FC2ブログ
ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

芝桜の咲く丘(8)
 吉男は里子の葬儀をおえてしばらくした日に人知れず一人で堀山の探偵事務所を訪ねた。吉男が受付の事務員に声をかけると、事務員は奥の応接間に吉男を通した。しばらくして堀山幸助が部屋にやってきた。「どうも、お世話になっています。山内社長。」部屋に入ってきた幸助に吉男は言った。「いや突然すまないね。」「あの、前回依頼された高村工業の調査の報告書は来週までの期限になっていましたし、調査は順調にすすんでいますが….。」「いや、今日はその件ではないんだ、私個人のことで調査をお願いしたいんだよ。」「個人的なこと……。」「当然、これは私個人の依頼なので調査費は私のポケットマネーでださせてもらうよ。実は、私の娘のことなんだ。」「社長に娘さんがいらっしゃいましたか?」「ああ、実は13年前に家を飛び出してしまってね、それから行方知らずなんだ。個人的な依頼で申し訳ないが大丈夫かな?」「ええ、山内ディーゼルからも色々仕事いただいていますし、会社関連の調査に比べればそんなに大変な仕事ではないですから……。そうでらっしゃるんですか。娘さんのお名前と生年月日を教えていただけますか?」「名前は山内里美。生年月日は昭和47年3月5日。今なら37歳のはずだ。平成5年に筑駒大の国際総合学類を卒業して、東亜銀行に就職している。平成7年に私がすすめた東亜銀行の役員との結婚話を蹴って、大学のころからの恋人とかけ落ちしたようでそれからは行方知らずになってしまっている。いまのところわかるのはそれだけだ。」吉男がそういうと堀山は少し驚いた顔をして押し黙った。「堀山君、どうかしたかね。」吉男の問いかけに堀山はすこしはっとして答えた。「いえ、なんでもないです。とりあえずそれだけ情報があればなんとか調べられるでしょう。他の仕事もつまっていますし、1か月ほど時間をいただいてよろしいですか?」「ああ、それはかまわないよ。急ぎの仕事ではないんでね。ただ、家内が亡くなったことを娘にも伝えておかないとならないし、13年の空白を埋められるかはわからないが、時がたって、娘が選んだ男をさすがにそろそろ認めてやらなくちゃいけないだろうしね。時間はかかっても1回は娘に会っておきたいんだ。それにあまり無理しなくていいよ。会社からの調査を優先していいよ。君が忙しいのだったら、別に君の部下に調べてもらったっていいんだ。ちゃんと調査費は払うし、娘が見つかりさえすればいいんだから。」「わかりました。でもこの調査は私が責任をもってやらせていただきます。」幸助はそう答えた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 藪医者の独り言. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。