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芝桜の咲く丘(17)
 「社長秘書の二宮さんに聞いたわよ。」薄暗いバーで詩織は幸助に言った。「あなた里美の調査報告書を一昨日、社長にもっていったんですって。」幸助はジントニックを1杯あおってから言った。「ああ、持っていったよ。」「いったいどんな報告書を提出したの?娘さんを孕ませた上、借金の形にだまくらかして温泉街に置き去りにしてきましたって正直に書いてもっていったわけ?」「嘘は書いてないよ。ただ駆け落ちしたのはある男ってことになっている。」「つまり相手はわからなかったと報告したということ?そんなのあなたと里美は入籍しているんだし、戸籍調べればすぐだれが相手かなんてわかることでしょう?」「ああ、社長が調べる気になればね。」「どういうこと?」「どうせ地獄耳の君のことさ。どんな報告書かなんてすぐわかるだろうがね。まあどうせ君はすぐわかることになるからここで話してもいいか。」「もったいぶらないでよ。」「報告書には今、里美が生んだ子供を育てている男の事も書かれている。里美が出産した後にわざわざ人の子を11年間も育てているお人よしの男さ。」「あきれた。それじゃ報告書を読むと.....。」「たぶん社長はその男が娘にひどい仕打ちをしたと勘違いする。」「あなた、里美にあんな仕打ちをしたうえ他の人にその責任を押し付けてほおっかむりするつもり?」「だから報告書には嘘は書いていないっていってるじゃないか。あくまでも俺の名前が載っていないだけさ。あとは社長が勝手に勘違いするだけのことで報告書自体には事実しか書いていないんだから。それにちょっと自分でしらべればわかることさ。報告書を勝手に勘違いして思い込みで報告書の不確定要素を調べようとしないのは自己責任さ。」「ひどい言い草ね。意図的にそう思い込むような報告書にしたくせに。」「意図的?それは心外ですなあ、光村さん。たまたまそんな風に読めるかもしれないっていうだけさ。それでそのお人よしの男なんだが。」「それは調べがついているのね。」「ああ、驚くとおもうよ。実は木下なんだ。」「木下さんが.......。」「ああ、奴は大学時代から里美にぞっこんだったからな。両親が交通事故で亡くなっているんだ。その保険金で里美の借金を払って引き取ったらしい。」「そう。木下さん。ずっと里美のこと....。」「馬鹿な男さ。人の女に余計な事してくれて.....。」「馬鹿かどうかしらないけどあなたみたいな下衆な人間とはくらべものにならないわ。」「それはひどい言い草だな。君だって元村常務にとりいってよろしくやっているんだ。下衆の程度なら俺とどっこいどっこいだろ。」「気分悪いわ。今日は帰るわ。ここのお代は私が払うから。」そういうと詩織は席を立った。
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