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芝桜の咲く丘(19)
 「社長、弁護士の川口様がいらしています。」インターホン越しに秘書の二宮から声がかかった。「わかった。お通しして......。」吉男が答えるとドアがノックされ川口が入ってきた。「社長、失礼いたします。」「突然呼び出しで済まなかったね、川口君。まあすわってくれたまえ。」「ありがとうございます。それでは失礼して......。」そういうと川口はソファーに座った。「忙しいところ悪かったね。」吉男の言葉に川口は言った。「いえ、それは構わないですよ。それより折り入って社長からの頼みというのはどういうことですかね。」「うむ、実は全くの私のプライベートなことなんだが。」「ええ。」「私には孫がいるんだ。最近わかったことなんだが、10数年前に失踪して縁を切った娘が子供を生んでいるんだ。女の子なんだが......。」「そうなんですか。」「その子の親権をとりたいんだ.......。」吉男の言葉に川口は少しきょとんとした表情をした。「親権ですか?でも娘さんとそのお相手が育てていらっしゃるんでしょう?よほどの理由がなければ祖父だからといってお孫さんを両親から取り上げるというのは難しいと思いますよ。」川口の言葉に吉男は言った。「川口君。娘は死んでいるんだ。その子の母親、つまり私の娘だが、その子を出産したときに亡くなっているんだ。そしてその相手の男が子供を育てているんだ。」「そのお相手というのは......。」「木下雅哉という男だ。うちの関連の下請け会社の技術者らしい。」「男手ひとつでお子さんを.......。」「まあ、どんな風に育っているかもわからん。ろくでもない男の子供だ。だがどんな子供であれ私の娘の子で孫になるわけだ。まあ成人するまでは面倒をみてそれなりの金を出すのはやぶさかでない。それよりかこの男が私は許せないんだ。」「社長、個人的な事で私が私見を述べるのはためらわれますが、娘さんが選んだお相手でらっしゃるわけでしょう。10数年前駆け落ちされたとしてもそれはお二人が決められたことですし、もう許してあげても........。」「ああ、娘を幸せにしようとその男なりの誠意と愛情があったんなら良かった。だが奴は娘に.......。」「社長........。」「奴は、妊娠した娘を借金の形に売ったんだ。さすがに罪の意識に苛まれたんだか、両親が交通事故で死んだ保険金で連れ戻したらしいが、その交通事故だって詐欺かもしれん。ともかく娘を不幸にしたあげく、出産で死なせた男だ。娘の敵というわけではないが、なんらかの制裁を与えなくては私の気がおさまらないんだ。うちの下請け会社の社員だからうまく圧力をかければ失業させることはわけがないだろう。失業してしまえば、親権を奪うのはそんなに大変ではなくなるだろう?」「まあ、それはそうですが......。」「川口君。奴を罰する法律はないんだろうが、私は許さない。私なりの方法で奴のもっているすべてのものを奪い取ってやるつもりだ..........。」吉男は自分に言い聞かせるようにつぶやくように言った。
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