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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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嘘(14)
 多分、彼女は病気がなんであれ先はあまりないことに気づいて
いたのだと思う。病状は客観的にみて日々悪くなってきている。
 取り留めの無い不安に苛まれても、問いかけに返ってくる言葉
は全く真実味のない気休めに過ぎない。彼女は多分もう何を聞い
ても無駄だと悟ったのか二度と自分の病状について聞いてくる
ことはなかった。私は毎日、朝と夕と2回彼女の病室に回診に
いったが、話しかけても型どおりの返事をするだけになった。
 次第に彼女の衰弱はすすんできた。利尿剤を使用しても腹水
が引くことはなかったし、次第に反応も鈍くなってきていた。
次第に尿量も減少し、あと数日かなという感じになっている時
に家族を呼び、病気が進んできたことにより衰弱が進行しここ
数日が山であることをお話した。今まで、声をかければ眼を開
けていた彼女が次第に問いかけにも答えなくなってきたことで
家族も病状の進行に関しては納得できていたようだった。
 今後、点滴からの薬剤の投与などの治療は引き続き継続する
が呼吸状態が悪化したりした際に、人工呼吸器を装着したり、
心臓マッサージなどの蘇生措置は行わないことを再度確認
し(DNAR:Do Not Attempt Resuscitate:延命治療は行わない)
承諾を得た。日を追うごとに血圧の低下が認められ、昇圧剤
を使用しても反応しなくなっていった。呼吸状態も次第に
悪化していき酸素投与しても充分な血中酸素飽和度を保て
なくなっていく。そしてその時がやってくる。午後からの手術
を終えて摘出した標本の整理をしている時に病棟から電話が
かかってきた。「先生、○○さんの心拍数が落ちてきていま
す。呼吸も止まりそうです。」標本整理の手を止め、病棟に
向かう。ずっと付き添っていた娘さんが側にいて「お母さん、
お母さん。」と泣きじゃくっていた。「他のご家族は?」
「弟があと10分くらいでくると思います。お母さん△△
もうすぐ来るからもうちょっと頑張ってよ...。」血圧は
すでに測定できなくなっていた。心拍数は20~30台、すでに
心電図のQRS波も延びてきており心停止も時間の問題だった。
 幸いにも息子さんは間に合った。息子さんが到着して数分
後に心停止する。「よく頑張られましたが、○月×日午後10
時○○分死亡確認とさせていただきます。ご家族の方もお疲
れ様でした。」「有難うございました。」娘さんは涙ながら
に答えた。抗癌剤での治療での症状改善の可能性を試すこと
も手術をして幸運にも家に帰れるチャンスもあったのにそれ
を生かすことも出来なかった。そして何よりも患者さん本人
の不安や苦悩に答えることができなかった。彼女を乗せた車
を見送った時、彼女の「先生私はもう助からんのだろう。」
という必死の問いかけに逃げる様に病室を出てこなくては
ならなかったことが思い出され、なんともやるせない思いが
胸を締め付けた。
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【2005/05/03 21:49】 | トラックバック(0) | コメント(6) |
<<花菖蒲(1) | ホーム | 嘘(13)>>
コメント
はじめまして。
何とも心が重くなるお話でした。
日々の勤務では、先生もかなりのストレスがたまるのではないかと思います。
先生に言うのは失礼なのかもしれませんが、どうぞお身体を大事にしてください。
【2005/05/04 08:25】 URL | スー #-[ 編集]
きっとその患者さんにとって最初で最後の「全てを悟って心を聞いて聞いた質問」だったのでしょう。それに対して彼女が少しでも救われる最後のチャンスなのに本当のことを言えない辛さが伝わってきました。一番辛かったのはご本人様ですが。。。
【2005/05/04 09:58】 URL | mimimi #-[ 編集]
いつもの辛さや無念さに加えて、なんとなく心に穴があいてしまったような空虚感を覚えます。先生も患者さんも、最後の最後まで踏みしめるべき土台が無くて大変だったと思います。うまく表現できなくて申し訳ありませんが…
【2005/05/04 11:43】 URL | punipunipyonpyon #-[ 編集]
 どうもコメント有難うございました。この患者さんはどんな思いで最後の時を過ごしたのかと思うと結構つらいものがあります。結局本人の意思と関係なく、周りの人の思い、思い込みで事が動いていってしまうというのはなんともやるせない気分にさせられます。でも前にmimimiさんがコメントしてくださったように医療者は家族以上の権限を持っていないので、家族の承諾がないと何もできません。ご家族が本人に伝えるなといえばどうしようもないのも事実です。与えられた条件の中では出来る限りのことはしてあげてはいるのですが...。やはり割り切れない結末だったかなと思います。

 どうも皆さんコメント有難うございました。引き続き宜しくお願いします。
【2005/05/04 22:08】 URL | nakano #-[ 編集]
私は癌患者なので、憤りを通り越して苦しい気持ちで読んでおりました。弱ってしまって医療を受けざるを得なくても、医師と患者、人生を選択する上では、同等でありたいと願います。
死を最も恐れているのは、他ならぬ患者の娘さんであり、医療者を含めた周囲の嘘を、諦め、許したのは患者本人でありましょう。。。
【2005/05/05 01:40】 URL | m #nQ5bPT7s[ 編集]
mさんコメント有難うございました。基本的にはやはり患者さん本人の人生ですから、周りと関係なく本人が納得できる過ごし方をしてもらうのがいいのだと私も考えます。医療者はあくまでも医療に関してのアドヴァイザーに過ぎません。出来る限りの正確な情報を与えてあげてこうするのがいいと思いますとしか言えないのです。手術を勧めても拒まれれば手術はできません。我々の助言を聞いてどうするかは患者さん自身が決めることなのだと私は思います。人生を決定できるのは医療者ではなく患者さん本人しかいません。未告知でいるということは意識障害などで本人に判断能力がなく周りの家族に方針を決定してもらわざろう得ない状況に近い形になります。
(実際には患者さんには充分な判断能力はあるのですが...。)家族の意向が本人の気持ちと一致しないで事が進んだらどうなるかというのが今回のテーマでした。結局この患者さんには申し訳ない結果になってしまったと私自身感じていますが....。

 重ねてコメント有難うございました。引き続きご高配のほどお願い致します。
【2005/05/05 18:29】 URL | nakano #-[ 編集]
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