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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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花菖蒲(22)
 今日は帰りが遅くなりました。ぎりぎりの更新です。
 乱筆申し訳ないです。

 次の日の朝、回診に彼の部屋を訪れた。私は「おはよう
ございます。」と声をかけたが、彼はもごもごと返事をして
目をあけようとしなかった。体を触ると触ってわかるような
高熱であった。ふとみるとやや皮膚全体が黄色みかかって
いた。胆道感染か、あるいはまた尿路感染か...。血液培養
と血液検査をとる。体温を測定すると38.7度の発熱であった。
 採血の結果は炎症所見を示す数値と肝臓、胆道系の酵素の
上昇が認められた。肝臓で作られる胆汁は胆管というところ
を通って消化液として十二指腸に流れ込む。この経路のどこ
かが癌で食われたか、あるいは、肝臓に転移した腫瘍が大きく
なって肝不全になってきているのか、いずれにしても胆汁の
流れがわるいところに細菌が感染したものと考えられた。
 肝臓の状態が悪くなると肝臓の解毒機能が低下して肝性昏睡
という状態になることがある。この肝性昏睡の重症度の
一つの指標となる血中のアンモニアの値も上昇してきており
彼の意識混濁は肝臓の機能低下にともなう肝性昏睡と考えら
れた。ただちに抗生剤の投与とアミノレバン(肝性昏睡を
軽減する点滴製剤)、強ミノ投与し治療を開始した。
 ご家族に連絡をとってもらい、外来が終わる昼ごろに説明
するのできてもらえるように看護師にいって連絡してもらう。
 必要な処置を行い、他の受け持ち患者さんを見回り、今日
中に出さなくてはいけない処置伝票や点滴伝票、処方箋など
の書類を慌ててさばいた後、私は外来におりなければなら
なかった。彼の事は気になったが外来には30人を超す患者さ
んが待っており、彼らの対応をしなくてはならない。外来中
に状態が急激に悪くなるようであればすぐ連絡をしてもらう
ように看護師にたのみ私は外来に向かった。
 山積みになった外来カルテの束をみてフッーとため息をつ
いた後、私は最初の外来患者の名を呼び呼び入れた。
(次回につづく)
【2005/05/30 23:58】 花菖蒲 | トラックバック(0) | コメント(2) |
花菖蒲(21)
 奥様の話だと1日目は移動だけにして充分ホテルで休ませた
後、2日目の午前中にあやめ祭りにいったという。人ごみは
あったが天気は上々で花菖蒲も見事であったという。彼は
毛越寺で奥様に紙にこう書いて渡したという。「本当に来れ
てよかった。お前にはいつも迷惑ばかりかけてきて最後まで
辛い思いをさせてすまない。でも本当に連れてきてくれて有
難う。俺には過ぎた女だった。そしてお前を残して先にいか
なくてはならないろくでもない亭主で本当にすまなかった。
ようやく楽させてやれると思った矢先に。なにもできず先
に行ってしまうことになりそうなことが本当に申し訳ない。
そして最後まで支えてくれて有難う...。」奥様は言った。
「もうあの人、覚悟を決めているようでした..。私も意識の
中では分かっていたつもりでしたが、涙が止まらなくなって
しまって。あの人、この3日間つらいとか、苦しいとか一言
も言わなかったんですよ。一生懸命周りに気遣ってたんです。
本人、辛くて、苦しいに決まっているのに..。故郷の人たち
もたくさん会いに来て貰って..。本人にとっては自分の人生
のけじめみたいに考えていたんだとおもいます。先生と看護
師さん達にも色々ご迷惑と手間をかけさせてしまいました
が本当に連れて行ってあげて良かったと思います。先生方
には本当に感謝の言葉もありません。子供達も仕事を休んで
家族を連れて主人と一緒に過ごせました。こんなにゆっくり
皆が集まって一緒に時間を過ごせたのも本当に久々でした。」
 奥様は我々に感謝の言葉を残してその日はお帰りになった。
 私はとりあえず彼が無事に東京に帰ってこれたことにホッと
した。そしてこの帰郷が彼と彼の家族にとって多分、何にも
変えがたい貴重な時間となったのは多分間違いなかった。平日
に3日も仕事を休むなんてあまり考えられないことであろうが、
彼の子供達は自分の仕事より父親の最後の希望をかなえること
を優先した。子供達の父親への思いに改めて敬服するとともに、
その思いが非常に良い形で具現化したことに私は心から安堵
した。最悪の結果となり彼らに後悔を残してしまうことが
私にとっては最も恐れていたことであったから....。しばらく
して彼の病室に回診にいくと、彼は病院にもどってきて疲れが
どっとおそってきたのであろう。満足そうな顔でぐっすり寝込
んでいた。
(次回につづく)
【2005/05/29 20:18】 花菖蒲 | トラックバック(0) | コメント(0) |
花菖蒲(20)
 彼の強い意志によってであろうか、彼の全身状態は落ち着いた
状態を保っていた。幸いにも出発の日である6月20日まで大きな
病状の変化はなかった。とはいえかなりだるさもあり辛いであろ
うと思われたが彼は出発のときそのようなそぶりは全く見せな
かった。彼は病院を出るときに私に向かって言った。「先生
じゃ行ってくるから。22日に予定通りここに戻ってくるから
心配しないでいいからね。」私は答えた。「解りました。楽し
んできてください。こっちで待ってますので。何かあれば
連絡ください。」「大丈夫。連絡しなくちゃならないことなん
か起こりはしないさ。生きているうちにもう一度岩手に帰れる
とは思わなかったよ。感謝しています。」彼は車椅子に乗り、
次男が借りてきたボックスカーに乗せられ病院を後にした。
 ここから先は本人とご家族にお任せするしかない。彼から
の不測の事態の連絡がないまま2日間が過ぎるのを祈っていた。
 ある看護師が言った。「先生、何事もなく戻ってこられる
といいですね。」私は言った。「大丈夫。きっと元気に戻って
くるよ。きちっと最後の目的を果たしてね。そう彼は約束
したんだから。」根拠などなかったが、ここ半月にわたって
周りを巻き込み、多分無理だろうと思われた外泊を実現した
彼の熱意と意思の強さを思うと自然にそう思えた。

 21日が過ぎ、22日になった。特に連絡はなく、彼と彼の家族
のことだ。きっとうまくいっているのだろうと思って私は仕事
を淡々とこなしていた。予定の時刻に彼は家族に連れられて
無事に帰ってきた。さすがの彼も長い行程で憔悴の色をかくせ
なかったが私に向かって行った。「ただいま。行ってきたよ
先生。菖蒲がきれいだった。しばらく会ってない地元の連中
とも会えたしもういうことなかったよ。」私は答えた。「それ
はよかったです。よく頑張られましたね。」「少しつかれた
けどね。先生も心配したんじゃないかい。」「心配してなんか
いないですよ。根拠は何もないですが、絶対無事にもどって
くると思っていましたから。」「そうかい。それはどうも。」
 目的を達成し満足した表情であった。彼の表情をみて無理は
あったかもしれなかったが行かせて良かったと私は思った。
(次回につづく)
【2005/05/28 23:55】 花菖蒲 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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