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(モデルにさせていただいた誤報事件に関しての2chの過去ログ保存していたものアップしました
医者板の過去ログ→こちら
ニュース速報+板の過去ログ→→こちら
この事件の理解の参考となれば幸いです。当時の記事などが引用されている部位もありますのでm3掲示板も閉鎖された今、資料として貴重なものとして保存してあります。)
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不条理な結末(4)
経口の抗癌剤であるTS1にて化学療法が開始された。大きな
副作用もなく引き続き外来で治療を継続する方向となった。
 「手術も無事に終わりました。これで充分治癒が望めます。
よく頑張りましたね。」こう言うことができるのであれば
どんなに気が楽だろう。しかしそんな事ができるわけがない。
 現実をご家族にお話しなくてはならない。退院の数日前に
私は彼に内緒で奥さんを含めて、ご親戚の方も集めてお話し
する場をもうけた。「状態としてはかなり病気は進んで
おり、できる限りの治療を行うつもりではあるが再発は必至
だろうと考えています。いずれにしても厳しい状況である
のは間違いないです。」奥さんは言った。「そうですか..。
率直なところどれ位持ちますか?」少し黙った後私は答えた。
「多分数ヶ月でしょう。年単位は難しいと考えます。しかし
ながらうまく薬が効いてくれる可能性もあります。できる
かぎりのことはさせていただくつもりです。ご家族の方は
あまり状況は楽観視できないのだということをご理解して
ください。」

 退院後、彼の病状は幸いにも安定していた。手術して4ヶ月
定期の外来に彼は訪れた。TS1の治療は4クール目に入ろうと
していた。「まあ手術前に比べると体力は7割くらいかな。でも
仕事も復帰できたしまずまずではないかと思ってます。」「そ
うですか。特に変わったことはないですか。」「大丈夫そうで
す。食事も食べられますし、排便も調子いいです。」「それは
よかった。」「二人目がもうすぐ生まれますしなにかと入用で
すからがんばらないと。」「そうですね、今何ヶ月ですか?」
「8ヶ月に入りました。」「そうですか。でもくれぐれも無理
の無い様に。」「分かってます。大丈夫ですよ。」手術して
ある程度時間が経ち、仕事にも復帰できた。幸いにも薬の副
作用もなく彼も希望を持てるようになった様だった。
 しかし現実はあくまでも冷酷である。この日の採血の結果で
術後正常化していた腫瘍マーカーの値が再度上昇してきている
ことが確認された。それは病魔が再び彼の体の中で暴れ始めよう
としていることを示していた。
(次回に続く)
【2005/03/03 22:49】 不条理な結末 | トラックバック(0) | コメント(0) |
不条理な結末(3)
 開腹し腹腔内を検索する。CTの所見通り腫瘍は胃の後壁から
膵臓に浸潤しているらしく後壁は固定されているが肝転移や
腹膜播種はない。腹腔内洗浄細胞診を行い、十二指腸を膵頭部
ごとKocher授動して下大静脈と腹部大動脈を露出して大動脈周囲
のリンパ節の腫大ないのを確認した。とりあえず見た所、問題は
膵頭部への直接浸潤だけのようだった。「行けそうですね。」
私は前立ちをしてくれていた上司に言った。「取りにいくか。」
「取っても多臓器浸潤ありのSiでstageⅢbです。厳しいとは思
いますが可能性にかけたいです。取りにいきましょう。」手術は
予定通りに行われた。術後は大きな合併症もなく彼は概ね順調に
回復していった。しかし後日戻ってきた腹腔内細胞診の結果に
私はがっくりさせられることになる。(このとき勤めていた病
院は病理医が常勤でおらず迅速細胞診はできなかったので外注
の結果が戻るのに時間がかかった。)その結果はClassⅤであ
った。それは手術時にすでに癌細胞がすでに腹腔内にばら撒か
れていることを示していた。状況は予想以上に厳しかった。
 なんらかのかの抗癌剤での治療が必要だった。
 術後2週間ほど経過し、食事もとれるようになり、大きな手
術を乗り切って安堵の表情を見せてきた彼にその旨を話さなく
てはならない。奥様もおよびしてお話の機会をつくった。「ま
ずは手術をうまく乗り切りました。本当におつかれさまでした。」
「有難うございます。どうなるかと思いましたが
なんとか先生のおかげで。」「ところで手術で見える範囲の
癌は取りきってきましたが、お腹を開けて最初にお腹を洗った
生理食塩水を顕微鏡の検査に出したのですがそこから癌細胞
が検出されています。」「それはどういうことですか?」
「すでに腹腔内、つまりお腹の中に癌細胞がばら撒かれて
いる状態であるということで、目に見えない癌細胞が残って
いるということです。これらをたたくために抗癌剤の治療が
必要になります。」彼は少し黙って私に問いかけた。「それ
で僕の病気は治るのですか..。」私は少し間をおいた。あなた
の病気は治るのが難しい。多分無理だろう。誰が好き好んで
まだ若すぎる彼にそんなことを伝えたいと思うだろうか。
 私は静かに伝えた。「完全に治すのは難しいと思いますが
できるかぎり進行を遅らせることはできると思います。現状
においてできる最善のことをさせていただきたいと思ってい
ます。」彼は少し黙ってから言った。「わかりました...。
先生、僕は死ぬのは怖くないんです。私の兄は12の時に病気
で死んでます。人はいつかは死ぬんです。人には寿命っての
があるんですからそれが早いか遅いかだけのことです。先生
が神様でないことも、それでも一所懸命やってるのも充分解
ってる。でもね先生私はまだ死ぬわけにはいかないんです。
妻と子供たちの為にもまだ死ぬわけには絶対にいかないんで
す....。」
少しでも長く効いて欲しい。再発の所見が出てきて来ない
で欲しい。私は祈るような思いで彼の化学療法を開始した。
【2005/03/02 23:03】 不条理な結末 | トラックバック(0) | コメント(0) |
不条理な結末(2)
 上部消化管の生検結果はpor1(未分化型腺癌)であった。腹
部CT上は明確な転移はない。腫瘍の首座(腫瘍の存在する場
所)は後壁(背中側)で胃の後ろにある膵臓の頭部に腫瘍が
食い込んでいる様に思われた。この部位の膵臓を同時に切除
するとなると膵頭十二指腸切除になる。患者は30代。高齢者
なら胃十二指腸バイパスで逃げるところだが...。
 「内視鏡で取った組織の結果がでました。やはり悪い細胞
が認められています。」本人と同席した奥様に私は言った。
 「それは癌ということですか。」「そういうことになりま
す。かなり大きくて、胃の壁を食い破って後ろの膵臓に食い
ついている可能性があります。膵頭部と言われるこの部位は
丁度交差点のように胆管や膵管、門脈や上腸間膜動脈などが
複雑に入り組んでいてこの部位を切除するとなるとかなり大
きな手術になります。ただCTでわからないような腹膜播種と
言われるような広範な腹腔内の転移を認めた場合は切除の意
味はないと考えて、胃の狭い部分を回避するバイパス術だけ
して戻ってきます。」手術の詳細、合併症など一通りの説明
を聞いた後彼は言った。「解かりました。先生にお任せしま
す。ところで先生一つお願いがあります。」彼の目は真剣だ
った。「お腹を開けた結果がどうであってもすべてお話して
ください。」少し間をおいて私は答えた。「解りました。ど
んな結果であっても事実をお話します。でもどんな結果であ
れ我々のできる限りのことはさせていただきます。」
 奥様は二人目の子をお腹に宿していた。彼の負っている責
任を考えたとき可能性があるなら何とか助けたかった。
 そして手術の日を迎えることになる。
(次回につづく)
【2005/03/01 21:32】 不条理な結末 | トラックバック(0) | コメント(1) |
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藪医者の独り言


ここに記載されたエピソードは著者の体験をもとに構成したフィクションです。 このページはリンクフリーです。気に入ったら適当にリンクを貼っていただいて結構です。


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