(7)
 雅哉は車で京子を自宅まで送っていた。「今日もわざわざきてもらってありがとうございました。本当に助かっています。」雅哉は車を運転しながら京子に言った。「そんな、こちらは好きでやっていることなんで、幸美ちゃんも一生懸命、お父さんのために料理してましたよ。本当に中のいい親子でいらしゃるんだなと思います。うらやましいくらいです。」「京子さんもお母さんが亡くなられていらっしゃるんですよね。」「ええ、私が大学に入ってまもなく急死したんです。なんでも劇症型心筋炎とかいう病気で….。最初は風邪みたいな症状からどんどん息が荒くなって病院にいったら手に負えないって医大病院に転院になったんですがほんと数日で亡くなったんです。全然病気なんてしたことなかったのにすごいショックでした。それから父と2人きりで暮らしています。でも幸美ちゃんはお母さんに会うこともできなかったんですものね。私は、母さんとの思い出はたくさんあるから….。それにお母さんの命日が里見ちゃんの誕生日というのも酷な話ではありますよね….。」「幸美は確かにお母さんとの思い出はないかもしれないけど、お母さんが命をかけても幸美を生みたかったんだということは話しています。前置胎盤というやつで、出産の時にかなり危険な状態になるかもしれないという話もされていましたしね……。本人もある程度の覚悟を決めての出産でしたから……。毎朝、写真をみて私を生んでくれてありがとうって声をかけてますから。京子さんとお父さんの胸の中に亡くなられたお母さんは生きていらっしゃると思うんですよ。ぼくらも同じなんです。ちょっとロマンチックになりすぎかもしれないけど、僕と幸美の胸の中で里美は生きています。幸美がいることが僕の生きていく支えになっているんです。」「亡くなられた奥様をまだずっと愛されていらっしゃるんですね…….。なんだかうらやましいですね…….。」「そんなもんではないんですけどね……..。」京子の言葉に雅哉はそういって口をつぐんだ。「それじゃここでいいですよね。」雅哉は京子の自宅の前に車を止めて言った。「木下さん。どうか上がっていってください。父も会いたがっていますし…..。」「いえいえ、まだ会社にやり残しの仕事もあるので、お気持ちだけもらっておきます。」そういって、雅哉は京子に微笑んだ。
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