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誤報(1)のエントリーは11月26日付けです。最初から読む方はカレンダーで11月までたどって26日をクリックすると誤報(1),(2)のエントリーに入れます。あとは順々に日にちをクリックしていってください。

(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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つかめない藁(31)
 入院後、酸素投与やステロイド使用しても症状が軽減される
ことはなく、彼女の呼吸苦は続いていた。呼吸苦に対して
呼吸抑制がかからない程度にモルヒネを使用し呼吸苦の軽減
をはかったがはかばかしくはなかった。彼女は言った。「先生。
今回はもう退院できないかもしれないね.....。」彼女の見通し
は間違ってはいない。私は言った。「どうしてそう思われるの
ですか?」少し黙ったあと彼女は答えた。「先生が一番お分かり
でしょう?この症状は癌が進んできて起こっていることなんで
すよね...。そして抗癌剤だけがそれを抑えられる唯一の方法
だった。色々な薬をつかったけど結局ここまで。もう私には
効果が望めない状況なんですよね.....。」2人の間に沈黙が
流れた。私は言った。「確かに今の段階で劇的な治療というのは
考えにくい状況ですが.....。」彼女はあえぎ様の呼吸をしな
がら言った。「ごめんなさい。別に先生を困らせるつもりは
なかったんです。抗癌剤のおかげでここまで生きることができた
ということはわかっています。私に貴重な時間を与えてくれ
たこともね....。先生....。そんな馬鹿なって思うかもしれな
いけど、この1年が今までの自分の人生の中で一番充実していた
ような気がするんですよ...。今まで自分が大切だと思っていた
こと、築いてきたことが一回すべてご破算になったらかえって
楽になったんです。この1年、いろいろな人に助けてもらって
短かったけど楽しかったんです...。こんな日がくるのはもう
ずっと前から解っていたことですし.....。笑うかもしれないけど
自分を褒めてあげたい位、頑張れた気がするんです....。」
 彼女はあえぎながら、時々せきこみながら必死に話つづけよう
とした。私は言った。「解りましたから....。話をするのも苦しい
でしょう。少しお休みになってください。」少し沈黙してから
彼女は言った。「先生。本当にいつも有難う.....。」
(次回につづく)

 明日は当直でブログはお休みです。土曜日はアップできると
思いますのでまた皆さん覗きにいらしてください。
【2005/07/14 23:52】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(2) |
つかめない藁(30)
 大きな副作用もなく自覚症状もない穏やかな状態
がつづいていたがやがて転機が訪れることになる。
 ゼローダの治療を始めて4クール目に入ったころ
から彼女は慢性的な咳と息切れを自覚するように
なってきた。それは次第に増悪してきたため、次の
定期の受診日まで様子を見るのは難しいと考えた
彼女は定期の受診日より早く外来を受診した。
「ともかく呼吸が苦しくて…..。最近は寝る
こともできなくなってきてしまって…..。」少し
あえぐような呼吸をしながら彼女は訴えた。聴診
では肺の雑音は聞かれなかったが、呼吸回数は
早くなっており、胸のレントゲンをとると両肺
に多発する転移巣と肺全体がもやがかかったよ
うな陰影が広がってきているのが確認された。
CTをとると浸潤影が肺全体に広がっていた。
私は写真をみて「これはかなり厳しいな。」と
思った。とりあえず呼吸苦を緩和するために酸素
吸入を開始した。
 私は彼女に言った。「肺全体に乳癌からの転移
巣が多発しているのと、また別に陰影が肺全体
に広がってきています。癌性リンパ管症が疑われ
ます。」「癌性リンパ管症…ですか。」「肺のリンパ管
に癌が広がっていく状態で今後急激に呼吸状態
が悪くなると考えられます。今の動脈血の血液
の酸素濃度も下がってきていますし、酸素投与
は必要でしょう。入院で見たいと思います。」
「入院ですか….。」「家で過ごせる状態ではないと
思いますけど。」「そうですね….。またやっかい
になるしかないですかね…..。」彼女は深い溜息
をついて自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

(次回につづく)
【2005/07/13 23:11】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(2) |
つかめない藁(29)
 乳癌の手術を行い、右腕への点滴を避けなくてはなら
ないため、彼女の左腕の血管は長期にわたる抗癌剤治療
にて点滴が非常にとりずらくなっていた。彼女は何も
言わなかったが1回で点滴がとれないこともしばしばで
これ以上継続するなら埋め込み式の中心静脈ラインの
挿入も検討しようかと相談していたこともあり経口薬
への変更は彼女にとっては朗報であった。ゼローダは
21日内服7日休薬で28日で1クールである。1クール
が終了したとき彼女は言った。「いままでの治療と比べ
ると後になるほどだんだん治療が楽になってきたので少
し不思議な気がしますね…..。これでいいのなら最初か
らこの治療でもよかったのではないですか?」当然の
疑問である。彼女の素朴な疑問に私は答えた。「まだ新
しい薬なのできちんとしたデータがまだそろっていな
いんです。CMFやAC、パクリタキセルはしっかりと
した比較研究がされていて治療効果が証明されていま
すが、この薬はまだ未知数なところもあるんですよ。効
果はかなり期待できますが、一応適応もいままでつかっ
た所謂、タキサン系やアンスラサイクリン系の薬が無効
と考えられる場合ということになっているんです。」彼女
は少し考えてからはっきりとした落ち着いた口調で言った。
「つまりこの薬は最後の手でこれが効かなければもう
手はないってことですね…..。」なんて聡明で冷静で強い
人なのか。彼女は人が一番言いずらいことを先回りし
て自分で確認しているかのようだった。私は少し苦笑い
をしながら答えた。「まあそう先走って考えないで下
さい。かなり治療の幅がなくなるということは言える
と思います。」
 彼女は私の困惑した思いを気遣ったのだろう。それ
以上は問い詰めることはしなかった。
(次回につづく)
【2005/07/12 23:39】 つかめない藁 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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